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自転車通勤を増やしたければ、自転車にも通勤手当を出す。

 

チャリ通

 


自転車通勤のコストはタダ?


国土交通省のウェブサイトに「自転車通勤導入に関する手引き」という文書が掲載されており、自転車での通勤を奨励する内容になっています。

自転車通勤導入に関する手引き(国土交通省)

通勤手段というと、電車かバスが主流ですが、自転車で通勤している方もいます。

自宅から事業所まで距離が短ければ自転車で通勤するでしょうが、自転車通勤には通勤手当を出さないところが多いのが残念な点です。

公共交通機関を利用すれば運賃がかかりますから、その費用を通勤手当として支給するのは分かります。一方、自転車で職場まで行けば、時間と自転車を漕ぐ労力が必要とされるものの、運賃は発生しません。そのため、自転車通勤には通勤手当が出ないことが多いのです。

満員電車でヘトヘトになるよりは自転車で風を感じながら通勤する方が気持ちいいでしょうし、通勤用の車を駐車する費用もかからなくなりますし、色々と利点はあります。

ただ、通勤する本人が利点を感じないと、自転車での通勤を促進するのは難しくなります。

健康に良い、満員電車に乗らなくていい、こういう点も利点ではありますが、「よし、自転車で通勤しよう」と決断するには弱いでしょう。

バスや電車は運賃がかかりますが、自転車通勤は運賃は必要無いものの、色々と費用はかかっています。

車両、消耗品交換などのメンテナンス、自転車を漕ぐ労力、雨の日に体が濡れる負担、暑い日に汗だくになる厄介さ、など自転車であってもタダで通勤できるわけではありません。

 

 

通勤手当が出れば、自転車で通勤する人は増える。


「通勤手当も出ないのに、なんでシンドイ思いをして自転車で職場に行かなければいけないのか」

「電車やバスに乗れば、乗っているだけで目的地に運んでくれるし、夏は涼しく、冬は温かい。自転車を漕ぐ体力も要らない」

このように思ってしまえば、自転車で通勤しようと思う人は増えません。

しかし、通勤手当が出るとなると、話が変わってきます。

電車やバスなどの公共交通機関を利用しないと通勤手当は出ないと思っている方もいらっしゃるでしょうが、実は自転車での通勤に対しても税制上の非課税枠が用意されています。

No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当(国税庁)

職場から自宅まで近いという前提条件が必要ですが、片道2kmぐらいならば自転車での通勤ならば現実的なものです。

さすがに毎日、片道10kmなんて走っていられないし、真夏は汗だくになりますが、2kmからkmぐらいでしたら自転車で走れるでしょう。

自転車の平均時速を12km/hだとすると、片道3kmだと片道15分かかります。15分間、自転車を漕ぐ前提ですから、実際は一時停止や赤信号で停まります。となると、25分ぐらいはかかるでしょう。ゆっくり運転する人だと30分は見積もっておく必要があります。

ゆっくり運転して30分で3km。2kmだと20分。通勤時間としてはそう長いものではありません。

片道2キロメートル以上だと、月に4,200円までは非課税で通勤手当を支給できます。なお、距離に応じて非課税の枠は大きくなります。

ちなみに、電車での通勤だと1ヶ月に15万円もの非課税枠があり、新幹線での通勤も想定してのことですが、ここまで優遇すると自転車で通勤するなんてバカバカしくなります。

通勤ラッシュの原因の1つは、電車に対する税制上の優遇が厚すぎる点にあるのではないかと思っています。

仮に、自転車で自宅から職場まで行き来するとして、毎月4,200円を交通費として支給されたらどうなるでしょうか。年間だと50,400円になります。

自転車で通勤して、年間50,400円の交通費が支給されたら。どうでしょう、「自転車で通勤しようか」と思い始めるのではないでしょうか。

 


インセンティブがなければ人は動かない。


「健康にいいですよ」、「満員電車に乗らなくて済みますよ」というだけでは自転車で通勤しませんが、「1年で50,400円の交通費が出ますよ」となれば動く人は出てきます。

仮に、1回の自転車通勤で200円の通勤手当を出すとして、月に21回出勤すれば4,200円。これならば非課税枠の範囲内です。週5日出勤の方だと、月に21回ぐらいの出勤日数になるはずです。

月に4,200円だと、年に50,400円。2年に1回、自転車を買い換えるとすれば、100,800円の購入補助が付くようなものです。

ただ、2年も乗れば、パンク修理はするでしょうし、タイヤやブレーキシューも交換するはずです。それゆえ、車両代以外にも費用はある程度かかります。

シティサイクルだと、1台30,000円も出せばかなりいいものが手に入ります。2年で乗れなくなるほど品質が低いものは少なく、4年なり5年は乗れるものが手に入るでしょう。

スポーツタイプの自転車だと1台10万円ぐらいするでしょうが、通勤手当を自転車を購入する際の補助として利用すれば、随分と費用負担が軽くなります。

こういうメリットがあれば自転車で通勤しようかと思う人も出てきます。電車やバスで通勤しても、通勤手当はすべて運賃に消えますから後に残りません。

手当も出ないのに、単に健康を目的に自転車で通勤する人がどれだけいるでしょうか。自転車好きの人ならば分かりますが、それ以外の人は違う選択をするはずです。

自転車通勤もタダではありませんから、何の見返りもなしに電車やバスから自転車での通勤に変える人は多くないでしょう。

「通勤手当が出るかどうか」ここが自転車通勤が普及するかどうかの境目です。

税制上の非課税枠を1キロメートル以上から設定すれば、自転車通勤に対して手当を出しやすくなります。

例えば、

1キロメートル以上5キロメートル未満:2,900円
2キロメートル以上10キロメートル未満:4,200円

このように、もう1段階メニューを追加すれば、自転車通勤にも適用しやすいでしょう。

 


住宅手当も組み合わせて自転車通勤を増やす。


職場から近い場所に住んでいる人に住宅手当を出すようにして、さらに自転車通勤に通勤手当も出せば、遠いところから通勤する人は減ります。

月に15万円もの非課税枠を作ってしまうと、もっと遠くから通勤しても大丈夫だと思ってしまい、通勤ラッシュは解消できません。

職場の近くに住めば、住宅手当が出て、さらに自転車で通勤すれば通勤手当も出る。自転車を買い換える費用も少なくなり、常にキレイな自転車に乗れる。

自分がどれだけ得をするか。人が行動を起こすかどうかの出発点はここです。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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