計画付与と時間単位有給休暇は同じなの?
平成22年4月より労働基準法が新しくなり、時間単位の有給休暇が公式に認められました。
以前からも、半日単位や時間単位の休暇は企業ごとに任意で実施されていましたが、公に認めたのは今回からですね。
ただ、時間単位の休暇は「1年に5日まで」という制約があるのですね。
なぜ、「5日まで」というように限定したのでしょうか。
何日でも時間単位で使っても構わないように思えるのですが、あえて制約を課したのはなぜなのでしょう。
制約を課すからには、無制約では何らかの不都合があると考えているのかもしれませんね。
しかし、時間単位で休暇を使うことにどのような不都合があるのでしょう。
時間単位で休暇を使うこと企業が求めることは考えにくい。
ご存知のように、計画付与の休暇には制約があります。
「5日を超える部分のみが計画的に消化できる休暇である」と労働基準法では決めていますよね。
計画付与の休暇がなぜこのように制約されるのかというと、自由に使えるはずの休暇を会社の計画で消化してしまうので、何らかの制約を課さないと、働く人に不都合だからです。
それゆえ、5日を超える休暇部分のみを計画的に消化でき、一方、5日未満の休暇は計画的に消化できないように制約されているのですね。
要するに、休暇の計画消化は企業側の都合で実施されるので、法律で制約しているわけです。
では、時間単位の休暇はどうか。
もし、日数の制約なく時間単位で休暇を使える状態になれば、どのような不都合が起こるでしょうか。
働く人に何か困ったことが起こるでしょうか。
おそらく、何も起こらないのではないかと思います。
なぜならば、制約なく時間単位で休暇を使える状況になったとすると、働く人には好都合でしょうから、あえて法律で制約を課すこともないのですね。
さらに、企業が時間単位で休暇を使うことを強制することはあり得ないでしょうから、この点でも法律を使う必要はないでしょう。時間単位で休暇を使うと、休暇日数の管理が面倒になりますから、企業は時間単位の休暇を強制するどころか、むしろ避ける傾向があるのではないかと想定できます。
1日単位で休暇を使うことを求めるならばあり得ますが、時間単位で休暇を使うことを企業が求めることは考えにくいのですね。
ならば、法律で保護するような対象はなく、「1年で5日までしか時間単位で休暇を利用できない」という制約も不要だろうと結論できます。
「計画付与の休暇」と「時間単位の休暇」を比べると、企業の強制があるかないかの違いがあり、計画付与には強制があり、時間単位の休暇には強制はありません。
企業からの制約があるからこそ法律で制約しているのであって、企業からの制約がないならば、法律でも制約する必要はないだろうと思うのです。