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通勤ラッシュと痴漢対策にフレックスタイム制

勝手に「一人フレックス」勤務、早朝出勤して、1時間早く退勤…やったらダメ?

始業と終業の時間が固定されていると、自分で時間をコントロールする余地が少ないため、電車が混み合う時間を避けて出勤したり、他の人よりも早く出勤することが難しいのです。

9時が始業だとすると、それに合わせて朝起きたり、電車に乗ったりと、予定を立てていきます。この始業時間に少し幅があると、起きる時間や電車に乗る時間をズラすこともできます。

例えば、始業時間を9時から11時の間で任意に選べるようにしておけば、朝の通勤ラッシュの時間帯には電車に乗らず、9時を過ぎたぐらいの電車に乗って出勤できます。最も電車が混み合うのは、朝の7時台から8時を少し過ぎたぐらいまでなので、この時間を避ければ、満員電車でムカつくこともない。9時以降になれば電車は一気にガラガラになりますから、通勤するには快適です。

痴漢されただの、そんなことはしていないだのと、スッタモンダするのも電車が混雑しているのが原因ですから、混み合う電車に乗らなければ、そういう面倒なトラブルにも遭遇しないでしょう。

痴漢対策の保険だとか、弁護士を呼べるサービスとか、「ここまでやらないといけない状況になったのか」とウンザリさせられるのですが、電車に乗る人が少ない時間帯を選べば避けられることです。

長年、通勤ラッシュについては話がされていて、どうやって解消するかとマジメに考える人もいますけれども、待っていても誰かが解決してはくれませんので、自分で対処するのが賢明です。

電車に人が乗れば乗るほど鉄道会社は収入が増えますから、鉄道会社が通勤ラッシュを解消するための取り組みをするとは期待できません。政府も、通勤交通費に対する優遇税制を拡張していますので、こちらも通勤ラッシュを解消するように動いていません。また、銀行や不動産会社は家を買わせようと熱心ですから、郊外に家を買って、満員電車で通勤する人を増やす原因になっています。

会社としても、通勤交通費は経費として処理できますので、「交通費全額支給」なんてことをしてしまう。

つまり、皆マジメに話し合っている割には通勤ラッシュを解消するように行動しないのが現状なのですね。

ならば、自衛するしかありません。



そこで便利なのがフレックスタイム制です。フレックスタイムというのは、仕事を始める時間と終わる時間に少し幅を持たせて調整できるようにする制度です。

一例として、始業時間を9時から11時に設定し、終業時間を18時から20時に設定する。この時間設定だと、朝は少し遅めに出勤して満員電車を避けられます。女性は痴漢被害に遭いにくくなりますし、男性も冤罪をこうむることなく、線路に降りて逃げることもなくなるのではないかと思います。

フレックスタイムというと、好き勝手に出勤して帰宅できるような仕組みだと誤解されるフシもありますが、本人の裁量でコントロールできるのは始業時と終業時の数時間です。

上記の例だと、9時から11時まで、さらに、18時から20時まで。この計4時間が本人でコントロールできる時間であって、11時から18時までは時間が固定されています。

11時から18時の時間帯をコアタイム。一方、本人の判断で変えられる時間をフレキシブルタイムといいます。

仕事を始める時間をもっと早くしたい場合は、6時から11時までを始業時間に設定するなんてことも可能です。人が少ない朝早くに職場に行くのもいいですし、通勤ラッシュが終わった後に出勤するのもいいでしょう。

私は好きではありませんが、サマータイム制もフレックスタイムを利用して実施できます。


このフレックスタイム制を導入するには、労使協定を締結する必要があり、その協定で対象者、フレックスタイム制が適用される期間などを決めます。そのため、個人の判断で勤務時間をフレックス化することはできません。


フレックスタイム制を導入していない状況で、遅く出勤すれば遅刻扱いになるし、決まった時間よりも早く仕事を終われば早退扱いになります。

また、雇用契約で働く時間を個別に決めているので、その通りに勤務していないとなると、雇用契約に違反します。また、契約どおりに労働を供給していないため債務不履行となります。

自分の判断で休憩を取らずに、休憩時間の分だけ早く退社する。このようなことをすると、会社が社員に法律で決まった休憩を与えていないという扱いになってしまうため、労働基準法34条違反になります。

たまに、「休憩は要りません」と言う方もいらっしゃるのですが、これは任意で辞退できるものではなくて、取らなければいけない休憩です。休憩が無ければ、その分だけ給与が増えると考えて休憩を要らないと考えるのでしょうが、そういうわけにはいかないのです。



通勤ラッシュ対策としてはフレックスタイムは有効で、電車で通勤する人が多い職場で導入すれば、望ましい効果を得られます。

とはいえ、仕事の時間に各自でバラつきがあると支障がある職場なり業種もあって、どこの職場でも導入できるものではありません。

電車で通勤する社員のみを対象にフレックスタイム制を導入するとか、片道20分以上かかって電車通勤している人を対象にするとか、労使協定で対象者に絞りをかけて上手く導入できないか探ってみるのもいいですね。

コアタイムとフレキシブルタイムの割合

フレックスタイム制度は、労働基準法32条の3で決められています。

出勤時間や退勤時間の自由度を上げて、社員さん自身で、勤務スケジュールを、ある程度決めることができるのがフレックスタイム制度の特徴です。


通常は、コアタイム(固定の勤務時間)とフレキシブルタイム(裁量で決めることができる勤務時間)を混ぜてフレックスタイム制度を運用することが多いですよね。


ただ、このコアタイムとフレキシブルタイムの混合割合については特に定めがありませんので、悩むポイントになります。


例えば、フレキシブルタイムを40%にして、コアタイムを60%として配分した場合、これはフレックスタイム制度と言えるのかどうかが分からなかったりします。


また、極端な例だと、フレキシブルタイム100%とか、コアタイム100%とかに設定したとすると、これはフレックスタイム制度と言えるのでしょうか。


コアタイムとフレキシブルタイムの混合割合をどうするのかが考えどころです。

感染症対策としてフレキシブルタイム100%のフレックスタイム制に

例えば、フレキシブルタイム100%の場合だと、これはフレックスタイム制度の趣旨に最も合致した運用方法ですから、特に支障のある方法ではありません。

「スーパーフレックスタイム制度」という名称が使われることもあるようです。

 

朝や夕方に公共交通機関が混み合いますから、人との接触をなるべく少なくするには、通勤時間をずらすのが得策です。

始業時間と終業時間が固定されていると、通勤時間も自ずと固定されてしまい、混み合う電車やバスに乗らなければならず、感染症への対策を講じる目的で、通勤ラッシュの時間帯を避けるためにフレックスタイム制を利用するところもあります。

コアタイムを設けず、全ての時間をフレックスタイムにして、通勤する時間を従業員に任せるようにして、人が多い場所を避けて移動できるようにしているのでしょう。

フレックスタイム制と住宅手当で通勤対策

通勤をやめれば、生産性は上がり、もっと幸せになれる

通勤しなくても仕事ができる。そういう業種も確かにあります。その一方で、お店なり会社に行かなければ仕事にならない。そういう業種もあります。

リモートワークやテレワーク、在宅勤務が注目を集めるものの、そういう働き方ができない業種の人は「私たちはどうすればいいの?」と思ってしまいますよね。


例えば、小売店での仕事はお店に行かなければ仕事になりませんし、飲食店での仕事も同じ。他には、ホテルでの仕事もお客さんとの接触が主な仕事ですから、これも現場に行かないと仕事にならない。



通勤をやめると言う場合、


1.通勤そのものをやめる。
2.通勤ラッシュを避けられればそれでいい。


ザックリと分けると、対処法はこの2つです。


「通勤ラッシュの時間帯に通勤するのをやめる」という意味まで含めれば、選択肢2も考えられます。


出かけるときや旅行とき、たまに電車に乗るとウキウキと楽しいものですが、毎日、ルーティンに電車に乗っていると、電車好きでも電車を嫌いになってしまう。

電車で片道40分とか60分、しかも他人と押しくらまんじゅうしながら電車に乗るわけですから、時間も労力も勿体無い。


東京の新宿、場所は中央線快速の乗り場。時間は朝の7時。

駅のホームには次から次へと人がやってきて、すぐにホームは人で一杯になる。そこにオレンジ色の電車(2003年の話なので、古いタイプの車両)がやってきて、扉が開くとドドッと人が入っていく。

朝の新宿駅は信じがたいほどの人で、私が一時期乗っていた中央線快速の混雑度はそれはそれは酷いものでした。

2分に1回ぐらいのペースで電車が駅に到着するのに、毎回、満員に。どんだけ人が多いんだと。東京は。

地方に住んでいる人にとっては、2分に1回のペースで電車が駅に来るなんて想像しにくいでしょうが、東京のラッシュタイムでは当たり前。

中央線快速に乗っていたのは半年ほどで、あまりにシンドイので乗る電車を都営新宿線に変えました。



通勤への対処法は2つあります。

1.通勤手当から住宅手当に組み替える。
2.フレックスタイム制を採用する。

この2つです。

通勤ラッシュだけを避けるならば、フレックスタイム制が対処法としては簡単です。

通勤そのものをやめなくてもいいですし、どうしても会社にいかないと仕事にならない職種にも対応できます。


選択肢1の方法は、通勤手当で出しているものを住宅手当に変更するもの。例えば、通勤手当で毎月2万円を支給しているならば、これを住宅手当で毎月2万円を支給するようにする。

さらに、職場から近いほど住宅手当が増えるようにして、電車に乗る必要が無いほど通勤時間を減らしていく。

通勤手当は電車に乗れば無くなるお金ですが、住宅手当は自分が住んでいる家に使えるので、家にいる間はずっと便益を享受できます。朝食を食べているとき、昼寝しているとき、テレビを観ているとき、寝ているとき、お風呂に入っているとき。いずれも住宅手当から便益を享受できます。

つまり、通勤手当は通勤で消えていくけれども、住宅手当は家に住んでいれば残るというわけです。



このように、通勤ラッシュに対処する方法はすでにありますが、なかなか取り組まれないのが実情です。

まず、政府。

税制で通勤交通費を優遇しています。最近では、さらに通勤交通費の枠を広げて優遇する流れまであります。地方から都市部まで、新幹線で通勤するなどと例示していますが、もう尋常な思考ではありません。

企業側も、住宅手当よりも通勤交通費の方が税金で優遇されるので、通勤手当をホイホイと支払います。


次に、鉄道会社。

電車が混み合うほど儲かるのが鉄道事業なので、通勤ラッシュは稼ぎ時です。電車に乗っているのが人間ではなくお金だと思えば、イメージが湧くはずです。

だから通勤ラッシュを解消されるのは、鉄道会社にとっては都合がよろしくない。


では、働く側の気持ちはどうか。

郊外に借金して一軒家を買ってしまうと、もう満員電車での通勤が確定します。家から離れられないため、満員電車でも通勤せざるを得なくなる。

不動産会社や銀行も、住宅ローンを組んで家を買って欲しいので、郊外に家を買うことに賛成するはずです。その結果、通勤で苦しむとしても。

住宅手当が無く、通勤手当が全額支給されるとなると、「じゃあ、離れた場所から通勤してもいいか」と考えてしまう。職場に近いところに住んでもメリットを感じられないため、郊外に住んでしまう。



通勤ラッシュは起こるべくして起こっているのであって、政府、企業、鉄道会社、乗客など、関わっている関係者が通勤ラッシュを作り出すような原因をちょっとづつお互いに生み出しているのです。

 

通勤交通費を税制で優遇するのではなく、住宅手当を優遇すれば、職住接近も難しくはないのだが、そうならないのが不思議です。

誰かが解決してくれるのを待っていても埒が明かないので、フレックスタイム制、もしくは住宅手当で対処するのが妥当な解決法です。

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