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雇用調整助成金の仕組み メリットとデメリットは?

休業の助成金

 

給与(休業手当)を肩代わりする雇用調整助成金

従業員を休ませて、休業手当を支払うと、雇用調整助成金によって、その休業手当を補助してもらうことができます。

従来だと、助成率は最大で 2/3 でしたが、新型コロナウイルス感染症による休業に対応するため、特例で助成率が90%になり、2020年4月25日の発表では、さらに100%に変更されるとのこと。

新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大について

ただし、すべてのケースで100%助成というわけではなく、60%を超過した部分(40%相当)だけ10割助成で、60%の部分は以前のように90%助成となる場合もあります。その場合は、助成率は全体で94%です。

一定の条件を満たした場合は、休業手当の全体に対して助成率100%が適用されます。

60%を超えた部分だけ100%助成

雇用調整助成金の更なる拡充について

 

3月に助成率を最大90%に引き上げ、4月にはそれを最大100%まで引き上げました。

助成率を90%にした段階で、90%にするぐらいだったら、もう100%にしてしまえばいいんじゃないか、と考えていたのですが、1ヶ月ほど経過して、助成率は100%になったというわけです。

ただし、一律に助成率が100%になったわけではなく、申請する事業所の状況によって助成率は変わります。

基本となる助成率は、中小企業だと4/5、大企業は3/4で、一定の条件を満たすと、そこから助成率が上乗せされます。条件を問わず、助成率100%というわけではありません。

雇用調整助成金 助成率確認票

雇用調整助成金の様式をダウンロードできるページに掲載されている助成率確認票を見ると、休業した時期、解雇をしたかどうか、自粛要請があったかどうか、休業手当の支給率、支給額によって助成率が変わると分かります。

雇用調整助成金の利点は、お店や会社を閉めてる間に、支払う給与を助成金で肩代わりしてくれるところにあります。

給与払わずに、休業なり自宅待機させてしまうと、従業員からすると、もう会社やお店は潰れちゃうんだろうと考えて、仕事を辞めてしまう方も出てくるでしょう。

休業手当を支払って休ませているならば、雇用契約を解除することもないでしょうが、給与も出ないのに雇用契約を維持していても、労働者にはメリットがありませんので、契約を解除して、別の仕事をすることになります。

コロナウイルスの問題が収束して、営業を再開しようとしても、従業員がいなければ再開できないません。休業手当を払わずに従業員を休ませてしまうと、使用者が自ら会社なり企業を潰すということを意味します。

 


助成率100%だからといって、休業手当の全額が助成されるとは限らない

雇用調整助成金の助成率が100%(10割)になるという発表を受けて、休業手当が全額、助成金で助成されると考えている人もいますが、それは労働者ごとに違います。

雇用調整助成金には上限額が設定されており、1日あたり8,330円まで。これを超過した分は会社が負担する必要があります。新型コロナウイルス感染症に対する特例として、1日あたりの助成額は15,000円に増額されています。

さらに、助成率100%が適用されるには、1日あたりの上限額である8,330円以上の休業手当を支払う必要があります(2020年6月中旬に成立予定の第二次補正予算に基づき、助成額の上限額が1人あたり1日15,000円に変更されました)。

※以下の文では、8,330円を15,000円と読み替えてください。

100%助成には条件がある。

もし、1日あたり5,000円なり7,000円の休業手当(8,330円未満)になる場合、以前の助成率である90%が適用されます。

すべての場面で助成率が100%となっているわけではない点には注意が必要です。

8,330円ぴったりで休業手当を支払えば、100%助成にはなりますが、そう都合よく帳尻は合わないでしょう。

この8,330円というのは、雇用保険の基本手当、言い換えると失業手当の支給額が目安となっています。

年齢によって基本手当の給付額は変わるようになっていて、その給付額が最も高くなる水準が45歳以上60歳未満の被保険者で、1日8,330円と設定されています。

雇用調整助成金を受給する際は、基本手当を受給しているのと同じだとみなして、その給付額を最大で1日8,330円に設定していると考えていいでしょう。

この上限額を引き上げるだとか無制限にするとなると、基準がなくなり、予算を組めなくなるため、政府としては上限額を廃止するわけにはいかない。

仮に1日8,330円が支給されるとして、1ヶ月の所定労働日数が20日だとすると、1ヶ月で助成金は166,600円。

毎月、月給が50万円なり80万円の人にとってみれば、月166,600円の助成金では足りないでしょう。

1日8,330円の上限額が設定されていた雇用調整助成金ですが、さらに制度が変わり、1日15,000円に上限額が引き上げられます。6月12日に成立予定の第二次補正予算に基づいて、雇用調整助成金によって補助される額が上がります。

ちなみに、1日15,000円という上限額は、従業員1人あたりでのものであって、1事業所あたりではありませんので誤解なく。

小規模な事業所では、実際に支払った休業手当を基準に助成額を計算できるようになっており、助成率100%の事業所で、従業員1人に対して1日15,000円の休業手当を支払ったとすると、その全額が助成され、事業所の負担は無しということになります。

中小企業で雇用を維持しているとの条件を満たすと、助成率が9/10から10/10に上乗せされ、さらに、平均賃金ではなく、実際に支払った休業手当の額から助成金の支給額が計算されますから、1日15,000円の範囲内だと実際に100%助成も可能になります。

 

 

 

助成率100%の小学校休業等対応助成金と同じ助成率に

小学校休業等対応助成金とは、学校や保育園が休校なり休園になって、その保護者が仕事を休むことになった場合、事業主がその人たちを特別有給休暇(法定の年次有給休暇とは別枠で設定したもの)で休ませると、その給料を助成金て補助してくれる制度です。

こちらの助成金は、創設された当初から助成率が10割に設定されています。

雇用調整助成金と同様に、1日あたりの上限額は8,330円ですが、その金額の範囲内ならば全額が助成金として支給されるものです。2020年6月12日に成立する予定の第二次補正予算で、小学校休業等対応助成金の上限額は1人あたり1日15,000円に変わります。

今回の制度変更で、雇用調整助成金の助成率が10割になりましたから、小学校休業等対応助成金と内容は同じになります。

ただし、先程書いたように、雇用調整助成金で助成率100%を適用させるには、1日8,330円以上の休業手当を支給する必要があります。

ですから、職場によっては、小学校休業等対応助成金を利用しても、雇用調整助成金を利用しても、助成金の額が同じになる場合があります。

増額後の上限額は15,000円ですから、1日15,000円以下の賃金で働く方だと、特別有給休暇の賃金は、小学校休業等対応助成金で全額が補填されます。

ただ、「子供を持つ人は休めるのに、子供がいない人は休めない」という課題がありますから、休む人は特別有給休暇で対応するとして、一方で、出勤している人には給与を加算する、もしくは手当を上乗せして、休んでいる人の分だけ仕事が増えたことに対するフォローが必要です。

「出勤している自分たちには何もない」と思わせるのはダメです。

助成金が出るため、それを原資にして、休まず出勤している人にインセンティブを用意していく必要があります。

 

 

休業手当を100%で支払ったら、年次有給休暇の義務日数に含めていいのか

年間で年次有給休暇を5日以上取得するよう義務化されていますが、雇用調整助成金を申請するために、休業手当を100%の支給率で支払い、従業員を休業させた場合、この休業日は義務となっている年5日の年次有給休暇の日数に含めてよいものかどうか。

つまり、休業手当が100%の支給率で支払われるならば、年次有給休暇を取ったのと同じになると考え、休業した日を年次有給休暇を取った日とみなすのはどうか、という疑問です。

休業と年次有給休暇は違うものなので、100%支給の休業手当を受け取って休んでいる日であっても、年5日の年次有給休暇の枠には計上しません。

よって、休業した日を年次有給休暇を取った日とみなすことはできず、年5日分の日数には含まれません。

給与が出て休んでいるため、休業日と年次有給休暇が似ていると感じますから、年次有給休暇の義務日数に計上できるのではないか、と思えてしまうところ。

両者は似てはいますが、休業した日と年次有給休暇を取った日は別物ですので、年次有給休暇の義務日数の中に休業日を含めることはできないのです。

 

 

 

休業手当を受け取って休業している間に、職場外で副業やバイトをしても大丈夫?

自分が働いている職場なり会社が休業になって、休業手当が支給されている状況で、その休業手当を受け取りながら休んでいる。これが休業なのですけれども、休業中に仕事をしていない状況で、暇だから副業なりバイトなりをして別の収入を得たらどうなるのか。

連日連夜、寝転がってスマホを弄くり回しているわけにもいかないですし、数日で飽きます。

職場から休業手当が支給されていて、さらに副業やバイト、自営業などから収入を得ているとなると、実態としては二重に収入を得ているような状態になります。これが許されるのかどうかが気になるところ。雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金が不支給になったら困りますからね。

休業手当を受け取っているとなると、会社員の身分として働いているわけです。一方で、副業やバイト、自営業というのは、個人事業主のような形で働いているわけです。

となると、会社員の身分と個人事業主の身分は別々ですから、会社から休業手当を受け取りつつ、個人事業主として収入を得ているとなれば、それぞれの収入は別々であって、お互いに影響しないという解釈もできます。所得税でも、給与所得と事業所得は別物ですから。 

雇用調整助成金は、事業所で休業が実施されて、従業員に休業手当を支払い、その人たちを休ませているならば支給されるものですから、その事業所の従業員は別のところで働くなり、個人事業主として副業したとしても、助成金の支給には影響がありません。制度上は。

職場以外で副業やバイトをしてるかどうかをどのようにして正確に把握するのかというのは、長い間問題になっていて、従業員本人の自己申告に依存しているのが実態です。

従業員本人が休みの日に何をしているか、特に申告や報告、届出をしていなければ、事業所としては副業やバイトの実態を把握することはありません。

お互いに知らないふりをしているというような職場もあるのでは。

休業している日に副業やバイトで収入を得たからといって、雇用調整助成金が不支給になるというような条件はありません。厚生労働省のウェブサイトを見ても、副業すると助成金が減額や不支給になるとは書かれていません。

自分が働いてる事業所が休業になって、休業手当を受け取りながら休んでいる、という形になっていれば、助成金は支給されます。当然ですが、その事業所で実際に出勤しているにも関わらず、休業しているかのように装って助成金を申請するのはもちろん不正ですけれども、その事業所では休業しているということが確かであるならば、助成金は支給されます。

よって、雇用調整助成金が支給されるかどうかは、職場外で副業やバイトをしてるかどうかは関連しないのです。

休業手当を受け取りながら、さらに副業で収入を得るという部分に対して、物議を醸すところかもしれませんが、雇用調整助成金では、休業中に他の仕事をして収入を得ることに対して制限を課していないのです。

副業先の労働時間でもそうですが、労働者が自主的に雇用先の労働時間を申告してくれないと把握できないのが現実です。

ですから、休業中に副業やバイトで他の仕事をしていたとしても、労働者本人が自主的に申告してくれないと、事業所としてはそれを把握しようがありません。

事業所としても、自分のところの職場のことだけを処理して、それ以外のことには関わらない方が面倒な手続きが増えません。労働者としても、副業のことを職場に知らせたいと積極的には思わないでしょうから、両者の利害は一致しています。

副業の実態を把握しようとする試みないし制度の変更がされつつありますけれども、副業している本人の自己申告に依存しているという時点で、うまくいかないのは明らかです。

 

 

休業中に他の会社で働いたり副業しても雇用調整助成金の対象になる

副業つまりダブルワークをしている人が休業したとして、片方の会社では休業で休んで休業手当を支払われているけれども、もう片方の仕事の方では通常通りに働いている。そういう状況で、雇用調整助成金は支給されるのかどうか。

先に結論から書くと、ダブルワークをしている労働者であっても、雇用調整助成金の支給対象にできます。厚生労働省の Web サイトに掲載されている雇用調整助成金FAQ(令和3年10月27日現在版) のページにダブルワークする人も雇用調整助成金の対象にできる点について書かれています。設問番号4−18、4−19、4−20が該当箇所です。

休業中に他の職場で働いたり、自営業で働いたりしても、雇用調整助成金が不支給にならないというわけです。 

例えば、会社Aと会社B、この2つの職場で働いてる人がいるとして、会社名 A の方では1日8時間勤務している。一方、会社 B ではパートタイムで働き、1日4時間ぐらいの勤務時間で、1週間あたり15時間とか18時間ぐらいで働いているとしましょう。

この条件で、会社 A で休業になり、1日8時間の勤務がなくなって、休業手当が支払われている状況になったとしましょう。一方、会社 B での仕事は、以前と変わりなく行われていて、勤務時間も以前と同じ時間数で働いているとしたらどうなるか。

なお、会社Aの方で休業手当が出ていますから、こちらの方で雇用調整助成金も支給されています。

会社Bでは以前の通りに働いているのですけれども、会社Aでの休業の状況や雇用調整助成金の支給については支障がなく、会社Aで休業しているにも関わらず、会社 B で働いていますが、雇用調整助成金は支給されます。 片方の会社では休業しつつ、もう片方の会社では通常通りの仕事をしている。休業の判定は会社ごとにされており、他の環境での就業状況は影響しないのです。

休業して会社から休業手当を支払われている状況であったとしても、家でぼーっとしている必要はなくて、会社での仕事は休業になってるけれども、別の職場で働いてみるとか、自分自身で自営業で商売をしてみるとか、こういったことは許されているわけです。これで雇用調整助成金の不正受給にはなりません。

会社の就業規則で、他の職場で働いてはいけない、みたいな形で制限をかけられているところもあるかもしれませんが、そういう制限は特にない職場で働いているならば、休業中にじっとしておくのではなくて、他に自分が考えた仕事をしていけば、有意義に時間を使えますよね。

 

 

 

【1日15,000円に増額】給与が1日8,330円以下の従業員を休ませる手段

パートタイムで働いている人は、1日あたりの所定労働時間が4時間なり6時間で、フルタイム労働者に比べて労働時間が少なめです。

そのため、1日あたりの給与も8,330円を超える人は多くないはず。

仮に時給1,500円で6時間働いたとすれば9,000円。この人を休業させて、休業手当を9,000円払ったとすると、助成率は100%になり、助成金が上限の8,330円支給されるわけですから、会社の負担は670円で済みます。

東京都の地域別最低賃金は、2019年10月以降は1,013円。 パートタイム労働者の時間給は、最低賃金に近い水準だと考えて、時給1,100円だとすれば、6時間勤務で6,600円、7時間勤務でも7,700円。

1日8,330円を超えておらず、この場合は休業手当を満額支払ったとしても、助成率は90%なので、全額が雇用調整助成金として支給されるわけではありません。

一方で、1日の給料が3万円になる人がいたとしたら、その人を休業させて、休業手当を満額支払うと3万円。雇用調整助成金を受給した場合は、上限額が8,330円なので、残りの21,670円 は会社負担となります。

パートタイムで働く従業員(学生も含む)を休業させる際には、雇用調整助成金は有利な制度です。

助成率が最大で100%になっており(休業手当が1日8,330円以上でなければ最大90%)、1日あたりの上限が8,330円ですから、休業中の給料をほぼ助成金で肩代わりしてもらうことが可能です。

ですから、わざわざ無休で自宅待機させる必要はないですし、店を閉めてる間は、いつも通り働いているとみなして給料を払って、助成金を受給すればいいわけです。

ただ、問題となるのは給料水準が高い人です。

先ほど書いたように、フルタイムで1日働いて、給料が3万円に達するような人だと、雇用調整助成金だけでは基本手当の全額をカバーできませんから、足りない分は会社負担となります。

 

 

 

(2020年5月26日 追記)上限額が8,330円から15,000円に

 助成額の上限額が1日あたり8,330円になっていた雇用調整助成金ですが、15,000円に上限額が変更されます。

いつから変更されるかが気になるところですが、6月12日に成立予定の第二次補正予算が通れば、6月から実施されるでしょう。過去の期間にさかのぼって15,000円に変更して追加分を支給するのか、6月分の休業から1日15,000円が上限額になるのか、この点も後日判明するはずです。

上限額を超過した分は事業主が負担しなければいけないため、給与額が高い人を休業させると、助成金でカバーできない金額が発生します。

15,000円に上限額が引き上げられると、仮に助成率80%だとして、1日の給与が18,750円の人を休業させた場合、15,000円が助成金の額となります。

事業主が負担する額を減らせるため、会社のキャッシュの減りを遅くできるのが利点です。ただ、先に事業主が休業手当を立て替える必要があり、そのための現金を持っているかどうか。この点が助成金を利用できるかどうかの分かれ目です。

小学校休業等対応助成金も上限額が15,000円に引き上げられています。

雇用調整助成金の特例期間は、2020年6月30日まででしたが、小学校休業等対応助成金と同様に、9月30日まで延長されます。9月30日までの休業がコロナ特例の雇用調整助成金による対象になります。

特例でコロコロと制度が変わっていく雇用調整助成金ですから、受付窓口に周知されるまで時間がかかり、適用されるはずの特例が適用されないというケースも起こり得ます。

 

 

 

(2020年6月12日 追記)雇用調整助成金をさらに拡張。上限額が15,000円に。助成率も引き上げで、過去に遡って差分の助成金を支給へ

2020年6月12日より、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金が更に拡張され、1日あたりの助成額の上限が8,330円から15,000円に変わりました。

雇用調整助成金の助成額の上限額を引き上げ

休業手当が1日8,330円を超過していた場合に、超過分を会社が支払っていたのですが、この金額が15,000円に変わり、超過額が発生しにくくなるため、手元現金の減少を遅らせることができるようになります。

なお、この上限額は、中小企業のみならず大企業にも同じように適用され、どちらも15,000円になります。また、解雇等を行っている事業所であっても、上限額は15,000円に変わります。上限額の引き上げは、条件を付けず、全ての事業所が対象となっています。

中小企業で、解雇等を実施しておらず雇用を維持している場合の助成率は90%から一律100%に変更されました。なお、解雇等を実施した場合は90%ですから、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金の中小企業向けの助成率は、100%と90%の2種類に集約され、さらに分かりやすくなっています。

以前の制度だと、60%を超過した休業手当の部分に対しては助成率100%で、それ未満の休業手当は助成率90%というように、分かりにくい仕組みになっていました(上記の助成率確認票を参照)。6月12日の変更により、中小企業の助成率は90%か100%のどちらかになり、雇用を維持していれば100%で、その条件を満たさなければ90%と、二者択一でシンプルになりました。

小規模事業所では、実際に支払った休業手当を基準に助成金を支給する方式になっており、1日15,000円までの休業手当ならば全額が助成されるケースもあります。

仮に、雇用している従業員に1日15,000円の休業手当を支払ったとして、その事業所が小規模事業所だとして、解雇等をしていなければ、雇用調整助成金の助成率は100%ですから、支給される助成金は15,000円になります。この場合、休業手当と助成金が相殺され、事業所の負担はありません。

助成額の上限が15,000円に引き上げられ、中小企業向けの助成率は100%になり、さらにこの内容は2020年4月1日に遡って適用されます。ここは重要ポイントです。6月12日以降の休業が対象になるだけでなく、4月1日からの休業も対象にできます。

つまり、4月1日以降の期間を対象として受給した雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を再計算し、新しい特例との差分を追加で支給するというわけです。例えば、以前に支払った休業手当は1日13,000円だったものの、上限額が8,330円であるため、上限を超えた部分は事業所が負担していましたが、上限額が15,000円に変わり、差額分の4,670円が追加で助成金として支給される、というのが今回の変更点です。

なお、この差分の助成金を受給するために追加での申請手続きは不要で、労働局側で計算し、助成金を受け取る銀行口座に振り込まれます。

助成金の額が1日8,330円を超過していた従業員がいる事業所だと、6月以降に追加分が支給されるというわけです。

さらに、過去に遡って、休業手当の額を増額した場合(例えば、当時は休業手当の支給率を60%にしていたが、それを100%に変更して増加分を支払うケース)は、その増加分に対して助成金が支給されます。増加分に対する助成金については、追加での申請(再申請書や支給決定通知書の写し、増額した休業手当の額が分かる書類などを用意します)が必要です。言い換えると、「後出しジャンケン」を認める仕組みになっているわけです。

雇用調整助成金の再申請様式ダウンロード (新型コロナウイルス感染症対策特例措置用)

ただし、4月1日以降、休業手当を支払っておらず、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を申請していない事業所は、遡って休業手当を支払ったとしても再申請の対象になりません。4月1日以降の期間に対して助成金の支給決定を受けているのが再申請の条件になっていますので、休業手当を支払っていなかった事業所が再申請することはできません(そもそも申請していないですから、再申請というのも変ですからね)。

手続きが必要なのは、4月1日に遡って、休業手当を修正して、増額した事業所です。手続き上は「再申請」という名称になっていますが、イメージとしては「修正申請」と表現してもいいかと思います。

一例として、4月分と5月分の休業手当の支給率は60%だったが、6月中旬に、先の2ヶ月分の休業手当を支給率100%に変更し、増加分の40ポイント分を6月にまとめて支払った。この場合だと、6月に増加分の再申請書を作成し労働局に提出すれば、助成金が追加で支給されます。4月分と5月分は再申請書で手続きし、6月分の休業は通常の支給申請書で手続きしますから、これらの書類をまとめて1回で提出すれば手間を少なくできます。

以前から100%の支給率で休業手当を支払っていた事業所は、手続き無しで差分が4月1日に遡って支給されます。一方、60%なり80%など、休業手当の支給率が100%ではなかった事業所が、4月1日に遡ってその支給率を100%に修正した場合は、増加分を再申請する手続きが必要になりますのでお忘れなく。

なお、増額支給の制度変更は、雇用保険に加入している従業員を対象とする雇用調整助成金だけでなく、雇用保険に入っていない従業員を休業させた場合に対象となる緊急雇用安定助成金も同じように適用されます。

 

 

 

(2020年8月25日 追記)雇用調整助成金の特例期間を2020年12月末まで延長。助成の上限額は1日15,000円、助成率100%で年末まで継続

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

特例期間は2020年9月末まで延長されていましたが、さらに延長することが決まり、2020年12月末まで特例の内容で雇用調整助成金を利用できます。

休業して、会社が従業員に休業手当を支払い、その後から雇用調整助成金でその費用が補填されますので、立て替える資金は必要であるものの、会社にはほぼ金銭的負担はありません。右から左にお金を流していくようなものですから。

100%未満の支給率で雇用調整助成金を受給した事業所であっても、遡って差額を支給する特例も継続中ですから、忘れないように利用したいところです。

申請期限も、6月30日までの休業に対する雇用調整助成金の申請は、9月30日までに延長されています。原則は、判定基礎機関の末日の翌日から2ヶ月以内に申請手続きを済ませる必要があるのですが、1月24日から6月30日までの期間に対応する雇用調整助成金を申請する場合は、申請期限に余裕が設けられていて、原則の期限である2ヶ月を超えていても、後から申請できるようになっています。

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https://www.mhlw.go.jp/stf/enchou200911_00002.html より引用。

2020年1月24日から6月30日までに判定基礎期間の初日がある休業(雇用保険に加入していない人を対象とする緊急雇用安定助成金は、2020年4月1日から6月30日までの休業)ならば、申請する日から数ヶ月前の休業であっても、9月末まで雇用調整助成金の申請を受け付け可能になりますから、過去の休業であっても遡って手続きできるようになります。

時間に余裕があるからと手続きを先送りせずに、給与を締めた後、速やかに手続きするといいでしょう。申請手続きが早ければ助成金の支給も早くなりますから。

なお、助成額1日15,000円、助成率100%の特例が適用されるのは、2020年4月から12月までです。他方、遡って申請できるのは、2020年1月24日から6月30日までに判定基礎期間の初日がある休業です。そのため、1月から3月までの休業は特例の適用外となります(従来の内容での雇用調整助成金になる)。「特例の期間」と「遡って申請できる期間」は別です。

 

 

(2020年11月27日 追記)雇用調整助成金の特例期間を2021年2月末までさらに延長。助成の上限額は1日15,000円、助成率100%、2021年2月末まで継続

雇用調整助成金の特例対応が2020年12月末まで延長されていましたが、新型コロナウイルス感染症が再度拡大し、特例期間がさらに延長されることになりました。2021年2月までの休業に対しては、雇用調整助成金の特例措置が適用され、休業手当の大半が助成金で補助されます。

休業手当を助成金で肩代わりするのが雇用調整助成金ですが、営業を自粛するよう要請しなければ、通常通りに営業でき、助成金を支給する必要もありません。しかし、感染が拡大している、営業時間を短縮して、お店を休業してと求めてしまうと、その補填として雇用調整助成金のような制度を設けなければいけなくなってしまいます。

「withコロナ」という言葉の通り、感染対策をしながら普段どおりの生活や商売を続けていく必要があり、ブレーキを踏むか、アクセルを踏むかの二択ではなく、ウイルスを受け入れながら人間は生きていく段階なのだろうと思います。

 

 

(2021年4月6日 追記)雇用調整助成金の特例期間を2021年4月末まで延長

雇用調整助成金の特例対応がまた延長されています。感染状況に応じて延長していますが、2021年3月からまた陽性者数が増えたため、特例期間が延びています。

雇用調整助成金は、会社が休業手当を出して、その費用を肩代わりする、という形で支給されている助成金です。

ですから、従業員本人が雇用調整助成金を直接に申請することはできません。会社が全部取りまとめて、助成金を申請するという形になっています。

会社から休業手当が支給されない場合は、休業者給付金が用意されていて、こちらは従業員本人が直接に支給申請ができる制度です。

雇用調整助成金を受け取るということは、休業手当が支給されていて、対象の従業員は休業している状態ですから、お店や会社が営業していない状態です。従業員全員が一斉に休業する必要はなくて、例えば、売上が通常時に比べて50%まで少なくなっているとすれば、従業員の数も50%で足りるはずです。単純に考えれば。

ならば、出勤する従業員を50%にして、残り半分の従業員は休業にする、というような調整の仕方もあります。今月は半分の人が出勤して、来月は休業した人と出勤していた人が交代する。2ヶ月ごとに半分ずつ従業員が出勤したり休業したりという形で、交代で出勤と休業を繰り返すようにして、雇用調整助成金を利用します。

現状でどれぐらいの売上規模なのか、どれぐらいの従業員が必要なのかに応じて、出勤する人と休業する人を調整していく。このような助成金の使い方も可能です。

短時間休業でも雇用調整助成金を利用できますので、例えば、普段は1日8時間勤務のところ1日4時間勤務にして、残りの4時間は短時間休業という形で助成金を利用するのも一案です。

 

 

(2021年4月9日 追記)まん延防止等重点措置を受けている地域では、雇用調整助成金の特例期間を2021年6月30日まで延長

毎月のように特例の延長や制度の変更がある雇用調整助成金ですが、まん延防止等重点措置を適用されている地域では、雇用調整助成金の特例期間が2021年6月30日まで延長されます。措置が適用されていない地域での特例は、2021年4月30日で終わる予定ですが、まん延防止等重点措置を適用されていると雇用調整助成金の特例期間は6月30日までに変わります。

解雇などを実施していなければ、助成率が10/10 になり、助成の上限額の範囲内ならば、休業手当を助成金で全額補填できます。

2021年5月1日以降に休業を実施して、雇用調整助成金を支給申請するときの申請書の様式が変更されています。

雇用調整助成金の申請書類

雇用調整助成金の特例措置は、もう何度も延長されていますけれども、1日あたりの支給上限額が、以前は15000円でしたが、5月以降に休業する場合は1日当たり13500円に変更されています。助成金の規模を縮小していく段階に入っているんですね。ただし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が適用されている地域は、以前の上限額である1日あたり15000円が適用されるようになっています。

先に休業手当を支払っておいて、後から助成金を申請しますから、一時的に手元の資金が減るのですけれども、あとからほぼ全額の補填がされるのが雇用調整助成金です。

人件費の部分は雇用調整助成金で対応できるかもしれませんが、それ以外の部分で、お店や会社を休業にしていても費用はかかりますから、その費用に耐えられるかどうか。

 

 

社会保険料の納付を猶予する申請も助成金と一緒に

※2021年5月時点で、納付猶予特例制度は終了しています。

現金がなくなれば会社は潰れますので、入ってくる現金が減っているならば、なるべく現金が減らないようにする必要があります。

雇用調整助成金は、人件費を肩代わりして、会社のお金が減っていく速度を遅くしてくれます。さらに、健康保険料と厚生年金保険料の納付を猶予する特例を利用すれば、毎月発生する社会保険料の負担を繰り延べできます。

適用条件は、前年同月比での売上数字で20%以上減少している必要があり、比較対象の月は、任意の月から選択したもので計算できます。

雇用調整助成金は5%以上の減少が条件で、社会保険料の猶予では20%以上の減少ですから、ややハードルが高いものの、任意で選んだ月と前年同月比で判定できますから、緊急事態宣言が出ていた2020年4月か5月の数字を利用すれば、適用対象になりやすいかと思います。

雇用調整助成金の窓口は労働局で、社会保険料の猶予申請は年金事務所で窓口は違いますが、どちらの制度も会社の手元現金を保つのに有効な手段です。

助成金と違い、社会保険料の猶予は毎月申請する必要はなく、1度の申請で済ませることができますから、雇用調整助成金なり緊急雇用安定助成金の初回申請と一緒に、社会保険料の猶予申請も行ってしまうと良いのではないでしょうか。

 2020年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する社会保険料が猶予の対象となりますから、毎月の社会保険料を翌月に納付するものと考えると、2020年1月分から12月分までが猶予されることになります。

猶予の対象となる社会保険料の期間は2020年12月分までで、猶予の申請期限は2021年2月26日です。2021年1月分以降は対象ではありませんので注意。

労働保険料は少額ですから、仮に支払ったとしても負担感は比較的小さいですが、社会保険料は税金に準じるほどの金額になります。また、年に1回、標準報酬月額が算定されたあとは保険料が固定されます。

そのため、会社から出ていく現金も多くなりますから、1年間、延滞料無しで先送りできるとなれば、実質的に無利息で融資を受けているのと同じ効果を得られます。

 

 

 

労働保険料の年度更新と社会保険料の算定基礎届も延長される?

6月1日から7月10日までの間に、労災保険と雇用保険、つまり労働保険の年度更新をする手続きが毎年あります。また、社会保険でも、1年間の社会保険料を決めるための算定基礎届を作成して出す手続きも同時期に実施します。

以前は、労働保険と社会保険で手続きの時期がズレていたのですが、年度更新と算定基礎届の手続き時期が揃えられ、まとめて手続きできるようになっています。

新型コロナウイルスの影響で、労働保険の年度更新時期が延長され、7月10日までのところ8月31日まで手続き期間が延長されています。

令和2年度労働保険の年度更新に係るお知らせ

さらに、労働保険料の納付を猶予する特例も実施されており、納付を1年間猶予する申請も可能で、この申請も2020年の8月31日までに済ませる必要があります。年度更新手続きと一緒に納付猶予の申請も済ませれば手続きを1回で終わります。

一方、社会保険の算定基礎届の申請期限は7月10日で変わりないのですが、こちらも新型コロナウイルスを理由に、期限後の提出が可能になっています。

算定基礎届を出す段階では現金は出ていきませんので、早く手続きしても延長しても現金の増減には影響しません。

4月、5月、6月の報酬を基準に、標準報酬月額が決まり、社会保険料も決まるのですが、今回は新型コロナウイルスで休んでいた期間がありますから、9月以降の社会保険料が下がる方も出てくるのではないかと思います。

なお、休業手当を100%の支給率で受け取っていた方は、社会保険料が変わらないままになる可能性があります。

 

 

雇用調整助成金を受け取るのをやめて、営業をいつ再開するか

休業手当を政府が代わりに支払ってくれる雇用調整助成金。休業中は休業手当を支払う必要がありますし、それを助成金で補填してくれるのは確かに助かります。

しかし、雇用調整助成金を受け取るということは、休業の対象者は出勤せずに休んでいる状態ですし、おそらくお店なり会社も営業を停止なり縮小しています。

雇用調整助成金を受取るには休業していないといけませんし、営業を再開すれば助成金は出なくなります。となると、どの段階で営業を再開するかが悩みどころです。

営業を再開すれば助成金が入ってこなくなりますから、営業から収益を得ていくことになります。一方、助成金を受け取り続けると、営業せずに休んだままになりますから、いつまでも営業を再開できないなんてことにもなりかねません。

どのタイミングで、雇用調整助成金を受給するのをやめて、元の営業状態に戻していくかを経営者は考えなければいけなくなります。助成金を受け取っているだけでは商売が拡大発展していくことはありませんから。

 

 

(2021年6月29日 追記)雇用調整助成金の特例措置 2021年7月31日まで延長

雇用調整助成金の原則的な内容が、どんなものだったか分からなくなるほど特例措置が延長されていますね。

緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金のお知らせ

雇用調整助成金は、給与となる休業手当を肩代わりしてくれる助成金です。この雇用調整助成金で休業手当の支払いは肩代わりしてもらえているので、雇用契約をそのまま維持しても、事業主は人件費をほぼ負担することなく、会社を存続できます。社会保険料の事業主分は負担が必要ですが。

助成金を受け取っている間は、従業員を休業させている状態ですから、営業できてないわけです。休業手当に必要な費用を助成金で補填してくれているといえども、その間は売り上げが上がらないわけですから、いつかは雇用調整助成金を使うのをやめて、営業を再開していかなければいけないのです。

しかし、長い間、この助成金を使っていると、どのタイミングで助成金を使うのをやめて、営業を再開するか。時間が長くなれば長くなるほど、これを考えるのは難しくなってくるのが難点です。

雇用調整助成金ではなく、休業支援金や雇用保険からの給付で、働いている人たちに直接に給付することで支援していく形にすれば、会社は雇用契約を解除できますし、休業手当を支払う必要もありません。店を閉めたまま、ズルズルと長い時間を経過することもないでしょう。さらに、会社が休業手当を払ってくれない、雇用調整助成金を利用してくれない、というトラブルも起こりません。

雇用調整助成金だと、会社を経由して、休業手当を払い、雇用調整助成金を申請して、間接的に働く人たちの給料を払っていく制度になりますから、時間と手間がかかります。雇用契約を維持することを目的とした助成金ですから。

雇用調整助成金で労働者を抱えたまま雇用契約を解除しないのは、良いのかどうか。仕事もなく、休んでいるのに、給料だけは出るような状態が人間にとっていいのかどうか。

働かずに給与が出るなら、その方が良いじゃないかと思ってしまうのが普通の人間です。

店や会社を閉めて、助成金や給付金、協力金を受け取っているだけでは仕事や商売にはなりませんから、雇用調整助成金を止めるタイミングをそろそろ探し始める時期に来ているのではないかと。

 

 

(2021年9月30日 追記)雇用調整助成金の特例措置 2021年12月31日まで延長

雇用調整助成金の特例延長ですが、2021年の春頃には、7月末までで特例を終わるといい、夏になると11月末まで延長するとなり、さらに秋になると、年末まで延長しちゃう、という流れで、もう一体、特例期間を何度延長してきたのかが分かりにくくなっていますね。

休業中に支払った休業手当を補填してくれるのが雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金ですけれども、休業しているということは営業していないわけですから、休業手当が助成金で補助されるのはいいとしても、営業しなければ売り上げは出てきません。ですから、休業手当をずっと払い続けて営業せずに会社やお店を延命するというわけにはいかないわけです。

商売である以上、いつかは休業を終了して、通常の営業を開始し、売上を上げていかないと、休業手当を払って、助成金を受け取って、と続けていては一体何のための商売なのかわからなくなります。休業するために会社やお店を作ったわけではありませんから。

営業を始めれば、休業は終わり、助成金も受給できなくなりますけれども、営業しながら助成金を同時に受け取るわけにはいきませんから。

全員が一斉に休業する必要はなくて、例えば、従業員が100人いたとしたら、30人は出勤して働いてもらって、残りの70人は休業してもらい、その人たちには休業手当を払い、助成金も利用する。このように出勤と休業を混ぜていくことも可能です、

どれぐらいの規模で営業できるのか、コロナ前の売り上げを100として、緊急事態宣言やまん延防止等措置が解除されることで、どれぐらいの売上が立つのかによって、休業を解除する人たちの割合の調整していくと良いでしょう。

仮に、営業を再開して、売り上げがコロナ前の30%で出るとするならば、出勤する人員も30%で足りる、ということになります。数字の上では。実際の現場では、売上数字と人事予算とのすり合わせで決めていくでしょうね。

営業を再開してどれぐらいの数字が上がってくるのかに合わせて、出勤する人たちの割合と休業する人たちの割合を調整していく必要があるでしょう。

仕事を休んでも、休業手当で給与を受け取れるのですから、出勤するよりも休業する方が得だと感じるのが従業員の本音です。働かずに給与が出るほうがいいですからね。

ですから、特定の人たちがずっと休業するのではなく、一方で、特定の人たちがずっと出勤するわけでもないように勤務シフトを作らなければいけません。

上記のように、コロナ前と比べて30%の数字が上がってくるならば、残りの70%は休業で休みますから、雇用契約に基づいて週5日で従業員の人たちが出勤していたとするならば、そのうちの7割を休業にすればいいということに。

となると、週5日出勤のうち2日は出勤して、残りの3日は休業のままでしばらく維持する。この勤務シフトならば、全員が交代で出勤し、交代で休業することができます。また、半日出勤を入れて、週1.5日出勤にすれば、休業割合をキッチリ70%にできます。

営業再開によって上がってくる数字に合わせて、出勤する人と休業する人の割合を徐々に変えて、通常営業に戻していく。このように雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を利用していくのと良いですね。

 

 

最低賃金を引き上げて雇用調整助成金の休業規模要件緩和を利用する

2021年10月1日から最低賃金が引き上げられました。最低賃金の引き上げを促進するため、事業場内最低賃金を地域別最低賃金よりも一定以上引き上げると、雇用調整助成金の休業規模要件が緩和されます。


最低賃金を引き上げた中小企業における 雇用調整助成金等の要件緩和について

雇用調整助成金を受給するには、休業規模要件が設定されており、1ヶ月あたり1/40以上の休業を実施する必要があります。事業場内最低賃金を地域別最低賃金よりも一定以上高い水準まで引き上げている事業所は、この休業規模要件を問わずに雇用調整助成金が支給されるよう要件が緩和されています。

休業する人数が少ない事業所では休業規模要件を満たせずに助成金を利用できないところもあるでしょうが、最低賃金引き上げによる要件緩和を利用すれば、そのような事業所でも助成金を受給できます。

対象となる休業期間は2021年10月から12月までの3ヶ月間ですから、期間としては短いものの、最低賃金を引き上げつつ、小規模な休業を実施する事業所ならば、この制度を利用できるでしょう。

ここで最低賃金が2種類出てきています。まず地域別最低賃金があり、それとは別に事業場内最低賃金があります。では、それぞれの違いは何なのか。

まず地域別最低賃金は、政府が都道府県ごとに決める最低賃金で、厚生労働省のウェブサイトに公開されています。


地域別最低賃金の全国一覧

ほぼ毎年、10月になると改定されるのが地域別最低賃金です。2020年は小幅な改定でしたが、2021年は例年通りに近い改定幅になっています。

時間給で働く人だけでなく、日給、月給という形で給与を支払われる人も1時間あたりの賃金がこの地域別最低賃金を下回らないように支払う必要があります。

一方、事業場内最低賃金は、会社ごとに決める最低賃金で、政府が決める地域別最低賃金とは違うものです。決め方は事業所ごとに違いがありますが、就業規則に賃金に関する項目を作って、そこで事業場内最低賃金を決めておき、それを従業員の人に適用します。

ですから、地域別最低賃金よりも事業場内最低賃金の方が高くなる傾向があります。 

 

最低賃金の引き上げで雇用調整助成金の要件緩和を適用させるには、地域別最低賃金からさらに30円以上引き上げた水準に事業場内最低賃金を設定する必要があります。

例えば、地域別最低賃金が900円だとすると、事業場内の最低賃金を少なくとも930円以上にする必要があるわけです。

ただし、この要件緩和の対象になるには、「事業場内最低賃金と地域別最低賃金との差が30円未満の場合に限る」と書いていて、少し分かりにくいところです。

地域別最低賃金が900円ならば、その数字と事業場内最低賃金との差は30円未満でなければいけませんから、その水準から30円未満となると、929円までの事業場内最低賃金であるならば、要件緩和の対象になります。

最低賃金が2つ入り込んでいるのが分かりにくくなっている原因です。

929円が事業場内最低賃金として定められているなら、これを30円以上引き上げる必要がありますから、少なくとも959円以上の事業場内最低賃金にする必要があります。

10月に引き上げられた地域別最低賃金をさらに上回る事業場内最低賃金を設定している。そういう会社に対しては助成金で優遇していこう、というのがこの要件緩和の目的です。

業況特例または地域特例の対象となっている中小企業が対象ですが、2021年の9月末で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は解除されていますから、地域特例の対象になる中小企業はありません。

ちなみに、雇用調整助成金の地域特例とは、「緊急事態宣言対象区域において、特定都道府県知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主」、「まん延防止等重点措置を実施すべき区域において、都道府県知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主」を対象とするものです、

業況特例(売上高等の生産指標が最近3か月平均で前年又は前々年同期に比べ30%以上減少している全国の事業主)の対象となる中小企業で、最低賃金を地域別のものよりも事業場内の方が高くなるように引き上げると、2021年の10月11月12月の3ヶ月間、休業規模要件が緩和され、小規模な休業でも助成金を利用できます。 

原則の要件だと雇用調整助成金の対象にならない小規模な休業を実施する事業所でも、この最低賃金引き上げによる要件緩和を利用すれば、助成金を受給できる可能性があるでしょう。10月から営業再開して休業する人数を減らしている事業所ならば、この要件緩和の対象になるのでは。 

 

(2022年4月12日 追記)雇用調整助成金の特例期間が2022年6月30日まで延長

雇用調整助成金の特例期間は延長され続けていますが、2022年6月30日まで特例期間として扱われています。

令和4年6月までの雇用調整助成金の特例措置等について

休業手当を助成金で補填するのが雇用調整助成金ですから、一般的なイメージの助成金とは違うのではないかと。助成金を受け取ると会社にお金が残ると考えている方もいるかもしれませんが、雇用調整助成金は従業員に支払った休業手当を助成金で賄うもので、右から出たお金(休業手当)を左から補給(雇用調整助成金)するようなものです。

人件費と相殺する助成金で、手元にお金が残るものではありません。

休業手当が出ないならば従業員は退職してしまいますから、人を引き止めるための助成金と言ってもいいのではないかと。

 

ウンザリする給与計算の作業をラクにしてくれる給与計算ソフトとは?
毎月1回は給料を計算して支給しなければいけませんから、年に換算すると12回も給与を計算する作業をやらなければいけません。そういう面倒な作業をなるべく楽に済ませておきたいのが本音ではないでしょうか。

厚生年金保険料の上限がアップ 影響するのは高収入の被保険者

上限変更

 

 

2020年9月から厚生年金保険料の上限額が変わります。

 

厚生年金の保険料はどのように決まるのか

毎月の収入に連動して、労働保険料(労災保険料、雇用保険料)や社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)は決まる、と思われているフシがあります。

労働保険料は実際の賃金額に連動して算出されるものですが、社会保険料は、年に1回、保険料を決定する手続き(社会保険料の定時決定)があり、その手続きが済むと、1年間は保険料が固定される仕組みになっています。

収入が大きく増加したり減少すれば、社会保険料を変更する手続きがある(標準報酬月額の随時改定)わけですけれども、増減が一定の水準に達しない場合は、決まった保険料のまま変わりません。

仮に、今月まるまる1ヶ月休んだとしても、社会保険料は前月分と変わらないのです。

月ごとの収入に連動するのではなく、1年に1回、決めた保険料が毎月発生するというのが厚生年金の保険料の仕組みです。

厚生年金保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて、保険料が算出されます。

給与明細に記載されているのは収入で、社会保険料を決める際に使うのは「報酬月額」や「標準報酬月額」というものです。

収入は分かるけれども、報酬月額や標準報酬月額は難しい言葉ですから、よく分からない方もいらっしゃるでしょう。

「月収に保険料率を掛けて厚生年金保険料を計算しているのでは?」と思うところですが、それは少しだけ違うのです。

 

 

厚生年金保険料を決める報酬月額、標準報酬月額とは

報酬月額というのは、言い換えれば月収です。労働保険では賃金と表現しているものですが、社会保険では報酬という言葉に変わるのです。

ですから、報酬月額という言葉に遭遇したら、「あぁ、月収のことだな」と考えていただいて構いません。

次に、標準報酬月額とは、報酬月額に対応する収入基準のようなものです。


厚生年金保険料の一覧表を見てみると、月収400,000円、つまり報酬月額400,000円の人の標準報酬月額は、410,000円になっています(表に当てはめると分かります)。

つまり、月収400,000円の人の厚生年金保険料は、400,000円 × 18.3%ではなく、410,000円 × 18.3% で計算するのです。

ちなみに、報酬月額が395,000円から425,000円の人も、標準報酬月額は410,000円になります。

一定の範囲内に報酬月額が収まっていると、その範囲内の人は同じ標準報酬月額になり、厚生年金保険料も同じになるというわけです。

一覧表に自分の収入(報酬月額)を当てはめると、標準報酬月額が分かり、厚生年金保険料も分かるのです。

 

厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれている

厚生年金の保険料を支払うと、国民年金の保険料も支払ったものと扱われます。

国民年金の保険料は、2020年度は毎月16,540円。これが厚生年金の保険料に含まれていると考えてください。

給与明細には、厚生年金保険料と書かれているため、自分自身は厚生年金の保険料を払っているのであって、国民年金の保険料は払っていないのではないか、と思ってしまいがちですけれども、厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれています

つまり、厚生年金の保険料払うと、国民年金の保険料も払っていると扱われるわけです。

支払う保険料は1種類だけですけれども、加入できている年金制度は2つになっているというわけです。

仮に、毎月の厚生年金保険料が40,000円だとすれば、その内訳は、厚生年金保険料が23,460円、国民年金保険料が16,540円となります。

 

 

高所得者の厚生年金保険料が5,490円増える

今回変わるのは、標準報酬月額の等級が1つ追加されるという点。

厚生年金保険料は、標準報酬月額の等級表に、個々の収入を当てはめて求めることができます。

2020年4月時点の厚生年金保険料の標準報酬月額等級表

一番低い等級が1等級で、最も高い等級が31等級です。

この最も高い等級が、31から32に増えるというのが今回の変更点です。

つまり、厚生年金保険料の上限額が上がるという意味です。

今までの基準だと、毎月の収入、つまりは報酬月額が605,000円以上の人が、等級表の31等級に該当し、この水準が上限でした。

31等級の標準報酬月額は620,000円で、厚生年金保険料は113,460円(これが上限額)。これを会社と従業員で半分ずつ負担します。

収入が605,000円以上の人は、同じ保険料ですから、月収65万円の人も、月収80万円の人も、月収160万円の人も、厚生年金保険料は同じ金額になります。

新たに32等級が追加されると、標準報酬月額の上限も650,000円になり、この650,000円に18.3%を掛けると、118,950円。2020年9月分からは、この水準が厚生年金保険料の上限になります。

変更前に比べて、上限額が5,490円増えます。

保険料の上限に達するほどの収入ならば、月に5,490円増えたところで誤差程度です。

この制度変更によって影響を受けるのは、月収60万円代前半の方です。

一方で、上限に達していない方は、以前と変わりありません。

 

 

社会保険料には上限があり税金と違って青天井では上がらない

社会保険料は、収入が一定水準を超えると、保険料は一定になります。

厚生年金保険料も、収入が月に60万円台半ばを超える方は、同じ水準になります。月収70万円でも、月収260万円でも、月収510万円でも、厚生年金保険料は同じです。

一方、所得税や法人税、消費税、住民税は違います。

税金には、税率だけ設定されていて、課税される金額の上限額については定めがありません。つまり、パーセンテージで計算されるだけ税金が発生するわけです。

とある税金の税率が18.3%だとして、課税される金額が500万円だとすると、税金の金額は915,000円になります。

一方、厚生年金の保険料として計算した場合、単純に915,000円にならず、保険料の上限額118,950円で止まります。

社会保険では、1人の人間が受け取れる便益に上限がある(所得が多いからといって、病気や怪我が多いわけではない)ので、保険料にも上限が設けられているのがその理由です。

税金と考えて計算すると、915,000円になるところが、社会保険料と考えて計算すると、118,950円になるわけです。

ある程度の収入までは社会保険料は連動しますけれども、標準報酬月額の上限水準を超えて収入が増えていくと、社会保険料は上限額で止まります。厚生年金保険料に限らず、健康保険料や介護保険料も同じ。

国民年金保険料に至っては所得水準に関わらず一定です。

つまり、収入に占める社会保険料の割合は、高所得になるほど減っていきます。

月収500万円で、厚生年金の保険料が118,950円だと、収入に占める厚生年金保険料の割合は0.02%になります。

表面上の保険料率は18.3%ですけれども、実質的な保険料率は0.02%に変わるのです。

高所得の人が社会保険料の対策にはさほど熱心ではないのは、税金のように上限額が設定されていないものよりも負担が少ないからです。

社会保険料が最も負担に感じる所得水準は、この上限額よりも低い水準、つまり60万円代前半よりも月収が低い場合は、社会保険料が負担に感じるのです。

 

給与計算をラクに。社会保険料を自動で正確に計算。
毎月の給与に社会保険料はかかりますけれども、年に数回支給される賞与に対しても社会保険料はかかります。ならば、その額がいくらになるのかを自動で正確に計算してくれると、給与計算が楽になりますよね。

 

仕事を休むとき欠勤にするか有給休暇にするか選択できる?

二者択一

 

 

有給休暇ではなくあえて無給の欠勤を選ぶ 年休を温存するという判断

年次有給休暇を使うかどうかは労働者が決めるため、
欠勤にして、有給休暇を残しておきたい。
逆に、欠勤だと給与が無いので、有給休暇を充当したい。

そのような選択をしたいと考えるときもあります。

病気や怪我を治すために仕事を休む場合、
欠勤という形で休むのか、
それとも年次有給休暇を使って休むのか。

これを労働者側で選択できるのかどうかが悩むところです。

病気や怪我の際に、
年次有給休暇を使って休むかどうかは、
本人が決めることができます。

例えば、足を怪我して3日間休むとして、
その3日間に年次有給休暇を使うのもいいですし、
風邪で休む日に年次有給休暇を充当するのもいいでしょう。

年次有給休暇を使えば、
休みながら給料が出るわけですから、
労働者にとっては有利です。

しかし、あえて年次有給休暇を使わずに、
無給の欠勤にしたい、と希望する方もいらっしゃいます。

「え? そんなことあるの?」と思うところですが、
会社のルールによっては、そのような判断をする方が合理的な場合があります。

 

 

賃金規定で決まったルールを適用する

会社には「賃金規定」というものを定めているところがあり(賃金規定がない会社もありますけれども)、
どのような条件や基準でもって、賃金を支払っていくのか、
を決めたのが賃金規定です。

例えば、とある会社の賃金規定で、1ヶ月の半分以上を出勤すれば、
給与を満額で支給する、という決まりがあった場合。

ここで1ヶ月の半分以上というのは、1か月あたりの所定労働日数の半分以上という意味です。

仮に、所定労働日数が、1ヶ月に20日とすると、
10日以上出勤した場合は、給与が満額支給されるわけです。

そこで、今月、すでに9日分出勤している段階で、
何らかの理由により、病気や怪我で休むことになったとします。

時期としては、月の半ばぐらいでしょうか。病気で1週間休むとの前提で考えてみます。

その場合、欠勤で休むのか、それとも年次有給休暇で休むのか。

所定労働日数が月に20日ですから、10日出勤したということにすれば、その月の給与は満額支給されます。

ならば、1日だけ年次有給休暇を使えば(有給休暇を使った日は出勤したものとみなす)、
月に10日出勤したということにして、
給与は満額支給されるわけですから、
その後の休みは、年次有給休暇ではなく欠勤という形で休んだほうが合理的です。

年次有給休暇を使っても使わなくても、
給与は変わらないのですから、
年次有給休暇を温存しておきたい。

そう考えるのが賢いでしょう。

どのような理由で、
賃金規定の中身が決められたのかどうかによりますけれども、
賃金規定で、1か月あたりの所定労働日数の半分以上を出勤していれば給与を満額支給する、控除をせずに支給する、
そういうルールになっているならば、それを利用するのが正解です。

年次有給休暇を温存しつつ、給与が満額支給されるようにコントロールしていく。

年次有給休暇は、当月ではなく翌月以降に使っていけばいいのです。

そういうことをして欲しくないならば、
賃金規定で「1か月あたりの所定労働日数の半分以上を出勤していれば給与を満額支給する」という類のルールを作ってはいけないのです。

賃金規定に、このようなルールを定めている会社はそう多くはないでしょうが、
労働者にとって有利なルールが作られているならば、それを使っていけばいいのです。

賃金規定を読んだことがないと気づかないところですし、就業規則もそうですが、
どのようなルールで労務管理をするのかが書かれているものですから、
一度は目を通しておきたいものです。

 

 

LINEで欠勤連絡するのはアリ?

万能ナイフのように便利な道具になったスマートフォンですが、2015年の今では普通のケータイを使っている人を見つける方が難しいぐらいになりました。私が初めてスマホを使ったのは2010年で、HT-03Aという懐かしいスマートフォンですが、その頃はiPhoneを使っている人がチョロチョロといるぐらいで、まだスマートフォンは導入期でした。

あまりに便利な道具となったため、スマホは仕事でも使われるのが当たり前になりました。

今では、スマホアプリであるLINEを使って欠勤するとのメッセージを送ってくる方がいらっしゃるようです。

LINEとは、電話番号でユーザー同士を紐つけたアプリで、短いメッセージを送れ、スタンプという画像を送ることもできます。また、通話機能もあり、電話代わりに使う人もいます。電話回線を使わずデータ回線を利用するので、通話料を節約できるのが利点です。

「今日は体調が悪いので休みます」とLINEでメッセージが送られてきたら、あなたならどのように反応するでしょうか。

欠勤の連絡は所属の上長に連絡する場合が多いのですが、中には上長ではなく同僚に欠勤の連絡をしてくる人もいました。同僚に欠勤を連絡してしまうと、その同僚が上長に連絡しなければいけなくなり二度手間です。

また、LINEだと一方的な連絡になってしまい、会社側で判断する余地が無いため、そのような手段で連絡することを嫌うこともあり得ます。

非常識と考える人もいるでしょうし、便利だからLINEで連絡するのが良いと考える人もいるでしょう。



LINEを業務で使うかどうかは企業の文化と価値観次第

欠勤する際の連絡方法を指定している会社はどれぐらいあるでしょうか。指定しているとすれば、おそらく就業規則で決めているでしょうが、具体的にこの方法でないといけないような決め方をしているところは多くないでしょう。

「欠勤するなら電話をしてくるだろう」と思っている方もいらっしゃるでしょうが、連絡手段は電話だけではないので、以外な方法で通知してくる方がいます。

法律で指定はありませんから、要は伝われば何でもいいのが実情です。電話で連絡すべきと思っていても、人によってはメールを使ってくるでしょうし、先ほどのLINEもありますし、メールがあるならばSMSを送ってくる人もいそうです。他には、古い手段ですが、FAXも連絡手段として使えます。facebookのメッセージ機能やtwitterのダイレクトメッセージ、SkypeやGoogle Hangoutsも使えます。

LINEを使っている人にとっては、LINEでの通話は電話と同じです。電話番号で名寄せしてネットワークを構築するアプリであるため、電話と同じ感覚で使っている人もいます(厳密にはケータイの音声通話とは違うのですが)。通話できれば何でもいいと考えるのも無理のないことです。

個人用の LINE と区別するためのサービスとして LINE WORKS というサービスも用意されています。会社や事業所ごとにアカウントが用意され、業務専用の LINE アカウントを作って、プライベートで使っている LINE と区別できるのがいいところです。個人用のIDを職場の人に教える必要もなく、自分のスマホを使って構わないですから、仕事にはLINE WORKSが適していますね。


スマホアプリで通話されてしまうと、通信会社にとっては、庇を貸して母屋を取られるようなものです。データ回線を提供しているのは通信会社ですが、その回線で通話されてしまうと、音声回線を利用してもらえなくなりますから、従量制で通話料を課金していたら減収となります。

今は音声定額プランで抵抗していますが、料金が高めなためか評判はイマイチです。私も通話アプリを使ったことがありますが、回線が安定していない環境だと、途中で通話が遮断されたり、雑音が入ったり、声が聞こえにくかったり、信頼感に欠けるところがあります。

1年ほど前までは通話アプリを使っていたものの、今では電話を定額料金で使えるので、ケータイで電話をかけるのがメインになりました。

電話料金が定額化したのだから、アプリを使わず、ダイレクトに電話すればいいだけなのですが、アプリに経路依存しているとなかなか変え難い。

LINEでの欠勤連絡を受け入れる文化や価値観があるのか、それとも受け入れない職場なのか、分岐点はここにあります。

例えば、ネット系の仕事をしている職場ならば、LINE経由の業務連絡に抵抗がなく、欠勤の連絡もネット経由で受け入れられる。しかし、仕事でネットをあまり利用しない仕事、例えば飲食店や小売店で働く人、他には農業や漁業、建設業など、これらの職種で働いている人はLINEではなく電話で連絡した方が受け入れられやすい。

もし、どうしてもLINEで欠勤連絡するのはダメならば、就業規則で連絡手段を指定することも可能です。「欠勤しようとする場合は、始業時刻までに電話で届け出ること」と手段を限定するのも1つの方法です。

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。

雇用調整助成金、特例で学生でも支給対象に(緊急雇用安定助成金)

学生も対象

 

 

雇用保険に加入していない学生も雇用調整助成金の対象に

従業員を休業させた場合に、休業手当を支払うと、その費用の一部が助成金として補助される雇用調整助成金

新型コロナウイルス感染症に対する対策として、雇用保険に加入していない学生も特例で助成金の対象にできます。なお、雇用保険に加入していない従業員を休業させた際に利用するのは、雇用調整助成金ではなく緊急雇用安定助成金という名称のものになります。両者で中身はほぼ同じですが、雇用保険に入っているかどうかという点で対象者が異なります。

 

雇用調整助成金(厚生労働省)のウェブサイトより。

雇用調整助成金

従来の雇用調整助成金だと、雇用保険に加入していない学生は、支給の対象外になっているのですが、新型コロナウイルス感染症に対応して特例措置が実施されており、その特例が適用されると、雇用保険に加入していない学生も助成金の支給対象にできるのです。

この手の助成金は、フルタイムで働いていて、正社員の身分を持ってる人しか対象にならないようなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、雇用調整助成金の特例では、雇用保険に入っていない人も対象になるため、実質的に雇用されてる人全員がこの助成金の対象になります。

学生だと雇用保険に入らずに働いている方が大半でしょうし、パートタイマーの方でも勤務時間が週15時間や週18時間程度だと雇用保険に入っていない方もいるかもしれませんが、そういった方々も今回の雇用調整助成金の対象にできます。

 

特例措置が実施される期間は、2020年4月1日からですので、学生を休業させて助成金を申請するならば、4月1日以降の休業が対象になります。3月に休業を実施した場合は対象外。

ちなみに、この雇用調整助成金は、従業員本人が申請して受給するものではなくて、会社側で休業を実施して、休業手当を払って、その後に支給申請をして、助成金が会社に対して支給されるというものです。

お店が臨時休業になり、休業手当を支払われず、無給で自宅待機させられる学生もいるようですが、学生であっても労働基準法26条は適用され、会社は休業手当を支給する必要があります。

つい最近採用したばかりの学生でも対象になりますし、大学生だけでなく高校生も助成金の対象にできます。

さらに、新卒で採用したものの、出勤できずに自宅待機になっている人も、雇用調整助成金の対象にできます。

雇用保険に従業員が加入しているかどうかに関わらず、雇用調整助成金を利用できるようになっているのが特徴です。

ちなみに、雇用保険の被保険者を対象にしたものが「雇用調整助成金」で、被保険者以外の人を対象にするものが「緊急雇用安定助成金」と名称が分けられています。両者は混同されやすく、違いが分からないという方もいるはず。

要は、雇用保険に入っている人を対象にするのかどうかの違いです。

また、事業所が雇用保険の適用事業所ではない場合、つまり会社が雇用保険に入っていないときは、緊急雇用安定助成金を申請することは可能ですが、雇用調整助成金を申請する場合は先に雇用保険の適用事業所になる必要があります。

適用事業所でなければ、雇用保険の被保険者も存在しないことになり、雇用調整助成金を申請する余地がありませんので、先に事業所を雇用保険の適用事業所にしないといけないわけです。

 

 

 

使用者の都合で休業していないのだから、休業手当は要らない?

臨時休業の原因は新型コロナウィルスなのだから、使用者の都合で休業していないのでは。そう考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

使用者がウィルスをばら撒いたわけではありませんし、休業したくてしているわけでもないのだから、使用者には責任は無いだろう。そう考えるのも分ります。

売上や注文が減って、仕事が減って休業する場合であっても、会社が内部留保を持っていれば、乗り越えられるものですから、新型コロナウイルスが原因であったとしても、従業員を休業させたとなれば、それは使用者の都合によるものだと判断されてしまうのです。

リーマンショックの頃も同様でしたけれども、売上や注文が減って、営業を停止した場合は、使用者なり経営者の責任になってしまうわけですから、新型コロナウイルスといえども、それによって営業を停止するなり臨時休業すると、その責任を使用者や経営者が負うのです。

経営者を助けるのは、経営者自身なのです。

休業手当というのは、雇用契約における違約金のようなものです。

例えば、1週間に5日働いてもらうところを、仕事が少ないからという理由で、週3日に減らしてしまった。

この場合、残りの2日分は使用者の都合による休業と扱われてしまい、仕事をしてもらっていなくても、給与を払わなければいけなくなってしまうのです。

ノーワーク・ノーペイは通用しないのです。厳しいですが。

働く時間数を減らした場合も同様です。1日に6時間働いてもらうという契約を締結したにも関わらず、仕事が暇だからとか、少ないという理由で1日3時間に減らしてしまうと、減った3時間は使用者の都合による休業になります。

従業員本人が本人の都合で休んだ日はノーワーク・ノーペイですが、使用者の判断で出勤日数や勤務時間を減らすと、それはノーワーク・ノーペイにはなりません。

 

 

休業手当が必要である理由 自己都合で注文内容を変えるとペナルティを課される

何かを注文なり発注する時は、契約書を作り、どういう条件で取引するかを決めます。

取引では、注文者側の都合で、注文量を減らしたりすると、受注者から違約金を請求されることがあります。

注文者からの要望で作ってるのですから、受注者側としては約束した通りのものをちゃんと揃えなきゃいけない。

にもかかわらず、注文者の都合で、注文の数量を減らしてきたりすると、減らした部分に相当する金額もしくは契約で事前に決めた割合になりパーセンテージの補償をしなければいけないのが通例です。

例えば、契約書で、「キャンセルした数量に相当する金額の80%を受注者は注文者に請求する」こういう類の文言が契約書に入っていることがあります。

仮に、1個1,000円の部品を1万個発注したとします。

その後、注文者による何らかの都合で、その発注量を5,000個まで減らした。

先程の違約条項が契約で決められていたとすれば、キャンセルした数量は5,000個で単価が1,000円ですから金額は500万円。

その80%がキャンセル料なり違約金として注文者から受注者に支払われると、その金額は400万円になります。

実際に5,000個分は購入していないものの、400万円を補償として支払わなければいけなくなります。これが注文者の都合でキャンセルした結果です。

雇用契約も、労働者から労働力を購入すると約束しているものですから、約束した分は確実に購入しなければいけないのです。

注文者である使用者の側から、その注文量を減らしてしまうと、その減らした部分に相当する補償なりキャンセル料が必要になるわけです。それが休業手当として決められてるのです。

 

 

雇用調整助成金を利用すると、どれぐらいの金銭的な効果があるのか

助成金というと、お金が一気にドサッと入ってきて、懐が潤うようなイメージですけれども、現実の助成金は、実際に使った費用の一部を補助するもの。

100万円や200万円のお金を、ポーンと渡してくれるようなものではないのです。

では、雇用調整助成金を利用すると、どれぐらいの金銭的効果があるのか。

時間給1,200円で働く学生がいるとして、普段は1日4時間で勤務していると考えます。

4時間で給与は4,800円。働いている職場が中小企業に該当するとすれば、休業手当の90%が助成金で補助されます。

労働基準法26条では、休業手当の額は平均賃金の60%以上ですが、ここでは通常通りの給与、つまり普段働いた場合と同額の休業手当を支給したとします。

給与は4,800円で、その90%が助成金で補助され、雇用調整助成金は4,320円。後の残りの480円を会社が負担します。

1日480円の給与は必要になりますが、学生が辞めてしまって、また新しい人を採用し、教育する手間と時間を考えれば、高い費用でもないでしょう。

さらに、特例の適用があり、助成率が100%になる事業所ならば、休業手当の全額が助成金で補填され、事業所の負担がゼロになる場合もあります。

雇用調整助成金の上限額は、休業日1日あたり8,330円。学生だと、1日分の休業手当が8,330円を超過する可能性は高くないでしょう。

2020年6月に成立する第二次補正予算によって、助成金の上限額が1日15,000円に上がり、パートタイムで働く方だと、休業手当をほぼ全額カバーできるのではないかと思います。

雇用保険に加入していない学生も、特例で雇用調整助成金の対象にできる(本来は対象外)ため、無給で休ませるのではなく、助成金を利用しながら休業手当を払う方がいいでしょう。

1日まるまる休業するだけでなく、勤務時間を短縮して時間単位で休業する場合も助成金を利用できますので、パートタイムで働く学生も助成金の対象にできるのです。普段は、1日5時間勤務のところ、2時間出勤して、3時間は休業という形で混ぜる方法もあります。

例えば、4月中は全日を休業にしていたけれども、5月からは2時間出勤、3時間休業にして、6月からは休業をゼロにする。営業状況に応じて休業する程度を調整していくこともできます。

他には、電車が混み合う時間は休業にしておいて、それ意外の時間帯に出勤するというのも1つの方法。

一例として、朝9時から始業のところ、11時始業にして、間の2時間を休業としておき、混み合う電車に乗らない。フレックスタイム制でも実現できる内容ですが、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を特例的な内容で利用できる期間は、通勤ラッシュと感染症を避ける手段として、時間単位の休業を使うのも良いのではないかと思います。

給与を肩代わりしてくれるのが雇用調整助成金で、申請の手続きも他の助成金に比べて容易ですから、休業するならば、確実に使いたい制度です。

助成金には支給限度日数が設けられており、1年間で100日分、3年間で150日分と上限があります。ただ、雇用調整助成金の緊急対応期間、2020年4月1日から6月30日までがその期間ですが(第二次補正予算で9月30日まで延長される予定)、その期間の休業日数は100日分なり150日分には含まれず、日数のカウント数は0日となります。

つまり、4月から6月までの間に、60日分の休業を実施したとしても、その日数は支給限度日数には計上されず、残日数は100日分なり150日分のままということ。

9月30日までが緊急対応期間となれば、9月末までに実施した休業は支給限度日数ではカウント外となり、仮に9月末までに120日分の休業を実施したとしても、支給限度日数には計上されません。

 

 

雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金の違いは?

雇用調整助成金について調べていくと、似たような助成金で、緊急雇用安定助成金というものがあると分かります。

では、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金はどのように違うのか。

2008年の末頃に実施されていた助成金は、中小企業緊急雇用安定助成金という名称でした。

中小企業が中小企業緊急雇用安定助成金を申請し、それ以外の企業、大企業が雇用調整助成金を利用するというように、名称が分かれていたのです。

今回は、雇用保険に加入している人を休業させる場合は雇用調整助成金を利用し、雇用保険に加入していない人を休業させる場合は緊急雇用安定助成金、という形で分かれています。

事業所の規模で分けるのではなく、雇用保険の被保険者かどうかで分けているのです。

どちらの助成金も内容はほぼ同じですけれども、名称が分かれていると、違う助成金なんじゃないかと思ってしまうのですが、雇用保険に入っている人と入っていない人を分けるために助成金の名称も2つに分けているというわけです。

学生を休業させた場合に、休業手当を支払うと利用できるのは、緊急雇用安定助成金です。

雇用調整助成金は雇用保険の適用事業所でないと申請できませんが、緊急雇用安定助成金は非適用事業所でも申請できますので、雇用保険に加入していない従業員だけしかいない職場でしたら、緊急雇用安定助成金を申請すれば足ります。

厚生労働省のウェブサイトに申請書を作成するためのマニュアルが用意されていて、案内通りに書類を作成していくと、必要な書類が出来上がるようになっています。


雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウィルス感染症対策特例措置用)

 

特例で申請書は簡素なものに変わりましたし、添付書類も最低限のもので足りるようになっています。

雇用保険に入ってる人と入っていない人が一緒の職場で働いている場合は、前者を休業させる場合は雇用調整助成金の手続きになり、後者を休業させる場合は緊急雇用安定助成金の手続きをして、両者を分けます。

両者とも休ませて休業させるならば、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金の手続き、合計2つの書類を作成する必要があります。

両方の調整金を同時に手続きする場合は、重複する部分を省略することができます。仮に、雇用調整助成金の書類を作成し、後から緊急雇用安定助成金の書類を作成するならば、後者の書類は記入項目が減ります。

さらに、休業の計画届を事前に用意する必要もなくなりました。

以前は、計画と実績をすり合わせて、支給する助成金を決めていたのですが、休業をした実績のみで足りるように。

支給申請書を提出する段階で、次回の休業計画書も一緒に提出する。2回目以降の申請ではこの形を繰り返していました。

計画届が不要となれば、毎月、給与の締日になった後、休業したことが分かる勤務シフト表と給与明細の控えを添付して(教育訓練を実施している場合は、受講証明書も一緒に)、支給申請書を出す、という手順になります。

申請書を作成するときは、支給申請書、助成額算定書、休業・教育訓練実績一覧表を横に並べて記入していくといいでしょう。それぞれの書面に記入した数字が連動しているため、3枚の書面を同時に見ながら書くと分かりやすいです。

休業 + 教育訓練 で助成金を申請したい場合、雇用調整助成金は教育訓練を含めることができますが、緊急雇用安定助成金では教育訓練は助成対象外になります。つまり、雇用保険に加入している従業員を対象に教育訓練を実施した場合は、中小企業だと1人あたり1日2,400円、大企業だと1人あたり1日1,800円が加算されます。

受講費用に関わらず定額で助成されますから、利用方法を工夫すれば、教育訓練を追加するのは良い判断かと思います。

 

 

出勤日や勤務時間が日によってバラバラ。休業かどうかをどのように判断するか

勤務シフトがコロコロと変わる人を休業させたら

採用時には雇用契約を締結し、書面で1週間あたりの勤務日数、1日あたりの勤務時間を決めるのですが、実際に働き始めると、契約とは違う条件になっていることも。

フルタイム勤務の方は、所定労働時間が1日8時間、始業時間や終業時間もほぼ決まっていて、日によって勤務時間が変動しにくいですし、1週間あたりの勤務日数も5日に固定されている傾向があります。

一方、パートタイムで働く方、学生も含みますが、日によって勤務時間が変わり、今日は3時間だけど、明日は5時間なんてこともあります。また、週3日勤務になったり、週4日勤務になったり、勤務シフトが流動的なのですね。

週4日、1日4時間で契約したものの、実際は週5日勤務で、1日5時間の勤務シフトになっている。つまり、契約と実態がズレている状況です。

このような働き方をしている人を休業させる場合、契約と実態、どちらを基準にして休業手当を計算するか。

雇用契約と勤務実態がズレている場合、雇用契約の内容を優先して判断します。

 

休業で勤務シフトの勤務日数が0日になったら

また、勤務シフトで勤務日数や勤務時間を決めている職場の場合、勤務シフトがゼロになると休業もゼロになってしまうところですが、前年同月比で休業になったかどうかを判断することができますし、さらに、休業手当を支払った日を出勤日と扱って助成金を申請することも可能です。

例えば、普段だと月に20日出勤して働くところ、新型コロナの影響で出勤日が0日になったとすれば、実際の出勤日は0日ですが、勤務シフト上は20日ということにして、それを休業日とすることができます。つまり、仮の形でも構わないので、勤務シフトを作って休業すれば、助成金の対象とできるわけです。

前年同月比で休業日数を把握する方法だと、前年同月では月20日出勤していたが、今年同月は月0日出勤だとすると、今月は20日出勤するものと考えて、休業日も20日と考えます。

勤務シフトが不確定な働き方をしている方には、この方法で休業日を設けることができます。

 

全日ではなく時間単位で短時間の休業をしたら

さらに、短時間での休業も助成対象になります。例えば、普段だと1日6時間勤務で働くところ、忙しいピークタイムの2時間だけ出勤してもらい、残りの4時間は休業という形にして、助成金を利用していくことも可能になっています。

丸1日休業して助成金を利用できますし、休業と組み合わせて短時間の勤務でも助成金を利用できるため、自粛解除に合わせて休業の割合を少しづつ減らしながら、助成金も受け取りつつ、という働き方もできます。

短時間休業を実施する場合は、1時間以上の連続した休業にする必要があり、例えば、1日2回に分けて1時間休業する(合計2時間の休業)とか、始業時と終業時にそれぞれ30分だけ休業する(合計1時間の休業)というように、分散させた場合は助成の対象外になります。1時間以上で、分けずに、という条件で短時間休業を実施しましょう。

労働契約と就労実態のズレが生じるということは、契約に違反する働き方になっているので、両者がズレないように勤務日数や時間を調整して、普段から注意しておく必要があります。

雇用契約書や就業規則を作らずに従業員を雇って商売をやっている事業所もありますが、何もトラブルが無ければそれでいいものの、労使間での認識の相違が生じたり、給与や休日に関して労使間で見解が異なったり、今回のような助成金の申請で契約書や就業規則が必要になったりと、いざという場面で困りますから、普段から少しだけでも時間と費用を投じて整備しておくと良いでしょう。

 

ダブルワークで片方の事業所が休業しているなら

2つの事業所で働き、片方は通常通りに営業しており、もう片方が休業したとして、後者の事業所で休業手当を受け取って休んでいるとしましょう。

パートタイムで働いている方だと、こういう形になることもあるでしょうが、片方の事業所ではいつも通りに働き、もう片方からは休業手当を支払われる形も可能です。両方とも揃って休業する必要はなく、事業所ごとに分けて扱われます。

どちらの事業所でも従業員本人が雇用保険に加入していなければ(雇用保険の被保険者になっていない)、休業した方の事業所では、緊急雇用安定助成金を利用できます。

 

 

 

支給申請書を作成するときのポイント

以前、雇用調整助成金を申請した際、支給申請書の欄外の空白部分に捨印を押すように案内された経験があります。

欄外に印を押す場所を作って、そこへ事業主の方に印を押してもらっていたのですが、事後的に訂正する必要があるときに、訂正印無しで修正が可能になります。

捨印には白紙委任状のような効果があり、あまり使わない方がいいものですが、小さな修正のために書類を返送したり、訂正印を求める手間を省くために、捨印を用いることがあります。相手方が信頼できるならば、便利な手段です。

提出先が行政機関ですし、提出前に支給申請書をコピーしておけば変な形で改ざんされても対処できるでしょう。

郵送で申請書類を送って、後から受理印付きの申請書の控えが欲しい場合、同じ支給申請書を2通作って、片方に「控用」と欄外に書いておくと、受理印を押して送ってくれるのではないかと思います(労働局側で控え用にコピーして受理印を押してくれる場合も)。あと、切手を貼った返信用の封筒を同封するのを忘れずに(これが同封されていないと送ってくれません)。

窓口に行って申請書を提出すれば、受理印を押した控えを渡してくれますが、窓口での待ち時間が長いでしょうし、感染対策のために郵送で送るほうが賢明です。

支給申請書に、初回、2回目、3回目など、何回目の申請なのかを余白に書いておくといいです。受付時間が少しでも早くなりますので。初回と2回目以降では提出する書類が変わりますから、何回目の申請なのかがパッと分かると、労働局の受付窓口の方もラクです。

必須ではありませんが、書類の審査が早くなるような補助情報を付け加えると、支給決定までの時間を少しでも短縮できるのではないかと思います。受け取る人への思いやりですね。

 

 

 

窓口には行かない方が良い。郵送かオンラインで書類を送るのがオススメ

2009年の1月に雇用調整助成金、中小企業緊急雇用安定助成金の手続きをした経験がありますが、助成金センターの窓口に行って申請書を提出するために、1時間待ち、2時間待ちになり、随分と待たされた記憶があります。

今回は、その時以上に窓口に人が集まっているでしょうから、どうしても窓口に行って聞かなきゃいけないことがある、やらなきゃいけないことがある、という人を除いて、窓口には行かない方がいいでしょう。

椅子に座って、1時間も、2時間も待っているのは無益ですし、スマホをいじっても、本を読んでも、さすがに疲れてしまいます。

助成金の申請書は郵送で送ることができますし、オンラインでも申請できるようになりました。

ただ、オンライン申請は、システムに不具合が発生し、2020年5月20日現時点ではオンラインによる申請は停止されています。

その後、停止されていたオンライン申請ですが、6月5日の12時から再開するとのこと。どういう仕掛けになっているのか、調べてみたかったのですが、調べる前にシステムが止まってしまいました。

雇用調整助成金等オンライン受付システムの運用再開について

6月5日の昼時点で、オンライン受付システムは稼働しています。雇用調整助成金だけでなく、緊急雇用安定助成金もオンラインで申請できますので、窓口で長い時間待つのを避けるために、こちらの方法で申請するのをおすすめします。

その後、再度の不具合により、6月5日の再開日にシステムが停止しています。

2回の不具合があり止まっていた雇用調整助成金のオンライン申請システムですが、2020年8月25日から再開される見込みです。

雇用調整助成金等オンライン受付システムの運用再開について(厚生労働省)

申請のために窓口に行くのは時間と手間がかかりますし、感染症対策の面でも気になります。郵送でも、書類を印刷して、それを封筒に入れ、簡易書留で送る必要がありますから、こちらも手間と時間は相応にかかります。不備があった場合の書類返送にも時間がかかりますからね。

オンライン申請ならば、フォームに入力して書類を作成できますし、添付書類もスマホで撮影した画像を送ることで対処できます。不備の修正もオンラインでできますから、利便性には申し分ありません。

申請に不備があれば、差し戻しされ、修正もオンラインでできますから便利です。

また、今まで書面で申請していた事業所でも、次の申請からオンラインにするという切り替えもできます。4月分は郵送で手続きしたが、5月分はオンラインでやりたいと考え、申請方法を変更できます。

添付する書類も電子データに変換し、pdf、jpg、pngのいずれかで添付します。厚生労働省で用意されている申請書のフォーマットは、手書きだとpdfで、PCで入力する場合はExcelファイルです。

手書きの場合、作った申請書をスマホのカメラで撮影し、jpgファイルに変換して添付するのも1つの方法です。pdfファイルに直接入力できるソフトウェアもあるようですから、それを使い、出来上がったpdfファイルを添付しても良いでしょう。

Excelファイルはそのままで添付できませんので、セルを範囲指定してpdfに変換するか、スクリーンショットを撮影し、png形式のファイルで添付することができます。

ファイルを変換する方法は色々とありますので、申請される方が普段から馴染みのある方法を用いるといいかと思います。

マクロを含まないdocx、xlsxファイルならばアップロードできるようですが、WordやExcelを利用できるならば、それらのファイルを添付してもOKです。PCにWordとExcelがインストールされていない場合は、MicrosoftのOffice Onlineにアクセスすれば、左記のファイルを編集できます。

Office Onlineを利用するときは、Windows10でMicrosoft Edgeブラウザー経由だと、レイアウト崩れなどが最も少なく安定しています。

最も簡素な方法は、手書き書類をスマホで撮影して、jpg形式で添付する形ではないかと。手持ちのスマホを使って電子ファイルを作るなら、カメラで撮影するのが最も容易です。コンピューターの操作を苦手とする方は、手書き書類とスマホを組み合わせるのがおすすめです。

小規模事業所が雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を申請する際の書類は少なくなっており、申請書類を提出するために1時間、2時間と窓口で待つのは負担ですから、オンライン申請で手続きをするのがおすすめです。

6月初旬時点で、1日に7,000件から8,000件ほどの申請があるようですから、全てが窓口申請では無いものの、質問しながら書類を作ろうと考える方もいらっしゃるかと思いますので、窓口に行くと時間がかかるはずです。

オンラインでの手続きは苦手だという方は、書類を作って、印刷して、大きめの封筒、A 4サイズが入る封筒に申請書等を入れて、簡易書留で助成金センターまで送ればいいわけですから、必ずしもオンラインにこだわらなくてもいいでしょう。

ただ、不備があった場合、そのやり取りも郵送になりますから、修正もオンラインで対応できる方法と比べ、時間がかかり、助成金の支給も遅くなります。

申請に必要な書類も随分と少なくなっていて、助成金の申請書、売上を証明する書類(売上帳簿)、休業したことがわかるもの(勤務シフト表)、休業手当を支払ったことがわかるもの(給料明細の控え)、役員名簿、助成金を振り込む口座のキャッシュカードのコピー。

主に必要な書類はこれらになりましたから、難しくて申請できない、書類が多い、という理由で拒否するわけにはいかないでしょう。

小規模な事業所用の申請書では、平均賃金の計算も必要なくなりました。従業員別に平均賃金を算出して、それを基に休業手当を計算するのが本来の手続きですが、その手順を省略できるようになりました。

実際に支払った休業手当の額を基準にして助成金を支給するため、申請手続きは楽です。

これだけ大盤振る舞いな雇用調整助成金は今までありませんでしたから、無給で学生を休ませてしまうのではなく、休業手当を100%支払って、助成金を利用していきたいもの。

ウンザリする給与計算の作業をラクにしてくれる給与計算ソフトとは?
毎月1回は給料を計算して支給しなければいけませんから、年に換算すると12回も給与を計算する作業をやらなければいけません。そういう面倒な作業をなるべく楽に済ませておきたいのが本音ではないでしょうか。

小学校休業等対応助成金 子供を持たない社員へのインセンティブが必要

学校休業助成

 

小学校休業等対応助成金があるからといって休めるのかどうか

学校が休校になって、親が子供の面倒見るために仕事を休む。その際に、特別有給休暇を設けて休ませると、給与を補填するための小学校休業等対応助成金が支給される対象になります。


学校が休校になって、保護者が休むと、給与はほぼ全額補助に。

 

では、従業員の方から、「助成金を使って休めるようにしてほしい」という要望が出たら、会社としてはどのように対応するのか。

中には、助成金を利用せず、従業員も休ませないという会社もあり、それに対して不満や疑問を持つ方もいるようです。

助成金が出るんだから、休ませてもいいじゃないか。そういう考え方もあります。

特別有給休暇で休んでもらったとしても、その分の給与は助成金で補填されるので、休んでも問題ないのではないか、と従業員側考えるはずです。

しかし、助成金を受給するには、従業員を休ませないといけない。となると、出勤する人数が減り、出勤している人の負担が増える。だから、休ませるわけにはいかない。

子供を持たない自分には特別有給休暇は無いのに、仕事だけ増えれば、出勤している人は不満でしょうし、不公平だと感じます。

休んでいる人は給与を受け取りながら休暇を取っている。しかし、子供を持たない従業員には特別有給休暇はなく、通常通りに仕事。これでは納得いかないのも当然です。

特別有給休暇で休んでいる本人が病気や怪我になったわけではなくて、学校や保育園が休校なり休園になった子供がいる、という理由で給与をもらいながら休めるわけですから、子供を持たない人にとってみれば不満を感じるでしょう。

勤務シフトを管理する人間としては、片方を特別有給休暇に休ませて、もう片方をいつも通りに出勤してもらう、という形にしてしまうと、バランスをとれなくなります。

 

 

法定の年次有給休暇とは別枠で給与を全額支給する特別有給休暇を用意する

学校に通う子供が新型コロナウイルス感染症を理由に、学校を休みになり、働いている親が仕事を休まなければいけなくなった時に、事業主の方で手続きをして利用できるのが小学校休業等対応助成金です。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金を再開しました

 

学校を休んで子供が家にいるとなると、小さい子供の場合は親がついていなければいけないこともありますから、子供が学校を休むとなると親もそれに連動して休まなければいけません。例えば、子供が新型コロナウイルス感染症に感染したとなれば、親が看護しなければいけませんから、仕事を休む必要もあるでしょう。

こういう場合に、事業主が手続きをすれば、小学校休業等対応助成金を受給できるのですけれども、就業している人を休ませるときは有給休暇にする必要があります。ただし、その有給休暇は、本人が持っている年次有給休暇ではなくて、会社が独自に別枠で用意する特別有給休暇でなければいけない、という点がこの助成金のポイントです。

有給休暇で休ませると聞くと、本人が残している年次有給休暇で休ませればいいのか、と思ってしまうところですが、小学校休業等対応助成金を利用する際に、有給休暇で休ませるときは、その有給休暇は特別有給休暇でなければいけないのが条件です。

この助成金に対応するため、特別有給休暇制度を作らなければいけませんが、先に特別有給休暇で休ませた後に、就業規則を変更するなどして制度を整備するという形でも助成金を利用できるようになっています。 

さらに、この特別有給休暇では、賃金を全額支給する必要があるという点も重要です。

法定の年次有給休暇とは別枠で特別有給休暇を作り、なおかつ給与を平均賃金ではなく全額支給するのが助成金の条件。 

小さい子供がいる人達は、特別有給休暇で休めますけれども、子供がいない人達は特別有給休暇を取れませんから、その人たちにどのように対応していくかも考えなければいけません。

子供がいる人達は特別有給休暇で給料を受け取りながら休むことができる一方で、子供がいない人たちは普段と同じように仕事をするわけですから、この両者の間の調整が必要です。

出勤する人が減れば他の人たちの仕事が増えるので、出勤して働いてる人達に対して何らかのインセンティブ、手当や割増賃金といったものを付けなければ、職場の人達は納得してくれないでしょう。

小さい子供を持っている社員を休ませる部分も考えなければいけないのですけれども、その一方で、子供のいない社員の人たちをどうするかを同時に考えないと歯車が回りません。

仕事だけ増えて待遇が変わらないとなると反発を招いて、子供がいる人たちが休むことができなくなりますので。

特別有給休暇で休まない人たちをどのように対応していくのか。手当をつけたり、賃金を上乗せしたりという形で、休まずに出勤してる人達に対するインセンティブを用意する必要があります。

例えば、特別有給休暇で休んだ人をフォローすると特別手当が出る。これならば、出勤して働く人も納得できますよね。 

特別有給休暇に休んだ人の賃金は助成金で補填されるので、その分だけ人件費に余裕ができます。それを使って、出勤する人たちに手当や割増賃金を出して、出勤してもらうインセンティブを与えていくといいですね。 

 

 

不公平感を解消 特別有給休暇で休まずに出勤する人にインセンティブが必要

特別有給休暇で休めない人に対して、何を用意するか。ここが考えどころです。

子供がいる保護者の事情だけ考えていては、うまく事が進まないですから、それ以外の人の事情も考慮して解決する必要があります。

保育園や幼稚園、小学生の子供を持つ従業員の方を特別有給休暇でもって休ませたときに使えるのが小学校休業等対応助成金

小学校休業等対応助成金を利用するにあたって、子供を持つ従業員をどうやって休ませるかという点に気持ちが向きがちですけれども、一方で、子どもを持たない従業員の方は特別有給休暇は付与されませんし、休むこともできません。この両者の不公平感をどう解消するかが考えどころです。

子供を持っていない従業員の方に対してどのような条件を提示するか、どういうインセンティブを用意するか、という点が重要なところです。

子供を持つ方が休むためには、それ以外の従業員の方がフォローに回ってくれないといけませんから、単に一方的に休みますというだけでは他の人の協力が得られません。待遇が変わらず、仕事だけ増えたら不満を持つのは当たり前ですから。

子供を持たない従業員の方が協力してくれないと、子供を持っている従業員の方は休むことができませんし、小学校休業等対応助成金も利用できなくなります。

小学校休業等対応助成金を使うにあたってのポイントは、子供を持つ従業員の方をどう対応するかというよりも、まず子供を持たない従業員の方をどうするかを先に考えないと話が進みません。

1つの方法としては、子供を持つ出勤者が減って、その分だけ人件費に余裕が出るので、それを出勤している人に回します。

具体的には、休んでいない人の給与を増やす、例えば時間給を100円アップします。

助成金で1人分の人件費が補填されるので、会社には人件費に1人分の余裕ができます。

この余裕が出た人件費を使って、休んだ人のフォローに回る人に手当や割増賃金を付けて、学校が休業になって休まなければいけない人を助けられるような体制にしていきます。

給与を加算するのは、休業者が復帰するまでの期間。この期間は給与の計算期間と揃えると扱いやすいかもしれません。

金額や対象期間は色々あるでしょうが、出勤している人に対して時間給を100円加算すると、他の人が休んだとしても出勤してる人は納得しやすいでしょう。

出勤する人数が減り、1人あたりの仕事が増えるでしょうから、給与を加算するのは妥当な解決策です。

他には、休むといっても、普段、週5日で勤務してる人を全て休みにしてしまうだけでなく、週に3日は休みにして、それは特別有給休暇とし、残りの2日に関しては出勤してもらうのもありです。

丸々ずっと休むだけが選択肢ではなくて、週に3日は特別有給休暇で休んでもらい、助成金の支給対象にして、週に2日は従来通り出勤してもらう。このような勤務シフトというのもあり得ます。

出勤した場合は、先ほどのように給与が加算されるわけですから、必ずしも悪い話ではないでしょう。

約1ヶ月間ほど、ずっと特別有給休暇で休ませてください、と言われれば、「それはちょっと難しいなぁ」と反応されやすいもの。

しかし、「週に3日は休んでもらって大丈夫だけれども、週2日は出勤してもらいたい」という条件を提示すれば、調整をしやすいのではないでしょうか。

さらに、学校に通う子供がいない従業員に対しては、給与を加算する。

このような代案を用意しないと、出勤する人は満足しません。

従業員側の都合は大事ですが、企業側にも同じように都合があるわけですから、この両者をどのようにすり合わせていくかが労務管理での考えどころです。

保育園や小学校が休業するとしても、2週間とか1ヶ月といった長期になることは多くないようで、数日で休業期間が終了する傾向があります。

ただ、1回で休業が終わるわけではなく、先週は2日の休業があったけれども、今週は3日の休業があるみたいな形で、数日間の休業が繰り返されるのが学校休業の特徴です。

仮に、3日間休業するとすれば、その3日間、休業した人をフォローする人たちを指定して、そのフォローする人たちの給料を上乗せする、もしくは特別な手当を付けて、休業者のフォローに回る際のインセンティブを用意します。

休んだ人の仕事を自分達にまわされて、仕事が増えたにも関わらずいつもと給料が変わらないとなると、休まれると迷惑、なんで自分たちの仕事が増えるんだ、と不公平感が出てきます。仕事が他の人から回ってきて増えたとなれば、それ相応の待遇を用意しなければいけません。 

 

平日と土日祝日で出勤する人を分けるのも一案

小学校休業等対応助成金の対象となる日は、学校が休校になる日ですから、もともと学校が休みになる日は助成金が出ません。

学校が休みの日は助成金の対象外になるということは、土日祝日は助成金の対象外なのですから、土日祝日だけ子持ちの従業員に出勤してもらうのもいいでしょう。

平日は特別有給休暇で休むとして、土日祝日は出勤してもらい、他の従業員と勤務シフトを調整するのです。

平日は、子供を持たない人が主に出勤し、さらに給与も加算する。

週末の土日や祝日は、子持ちの従業員が主に出勤し、それ意外の人は休む。

このように従業員の間のバランスを取るのも、労務管理で必要な取り組みなのです。

 

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