- 来年1月から使いはじめる。
- 先に通知カード、後からマイナンバーカード。
- 個人番号(マイナンバー)をどうやって会社は集めるか。
- 個人番号通知カードが届いた段階でマイナンバーを提供してもらうか。
- マイナンバーの利用目的を通知する必要がある。
- 個人番号(マイナンバー)を変更することはできるの?
- 個人番号は住民票コードから生成される。
- 住民票が2種類に。
- 個人番号を保管する方法。
- 労務管理でやるべきことは、提供、本人確認、保管。この3つ。
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小規模な事業所でマイナンバーを扱う実務。
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来年1月から使いはじめる。
来年、平成28年の1月からマイナンバーを使って公的な手続きを行うようになりますが、準備は進んでいますでしょうか。
規模が大きい会社だと対応のためにゴタゴタしているのでしょうが、人数が少ない会社だと特に何もしていない場合もあるでしょう。
書類に記入欄が1つ増えるだけですから、「対応などと何を大げさな」という反応をするのも自然なことです。
先に通知カード、後からマイナンバーカード。
10月から発送されると言われているのは、マイナンバーカードではなく、通知カードというものです。
「10月からマイナンバーカードが自宅に届く」と思っている方もいらっしゃるでしょうが、ダイレクトにマイナンバーカードが届くのではなく、先に通知カードという紙でできたものが届きます。
通知カードには個人番号と名前、住所が記載されており、これを持って市町村の役場に行き、自分のマイナンバーカードと交換するわけです。その際には写真、免許証などの身分を証明するものが必要です。この点については同封される案内パンフレットに書かれています。
個人番号(マイナンバー)をどうやって会社は集めるか。
手続きで必要になる番号ですから、会社は社員さんから番号を提供してもらいます。では、どういう方法で集めるかが気になるところです。
腫れ物を触るような扱いを受けているマイナンバーですので、提供する方法が限定されているかと思いきや、ここは制限がありません。
ポイントは、番号だけを提供してもらうのではなく、本人確認をセットにして提供してもらうようにするところです。
書面に番号だけを書いて提出してもらう方法だと、その番号が本人のものかどうかが分かりません。デタラメな12桁の数字を通知し、それが本人のものだと相手に誤認させ、なりすましができてしまいます。とはいえ、会社にデタラメな番号を通知する利点がありませんから、このような場面を想定する必要はあまりないでしょう。
それゆえ、本人と番号が紐付いていることを確認して、番号を提供してもらう必要があるわけです。
個人番号通知カードが届いた段階でマイナンバーを提供してもらうか。
通知カードには個人番号が記載されており、個人番号カードにも個人番号が記載されています。どちらにも個人番号は書かれているので、通知カードが届いた段階で番号を提供してもらうか、それとも本カードが届いた段階で提供してもらうか。判断が分かれます。
通知カードで番号を提供してもらう場合は、免許証やパスポートなどの身分証明書とセットで本人確認をしないといけません。通知カードには顔写真が付いていないので信用力に欠けるため、より信用力が高い書類で補完させるのですね。
しかし、個人番号カードを手に入れてから番号を提供してもらう場合は、補助書類無しで、そのカードだけで本人確認を完結できます。
簡単なのは、後者の方法です。個人番号カードを手に入れてから、そのカードを会社に持ってきてもらい、本人確認と番号の提供を一緒に済ませます。
マイナンバーの利用目的を通知する必要がある。
好き放題に使える情報ではありませんので、何の用途で使うかを知らせて、番号を提供してもらいます。
例えば、「税金、雇用保険、社会保険の手続きで利用しますので、個人番号を提供していただきます」と相手に伝えて、個人番号を集めます。
会社が個人番号を何に使うかなんて分かりきっているのですが、情報を取り扱う場面ではこのような「儀式」が必要なのです。
個人番号(マイナンバー)を変更することはできるの?
12桁の番号で構成される個人番号ですが、番号を変更することは原則としてできません。データマッチングを回避するために、定期的に番号を変更したいと考えていた方もいらっしゃるでしょうが、残念ながらできません。もちろん、カードを再発行するのは可能です。
例外として、不正に利用される恐れがあれば番号を変更するらしいのですが、具体的な条件が不明です。
定期的に、例えば5年ごとに番号をシャッフルするようにすれば良さそうですが、カードの券面に番号が印字されているため、番号をシャッフルするとカードも廃棄して新しくする必要があります。これは現実には無理でしょう。
個人番号は住民票コードから生成される。
住基ネット、みなさんは覚えているでしょうか。2002年に住民票コードが通知されたところから始まり、今に至っています。
ところで、自分の住民票コードを知っている人はどれぐらいいるのでしょうか。私も2002年に通知されて、手帳に自分のコードを書いていたのですが、いつの間にか忘れ去られ、なくなってしまいました。
住民票や印鑑証明などは市役所が発行した書類申請用のカード(住基カードとは違うもの)とパスワードを組み合わせて取得できましたから、あえて住基カードを使わなくても何も不便はありませんでした。
住民票コードから個人番号を生成しているならば、マイナンバーを作らずに、住民票コードと住基ネットを税金や公的保険でも使えばいいと私は思うのですが、何かと都合が悪いのでしょうね。
マイナンバー制度ができて、住民基本台帳ネットワークシステムが無駄になるかと思えたのですが、住基カードは有効期限が到来したらそれで継続無しで終了ですが、その後はマイナンバーカードで住基ネットに接続できます。
住基カードは順次廃止になりますが、住民基本台帳ネットワークシステムはそのまま利用していくとのこと。
住民票が2種類に。
現在の住民票にも個人や世帯全員などの範囲で取り扱いが分かれていますが、さらに、個人番号付きの住民票と個人番号が付いていない住民票が加わります。
ちなみに、年金関連の手続きで住民票を利用する場合、個人番号が付いていないものを使います。「え? 年金の手続きは行政手続なんだから、マイナンバー付きのものを使うべきじゃないの?」と思うでしょうが、使えないのです。
日本年金機構も行政機関に含まれるとイメージされやすいですが、厳密には公的機関には含まれていないのです。社会保険庁だったら行政機関に含まれたのでしょうが、今は違いますので、個人番号を取り扱えないのです。
不思議ですよね。政府が年金制度を運営しているのに、手続きでは個人番号を受け付けられないなんて。表玄関でチケットを購入できるけれども、中に入るときは裏玄関からお願いしますというような、妙な不便さを感じますね。
個人番号を保管する方法。
この保管方法が最も厄介な点です。個人番号を取り扱うハンドブックやウェブサイトを見ていて、あれをせよ、これをせよと注文が多いのですが、どこまでやれば十分なのか、ゴールが見えません。
従業員数1万人の会社と従業員数12人の会社では、個人番号を保管する方法も違うでしょう。
社員データベースへ不正にアクセスされないように、データにアクセスできる権限者を限定して、サーバーも分離して、ファイルは鍵付きのキャビネットに入れてなど、大規模な会社ならば対応法も色々です。
しかし、従業員数12人のお店や会社でできることと言えば、個人番号を提供してもらったあと、その番号を社員名簿に記入しておくとか、被保険者台帳に記入しておき、そのファイルを棚にポンと入れておくだけ。現実はこんなものでしょう。
セキュリティ対策はやり始めるとキリがないので、どこかで区切りをつけないといけません。
小規模な事業所では、社員名簿に個人番号を追加記入して終わり。これでマイナンバー対策は終わり。危なっかしいですが、とりあえずはこのようになるでしょうね。
労務管理でやるべきことは、提供、本人確認、保管。この3つ。
本人確認と一緒に番号を提供してもらい、その番号を管理台帳に記入しておく。必要最低限のマイナンバー対応としてはここまでです。
税金や公的保険での手続きで支障が出なければそれでいいと考える人が多数でしょうし、「要するに記入する項目が1つ増えただけだろう」と思うのも自然なことです。
管理部門で仕事をしている人にとっては、「そんな雑な扱いじゃダメだ」と反応したくなるでしょうが、仕事に支障がなければそれでOKと考えるのが多数派です。
まずは簡単にでも対応しておいて、不備があれば事後的に補完していく。「何か問題が起こってからでは遅いんです」とヒステリックにならずに、こういう寛容さが必要です。
今回は、マイナンバーについて書きましたが、針小棒大な感じがしますね。
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