離職後の健康保険をどうするか
離職した後の健康保険には3つのパターンある。1,協会けんぽに任意継続で加入する。2,被扶養者になる。3,国民健康保険(以下、国保)に加入する。左記の3つが選択肢として考えられるかと思います。
今回は、被扶養者を除き、任意継続と国保を比較し、どちらを選択すると良いかどうかを考える。
会社員として協会けんぽに加入していると、退職後は任意継続を選択肢がちですが、他にも選択肢があることを知っておくといいかもしれませんね。
健康保険の保険料を決める際には「標準報酬月額」という数字を使います。毎月の給与額に応じて標準報酬月額のランクは分けられていて、どれぐらいの報酬月額の場合に標準報酬月額の数字はどうなるかはあらかじめ決まっています。
下記のページで自分の標準報酬月額の等級を確認してみてください。
健康保険 標準報酬月額 簡易閲覧表
都道府県を選択すると、都道府県ごとの等級表が表示されます。勤務地の都道府県を選択してください。都道府県を選択すると、右の「折半」の欄に表示される数字を給与明細の数字とすり合わせてみてください。ピッタリと合う数字があるはずです。その数字の列を左に見ていけば、自分の標準報酬月額等級が分かります。
例えば、給与が430,000円の人ならば、報酬月額の425,000 ~ 455,000のところを探す。その列の右端が折半額で「21032」となっている(21,032円を意味している)。さらに、その列の左端を見ると、28と書かれているので、標準報酬月額の等級は28級となる。また、標準報酬月額の数字は440,000円です。
健康保険を任意継続すると、標準報酬月額は在職時と同じで、保険料は折半負担から全額負担になり、額は2倍になると思われるかもしれません。しかし、必ずしも在職時の標準報酬月額のままであるとは限りません。とはいえ、折半負担から全額負担に切り替わるので、以前より保険料は増えることはほぼ間違いないはず。
国民健康保険と任意継続健康保険を比較して決める
任意継続被保険者の情報は協会けんぽのウェブサイトにまとまっています。
「(3)保険料の額」という項目の内容を読むと、標準報酬月額は28万円が上限であることが分かります。「ただし、退職時の標準報酬月額が28万円を超えていた場合は、標準報酬月額は28万円です」と書かれている部分が見つかるはずです。
任意継続の標準報酬月額は在職時の水準が維持されるのが原則なのですが、上限が設定されているのですね。
上記で提示した例を使うと、標準報酬月額の数字は440,000円でしたので、この人が離職して任意継続で健康保険に加入するとなると、標準報酬月額の数字は440,000円から280,000円に変わります。となると、保険料も21,032円(在職時なので折半負担)から26,768円(退職しているので全額負担)に変わります。お分かりと思いますが、折半負担から全額負担に切り替わっているので、標準報酬月額が低くなっても保険料の額は上昇しています。ちなみに、標準報酬月額280,000円は等級では21級ですね。これも先ほどのウェブサイト(健康保険 標準報酬月額 簡易閲覧表)で確認できます。
なお、在職時の標準報酬月額が280,000円以下の人は、離職しても標準報酬月額はそのままです。
一方、国保では、いわゆる倒産や解雇、雇い止めで離職した人への負担軽減制度があります。
「倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置の創設及びハローワーク等での周知について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004o7v.html
前年所得の給与所得を、30/100とみなして費用負担を計算するので、おそらく折半負担時よりも低くなる可能性もあるかもしれない。
健康保険の保険料と国保の保険税では、一方が「保険料」でありもう一方が「保険税」なので表現が違います。さらに、計算方法も違うので、単純に比較はできません。国保の方が負担が軽いとは言い切れないし、任意継続の方が負担が大きいとも言い切れない。
所得を証明する書類を持って、市町村の国民健康保険窓口に行くと負担額を試算してくれると思いますので、離職が決まったら窓口で計算してもらうといいでしょう。
任意継続の手続き期限は健康保険の資格喪失日から20日以内なので、時間は十分にあるかと思います。