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■■ ┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□ ┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/10/1号 no.128)
子の看護休暇は年次有給休暇とは別の休暇
育児・介護休業法では、病気や怪我をした子どもを看護するために、「子の看護休暇」という制度があります。ちなみに、日数は1年で5日です。
この休暇は子どもを看護するという理由の休暇ですので、その他の休暇とは別枠で用意されます。
ただし、小学校就学前の子どもを看護する場合が対象ですから、幼稚園や保育園に通う子どもとか、もしくは、それ以前の段階の子どもが対象になりますね。
そのため、小学校以降の子どもを看護するときには、有給休暇を利用するか欠勤になるのが通常です。ただ、会社によっては、「特別に了承された欠勤(人事評価に影響しない欠勤のこと)」として扱うこともあるようです。
たまに、小学校の子どもを看護するために休暇を求める方もいらっしゃいますが、子の看護休暇の対象にはなりません。他の休暇を利用することはもちろん可能です。
また、この休暇制度は、すべての人が対象になるわけではなく、労使協定を使って、休暇を利用できる人に条件を付けることもできるようになっています。
労使協定で子の看護休暇を取得できる対象者から除外される人がいる
労使協定により子の看護休暇の適用を除外できる対象者は、
1、勤続6か月未満の者。
2、週の所定労働日数が2日以下の者。
この2つの条件に当てはまる方です。
つまり、勤続6ヶ月未満だったり、1週間に1日もしくは2日の勤務で働いている人は対象外にできるということです。
ただし、「必ず対象外になる」というわけではなく、労使協定を締結して決めた場合に限りです。労使協定がなければ、すべての人(フルタイム社員に限定されない)が対象になります。
また、上記の条件に該当しているからといって、そのまま除外してしまうこともなく、例えば、勤続6ヶ月未満であっても先行して看護休暇を配分(有給休暇の先行付与を応用したもの)したり、週間の勤務日数が少なくとも勤務日数に応じて比例的に休暇を配分する(有給休暇の比例付与を応用したもの)ことは可能なのですね。
つまり、上記の1や2の条件で切らずに、対象範囲を少し広げるという発想です。
具体的には、勤続6ヶ月未満の段階(入社時点で良いかもしれません)では、2日だけ看護休暇を配分しておき、6ヶ月を経過した時点で残りの3日分も追加するという仕組みですね。
一方、比例配分の場合だと、週5日勤務の人が1年で5日の看護休暇を取得できると仮定するならば、週2日勤務の人なら1年で2日というように配分するわけです。また、週1日勤務ならば1年で1日です。
他の休暇を振り替えて対応する方法
他にも、時効になった有給休暇を傷病有給休暇として使える会社ならば、その休暇の使用範囲を広げるという手段もあります。
会社によっては、有給休暇の消化率が低いので、時効になった休暇を傷病有給休暇として別枠でプールする仕組みを設けているところもあります。
本来の有給休暇としては使えないが、病気や怪我の場合には、傷病有給休暇を割り当てることができるのですね(ただし、通常の有給休暇が残っているときは、通常の有給休暇を優先して使うという条件も併置されているようです)。
傷病有給休暇の使用範囲を広げて、本来ならば、本人の怪我や病気に限って使える休暇として設定されているところを、子の看護の場合にも範囲を広げて使えるようにするわけです。
ただ、使用範囲を広げる場合でも、通常の有給休暇を優先して使うことを条件に付しておくのが良いですね。看護休暇がもうない、通常の有給休暇もないという場面になってから傷病有給休暇を看護休暇に振り替えるようにしておくのですね。
子の看護休暇といえども、対象範囲を広げたり、他の休暇を振り替えたり、工夫の余地は意外とあるものですね。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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