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雇用保険に加入していない人も雇用調整助成金の対象に?

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□□┃  山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/5/15号 no.89)━




■■  雇用保険に加入していない人にも助成金?
■■  受益と負担のバランスが崩れる。
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■雇用保険に未加入の人も、「瞬間的に」助成金の対象にされていた?


もう、すでにご存知の方も多いと思いますが、雇用安定助成金(中小企業の場合は、
中小企業緊急雇用安定助成金)という助成制度を使う企業が増えています。


本来、助成金というのは、雇用保険の適用事業所や雇用保険の加入者を対象に
支給されるものです。

ところが、雇用安定助成金では、「雇用保険に未加入である人」も対象に含まれていた
時期があります。


以下の雇用安定助成金についての資料を読み比べてみてください。


こちらは平成21年2月から配布されていた厚生労働省のリーフレット(平成21年2月版)
です。
http://sites.google.com/site/mydatabox1001/Home/0304leaflet-annai.pdf?attredirects=0


一方、こちらは、平成21年4月から配布されているリーフレット(平成21年4月版)です
(今現在もダウンロードできます。下のファイルは2009年5月14日にダウンロードしました)。
http://sites.google.com/site/mydatabox1001/Home/0514koyouiji.pdf?attredirects=0



注目していただきたい部分は1箇所です。

その場所とは、3ページ目の「4、支給対象となる休業、教育訓練及び出向とは」と
いう部分です。


そこに書かれている※印の注意書きを見ていただきたいのですが、「対象被保険者等」
について書かれていますよね。

その部分を上記2つの資料間で読み比べて下さい。



何か気づきませんか?




■なぜ「こっそりと削除」したのか。

実際に文書を読んでみると、、、


古い方のリーフレット(平成21年2月版)では、

「対象被保険者等」とは、休業及び教育訓練又は出向を実施する事業所の雇用保険の
被保険者又は当該事業所に雇用された期間が6か月以上である方(雇用保険の
被保険者でない方で、1週間の所定労働時間が20時間以上の方に限ります。)で
あって、以下に該当する者を除きます。

と書かれていますね。



一方、新しいリーフレット(平成21年4月版)では、

「対象被保険者等」とは、休業及び教育訓練又は出向を実施する事業所の雇用保険の
被保険者の方(被保険者期間は問いませんので、新規学卒者に対して実施した場合も
対象となります)であって、以下に該当する者を除きます。

と書かれています。



違いが分かりましたか?



ここで最も注目すべきは、

「雇用保険の被保険者でない方で、1週間の所定労働時間が20時間以上の方に
限ります」

という文言が新しいリーフレットでは削除されている点です。



上記の文では、「雇用保険の未加入者も対象に含む」と読めますよね。

1週間の所定労働時間が20時間以上の方だったら、結構な数の対象者がいたのでは
ないでしょうか。

パートタイムで働いている大部分の人が対象になるでしょうし、学生の方も対象にできる
でしょうね。


これは大変な人数になりますよ(想像するだけで怖いです)。



もし、上記の内容が実際に実現していたとすれば、21年の2月から3月の間でしょうか、
瞬間的に雇用保険制度の未加入者を助成金の対象にできる時期があったということに
なります。




ところが、4月頃になると、特に予告もなく、新しいリーフレットに差し替えられています。


こっそりと未加入者を対象から外したんですね。


普通は、先ほどの資料をザーッと読み通すだけでは、上記の不備(妙な変更)
を発見できないのではないでしょうか。



なぜ削除することになったかと想像すると、

おそらく、厚生労働省の担当部署の方が「こりゃアカン」と判断して、直ちに
方針転換したのでしょうね。


さずがに財源が足りないでしょうから当然です。




■未加入の人を対象にしてはいけない。

助成金の財源は雇用保険の保険料です(原則として)。

つまり、会社と社員さんが保険料を負担しているからこそ、助成金を支給できるわけ
です(保険料だけでは足りず、時には税金が投入されることもあるでしょう)。


さらに、別の言い方をすれば、「助成金は雇用保険料のキャッシュバック」という性質を
持っていると言ってもあながち間違いではないでしょう。



上記のように考えると、保険料を負担していないにもかかわらず、助成金を受け取れる
という仕組みを認めてしまうのは不都合なわけです。


制度の未加入者にも助成金を支給するとなると、キチンと雇用保険料を支払っている人
や会社からすれば、「何だよ、タダ乗りじゃないか!」と嫌な気分になるはずです。


雇用保険は「負担と受益」を収支の軸にしていますから、「受益だけ」というわけには
いかないんですね。



ゆえに、「雇用保険の被保険者でない方で、1週間の所定労働時間が20時間以上の方」
を雇用安定助成金の対象にしてはいけないと結論できるのです。



企業の中には、未加入者も対象になると判断して、すでにその人たちにも休業手当を
支払ってしまったところもあるでしょうから、そこの担当者の方はプンプン(怒)しているでしょうね。





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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
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このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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