あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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会社にいるだけで全ての時間が労働時間になる?

労働時間


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■施設にいるだけで全て勤務時間に?◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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時間管理を緩慢にすると、右から左に勤務時間になる。
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勤務時間は自己申告で、自由に勤務できる職場は良い?

【神戸大病院、残業代不払い=研修医らに1億6000万円】というニュースについて。
ネタ元(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090930-00000078-jij-soci

>>引用開始

神戸大学付属病院の研修医ら延べ788人に総額約1億6000万円の残業代を支払っていないとして、神戸東労働基準監督署が同大に是正勧告をしていたことが30日、分かった。4月までに全額を支払ったという。
神戸大によると、労基署が指摘した不払いの期間は2007年2月~08年9月。是正勧告を2回、立ち入り調査を3回受けた。
同病院は、研修医らに対し、医療行為に従事する時間や指導を受けている時間について、労働時間として自主申告するよう指示していた。しかし、労基署は自主的な学習などで院内にいた時間すべてを労働時間とすべきだとしたという。
神戸大付属病院総務課の話 長時間の時間外勤務が恒常化しないよう、適切な労務管理に努めたい。 

<<引用終了


最近ではよくありそうな時間外勤務についてのテーマですね。


注目するポイントは、「労働時間として自主申告するよう指示していた」という部分、「労基署は自主的な学習などで院内にいた時間すべてを労働時間とすべきだ」という部分でしょうか。

つまり、神戸大は、「労働時間は管理しないから、各自で申告して下さい」という立場だった。あえて管理しなくても、キチンと報告してくれれば良いだろうと考えていたのでしょうか。

ただ、自主申告というのが曲者で、申告したものの勤務時間として認められなかったという時間もありそうです。


一方、研修医側も、「時間は自主申告なのだから、自由に病院内にいてもいいよね」と考えていたのかもしれません。臨床研修がない日でも、病院内の施設で自主的に学習していたのかもしれません。

いわゆる「勝手に就業」や「勝手に残業」という類いの扱いになるのでしょうか。


そこに、第三者である労働基準監督署が来て、「この状態ではダメ!」と言ってきた。

「院内にいた時間を全て労働時間にせよ」と、、、。

かなり剛腕な是正です。






労働時間を正確に把握できなければ、労働者側が有利になるよう判断される

何事でもそうですが、当事者が納得していても、第三者は認めないことがあります。

自分と相手の間で、「こうしようね」「うん、そうしよう」と合意していても、第三者が割り込んできて「ちょっと待った」と声をかけることもあるわけです(「ねるとん」ではありませんが)。

今回のように、病院と研修医の間では、勤務時間を自主的に管理すると合意していても、第三者から判断するとダメと判断されたりします。

私は当事者の自主性を尊重したいと思うタチなのですが、現実にはダメなのかもしれませんね。


ただ、神戸東労働基準監督署の判断は、「病院にいるだけで全て勤務時間になる」というメッセージのようにも受け取れます。

この判断を基準にすると、神戸大学付属病院のように緩慢に勤務時間を管理していると、勤務時間が過剰に認められてしまう可能性があるのですね。

本来ならば勤務時間ではない部分までも一緒くたにされて、「全て勤務時間にしなさい」などと指導されたりします。


通常、時間外勤務の時間は「申告制」や「許可制」で時間を管理したりするのですが、今回の事例では自己申告でしたから、「申告制」は採用できているわけです。

にもかかわらず、機能していなかったのですね。

おそらく、許可制にしたとしても、最初のうちはキチンと管理していたけど、時間が経つにつれて、いちいち許可を出すのは億劫だと管理職が考え、それに応じて、社員も許可を事前に織り込んであえて許可を取らずに時間外勤務をしたりするようになるかもしれません。


「申告制」や「許可制」を採用したから大丈夫というわけにはいかないのですね。

「管理するなら最後まで管理せよ」ということでしょうか。







仕事には締め切りがある。労働時間にも限りがある

例えば、自由裁量で勤務する環境を作るとすると、時間外手当を年俸に含めて支払い、時間の管理はしないという方法もあるにはあります。

ただ、時間外手当を年俸に含めるには、相当程度の年俸でないと認めてもらえないようです。


例えば、外資系投資銀行で、年俸2,000万円とか3,000万円を支払っていると、時間外手当を年俸に含めて支払うことも裁判では認められています(モルガンスタンレーの判例がありました。この点については、以前にメルマガでも書きました)。

高額な報酬ゆえに、時間外手当が年俸の中に含められていると考えて差し支えないときには、時間外手当込みの年俸も使えるのですね。


ただ、一般的には、勤務時間を管理せずに働いてもらうような環境を作るのは困難です。

年俸2,000万円とか3,000万円を支払える会社というのはどれぐらいあるのでしょうか。日本の企業だとほとんど無いのではないかと思います。


今回の例だと、大学病院の研修医ですから、上記のような環境で働いていたと考えるのは無理です。まさかそんなスーパー研修医はいないでしょうからね。教授でもそんな待遇にはなっていないはず。

となると、自主申告で勤務を管理するのはマズいわけです。



ちなみに、私は、年俸に時間外手当を含めるのはアリだと考えています(あくまで個人的に)。また、ホワイトカラー・エグゼンプションにも賛成の立場です(これも個人的に。条件の設定が煮詰まらずに日本では廃案になりましたが)。


以前は、工場作業のように「時間=成果」が成立していて、時間をかければたくさんの成果物を生み出すことができました。

しかし、今では「時間=成果」が成り立たない仕事も多くなっていますから、必ずしも時間と賃金をリンクさせるさせることもないのではないかと思うのですね。


もちろん、法定水準を超える超過勤務(36協定違反)とか、サービス労働とか、時間外手当の不払いという問題はあるものの、「[時間=成果]が成り立たない」という点についても思いをよせなければならないはずです。

「時間に拘束されずに働くことができる」「定時を考慮しないので、仕事を早く終えることもできるようになる」などが賛成側の理由ではあります。

ただ、「そうは言っても、そんな制度を採用すればもっと就業環境は悪くなる」、「時間を拘束しているのだから、その犠牲分だけでも賃金を支払うべき」と思う人もいるはず。疑心暗鬼の状態になっているのですね。「譲歩すれば、ヤラれる」と、、。


時間管理を自由にしたいと考えれば、労働基準監督署とのネゴシエーションを覚悟しないといけないのが今の現状なのです。


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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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┃ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
┃それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
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