収入に連動するのが社会保険料だが、、
2015年12月現在、健康保険料率は約10%、厚生年金の保険料率は約18%です。
ざっと収入の28%が社会保険料として収入から持って行かれます。収入に連動して社会保険料も増えていきますが、例えば収入が10倍になったら、社会保険料も10倍になるのでしょうか。
ここに、月収50万円の遠藤さんと月収500万円の藤田さんがいるとします。両者の収入差は10倍ですが、では社会保険料も10倍の差になるのでしょうか。
「収入に連動するのが社会保険料なのだから、収入が10倍ならば社会保険料も10倍だろう」と考えるのか。それとも、「収入は確かに10倍だけれども、社会保険料は必ずしも10倍にはならないだろう」と考えるのか。
どちらでしょうか。
税金に上限はないが社会保険料には上限がある
結論から書くと、社会保険料は10倍にはなりません。
まず月収50万円の人の場合、厚生年金の保険料は、料率18%だとすると、9万円です。これを会社と折半して支払います。
一方、月収500万円の人の場合、厚生年金の保険料は、料率は前者と同様に18%ですが、金額が違います。500万円の18%だと、保険料は月額90万円になりますが、実際は違います。
厚生年金の保険料は標準報酬月額のテーブルによって予め決まっており、月収60万5千円以上になると、厚生年金の保険料は月額11万円程度で固定されます。
厚生年金の保険料表
つまり、月収60万5千円の人と月収500万円の人の厚生年金保険料は、どちらも月額11万円程度で同じ額なのです。
月収500万円で厚生年金の保険料が11万円だと、収入に占める厚生年金保険料の割合はわずか2%ちょっとです。表面上の保険料率は18.3%ですが、実質の保険料率は2%程度まで下がります。
月収50万円だと18.3%になり、月収500万円になると約2%まで厚生年金の保険料は実質的に下がるわけです。
厚生年金だけでなく、健康保険でも同様です。
健康保険料を調べるための計算プログラム
健康保険の場合は、月収135万5,000円以上になると、毎月の保険料は14万2,058円(大阪府の場合)に固定されます。
つまり、月収135万5,000円と月収500万円の人の健康保険料は同じ額なのですね。
月収50万円だと、健康保険料は10%なので月額10万円です。一方、月収500万円になると、健康保険料は月額12万円程度で固定されます。驚くべきことに、収入は10倍違っていても、健康保険料はわずか月額で2万円しか差がないのですね。
税金に上限は無いが社会保険料には上限がある。
ちなみに、税金には上限がないものがほとんどです。金額に上限を設定している税金もあるかと思いますが、珍しい方でしょうね。
税金で税率20%というと、そのまま20%が税金です。上限額を設定しないので、金額は青天井です。
50万円の20%ならば10万円です。500万円の20%ならば100万円です。税金は上限額を設定しないので、政府は徴税権を行使してザクザクとお金を集めることができます。
社会保険料や雇用保険料は、制度が改正されると保険料が変わるので、それに応じて給与計算も変えていかなければいけません。しかし、変更された保険料で正確に給与計算ができず間違ってしまうこともあります。自動で保険料を計算してくれる給与計算ソフトなら、手計算のような間違いも起こりません。
労働時間に合わせて基本給だけを払っていれば給与計算が済むわけではなくて、基本給以外にも色々な手当がありますし、雇用保険や社会保険の保険料を給与から控除しなければいけません。さらに、割増賃金を計算するときは、基本給だけでなく手当も含めて計算していかなければいけませんから、手作業で計算していると、時間や労力を大きく奪われるのが給与計算です。
本来やるべき仕事に時間や労力を注ぐのが商売の鉄則ですから、周辺業務はなるべく省力化するのが賢明です。雇用保険や社会保険の保険料も自動で計算して、給料を計算してくれるサービスがあるわけですから、使わないという選択肢はないはずです。洗濯物を手で洗うような人はもはやいないと言っても過言ではありませんし、全自動洗濯機に洗濯物と洗剤を投入して洗うのが当たり前になっています。給与計算も手作業でやるものではなく、自動で計算できる給与計算サービスを使うのが当たり前と考えるべきではないかと。