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┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/12/18号 no.151)━
最近固いものを食べていない気がします。
というわけで、スルメを買いました。
「噛むならスルメ」、、、何と単純なのか。
■休暇の付与時期を固定するのは有用◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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「時季を変更できる期間」と「時季を変更できない期間」を分ける
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■どんな条件で使う仕組みなのか。
ご存知のように、有給休暇というのは社員さんが原則として自由に使える休暇です。
ただ、休暇を取得されると仕事が進まなくなるなどの会社の都合によって、休暇を取得する時季(妙な感じですが、「時期」ではなく「時季」と表記します。ミスタイプも起こりやすい)を変更することも可能です(労働基準法39条4項より)。いわゆる時季変更権というものですね。
確かに、いつでも休暇を使えるとなると、もし繁忙期に休暇が重なってしまったら会社も困ります。そのため、会社の判断で、休暇を利用する時季を変えることが可能なのですね。
しかし、時季を変えるといっても、いつでも変更できるとなると、これは不都合です。
自由に休暇を取得できるのも確かに不都合なのですが、他方、自由に時季を変更できてしまうのもまた不都合ですよね。
「休暇を利用するかどうかは時季変更権でコントロールされてしまうけれども、時季変更権そのものはコントロールされないのですか?」という疑問を抱く人も少なからずいるかと思います。
確かに、ごもっともな疑問です。
自由に休暇が取れないならば、他方で、自由に変更できないという仕組みがあっても良いのではないかという判断ですよね。
そこで、今回は、「時季変更権をコントロールすること」がテーマになります。
■いつでも変更できるから困る。
時季変更権のアキレス腱は、「会社の判断でいつでも時季変更できてしまう」という点です。
中には、「時季変更権という名目ならば、いつでも変更できるのですか?」と不満を持つ社員さんもいらっしゃるはずです。
もちろん、すべての会社が時季変更権を乱暴に使うというものではないですから、どうしても都合が悪いときに限定して休暇の時季を変えてもらっている会社がほとんどだろうと思います。
ただ、労働基準法39条4項では、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と書かれているだけですから、時季変更権を使う際の条件は設定されていないわけです。
条件がないということは、やや強引ながら「いつでも使うことが可能」と解釈することも可能ですよね。ここが39条4項の穴になっているのですね。
そこで、せめて「時季変更権を使う際の条件」を設定していれば、社員さんが不満を持つことはないでしょうし、会社も対応に困ることがなくなるのではないかと思います。
■「変更できる期間」と「変更できない期間」を固定してしまうのはいかが。
具体的には、「時季変更する期間」と「時期変更しない期間」を分けるという仕組みになります。
例えば、ある会社で、休暇を取得されると仕事に支障が出る期間が3月と8月と12月の3ヶ月だとすると、この3ヶ月だけは常に時季変更を行っている状態にして、休暇の取得を認めないとするわけです。つまり、固定的に時季変更権を使うのです。
ただ、このままだと会社と社員さんの間でバランスをとることができません。
そこで、3月、8月、12月以外の月には、会社は時季変更権を使わないと決めるのです。つまり、1月、2月、4月、5月、6月、7月、9月、10月、11月の9ヶ月間は時季変更の制約を受けることなく休暇を取得できるとするわけです。
制約を受けるのが3ヶ月、制約を受けない期間が9か月ですから、社員さんにとっては都合が良いのではないかと思います。また、会社にとっても、その都度ごとに時季変更の交渉をする必要がなくなりますから、悪い仕組みではないはずです。
ただし、上記の9ヶ月間は制約なく休暇を取得できると決めてしまうと、もしその9ヶ月間の間に仕事が詰まってきたら困りますので、ペナルティ付きで時季を変更できるようにするのはどうでしょうか。
9ヶ月の間は時季を変更できないにもかかわらず変更するのですから、例えば変更された休暇中の給与を10%増しにして、会社へのペナルティにするわけです。
上記のようにすれば、時季変更権をコントロールしながら、会社と社員さんの間を調整できるのではないかと私は思うのですね。
ただ、上記のような固定された時季変更権が法的に有効なものかどうかを検証することはやや難しいのですが、社員さんへの制約が3ヶ月で、会社への制約が9ヶ月ですから、あながち否定されるような仕組みでもなさそうです。
会社独自のルールとして通りそうとも思えるのですけれども、どうでしょうか。
では、もし上記のように時季変更権を固定できない会社ならばどうするか。
その場合は、時季変更されたときに変更後の時季をキチンと決めておくのがミソです。
なぜ変更後の時季を決めるかというと、時季変更は1回しかできないからです。つまり、1度休暇の時季を変更すれば、その変更された休暇を再度変更することはできませんので、変更後の休暇日程を決めてしまえば休暇は確定するという流れなのですね。
それゆえ、もし休暇の時季を変更されたときは、変更後の休暇日程をキチンと決めるのが良いでしょう。曖昧に「休暇はまた今度に」ではなく、「何月何日」と決めてください。
ゆえに、時季変更権に何らかの条件を付けたいという要望は少なくないのではないかと私は思うのです。
特別条項付き36協定のように、あそこまで細かく制約する必要はないのかもしれませんが、何らかの制約が時季変更権には必要ですよね。
┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記 ★☆━━━━━━━━━┓
レスリングに吉田沙保里という選手がいますが、彼女は負けたことがあるのでしょうか。
私の知る限りでは、全戦全勝ではないかと思っているのですが、もはや鉄人ではないかと思うのです。
もちろん、全く負けたことがないというわけではないのでしょうけれども、何だか負ける選手には感じれないのです。
何も負けろというわけではなく、「勝つ効用」について教えてもらえているような気がするのです。
「負けたけど良い経験だった」と発言する人は少なくないのですが、私はこの発言にはあまり賛成しません。
負けて経験を積むよりも、勝って経験を積む方が気持ちが良いはずです。
好んで負ける人などいないのですから、やはり勝って経験を積んでいくべきです。
ボクシングの亀田興毅選手も同様です。
彼には負けずに経験を積んでいって欲しいと私は思っています。
"自信"というのは、勝つことでしか手に入れられない経験ですからね。
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