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学校が休校になって、保護者が休むと、給与はほぼ全額補助に。

 

大盤振る舞い

 

 


自分が持っている年次有給休暇が減るわけではない。

新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度)について(厚生労働省、2020年3月2日)

学校に対して、休校するよう要請を出し、保護者が有給休暇を取りやすくなるよう事業主に配慮を求める、との内容(筆者の記憶では)を安倍首相が国会で言っていたのがニュース番組で報道されていました。

その発言部分だけを切り取って報道されてしまうと、さも自分が持っている年次有給休暇を、半ば強制的に使わせられるんじゃないか、という風に受け手に解釈されてしまいます。

実際に、そのように解釈して、誤解してしまう人も出てきているのが実情です。

誤解されているのは、自分が持っている年次有給休暇を使わせられるのではないかという点ですが、実際はそうではありません。

報道する方も、単に「有給休暇」というフレーズのまま報道してしまうのではなく、補足説明で、「法定の年次有給休暇とは別に、特別な有給休暇を付与することを求めたものである」と付け加えておかないと、見た人や聞いた人が誤解してしまいます。

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持っている年次有給休暇は減らない。

メディア側が報道する際に、補足説明を怠ったがゆえに、情報を受け取った人たちが誤解してしまったのが実際のところではないかと思います。

『小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援 別紙』では、「労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金」と書かれています。

特別有給休暇で休んでもらい、その給与を補助するのが助成金支給の条件となっていると分かります。

この特別有給休暇は、法律に基づいて付与される年次有給休暇とは別のものです。

法律で付与される年次有給休暇を取得した場合は、助成金の対象外になるため、特別有給休暇で休む必要があります。

「有給休暇で休んでもらう」という言葉だけ聞くと、持っている有給休暇を強制的に使わせるような感覚になりますが、助成金を受給する条件で求められているものではありません。

特別有給休暇が助成金の対象になるならば、あえて法定の年次有給休暇を残しておき、特別有給休暇だけで休んで、助成金を受給するのもいいのでは。

 

 

休業中の給与が全額補助される場合もあり得る。

助成の対象になるためには、特別有給休暇を別途で設ける必要があり、本人の年次有給休暇を使うと対象外になります。

年次有給休暇の取得義務化に対応するために、「本人の有給休暇を使わせちゃえばいいんじゃないか」というのでは助成の対象にはなりません。また、本人の希望による休みではありませんから、使用者の判断で休ませると、使用者の責任による休業となり、休業手当が必要になります。

対象は、小学生以下の子供を持つ従業員。小学生だけでなく、幼稚園や保育園、認定こども園なども対象になり、小学生以下の子供を育てている従業員は広く対象になると考えていいでしょう。

助成の対象になる期間は、2020年の2/27から3/31まで。約1ヶ月ほどです。

フルタイム社員だけでなく、パートタイマーも対象になります。

助成金の額は、1日あたり上限8,330円。この数字だけを見ると、大したことがないように思えますが、この助成金の特徴は、8,330円までならば全額を支給するところにあります。

給与の一部を補助するのではなく、8,330円までは全額補助になる。ここが雇用調整助成金とは違うところで、8,330円までならば、企業側に負担はありません。雇用保険や社会保険に加入していると、その半分は企業に負担がありますが。

公的保険料の負担を免除するのか、企業側の負担は通常通りにするのか。ここもまだ決まっていないところです。会社が助成期間が約1ヶ月であり、長期間ではないため、雇用保険料と社会保険料については通常通りになるとも想定できます。

特別有給休暇中の給与を60%以上に限らず、100%支給にしても、1日8,330円以内ならば全額が助成金カバーされますから、通常通り働いた場合と同額の給与を支給してしまうのもありです。

例えば、1日の給与が7,000円だった場合、8,330円以内なので、7,000円全額が公的に補助されます。そのため、企業側の負担はありません。

1日の給与が10,000円だった場合は、8,330円を超過した額は企業側で負担します。

パートタイマーの給与は、人によって違うでしょうが、1日あたりだと8,330円以内の方は多いのではないかと思います。

雇用調整助成金とは支給額が違うのが特徴です。保護者向けの助成金は、原則、給与の全額を補助するのがポイントです。

小学生にとってみれば、春休みが前倒しになって、夏休みがもう1回来たような状態です。

コロナウィルスが怖いという気持ちよりも、春休みが長くなって嬉しい気持ちのほうが勝っているのではないかと思います。

保護者は、給与が出て、休みになり、持っている年次有給休暇も減らないのですから、悪い話ではありません。

とはいえ、子供の学校が休みになったからといって、仕事をすぐに休めるような人ばかりではないでしょう。

こんな良い条件で助成金が出るのは稀ですから、条件にあてはまり、仕事を休めるならば、ぜひとも利用したいところです。

 

 

小学生で留守番をするのは普通のことだった。

学校が臨時休校になり、保護者が休むケースもあるでしょうが、子供に留守番をさせる人もいます。

小学生ぐらいの子供を留守番させると、「カギっ子」と言われ、さも悪い事のように話されるのですが、小学1年生になったら、鍵を持っていないと不便です。

筆者が小学生だった頃、留守番をするのは当たり前でしたが、自宅の鍵を持っていないと、帰宅時に家に入れませんから、いつもランドセルに鍵を入れていたのを覚えています。

1人でいる方が楽しい時間も多いですし、テレビを見てもいいし、ゲームで遊んでもいい。漫画を読んでも、外に出てもいい。友達と出かけてもいい。今思えば、やりたい放題だったのです。

幼稚園や保育園に通う、小学生未満の子供ならば、保護者が見ていないといけないでしょうが、小学生になったらもう常に保護者がいなくてもいいのでは。

もちろん、誘拐や事故など、ある程度のリスクはありますが、それは中学生でも高校生でも同じです。

小学生に対して過度な保護をかけすぎではないかと。

カギっ子という言葉からネグレクトを連想する人もいそうですが、親は親でやることがありますし、子供は子供でやりたいことがありますから、小学生以降はカギっ子のほうが都合がいいのです。

 

 

保護者向けの助成金を申請する手続きはどうなるのか。

申請窓口や必要な書面がまだ準備されていませんが、まもなく用意されるのだろうと思います。

雇用調整助成金の休業計画届が事後申請できるようになっていますから、保護者向けの助成手続きも、事後的に受け付けていくのでしょう。

出勤簿や賃金台帳に記録しておき、後ほどの申請に備えておくといいでしょう。

2020年3月6日時点では、助成制度を創設するとの案内だけで、申請書のフォーマットはなく、添付書類や申請期限も決まっていません。

事業所では、特別有給休暇を付与して休ませたという記録を残しておく必要があります。また、出勤簿、賃金台帳、労働者名簿、従業員と子供の関係を証明する書類(住民票の写し)も必要になるのではないかと思います。

2月27日から3月31日までの出勤記録や賃金の記録をきちんと残して、後ほどの申請手続きに備えておくといいでしょう。

雇用調整助成金のように、事前に計画届を出す必要はなく、先に特別有給休暇で休んでもらい、その後に、出勤簿や賃金台帳など必要書類を申請書と一緒に提出して、助成金の申請をするという形になるはずです。

ですから、2月27日から3月31日まで特別有給休暇で休ませた、という記録をきちんと残しておく。また、給与明細もきちんと発行しておく。

必要な書類は、雇用調整助成金と似たようなものになる可能性が高そうですが、小学生以下の子供の保護者であるかどうかを判断する書面が必要になるでしょう。

休業した従業員本人と子供との関係がわかる書類といえば、住民票の写しですから、その添付も必要になる可能性があります。マイナンバーカードを持っている方だと、コンビニで発行できます。

3月2日時点では、申請手続きの方法や書類については案内されていませんから、それらを用意する必要はありませんが、事前にこういう書類が必要になるだろう、という予測は立てておきたいものです。

 

『新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金』という名称に

2020年3月9日に助成金の詳細が発表され、助成金の名称は、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」になるとのこと。

重要な点なので繰り返しますが、この助成金を受給するには、法律に基づいて付与される年次有給休暇とは別枠で、特別有給休暇を取得させることが条件になります。

「従業員本人の有給休暇が残っているから、それを使ってもらおう」と考えると、間違います。

学校や保育園、幼稚園などが臨時休校なり臨時休園になって、保護者が休まなければいけなくなった場合に、収入が減るため、それを補填するのが、この助成金の目的です。

期間は約1ヶ月と短いものの、1日あたり8,330円までは満額で支給される助成金ですから、仮に20日出勤するとして、1日の給与が7,000円だとすると、上限額の範囲内で満額支給になり、14万円が助成金として支給されます。

助成金が支給されるとはいえ、そもそも仕事を休めない方もいらっしゃいますから、ここは企業や個人ごとに対応が分かれるところです。

小学生の子供だったら、1人で留守番する子も少なくないでしょうし、祖父や祖母、親戚の人が面倒を見てくれることもあります。

助成金が支給されることと仕事を休めるかどうかは別の問題です。

いつ申請するのか。必要な書類は何か。この点はまだ決まっていないようですが、おそらく休業期間の3月31日が経過して、4月以降に事後申請する形になるのではないかと思います。

必要な書類は、申請書、出勤簿、賃金台帳、休業した保護者の住民票の写し(保護者と子供の関係を証明するもの)などが必要になるはずです。

 

小学校休業等対応助成金を申請する手続きの詳細

令和2年(2020年)3月18日より、小学校休業等対応助成金(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金)を申請する手続きの受付を開始しています。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金を申請する際の必要書類や支給申請書

申請期間は、3月18日から6月30日まで。なお、助成金が支給される対象となるのは、令和2年2月27日から3月31日までの期間です。

申請は法人経由で行い、従業員個人では手続きできず、事業所単位でもありません。本店と複数の支店に分かれている会社の場合は、本店で申請をまとめて、一括で申請します。

法定の年次有給休暇を使った日や欠勤になった日を、後から特別有給休暇に振り替えた場合も、この助成金の対象にできるとのこと。すでに欠勤になってしまっている日や、従業員本人が持っている年次有給休暇を使ってしまっても、後からそれらの日を特別有給休暇に変えて、助成金を申請することも可能になっているようです。

申請は3月18日から可能ではありますが、対象期間が3月31日までなので、対象期間が終わってから、最短だと4月1日になりますが、それ以降に手続きをするほうが、申請用の記録をまとめられるのではないかと思います。

6月30日まで申請できますから、4月中に申請するのが良いのでは。特別有給休暇が終わる3月末までの給与を支払い終えれば、休暇を取得した実績や給与を支払った実績を出せますので、手続きもスムーズに進むでしょう。

子供との関係を示す住民票の写しは必要なく、小学校が臨時休校になったと確認できる書類(学校からの通知やお知らせプリントなど)で足りるようです。

日額8,330円までは全額が助成されるものですから、3月末まで特別有給休暇を取れる職場ならば、ぜひ利用したい助成金です。

子供が休みになったからといって、親がすんなりと休める方は多くないかもしれませんが、給与がほぼ全額補助されて、仕事を休める助成金など今までありませんでしたから、特別有給休暇を取って休める職場ならば利用してみてはどうでしょうか。

 

 

追記(2020年3月31日):対象期間が6月30日まで延長に。

3月末までの休業が対象となっていた新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金ですが、期間を延長し、4月1日から6月30日までの期間も助成の対象となります。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の延長について

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金とは、子供の学校が休みになり、その親が仕事を休んだ場合に対象となる助成金です。

事業主が対象の従業員を特別有給休暇で休ませ、給与を支払うと、その費用を助成金で補助するというもの。

従業員本人が申請するものではなく、特別有給休暇を与えて従業員を休ませた事業主が申請するものです。

1日あたり8,330円までは満額で支給される助成金で、対象となる従業員が休める職場ならば利用したい制度です。

しかし、子供が休校で休みになっても、親が特別有給休暇で休めないと助成金の対象になりませんから、職場や業種によって状況が異なります。

保護者となる親が仕事を休んでも支障がない職場ならば、雇用調整助成金を利用するよりも有利な助成金ですから、積極的に利用したいところです。

学校が休校になり、職場も休業になる。このように条件が整うならば、事業主も申請しやすいでしょう。

子供を持つ保護者を特別有給休暇で休ませ、他の従業員には休業手当を出すところですが、休業手当の代わりに特別有給休暇を設けて、全員を同じ扱いに揃えるのも1つの方法です。

 

 

参考:
小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設します(厚生労働省)

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の延長について

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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