2つの職場から通勤手当が支給される
会社に属して仕事をするとき、通常は1つの組織だけに属して仕事をするかと思います。しかし、人によっては、2つ以上の会社で働くこともある。
例えば、ある会社でパートタイムで働き、他の会社でもパートタイムで働く人がいます。月、木、金はA会社で、火、水、日はB会社という働き方があるし、午前はA会社で午後と夜はB会社という働き方もある。他にも、パートタイム+派遣という組み合わせで働く人もいれば、フルタイム+パートタイムの組み合わせもあるかもしれない。さらには、パートタイム+自営業、フルタイム+自営業という組み合わせで仕事をしている人もいるはず。
今回の焦点は、2つ以上の会社で勤務しているとき、2つ以上の会社から交通費が支給されているとすると、互いに交通費が調整されるのかどうかという点です。特に、会社間で同じ通勤経路を辿るときに問題となります。
2つの職場の通勤経路が重なると通勤手当も2件分
例えば、A社とB社の2つの会社でパートタイム勤務している城田さん(仮想の人物です)という人がいるとする。A社とB社はいずれも城田さんの自宅から電車で20分の場所にあり、利用する電車や駅も同じとします。交通費は片道200円で往復400円。交通費は400円×勤務日数で計算し、A社とB社から交通費が支給されている。勤務間隔は、A社では午前に勤務し、B社では午後から夜にかけて勤務しているとし、週勤務日数はどちらも5日とする(曜日は不定とする)。月間勤務日数は21日と考える。
上記の条件で考えると、A社から400円×21日=8,400円、B社から400円×21日=8,400円の交通費が支給され、城田さんの一月に支給される交通費は16,800円となる。ちなみに、城田さんは定期券を購入しており、費用は一月あたり7,900円としておきます。
2社とも同じ通勤経路であり、同じように電車に乗って通勤している。そのため、交通費もキチンと2社から支給されている。
上記のように考えると、特に問題となるポイントは無いとも思えます。
ただ、支給された交通費は合計で16,800円だが、城田さんが実際に支出した必要は7,900円です。ということは、約9,000円ほどがプラスとして城田さんのところに残るわけです。この点にちょっと違和感を感じる人もいるかもしれない。
通勤経路が重なっているので、費用の支出は1月分でほぼ足りるはず。しかし、2箇所で勤務しているため、交通費は実質的に2月分支給されている。そのため、約1ヶ月分の交通費が残る計算になる。間違った計算ではないし、何か不正があるわけでもない。しかし、上記のような結果になるのですね。
通勤経路が上記のように全く同じでなくても、一部で同じ通勤経路になっていれば、交通費が残ることもあります。A社は電車で30分、B社は電車で20分、自宅の最寄り駅から6駅目までは同じ経路で、その駅から先は違う経路になるとすると、自宅の最寄り駅から6駅目までは通勤経路の重なりが発生していますよね。そのため、自宅の最寄り駅から6駅目まで定期券を利用して、それ以外の区間は切符にするという組み合わせも可能かもしれない。
今回の話は、 『通勤定期と通学定期の利用ルートが重なる』 とほぼ同じポイントが焦点になっています。以前のコラムでは、学生がアルバイトするときの交通費でしたが、今回は会社員+会社員の組み合わせが中心です。
「交通費が残るならば、残らないように支給される交通費を調整するのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、それはおそらくないと思います。
社員さんは、別の会社で働いていることを伝えることはないでしょうし、会社も他の会社で働いていることを詳しく聞くことはないはず。もちろん、一方の事業所で雇用保険や社会保険に加入している場合は、もう一方では加入しないように調整するため、他の会社で働いている状況について聞くかもしれない。しかし、保険関連ではそうであっても、交通費では調整は行われないはず。
よって、2箇所の交通費が通算されることはなく、重なった経路は費用負担が軽くなるという結果になる。
もし、複数の会社で仕事をするならば、通勤経路を重複させるといいかもしれない。狙ってやるのは難しいかもしれないけれども。
ただ、何だかちょっとセコイ感じはします。
こちらにも興味がありませんか?