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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/3/28号 no.75)━
■■ これは有給休暇の買取り予約になるのか
■■ 就業規則に買い取ると書いてはいけない?
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■時効消滅時や退職時の休暇買取りを就業規則に決めるのはダメか。
有給休暇は金銭で買い取ることはできない、ということは
多くの方がご存知のはず。
ただ、例外もあって、退職時や休暇が時効で消滅してしまう
という場面では、買い取り禁止の制約は課されていません。
では、時効消滅や退職のとき、有給休暇が残っていた場合に、
休暇を買い取るルールを事前に設けたいとすれば、それは可能
でしょうか。
何らかの仕組みを作る時にはルールが必要ですから、休暇の
買取りにもルールが必要と思えますね。
ところが、
「法律で付与されるべき年次有給休暇について、事前に買取の
予約をすることによってその日数を減じ、ないし、与えない
ことは禁止」
という決まりがあります。
となると、就業規則で有給休暇の買取り規定を設けるのは
ダメという結論になりそうです。
しかし、「日数を減じ、ないし、与えないという意図はない」
とすれば、買取り規定を設けるのも可能と考え得るでしょう。
ただ、「意図がない」ということを外部の人が判断する方法
がありませんから、「ルールを設けた=買取り予約」という
ように杓子定規に判断される可能性もあるわけです。
外部の人が判断すると、「これは休暇の買取り予約でしょう?」
となるかもしれません。
もし、買取りを実施するとなると、就業規則での根拠が必要に
なるはずです
根拠が無ければ、買い取ったり、買い取らなかったりという
運用をしてしまう可能性があるわけですから、やはり就業規則
に書きたいところです。
ただ、いわゆる「買取り予約」に該当するのではという危険性
も残るわけですよね。
会社としては、
「時効によって消滅した場合、もしくは退職時に休暇が残って
いる場合には、会社と協議の上で休暇を買い取る場合があります」
のように、時効の場合と退職の場合に限局して規定を設けたい
ところです。
■もしもの時はルールが必要だから、就業規則に書くべきでは。
有給休暇を買い取るという場面はあまり無いでしょうが、もし
買い取るという場面になったとしたら、買取りのルールが必要
になりますよね。
その場その場で判断するというわけにはいかないでしょうから、
買取り日数の上限とか、買取り単価とか、買取り申請の期限
(時効消滅1ヶ月前、退職の1ヶ月前など)という点を事前に
決める必要があるでしょう。
「買い取るならばルールが必要」という思いと「買取りルールを
作るということは、すなわち買取り予約では」という思いが
ぶつかる場面です。
一方で、
「買取り」ではなく「買取りをしない」という規則ならば、
作るのは容易です。
「なお、時効消滅した有給休暇、退職時に残っている有給休暇
を金銭で買い取ることはしません」
というルールを就業規則に書くのは支障はありませんよね。
有給休暇規定のところに、なお書きしておく程度で対応できます。
どうしても買取りルールを設けたいという事情が無いならば、
買取りはしないという決まりにしておけば無難ですよね。
この方が有給休暇の趣旨(買い取るために休暇があるわけでは
ない)には合っていますから、お勧めできます。
■法的に問題がなくても、避けた方が良いこともある。
一般に、法定以上の有給休暇を金銭で買い取ることや、時効
によって消滅した場合、また、退職時に休暇が残っていた場合に、
その休暇を金銭で買い取っても差し支えない、とはされています。
ただ、「差し支えない」と判断されているだけですから、
「積極的に奨励」してはいないということです。
つまり、買い取るという発想自体があまり望ましいこととは
考えられていませんので、法的に問題がない場面であっても、
買取りはなるべく避けた方が良いですね。
ただ、時効消滅直前の有給休暇を多数の社員さんが同時かつ
一斉に取得するという場面になった場合には、買取りも選択肢
に含めながら現場のオペレーションを組まないといけないかも
しれません。
このような場合には、買取りもアリでしょう。
退職後に有給休暇だけを単独で消化できる(出勤せずに、残り
の休暇だけを消化している状態)会社もありますから、「買い
取る」という方法を用いなくても現場には対応できそうです。
買い取る状況にならないように、普段から取得を促進しておく
のが妥当な労務管理ということです。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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