刑務所に入ったら健康保険は使えなくなる
おそらく、ほとんどの人は少年院や刑務所に入ることなく生活しているし、入所を経験することなく一生を過ごすかと思います。
ただ、もし刑務所に入ったらどんなことが起こるか。どんなことが起こるかといっても、今回は健康保険に限定して話をします。
会社に入ると健康保険に加入し、退職すると健康保険から脱退する(ただし、任意で健康保険に継続して加入できる)。これが基本です。
もし刑務所に入るとなると、何らかの犯罪を起こしたか、もしくは何らかの事故、例えば交通事故で人を死亡させたとかが理由になるでしょうか。
会社員の人が強盗とか殺人で刑務所に入る場合はそう多くないと思いますので、今回は交通事故で人を死亡させ、その結果として刑務所に入ったと仮定してみましょう。
刑務所に入るとなると、おそらく会社を退職して、健康保険も使えなくなるでしょう。この場合、被保険者を経由して健康保険に加入している被扶養者はどうなるのか。例えば、会社員の夫が健康保険に入っていて、妻と子どもが被扶養者で健康保険に加入している場面が典型的です。もちろん、妻が健康保険に入り、夫が被扶養者と考えても構わない。
上記の場合、被扶養者として健康保険に加入している人はどうなるのか。被保険者である人が資格を喪失したから、被扶養者も資格を喪失するのか。それとも喪失しないのか。
どちらでしょうか。
子どもや妻の健康保険は?
結論から言うと、会社員の夫が刑務所に入っても、被扶養者である妻や子供はそのまま健康保険を使えます。
根拠となる法律は、健康保険法の118条の2です。
健康保険法 第118条の2
「保険者は、被保険者又は被保険者であった者が前項各号のいずれかに該当する場合であっても、被扶養者に係る保険給付を行うことを妨げない。」
ちなみに、「前項各号のいずれか」というのは、少年院や刑事施設、労役場に収容や拘禁された場合に該当します。
上記の条文の内容を要約すると、刑務所に被保険者が収容されても、被扶養者への保険給付を続けることができるのですね。とはいえ、会社を辞めてしまったとなれば、被扶養者も健康保険を使えなくなります。118条の2を適用するには、あくまで在職していることが前提になります。
「オトーサンが刑務所に入っちゃったら健康保険を使えなくなるんじゃないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、上記の健康保険 118条の2を知っていれば、心配することもなくなりますね。
ちょっとしたミニ知識ですが、知らな無い方もいらっしゃると思いますので、知っておくといいかもしれません。
こちらにも興味がありませんか?