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会社はいつ大企業病になるのか
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100%感染する病気なのか 成長の証拠なのか
辞書に載っていないかもしれませんが、「大企業病」という言葉は社会的に認識されています。
ただし、認識されているとはいえ、その定義は確立されていません。人によって大企業病の定義は異なり、何を基準に大企業病と判断するかは一様ではありません。
業績が良いことから「もう安心だ」と自己満足に陥る状態を大企業病と見なすのか、過去の成功に安住し、将来も成功すると考える社内の風潮が大企業病なのか、あるいは労働組合の規模が一定以上になることが大企業病の指標なのかは、客観的には明確ではありません。
管理部門の拡大や決済に時間がかかるようになることも、大企業病の兆候かもしれません。
組織が大きくなると、ある程度は大企業病に罹患します。小規模な組織では資源を主業務に集中しますが、組織が成長するにつれて、主業務以外にも資源を分散させるようになります。これは、組織が大きくなると、主業務を支えるために他の部分にも資源を投入する方が合理的だと判断されるためです。
キチンとした組織だから権利と義務が跋扈する
組織を管理する理由は、仕事をスムーズに進めるためです。
例えば、飲食店に調理マニュアルがなければ、効率的な仕事は難しいでしょう。シーザーサラダのドレッシング量やラーメンのタレの量、焼き鳥の調理時間、麺の茹で時間など、これらの分量や時間を個々の判断に任せてしまうと、作業は滞る可能性が高いです。
調理マニュアルは、「最も美味しい料理を最も簡単に作る方法」を定めた手順であり、これに従うことで作業は容易になり、料理の品質も一定に保たれます。
また、雇用契約書がない場合、仕事はスムーズに進むでしょうか。小規模な組織では契約書なしで雇用契約が成立することもありますが、これは便利な一面と同時に不便さも伴います。「来週から来て」という口約束で雇用契約を結ぶことは可能で、雇用者にとっても働く人にとっても都合が良いかもしれません。
しかし、このような非公式な契約は、後で内容を確認するのが難しくなり、書面に残っていないと内容が変更されるリスクもあります。縁故採用の場合、契約内容を明確にすることはさらに困難です。親戚や友人のつてで就職した場合、契約内容をはっきりさせようとすると、相手に信用されていないと思われるリスクがあります。経営者が親族であれば、契約内容に問題があっても指摘しにくいでしょう。
縁故採用であっても、雇用契約を文書化すれば、このような問題は避けられます。「親しき中にも礼儀あり」ということわざが示すように、お互いに親しい関係であっても、雇用者と被雇用者としての関係では、契約を明確にすることが重要です。
調理マニュアルや雇用契約書は、仕事を簡単にするために存在します。それらは仕事を複雑にするためのものではありません。
しかし、「これは義務です」「これは義務ではありません」「これは権利です」「これは権利ではありません」といった言葉が多用されると、組織に問題がある兆候かもしれません。義務も権利も適切に対処する必要がありますが、過度な主張は制御が必要です。
労務管理では、有給休暇の取り扱いにおいて、権利が過剰に主張されることがあります。有給休暇を確実に取得できない環境が多いため、社員の権利主張が強くなるのは理解できますが、過剰な場合もあります。
例えば、パートタイム社員が勤務時間の長い日に有給休暇を取る行為です。これは、勤務時間が長い日に休むことで、より多くの賃金を得られると判断するためです。有給休暇の仕組みを理解しているパートタイム社員は、このように休暇を利用するかもしれません。
有給休暇を取得した日の賃金に関しては、労働基準法第39条第6項に規定があり、「平均賃金または所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない」と定められています。したがって、4時間勤務の日に休暇を取得した場合は「平均賃金」または「4時間分の賃金」、7時間勤務の日に休暇を取得した場合は「平均賃金」または「7時間分の賃金」を支払う必要があります。
したがって、勤務時間の長い日に有給休暇を取る行為が問題であれば、平均賃金で有給休暇を取得した日の賃金を計算すれば問題は解決します。
別の例として、有給休暇の取得理由を聞いてはいけないと考える人もいます。確かに、理由を聞くことで休暇が取りにくくなる可能性があるため、聞かない方が良いでしょう。しかし、聞いてはいけないわけではありません。
休暇には時季変更権があり、休暇を取得する理由によって時季を変更するかどうかを決めることができます。そのため、企業にも判断の余地を残すことが重要です。
制約を受ける権利 有限の義務
権利は制約を受けることで成り立っており、無制約の権利は実際には権利とは言えないかもしれません。
憲法は人権を保護する役割を持ちますが、同時に人権を制限する役割も果たします。異なる人々の人権が衝突する場合、妥協点を見つけるためには人権の制限が必要になることがあります。また、「知る権利」がある一方で、すべてを知ることができるわけではなく、開示されない情報も存在します。これは「知らせない権利」という考え方と対をなすものです。
義務にも限界があり、一定の範囲内でのみ負うものです。会社法には無限責任という概念がありますが、実際に無限の責任を負う組織や個人は存在しません。一定の責任を超えると、企業は会社更生法や民事再生法を、個人は自己破産や個人再生を通じて責任を限定することが現実です。
労働基準法は労働者を保護する法律ですが、あらゆる状況で労働者を保護するわけではありません。企業と従業員間の調整を前提とし、法律が介入することは、適切な理解と言えるでしょう。
日本航空から整理解雇された社員が国際機関(おそらくILO)に提訴したという報道を読んだことがありますが、これは「権利を利用して企業の商売を妨げることが目的ではないか」とも思われます。
ILOは政府に対して労働条件に関する指導を行うものですが、個々の民間企業に発生した問題に介入するかどうかは疑問です。この機関は政府に対しては指導を行いますが、企業に対しては指導を行わないと考えられますが、どうでしょうか。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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