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残業届出制と残業許可制 キチンと機能するの?

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事前に手続きが必要な残業

時間外勤務を行う時には、何らの手続き無く各社員ごとの判断で実施することもあるでしょうし、中には、事前に申請をした上で行うこともありますね。

例えば、時間外勤務の申請を求める会社では、「時間外勤務は、上長(上司)の命令によるものとします」、「時間外勤務を行う際には、事前に時間外勤務申請書を提出すること。なお、やむを得ない事由があるときは、事後に提出すること」などのようにルールがあるかと思います。

そこで、今回は、上記の「申請」について考えてみることにします。

つまり、申請とは、単に届け出るだけの申請なのか、それとも、場合によっては時間外勤務が認められない申請なのかという点です。

残業の届出制と許可制の違い

「時間外勤務申告書」を事前に提出するというルールが設けられているとすれば、その申告は「届出制」の性質を帯びたものなのか、それとも、「許可制」の性質を帯びたものかが疑問になります。

もし、届出制の時間外勤務申告だとすれば、原則として、時間外勤務が否定される(実際に時間外勤務をしたにもかかわらず、手当が付かないという状況)ことはありませんよね。

届出制というのは、「原則OK、例外NG」の仕組みですから、上記のような解釈になります。

残業を届出制にすると、以下の課題があります。

残業の抑制が難しい
従業員が事後届出を行う場合、会社は実際の残業が発生した後に認識するため、残業の事前抑制が困難です。そのため、残業が増える可能性があります。先に残業した後に、時間外勤務申告書を書くのですから、残業が必要かどうかは本人次第になります。

残業が必要だったのかの確認が困難
残業が本当に必要だったのか、事後では判断しにくいことがあります。業務効率の観点から問題が生じる可能性があります。

一方、残業を許可制にするとどうか。

許可制の時間外勤務申告だとすれば、場合によっては、時間外勤務をしても手当は付かないこともあります。許可がでなければ残業をしませんから、手当が付かないという場面にはならないでしょうけれども。

許可制というのは、「原則NG、例外OK」の仕組みですから、時間外手当の不払いが起こり得るわけです。

残業の許可制だと、以下の課題がありますね。

許可が遅れる可能性
上司が忙しい場合や許可プロセスが煩雑な場合、残業の承認が遅れ、業務に支障をきたす恐れがあります。許可だと判断が必要になりますからね。

許可制の運用が形式的になるリスク
実際には形だけの許可制となり、実態を把握できなくなる可能性があります。これにより、管理が形骸化する恐れがあります。必要な残業かどうかを判断するのが面倒になり、次第にすべての残業を認めるようになって許可制の意味がなくなります。

「時間外勤務申告書」を事前に提出させる目的が、時間外勤務の「許可・不許可」をふるい分ける点にあるとすれば、時間外手当の不払いには注意を払わなければいけませんよね。

届出制でも許可制でも注意する点はあるのですね。

必要な残業かどうかを判断するのは本人か上司か

事前に「許可・不許可」を判断して、時間外勤務を実施するかどうかを決めるという仕組みならば、時間外勤務を許可制にすることも可能でしょうね。

しかし、事後的に、時間外勤務の「許可・不許可」を判断してしまうと、不要な時間外勤務を行う可能性も生まれてしまいますよね。

現場の人たちにとっては必要な時間外勤務であっても、上長(上司)から判断すると不必要な時間外勤務と扱われてしまうこともあります。

つまり、必要な時間外勤務かどうかを判断するのは簡単であると断言はできないんですね。

ゆえに、「時間外勤務申告書」を提出させるならば、届出制で時間外勤務を管理するのが妥当だということになります。

ただ、その場合、不要な時間外勤務を意図的に行う人もいるかもしれませんが、許可制の不都合を考えれば、性善説で対応するべきなのかもしれません。

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