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健康保険の毎月の保険料と自己負担割合の組み替え

健康保険料の決め方



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■健保の基本保険料と利用料の組み替え◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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利用時の負担を増やすのが得策。
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■「使わない状態の費用」が負担。

健康保険では、保険料を毎月一定の額で支払う仕組みになっていますよね。社会保険料算定で決まった標準報酬月額に基づいて毎月の健康保険料が決まります。国民健康保険でも市町村で似たような処理を行います。

さらに、毎月支払う保険料とは別に、利用ごとに負担する利用料もあります。所得に応じて1割から3割で、治療や診療を受けると利用料を負担します。

上記の「基本部分の保険料」と「利用料」の2つが健康保険を使う際のコストです。基本部分の保険料が固定費、利用料が変動費と考えても良いだろうと思います。


このように健康保険では2段構造の負担になっているのですが、ちょっとした歪みがあります。それは、「健康な人ほど負担を感じる仕組みになっている」という点です。

もちろん、健康保険は公的な医療保険ですから、全員が加入すべきではあります。ただ、健康な人とそうでない人が同じ負担であるというのはいささか不公平ではないかと思います。

「健康な人は経済力も高いから、より多くの負担をすべき」という意見もあるかもしれませんが、健康な人ほど負担を感じる医療保険というのはいびつな感覚を招くはず。健康ならば負担も軽くなる仕組みになるのが健康保険ですから、健康保険は変わった医療保険なのですね。






■基本保険料と利用料の組み替え。

健康保険の基本保険料は、健康かどうかによって変わるものではなく、所得に応じて変わるようになっています。所得の高い人はより負担も多くというわけです。

所得に応じた負担というのは確かに納得を得やすい仕組みなのかもしれませんが、健康保険に限って言えば納得しない人も多いのではないでしょうか。

そのため、私は基礎保険料を下げて可処分所得を増加させるべきだと思います。

具体的には、基本保険料を下げ、一方で、利用負担割合を上げて、基本負担部分と利用負担部分の組み替えをするという仕組みです。

基本保険料が下がると、可処分所得が増えますから、消費の増加につながるでしょう。一方、健康な人もそうでない人も基本保険料が同じであると、健康な人は保険料を負担に感じますから、消費を減退させます。

要するに、「入りを減らさないで、出て行くときに課する」という方針です。


ただ、利用負担を引き上げると、病気がちの人へのフォローが必要になります。そこで、医療費控除の枠を広げる、もしくは、高額療養費制度の利用基準を引き下げるという方法が考えれます。

利用時の負担が大きくなるならば、控除や費用補填の仕組みでフォローすれば良いと思います。





■入るときに課さずに出るときに課す。

社会保険だけでなく税金でも同様ですが、所得が入る段階で課金するのではなく、消費として出るときに課金するのが望ましいのは共通しています。


入る段階で課する所得税や法人税よりも出る段階で課する消費税の方が可処分所得を減らしにくいですし、管理も簡単なのです。


入ってくる部分に課税しようとするから、節税しようなどと試みる人が出てきたりするし、脱税もあるわけです。

個人ならば経費を膨らませて所得を減らすこともあるでしょうし、法人ならば決算前に経費を膨らませ利益を減らして法人税の額を減らすこともあるでしょう。


このように所得税や法人税をなるべく回避しようと試みる人が出てくるのですから、税務署も所得をキチンと捕捉しようと手間をかける必要があるのです。


会社員や公務員ならば源泉徴収できるが、それ以外の人の税金を上手く回収できないのは暗黙の事実です。

政治家の所得など1割ぐらいしか捕捉できないとも言われますし、自営業者も所得を把握するのも容易ではないでしょう。銀行振込のように資金が動いた記録があれば把握もできるのでしょうが、ハンドキャリーでお金を動かせば第三者が把握するのは難しくなります。


ゆえに、入る部分で課するのは不毛なコストが発生しやすいのですね。

そのため、出ていく部分に課税する消費税を税の主体にしようと試みるわけです。


所得税や法人税を節約する人であっても、モノを買うときには消費税を必ず支払いますから、回収が簡単なのです。また、税金を払う人と受け取る人が個人や企業同士ですから、お互いにチェックするという機能も期待できます。受け取った側が払った税をキチンと納めていないと、支払った側が「税金を着服している」と指摘しますから、政府が介入せずともチェック機能が稼働するのではないかと私は思います。たとえ税金でも支払う側は自分の金だと思っていますから、消費税を支払う人は政府の代理としてチェックするのではないかという目論見です。


端的に言えば、所得税と法人税を引き下げた分を消費税で回収するという仕組みがあれば良いわけです。


健康保険でも、健康保険の基本保険料を下げて、その下げた分を利用負担部分で回収するのが良いだろうと私は考えます。

基本保険料のウェートが高いままだと、「使わなきゃソン」という妙な価値観が生まれてしまい、余分に薬をもらったり、湿布薬やうがい薬を余分にもらったりする人も出てきてしまうのです。

また、保険料をタップリ払っているのだから、たとえ不健康になっても大丈夫という思いも誘引するのではないでしょうか。お酒を過分に飲んだり、必要以上に食べたりと不摂生をすることに対しての抵抗意識が薄れるのではないかと思うのです。



健康を促進するためにも、基本保険料と利用負担の組み替えが有効ではないでしょうか。




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