労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

フレックスな感じが無いフレックスタイム制。

やわらか労働

 

 

 

「フレックス制なのに柔軟性ゼロ」コアタイムは9時ー17時、会社の思惑はなんだ?

「うちの会社、フレックスタイム制なのに、(出勤義務がある)コアタイムが9時から17時なんですよ」。

( - 中略 - )

「結局、通勤ラッシュに巻き込まれるし、これじゃ普通の働き方と一緒だと思うんですけど…」

 

 

 

フレックスタイム制とは?


フレックスタイム制というのは、

「仕事を始める時間」

「仕事を終える時間」

 

本人が選べるという制度です。

 


本来だと、

「始業時間は10時」
と決められている場合、

10時までに職場に行って、
仕事を始められる準備ができていないといけない。


このように、

仕事を始める時間が決まっているんですね。

 


一方、

フレックスタイム制だと、

例えば、
午前7時から11時までをフレキシブルタイムにして、

この時間の間に出勤すればOKとなります。

 

仕事を終えるときも、

18時と固定せず、

17時から21時までの間に仕事を終えればいい


「仕事を始める時間」と「終える時間」を本人が決めていい

 

それがフレックスタイム制です。

 

 

 

 

フレックスタイム制のメリットは?


フレックスタイム制の良いところは、

まず、始業時間を変えられるという点です。


朝の電車が最も混むのは、

午前7時から9時少し前まで。


この時間に電車に乗らなければ、

電車の中で「押しくらまんじゅう」をしなくてもいいんですね。

 


大阪の電車も混みますけれども、
東京に比べたら、生易しいぐらい。

 

東京の満員電車は、
ホントにギュウギュウで、

「人間の押し寿司」が出来上がりそうなぐらいの
圧迫感があります。

 

押されて泣くどころか、
押されて病院送りになりかねないほど。

「そんな大袈裟な(笑)」
思う方もいるでしょうが、

大袈裟ではなく、事実です。


満員電車に乗ると、仕事を始める前に疲れてしまいます。

「まだ朝なのに、何だかもうヘトヘト」

そういう無意味な疲れを感じないように、
電車に乗る時間をズラす

これができるのもフレックスタイム制の良いところです。

 

 

6時台の電車ならば、いくぶんか空いていますし、
9時を過ぎると、快適に電車に乗れます。

このラッシュタイムを避けるために
フレックスタイム制を導入するのも良いですね。

 

電車内に人が少なければ、
痴漢に遭う可能性が減りますし、

「この人、痴漢です」と言われ(男性にとっては恐怖)、
冤罪事件になってしまうことも無いのではないかと。

 

「男性にも専用車両を設けてほしい」
と要望する人もいますが、

電車に乗る時間帯をズラせば、
男性専用車両が無くても良いのではないでしょうか。

 

 

始業時間が10時だと、

寝坊して起きるのが9時40分になったら
「ヤベー、寝坊した」
となりますが、

 

フレックスタイム制だと、
午前11時までに職場に行けばいいので、

「あぁ、11時までに着けばいいか。助かった」

とホッとします。


遅刻を回避するためにも使えるんですね。

フレックスタイム制は。

 

 

 

朝だけフレックスタイム、というのはダメ。


「通勤ラッシュが発生する朝だけ
フレキシブルタイムを設ければいいのでは?」

そんな考えも頭に浮かびますが、

始業時間だけでなく、
終業時間もフレキシブルに
しないといけないのがフレックスタイム制です。

 

例えば、

朝のフレキシブルタイムを長めにして、
終業時間帯のフレキシブルタイムを短めにするのはOKです。


先ほどの例だと、

午前7時から11時までをフレキシブルタイム。
午後17時から21時までをフレキシブルタイム。

という配分にしていましたが、

 

これを、

午前6時から12時までをフレキシブルタイム。
午後18時から20時までをフレキシブルタイム。

という配分に変えて、

 

朝の方がフレキシブルタイムが
長めになっているという形にするのも
1つの方法です。


通勤ラッシュを回避する。
痴漢に遭わないように。
「この人、痴漢です」と言われないように。

 

最初はこの程度の目的で
フレックスタイム制を導入して
浸透させていくのが良いでしょうね。


何か凄い変更を加えるわけではなく、

「ちょっと変えてみる」

ところから始めるんです。

 


会社によっては、

残業代を減らすためにフレックスタイム制を使う」

そういうところもあるでしょう。


確かに、そういう使い方もできないこともないです。

しかし、本来の使い方ではないですし、働く人には不評でしょう。


働く人はフレックスタイム制のメリットを享受できませんし、
会社が残業代を減らすためだけに導入したとなれば、

ブーイングは不可避です。

 

 

 

毎日8時間働く必要もない。


さらに、1日8時間と所定労働時間を固定する必要もなく、

月曜日は8時間
火曜日は5時間
水曜日は10時間

というようにバラつきが発生しても構わないという制度です。

 

所定労働時間は8時間だから、
毎日、会社に8時間いないといけない。

そういうものではなくて、

仕事の繁閑に合わせて、
"ある程度は"柔軟に時間を変えられるのですね。

 

「フレックスタイム制ですが、
毎日8時間は働いてもらいます」

これだとフレックスタイム制ではないんですね。

 

 

残業の計算でも、

「1日8時間を超えたら割増賃金が必要」
というルールが原則ですが、

フレックスタイム制だと、
1ヶ月単位で労働時間を精算できる(←ココ重要)ため、

上記のように水曜日に10時間働いても、
1ヶ月単位での総時間枠を超えないならば、

「割増賃金が不要になる」

という効果もフレックスタイム制にはあります。

 

ただし、水曜日に長く働くと、
他の日、例えば金曜日は時間を短めにする 、

という形で帳尻を合わせていく必要が出てきます。

 

 

 

本人が時間をコントロールするのがフレックスタイム制。


フレックスタイム制には、

「フレキシブルタイム」

「コアタイム」

という2つの時間があって、


フレキシブルタイムは、本人が時間をコントロールできる時間

一方、

コアタイムは、会社が時間を決める、固定的な勤務時間です。


このフレキシブルタイムとコアタイムを組み合わせて、
フレックスタイム制を運用していきます。

 


先ほどの例だと、

午前7時から11時までをフレキシブルタイム。
午後17時から21時までをフレキシブルタイム。

としており、

 

11時から16時までは、コアタイムになっています。
※お昼の休憩はここに入ります。

 


労働時間を最短にするならば、

コアタイムの11時から16時まで働くとして、

休憩なしで、
5時間で仕事を終えられます。

先ほどの例だと、これが最短の就業時間です。

 

 

 

 

フレキシブルタイムとコアタイムの比率。


フレキシブルタイムがどれだけ必要で、
コアタイムをどれだけ入れておくか。

この点についての決まりはありません。


悩む方が多いのも、この点です。

 

ただ、フレキシブルタイムが少ないと、
制度の趣旨に合わないため、
そのようなフレックスタイム制は無効とされます。


無効とされてしまうと、

【水曜日に10時間働いても、
1ヶ月単位での総時間枠を超えないならば、
割増賃金が不要になる】

という効果を享受できず、

1日8時間という原則で時間管理しないといけなくなります。

 


「コアタイムに比して、その2倍以上のフレキシブルタイムが設けられていなければならない」
という基準でもあればいいのですが、

そういう基準はありません。

 

 

 


好きなだけ働いていいのか?

 

フレキシブルタイムの最初から最後までの時間を取れば、
「午前7時から午後21時まで働くことも可能?」
とも思えますよね。

 

午前にあるフレキシブルタイムの始まりが午前7時。
午後にあるフレキシブルタイムの終わりは午後21時。

 

この最初から最後まで働くことは可能なのかというと、

休憩が1時間入るとして、
トータルで13時間労働になりますが、

1ヶ月の総時間枠を超えないならば、可能です。

 

仮に総時間枠を超えたとしても、
36協定で決めた残業時間の上限を超えず、
割増賃金をチャンと支払えば、この場合でも働くことは可能です。

 

 


36協定では、1日あたりの残業上限も設定しており、

延長することができる時間を
仮に「1日2時間」
と労使協定で決めていれば、

最大で1日10時間勤務まで可能です。


しかし、フレックスタイム制は、

1日あたりで残業が発生したかどうかを判定せず、
1ヶ月あたりで精算し、残業が発生したかどうかを判定します。

 


そのため、

1日13時間勤務になったとしても、
その時点では割増賃金が必要な残業が発生したかどうかは
分からないのです。

 

給与の計算を締める日になれば、
1ヶ月間の労働時間数が分かりますから、
締め日の時点で残業があったかどうか、
割増賃金が必要かどうかを判断できます。

 


フレックスタイム制が採用されている職場で、
あえて午前7時から午後21まで働く人は稀でしょうが、
仕事があって、本人がやりたいならば、それは可能です。


なお、フレックスタイム制であっても、

36協定は適用され

1ヶ月単位、
もしくは1年単位で、

残業の上限時間数はありますので、
この点はお忘れなく。

 

 


1日8時間を超えても時間外労働にならない?


原則では、

1日8時間を超えると時間外労働になり、
割増賃金が必要です。


しかし、フレックスタイム制だと、
1日ごとに残業を判定せず、

1ヶ月という期間で判定するため、

給与を計算する段階で残業が発生したかどうかが分かります。

 


例えば、

1ヶ月に30日ある月の場合、

労働時間の総枠は、171.4時間になります。

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30日間で、労働時間が171.4時間以内に収まれば、
その月は「残業なし」と判定されます。

 

もし、
30日間の労働時間が、180時間になった場合、
172時間を超えた時間(簡単に書くため、171.4時間を172時間に切り上げ)は、
8時間です。

この8時間が残業となり、割増賃金が必要になります。


そのため、

単日で1日13時間勤務になったとしても、
1ヶ月間で171.4時間を超えていなければ、

それは残業にはならず、割増賃金も出ないというわけです。

 

 


1ヶ月単位の変形労働時間制に似ている。


フレックスタイム制の精算期間を1ヶ月にすると、
1ヶ月単位の変形労働時間制に似たような効果が得られます。

ただ、

変形労働時間制の場合は、

勤務シフトをあらかじめ決めて、その勤務シフト通りに勤務すると、
変形労働時間制の効果を得られるというもの。


一方、

フレックスタイム制は、

その日ごとに、勤務時間を本人の判断でコロコロと変えられますし、
残業が発生したかどうかは1ヶ月ごとに判定されます。


働く時間に対する柔軟性という点では、
フレックスタイム制の方が使いやすいです。

 


変形労働時間制のような効果があり、
始業時間終業時間本人が決められる。

また、勤務シフトを事前に決める必要がない

さらに、残業は1ヶ月単位で精算できる。


変形労働時間制の代わりに
フレックスタイム制を導入するというのもアリでしょうね。

 

ただし、始業と終業の時間が個人ごとにバラついても大丈夫な
職場でないといけませんが。

 

  

残業時間の上限は何時間まで? 36協定とは

 

 

(参考)

フレックスタイム制の適正な導入のために(東京労働局) 

 

効率的な働き方に向けてフレックスタイム制の導入 フレックスタイム制を採用するには、次の2点が要件となります(厚生労働省)

 

 

 

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