┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■┃ メールマガジン 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2010/11/26号 no.239)━
◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
代休で休日が消えるの? 振替休日との違い
◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
振替休日では休日は消えないが代休なら消える?
稀にですが、「休日を振り替えれば、後日に休日を設定する必要がある。しかし、代休ならば、休日割増の手当は必要だけれども、後日に休日を設定する必要まではない」という情報が発せられることがあります。インターネットの書き込みだったか、何らかの文字媒体だったかは思い出せないのですが、どこかで読んだ記憶があります。
振替休日は、勤務日と法定休日をスワップする仕組みなので、後日に休日を設定する必要があるのですね。つまり、法定休日を移動させるのが振替休日というわけです。
一方、代休は、休みの日(法定休日)に勤務して、後日に代わりの休みの日を設定する仕組み、、、のはずです。例えば、小学校や中学校の運動会は、だいたい日曜日に開催されることが多いはずですが、日曜日の代わりに月曜日が代休として設定されることがありますよね。つまり、休みの日に仕事や運動会があり休みを取れなかったので、後日に代わりに休みの日を設定するというのが代休のはずです。
ところが、労務管理では「代休ならば、休日割増の手当は必要だけれども、後日に休日を設定する必要まではない」と判断されたりするわけです。
なぜでしょうか。
代休には休日を消してしまうような効果があるのでしょうか。それとも、休日割増手当を支給すれば休日はなくなってしまうのでしょうか。
代休を取るとなぜ休日が消えるの?
まず結論から言えば、振替休日であろうと代休であろうと、法定休日そのものは消えません。
休日を振り替えれば後日に休日を設定する必要がありますし、また、代休も休日勤務の翌日以後に休日を設定する必要があります。
振替休日と代休には決定的な違いというものはなく、「"事前"に振り替えれば振替休日で、割増手当は不要」、「"事後"に振り替えれば代休で、割増手当が必要」という違いでしかないのです。そのため、どの時点までが「事前」で、どの時点からは「事後」なのかが微妙なこともあります。会社側は振替休日と主張しているけれども、社員側は代休と主張したりするわけです。
「代休の場合、割増賃金を支払えば、休日は必ずしも与えなくてもよい」という判断は、労働基準法上、使用者には代休を付与する義務はないという点を根拠としています。そのため、休日出勤に対して適切な割増賃金を支払えば、必ずしも代休を与える必要はないとされています。
ただし、代休を与えることで労働者の疲労回復や労働時間の調整が図られるため、企業としては代休制度を設けることが望ましいとされています。
さらに、法定休日に労働させた場合は、代休を与えたとしても、休日労働に対する割増賃金の支払い義務は免除されません。これは、代休を取得しても法定休日に労働した事実が変わらないためです。
通常、代休は法定休日に適用される処理ですが、法定外休日にも適用することが可能です。法的には「法定外休日の代休」に関する明確なルールは存在しませんが、各会社が自主的に「法定外休日の代休」を設定することは可能です。
法定外休日は法律で定められた休日ではなく、就業規則や雇用契約に基づく会社と従業員間の合意によるものですので、当事者間で条件を設定することができます。
例えば、「法定外休日に出勤した場合は休日割増手当を支給するが、代わりの休日は設けない」という規定があるかもしれませんし、「法定外休日に出勤した場合は休日割増手当を支給せず、後日代わりの休日を設ける」という規定も考えられます。また、当事者間の合意により法定外休日を廃止することも可能です。
法定休日は消えないし消せない、ただし代休は例外
労働基準法第35条によれば、「少なくとも週に1回は休日を与えなければならない」と定められていますので、この点に変更はありません。
ただし、第35条は「法定休日」に関する規定であり、法定外休日の取り扱いについては言及していません。そのため、法定外休日を休日割増手当で買い取る(手当を支給し、後日の休日をなしとする)ことは可能ですし、会社と従業員の合意により法定外休日を勤務日に変更することもできます。
しかし、第35条に定められた休日は、会社と従業員の合意があっても変更することはできません。振替休日や代休を用いて法定休日の「予定(週1回)」を変更することは可能ですが、休日を消滅させることはできません。
振替休日であっても代休であっても、法定休日を対象としている場合、法定休日はいずれかの時点で設けられることになります。振替休日では休日を別の日に設定しますが、代休では休日労働の割増賃金の支払いでもって休日がなくなることもあります。
休日がなくなるのは従業員にとっては不満を感じるでしょうから、働きがいのある職場にするには、代休であっても別日にキチンと休みの日を取れるようにすると良いですね。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ┃本では読めない労務管理の"ミソ"山口社会保険労務士事務所 発行
┣━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃メルマガの配信先アドレスの変更
┃
┃メルマガのバックナンバーはこちら
┃
┃メルマガの配信停止はこちらから
┃
┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*
┃
┃労務管理の問題を解決するコラム
┃仕事の現場で起こり得る労務の疑問を題材にしたコラムです。
┃
┃職場の労務管理に関する興味深いニュース
┃時事ニュースから労務管理に関連するテーマをピックアップし、解説やコメントをしています。
┃
┃メニューがないお店。就業規則が無い会社。
┃
┃山口社会保険労務士事務所
┃
┃『残業管理のアメと罠』
┃毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、
┃月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、
┃平均して8時間勤務というわけにはいかない。
┃しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、
┃ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
┃それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
┃『残業管理のアメと罠』
┃
┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*
┃Copyright(c) 社会保険労務士 山口正博事務所 All rights reserved
┃
┃新規配信のご登録はこちらから
┃(このメールを転送するだけでこのメルマガを紹介できます)
┃メールマガジン 本では読めない、労務管理の"ミソ" に無料で登録する
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━