あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

黙示の残業 命令や許可がなくても時間外勤務になってしまう


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□□┃  山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/5/17号 no.90)━

■■  命令や許可がなくても時間外勤務になってしまう。
■■  「社内の人間」と「社外の人間」では見ているポイントが違う。
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■時間外勤務は「命令」と「許可」でコントロールできるか。

時間外勤務をコントロールするために、

「命令がなければ時間外勤務をしてはいけない」
「時間外に勤務するときは、上司の許可が必要」


というようなルールを設けている会社は多いでしょう。


時間外勤務に対する心理的な障壁を設けて、時間内に
仕事を終わらせようというインセンティブを与える効果が
あるようです。



では、

命令を受けずに時間外勤務をしたら、時間外の勤務には
ならないのでしょうか。


また、

許可を受けずに時間外勤務をしたら、時間外の勤務には
ならないのでしょうか。



言い換えれば、「命令(許可)がない→時間外勤務ではない
→手当も無い」という取り扱いで良いのか、どれともダメ
なのかということです。


そこで、命令や許可という条件が備わっていないと時間外勤務
にはならないのかどうか、という点が今回の主題です。




■第三者は証言ではなく証拠で判断する。

結論から言えば、「命令(もしくは許可)がないから
時間外手当は支払わない」とは言えません。



なぜならば、時間外手当は、命令や許可の有無で支払うかを
判断するのではなく、時間外に勤務しているという「事実で
支払われる」ものだからです。


そのため、形式的に勤務しているだけでも支払われるわけです
(わざと居残りしている社員さんにも時間外手当は支払われる
ということ)。



例えば、終業時刻が19時の会社で、ある社員さんの、ある日の
終業時刻が20時40分と記録されていたら、社外の人はどう考える
でしょうか。

おそらく、社外の人達は、「あぁ、19時以降の1時間40分は時間外
勤務なんだなぁ」と判断するはずです。

たとえ、それが「命令も許可も無く行われた時間外勤務」だとして
も、社外の人は通常の時間外勤務だと考えるわけです。


つまり、社内の事情(命令や許可の有無)に関わらず、客観的には
時間外勤務だと判定されてしまうということです。


社外の人にとっては、時間の記録(タイムカード等)が証拠に
なりますから、それを見て判断するんですね。

そのため、社内の事情を勘案して判断はしてくれないのです。


社内的には残業でなくても、対外的には残業していると解釈
されてしまうんですね(会社には辛い部分です)。



もし、「この時間は時間外勤務ではない」と会社が主張して、
手当を支払わなければ、残業代不払いと言われても会社は反論
できません。

あくまで証拠はタイムカード(その他時間を記録したもの)です
から、「命令違反して時間外勤務していた」という証言だけでは
負ける可能性が高いのではないでしょうか。


物的証拠と口頭証言では、前者が勝つでしょうからね。


時間外勤務の判断には、社内の判断だけでなく、「外部の判断」
が入り込んで来るんですね。




■居残っているだけでも時間外勤務になってしまうのが現状。

例えば、仕事が終わっているのに会社に居残ることを許すと、
それも(第三者から判断すれば)時間外勤務になってしまいます。

タイムカードに記録が残れば、何はともあれ時間外勤務となって
しまいますからね。


「単に居残っているだけだから大丈夫」と言えるのは、社内という
枠内の範囲だけです。


外部の人は、社員さんが職場に滞留していれば、それは仕事だと
判断するのです。

「会社での滞留時間=仕事時間」と考えるんですね。


単に居残りしているだけか、それとも仕事をしているのかという
点は外部の人には分かりません。


終業時間の記録が19時40分というように残っていれば、「19時40分
まで仕事をしていたんだなぁ」とそのまま受け取ります。


外部の人に内部の事情は分からないわけです。


ですから、居残りだからといって放置すると、後から困る場合が
あるかもしれません(実際は居残りなのに、仕事をさせられていた
と社員さんから言われたら、会社は反証できませんから)。



ゆえに、今は、社内の基準だけでなく、「社外の人がどう判断
するか」という点も意識して時間管理をしなければいけません。


社内ではOKのことでも、社外ではNGということもありますからね。
(食品の使い回しとか、賞味期限ラベルの張替えなどと同様です)



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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
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  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
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このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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