労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

2009/9/2【"みなす時間"を決める】



┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■ ┃  本では読めない労務管理の「ミソ」
□□ ┃  山口社会保険労務士事務所  http://www.growthwk.com/
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/9/2号 no.120)━


涼しくなりましたね。

今年も、私の好きな季節がやってきました。

ちなみに、好きな季節は「秋」と「冬」です。



このメルマガは、定期的に、コラム形式で、
労務管理に役立つ内容を配信するメルマガです。

興味本位で読むのもよし。
つまみ食い感覚で読むのもよし、です。
どうぞ、自由にご活用下さい。



■"みなす時間"を決める◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
▶▶▶どこまでみなして、どこから看做さないか。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





■みなし労働時間制は魔法の杖なのか


ご存知のように、労働基準法には、「1日8時間」という枠がありますね。

8時間までが法定内、8時間を超えると法定外と扱われるわけです。

これが原則の時間管理ですね。


一方で、

事業場外労働のみなし労働時間制、専門業務裁量労働制、企画業務裁量労働制、という3つの例外の時間管理制度があります。

これらの3つの制度を使うと、原則による時間管理ではなく、変形的な時間管理ができるようになります。

ちなみに、専門業務裁量労働制、企画業務裁量労働制は、ホワイトカラーエグゼンプションの走りのような制度です。


さて、ここからが本題ですが、みなし労働時間制を採用していると、みなされた時間以外の部分は勤務時間として計算しなくても良いと思っている会社もあります。

つまり、みなした時間が1日の勤務時間だというわけですね。


確かに、1日の勤務時間を正確に把握できないので、みなし労働時間を採用したのですから、「1日の勤務時間=みなされた勤務時間」と考えたいのは分かります。

しかし、みなされた時間を実際の勤務時間が超えた時は、「1日の勤務時間=みなされた勤務時間」と扱うと支障があることもあります。

みなされた時間を超えた時間に対する給与が不払いになっている会社もありますからね。


それゆえ、みなし労働時間制は、「みなした時間しか計算に入れない」と都合良く扱えるほど万能な制度ではないですね。







■みなす範囲を決めて運用する。


勤務時間をみなすと言っても、どこまでをみなすのかを決めずに、みなし労働時間制を採用すると、トラブルが起こります。


例えば、「実際の勤務時間<みなし時間」という状態ならば、みなされた時間よりも実際の勤務時間が短いですから、トラブルにはなりません。

8時間のみなし枠があるけれども、実際は6時間で終わったというような場面ですから、支障は無いわけです(この場合、働いた時間は8時間と計算される)。

これならば何も言いたいことは無いはず。


一方で、「実際の勤務時間>みなし時間」となると、みなされた時間よりも実際の勤務時間が長いですから、トラブルになる可能性が生まれます。

実際の勤務時間とみなし時間との間に発生した差は、どのように扱われているのかが気になるのですね。


そこで、「実際の勤務時間>みなし時間」という状態になったときの対策として、例えば、

「みなす勤務時間は、1日8時間とします。なお、8時間を超えた勤務時間に対しては、別途計算の上、時間外勤務手当を支給します」

という様に決めておけば、「みなされる範囲」と「みなされない範囲」が分かりますよね。

なお、みなし労働時間制でも勤務時間数の把握は必要です。


ただ、みなす時間は8時間までという制約はありません。

例えば、1日10時間までをみなし時間として設定して運用することも可能です(法定時間を超えるみなし労働時間制ですので、届出が必要です)。

ただ、法定労働時間を超えるみなし労働時間制を運用するときは、「時間外勤務の時間数」と「時間外の手当の額」がきちんと整合しているかという点に注意が必要です。


時間外勤務の部分を込みでみなし労働時間にしていますから、本体賃金と時間外賃金の境目が曖昧になるかもしれませんからね。

「内訳はキチンと示す」のがキモです。


労働基準法38条の2では、「業務の遂行に通常必要とされる時間労働したとみなす」と書かれているだけですから、目安にならないのですね。つまり、「通常必要」という判断をどのようにするのかが分からないのです。


「通常必要」と判断すれば、10時間でも8時間に変えることができるのか、それとも、変えることはできないのか。迷いますよね。

そのために、みなす時は、「みなす範囲」を決めなければいけないのです。






■勤務時間を誤魔化すために使うのはダメ。


「勤務時間は、みなし労働時間制によるものとします」のように曖昧な決め方をしていると、社員さんからツッコミを受けてしまうかもしれません。


「みなす範囲」を事前に示しておかないと、社員さんは「会社は勤務時間を誤魔化そうとしているのでは」と考えてしまう



私が考えるに、労働基準法では、原則の仕組み(1日8時間という制約)で例外の仕組み(みなし労働時間制など)を制御しようとしているのではないでしょうか。

「勤務時間をみなしているのに時間数の管理は必要」というのはまさに上記の好例です。

「原則→→(制御する)→→例外」という形です。


「原則の時間管理」と「例外の時間管理」は、お互いに性質が違うものですから、他方が他方を制御することは難しいのではないかと私は思います。

そのため、例外と原則は、お互いに分離して機能していないと変になるはずなのですね。


今回の場合だと、みなし労働時間を採用しているのに、結局は8時間の枠で拘束してしまっては、みなす効果も減少してしまうのではないでしょうか。

勤務時間をみなしているのに時間数の管理を要求したり、これは矛盾ですよね。管理できないからみなしているのに、時間をみなしていても管理せよというのは、やはり変です。

勤務時間をみなすなら、タイムカードはいらないし、時間管理もしないのが妥当なはずなのですが、どうもそうなってはいないのですね。


さらには、みなすことができる時間は、「事業場外での仕事時間」だけであって、いわゆる内勤の時間は計算から除外して扱わなければいけないのですね。つまり、「事業場外のみなし時間」と「内勤の時間」を合算したものが勤務時間となるわけです。

こうなると、原則ルールの時間管理よりも、みなし時間制度を使う方がかえって管理が難しく、事務の取り扱いも面倒になってしまうのではないかと私は思います。


「水と油の関係」とまでは言いませんが、原則の時間管理と例外の時間管理はそれに近いぐらい性質が異なるものです。

例えるならば、労働基準法の本体システムに、合わないモジュールやアドオン(みなしや裁量労働制度など)を追加しているような感じです。


現状では、「歪み」を発生させながら運用されているのが労働基準法なんですね。








┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記  ★☆━━━━━━━━━┓


食べるフルーツによって、その人の性格が分かるのではないかと思えたりします。


例えば、バナナをよく買って食べる人というのは、「面倒くさがりで、部屋の掃除も好きではない」という性格ではないかと。

なぜならば、バナナは簡単に食べられるフルーツですし、値段も安いですから、ズボラな人にはうってつけです。


一方、グレープフルーツ、リンゴ、パイナップル(カットされたものではなく、穫れてそのままのもの)を購入して食べる人は、「きちんとしていて、部屋の掃除もまめに行う」という性格の人ではないかと思います。

なぜならば、皮を剥くという作業が必要ですし、時にまな板も必要でしょう。さらには、ゴミも多く発生します。となると、その作業に耐えられる人しか取り扱わないのではと考えれるのですね(他人に作業を行ってもらう場合を除く)。

特に、パイナップルの解体は面倒です(経験あり)。おいしいですけど、、、。


果物売り場で人を観察していて、考えついたことです。

もちろん、あくまで「仮説」です。





┗━━```☆....━━━━━━━━━━━━━━━```☆....━━━━━┛


今回も、メルマガ【本では読めない労務管理の「ミソ」】を
お読みいただき、ありがとうございます。

次回もお楽しみに。

メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。

労務管理のヒント

http://www.growthwk.com/entry/2014/04/07/135618?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_2

ニュース

http://www.growthwk.com/entry/2014/03/12/082406?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_3


┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ┃本では読めない労務管理の"ミソ"山口社会保険労務士事務所 発行
┣━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┃メルマガの配信先アドレスの変更は
http://www.growthwk.com/entry/2008/11/28/122853?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_4

┃メルマガのバックナンバーはこちら
http://www.growthwk.com/entry/2008/07/07/132329?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_5

┃メルマガの配信停止はこちらから
http://www.growthwk.com/entry/2008/06/18/104816?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_6


┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*

┃労務管理のヒント
http://www.growthwk.com/entry/2014/04/07/135618?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_7
┃仕事の現場で起こり得る労務の疑問を題材にしたコラムです。

┃ニュース
http://www.growthwk.com/entry/2014/03/12/082406?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_8
┃時事ニュースから労務管理に関連するテーマをピックアップし、解説やコメントをしています。

┃メニューがないお店。就業規則が無い会社。
http://www.growthwk.com/entry/2007/11/01/161540?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_9

┃山口社会保険労務士事務所 
http://www.growthwk.com?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_10

┃ブログ
http://blog.ymsro.com/?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_11

┃『残業管理のアメと罠』
┃毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、
┃月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、
┃平均して8時間勤務というわけにはいかない。
┃しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、
┃ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
┃それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=mailmagazine&utm_medium=cm&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_12

┃電子タイムカード Clockperiod
┃始業や終業、時間外勤務や休日勤務の出勤時間を自動的に集計。
┃できれば勤怠集計の作業は随分とラクになるはず。Clockperiodは、
┃出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカードや出勤簿で
┃勤務時間を管理している企業にオススメです。
https://www.clockperiod.com/Features?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_13


┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*
┃Copyright(c) 社会保険労務士 山口正博事務所 All rights reserved

┃新規配信のご登録はこちらから
┃(このメールを転送するだけでこのメルマガを紹介できます)
http://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_source=mailmagazine&utm_medium=mel&utm_campaign=mailmagazine_mel_HT_15

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所