国民健康保険と任意継続の健康保険、どちらを選ぶ?
失業して会社員をやめると、健康保険の手続きを行わなければいけませんね。
在職していれば、協会健保もしくは各種の組合健保(業界別、企業別の健康保険)に加入しているでしょうが、退職すると手続きが必要です。
その場合、一般的には、協会健保や組合健保の制度に任意で加入し続ける任意継続制度を利用するはずです。今までと内容を変えずに、そのまま個人で健康保険に加入するのが任意継続制度ですね。
この任意継続制度では、保険料が全て自己負担ですので、在職中のころに比べると保険料はおよそ2倍になります。
ただ、失業したあとに健康保険の保険料を全て自ら負担するのは、ややしんどいものがあります。
ちなみに、任意継続制度では、失業後の所得を勘案して保険料を決めることはなく、在職時の所得を基準にして保険料を決め、そのままずっとその保険料が維持される(最長で2年でしょうか)ので、加入者には負担なのですね。
退職後に健康保険の任意継続被保険者にならずに最初から国民健康保険に加入する
「失業すれば任意継続に加入する」のが一般的だったものの、平成22年4月より「国民健康保険料(税)を軽減する制度」というものが設けられ、今までの流れを変える可能性が出てきました。
退職、倒産、廃業、営業不振等にかかる減免(要申請) 大阪市
市町村ごとに国保は分かれていますので、住んでいる市町村のウェブサイトで検索すれば同様の内容が出てくるはずです。
この制度は、失業以前に比べどれだけ所得が減ったかを基準に、国民健康保険の保険料が低くなる(減免)ようにする仕組みです。
具体的に言うと、在職中の収入が800万円だった人は、そのまま健康保険の任意継続税度を利用すると、800万円を基準にした保険料を支払います。一方、今回の軽減制度を利用して国民健康保険に加入すると、仮に、失業前の30%まで所得が減ったとすると、減免率は70%になり、800万円×(30/100)=240万円を基準に保険料が計算されるわけです。
「800万円を基準にした保険料」と「240万円を基準にした保険料」を比べれば、後者の方が保険料は低くなりますよね。
それゆえ、失業したら「健康保険の任意継続」を選択するよりも、「国民健康保険」を選択する方が有利になる場合もあります。
軽減期間は「1年+α」で、この期間を過ぎると軽減扱いはなくなりますが、1年以上の期間があれば所得の実績もできあがりますので、以前のように保険料が大きく上昇することはないはずです。
倒産や解雇で失業した方は、ぜひ「国民健康保険料を軽減する制度」を利用することを検討してください。もちろん、任意継続被保険者になるか、国民健康保険に入るか、両者を比較して判断するのは必須ですが。