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今日のTOPIC
1: 退職した後に雇用保険料を払えるのか
>>>後払いで失業手当は貰えない。
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■■ 退職した後に雇用保険料を払えるのか
■■ 後払いで失業手当は貰えない。
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■2年分の雇用保険料を遡って支払えば受給資格を得られるはず?
会社が雇用保険に加入しておらず、その会社で働く社員さんも、
雇用保険に加入していなかったという前提をまず置きます。
さらに、そこの社員さんが、退職後に2年分の雇用保険料を後払い
で支払えば、失業手当(正式には、雇用保険の基本手当です。
以下、「基本手当」と表記)を受け取ることができると考えて
いるとします。
これは本当でしょうか?
つまり、在職中には雇用保険に加入していなかったので、退職後に
まとめて保険料を支払うから、基本手当を受給したいというわけ
です。
確かに、2年分の雇用保険料を追納すれば、雇用保険には加入
できます。
これは正しいです。
しかし、会社を退職した後に、2年分の雇用保険料を納付すれば、
基本手当を受け取ることができるというのは正しいのでしょうか。
既に会社を退職しているにもかかわらず、個人で雇用保険に加入
するのでしょうか?
確かに、会社が法律に違反して、雇用保険に加入していなかった
のですから、社員さんには責任がありません。
そのため、社員さんに責任がないことを勘案すれば、遡って雇用
保険料を払い、基本手当を受け取れるという道があっても良さそう
ではあります。
しかしながら、個人で雇用保険に加入するという仕組みは有り得
ませんし、後払いで雇用保険料を払って基本手当を受け取れる
となれば、皆さん「雇用保険には後から(失業してから)加入
すればいいんだ」と思ってしまいますよね。
■「被保険者資格」と「受給者資格」は違う。
2年間の雇用保険料を追納して得られる結果は、「被保険者資格を
取得する」ことであって、「受給資格を取得する」ことでは
ありません。
つまり、被保険者と受給権者は別物であって、混同してはいけない
ということです。
雇用保険制度では、時効制度との兼ね合いで、「保険料を追納する
ことで、被保険者になることができますよ」とルールがあるだけ
(これでも特別なことです)であって、基本手当を受給できる
ところまでは確保されていません。
確かに、保険料さえ払えば被保険者にはなれます。
しかし、受給権者になるには、被保険者であった期間が12ヶ月
(もしくは6ヶ月)以上必要ですから、単に被保険者になるのとは
違いがあります。
先ほども書きましたが、退職した後に雇用保険料を支払う余地は
ありません。
前提として、会社に勤めている人が失業した時のリスクに備える
のが雇用保険の機能です。
ならば、すでに退職した人は雇用保険の対象外になりますよね
(会社に勤めていないので、失業することはあり得ないから)。
まして、社会保険と違って、雇用保険料は個人で全額負担する
ことはありませんから、この点でも退職後の後払いができない理由
を説明できるでしょう。
ゆえに、後払いで保険料を支払ったとしても、被保険者になり得る
(在職中に限定)に留まり、受給権者にはならないのです。
■雇用保険の利点は多い。
「失業しなければ払い損になるのが雇用保険料」と思っている方も
いるでしょうが、それは理解不足です。
雇用保険の利点は失業への備えだけではありません。
ご存知のように、各種の助成金を受け取るには、雇用保険に加入
していることが条件になっているのが大半です。
今現在ならば、中小企業緊急雇用安定助成金が例として適切で
しょうか。
この雇用安定助成金も、雇用保険に加入していることが前提に
なっています。
その他の助成金も、雇用保険に加入していることを前提にしてる
ことがほとんどです。
他にも、「教育訓練給付金」も雇用保険に加入している人だけが
使える制度です。
また、失業期間中に病気に罹患したり怪我をすれば、「傷病手当」
があります(健康保険とは別枠で、雇用保険から支給されるん
ですね)。
さらには、高年齢雇用継続基本給付金(60歳以降も雇用継続する
際に使える制度)も雇用保険から支給されるものです。
また、育児休業のときに使える「育児休業基本給付金」も雇用保険
から支給されるものです。介護休業のときに使える「介護休業給付
金」もありますね。
あれこれと給付されるポイントがちりばめられていますので、制度
を上手く使って、雇用保険料をキャッシュバックしてもらえれば、
一概に払い損とは言えないのが雇用保険です。
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