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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/6/24号 no.101)━
会社を退職した後に健康保険に入っていない無保険期間がある?
会社を退職すると、すぐに次の会社で働く場合を除き、健康保険の任意継続で健康保険に加入するか、それとも国民健康保険(以下、国保)に加入するかの選択をします。他に、家族の健康保険の被扶養者になる選択もありますね。
ただ、退職から次の保険に加入するまでの期間を考えると、退職から任意継続の被保険者になるまでの空白期間や、国民健康保険に加入するまでの空白期間があるのではと思えますよね。
「健康保険の被保険者資格を喪失したのだから、次の任意継続被保険者になるまで(もしくは国保に加入するまで)は無保険なのか?」と考えてしまいます。
確かに、前の健康保険の被保険者資格を喪失して、次の被保険者資格を取得するのですから、時間差があると考えることは有り得ますね。では、その間に、病気に罹患したり怪我をしたらどうなるのでしょうか。
健康保険に入っていない状態だから全額負担でしょうか。それとも、何らかのフォローがあるのでしょうか。
退職日の翌日が次の健康保険の資格取得になっている
健康保険の任意継続制度では、「退職した翌日に任意継続被保険者になる」と扱っています。そのため、退職日の翌日以降に、病気に罹患したり怪我をしても、健康保険を使えます。
前職での健康保険の資格喪失を証明する「健康保険資格喪失証明書」を前職の事業所で作ってもらい、それを持って市役所など市町村の保険年金課で国民健康保険に入る手続きをすると、早い段階で国民健康保険に入れます。
健康保険 厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書を年金事務所に出して、資格を喪失した通知書を発行してもらうこともできます。
参考:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき(日本年金機構)
事業所で健康保険資格喪失証明書を作ってもらう方が手続きは早いでしょうね。資格喪失しているかどうかは、前職の健康保険証のコピーがあれば確認できますので、市町村の窓口に健康保険証のコピーを一緒に持っていくと良いです。健康保険証を会社に返却する前にコピーを取っておきましょう。
退職した翌日に任意継続被保険者になるといっても、厳密には資格を取得していないはずですよね。
健康保険の資格喪失手続きと健康保険任意継続の被保険者資格取得」がほぼ同時期に行われるとは考えにくいでしょう。
「資格を失ったから、次の資格取得までは無保険なのか、、、」と思う人もいるでしょうから、「風邪をひいても病院に行けないなぁ」と考えてしまったりします。
しかし、実際には、療養費制度を使えば、一時的に全額負担になりますが、後から自己負担額を除いた部分が返金されます。
国保の場合は、「市町村に住所を有している」のが被保険者の条件ですから、前職の被保険者資格を喪失した時点で、市町村に住所を有しているという条件を満たしますので、そのまま国保に加入すると扱うのですね。
退職日の翌日以後に、やむを得ず前職の健康保険証を使った場合は、協会けんぽ(全国健康保険協会)や国民健康保険で「代理受領制度」が適用されることがあります。
会社の健康保険から、退職後は国民健康保険に切り替える予定ならば、医療機関などが患者の同意を得て、保険者(協会けんぽや国民健康保険など)に直接療養費を請求し、受け取る仕組みです。この制度を利用することで、被保険者(患者)は自己負担分以外の医療費を一時的に立て替える必要がなくなります。
従来は、被保険者(利用者)が旧保険者の負担した医療費を一旦全額支払う必要があったのですが、代理受領制度ができて療養費の一時的立替えがなくなり助かりますね。
本来ならば資格喪失後に健康保険証を使うと、保険で負担する7割を請求されますが、後から国民健康保険から支払われるものと同額ですので、本人を経由せず、代理受領制度で、国民健康保険から協会けんぽに支払ってもらえるのです。
この場合は、同意書面が郵送で送られてきますので、記入して送り返すと、本人負担は3割のままで済ませることができます。後から支払ったり、受け取ったりという手間がなくなりますので助かります。
医療保険の保険者間調整の簡素化により、被保険者の負担が軽減(内閣府)
健康保険証が無い間は療養費を使うか代理受領制度を利用する
健康保険法の第87条(療養費について書かれた部分)では、
保険者は、療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給(以下この項において「療養の給付等」という。)を行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる
と書かれています。
「困難であると認めるとき」や「保険者がやむを得ないものと認めるとき」に療養費が支給されるわけです。健康保険証が手元に無い場合でも療養費制度は使えます(もちろん、後から健康保険に加入することが前提です)。
しかし、療養費制度だと立て替え払いが必要になりますから、加入者としては代理受領制度の方が良いですね。
どちらにせよ、健康保険証が手元にない時期であっても、無保険にはならず、健康保険は使えます。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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