時間外にロッカーを掃除。
たいていの職場では、何らかの形で、私物置き場やカバン置き場、着替えた服を収納しておくロッカーといった場所が用意されているのではないでしょうか。
例えば、職場では白衣に着替えるので、仕事を始める前に、服を着替えて、自分の服とその他の持ち物をロッカーにしまっておく。他にも、コック服に着替えるとか、エプロンを着用する職場とか、中には警察官やキャビンアテンダントのように全身ユニフォームにチェンジする職場もありますよね。
職場で使うロッカールームや更衣室ですが、たくさんの人で使っていると、ホコリが溜まったり汚れが生じてくるので、定期的に掃除をしないといけない。
職場によっては、クリーン担当の人や外注のクリーンサービスを利用するところもあるかと思いますが、社員でローテーションを組んで、順番に更衣室の掃除を担当するところもあるはず。
1週間ごとに更衣室を掃除している職場ならば、「今週は後藤さんね。じゃあ、来週は、、木村さんが掃除当番ね」という感じの会話がなされて、順番に担当者が更衣室の掃除をする。そんな会社、ありますよね。
この更衣室の掃除、労務管理的には何も問題はなさそうな作業ですが、どういう形で掃除がなされているかどうかによって、問題が生じる場合があります。
もし、始業から終業までの間に、業務として更衣室の掃除を行っているならば、これは特に問題ないです。
しかし、いつもよりも早く職場に来て、始業時間前に更衣室の掃除をしているとか。また、仕事が終わって、タイムカードの終業打刻をした後に更衣室の掃除をしているとか。他にも、休憩時間を削って更衣室の掃除をしているとか。
こういう掃除の仕方をしていると、労務管理的にはちょっと問題です。仕事の時間として計上していませんから。
やってもやらなくてもいいか。それとも、そうではないか。
更衣室の掃除そのものは、いわゆる生産活動ではないので、純粋な意味では仕事ではないです。それ自体が付加価値を生み出すわけではないですし、売上や利益の数字が増えるものでもありません。
コックの人は料理を作るのが仕事であって、床を箒で掃くのはその人達の仕事ではないですから、純粋な意味での仕事ではありません。
しかし、週毎に当番を決めて、清掃担当になった人は、更衣室の床を箒で掃いて、ゴミ箱のゴミを捨てて、ロッカーの扉を雑巾で拭かないといけないとなれば、これは仕事になります。
仕事かそうではないかの判断は、任意性の有無で判断します。
やってもやらなくてもいいならば、それは仕事じゃない。しかし、やらないとダメならば、それは仕事。掃除当番の順番が回ってきたら掃除をしないといけないならば、それは仕事になるのですね。
ですが、「ロッカー掃除をやってもやらなくてもいい」などという指示は意味のないものですし、おそらくやらない人が大半でしょう。やると決めたらやるのが仕事ですし、やらなくていいものならば、指示をしません。
となると、職場での掃除は仕事の時間に含まれるものと考え、労働時間として計上しないといけません。
ゆえに、始業時間前に更衣室の掃除をさせたり、終業時間後に更衣室の掃除をさせたり、休憩時間を削って更衣室の掃除をさせるのは、ダメです。
もし、どうしても始業時間前や終業時間後じゃないと都合がつかないならば、掃除の担当になった人の勤務時間を延長するといいでしょう。
始業時間前に掃除をするならば、始業時間が9:00で、掃除に必要な時間が30分という前提で考えれば、担当になった人の始業時間を30分早めれば、8:30から労働時間にできます。一方、終業時間後の清掃ならば、終業時間を30分遅らせればいいでしょう。
また、休憩時間中に掃除をする必要があるならば、休憩時間を30分延長すれば帳尻が合います。
上記のように時間を調整して対処し、労働時間外に掃除をさせる無賃労働は避けて下さい。
他の解決方法としては、掃除当番に手当を出すのもありです。例えば、ロッカー掃除を担当したら1回につき1,000円を支給するというもの。
労働時間に計上されない無賃労働だと不満を感じますが、手当が出るならば、不満どころか積極的にやりたいと手を挙げる人もいるのでは。
人の感情にどう対応するかが労務管理の核心部分ですから、働く人がどのように感じるか、考えるかを考えて、仕事をしてもらうよう工夫していくと良いでしょう。
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