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年金制度には男女差がある 年金は夫を差別する

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年金は夫を差別する「先に亡くなるのは夫」という年金の価値観。
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妻が先に亡くなると、夫に遺族年金は出ない?

夫婦で年金に加入していると、「夫の年金はキチンと払い戻されるけど、妻の年金は払い損になることもあるよねぇ、、、」と思う人がいるかもしれませんね。

確かに、年金の仕組みは、「夫、妻、そして子どもが1人もしくは2人」という"標準モデル"を想定して設計されていますから、このモデルに当てはまらない人には不都合があるのかもしれません。


例えば、夫婦のうちで、妻が先に亡くなり夫が残ると、妻の年金が払い損になる可能性が高くなります。年金制度は、「夫が先に亡くなり、妻が残るだろう」と想定(これも上記と同様の"標準モデル"というものです)していますから、妻が先に亡くなると標準モデルから外れますので不都合な結果になったりします。

年金の加入者が亡くなると、「遺族年金(遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類)」もしくは「死亡一時金(国民年金限定の一時金)」が利用できますね。

そこで、「遺族年金と死亡一時金があれば、夫より妻が先に亡くなっても困らないのでは? 妻も年金の加入者なんだし」と思ったりするのですが、少し考えたい事情があるのです。

「妻より夫が先に亡くなって遺族年金もしくは死亡一時金を利用する場合」と「夫より妻が先に亡くなって遺族年金もしくは死亡一時金を利用する場合」では、取り扱いが変わるのですね。

遺族年金がなければ死亡一時金がある?

遺族基礎年金(国民年金版の遺族年金のこと)では、「妻」もしくは「子を持つ妻」しか受け取り手になれません。ゆえに、夫は、どのような状況にあれども遺族基礎年金を受け取ることは不可能です。

となると、夫だけが残されると、妻の国民年金は全て消えるのかとも思えるのですが、この点にはフォローがあります。

それは「死亡一時金」という制度で、国民年金の掛け金が払い損になるのを防ぐために設けられている仕組みです。この一時金ならば夫も受け取ることが可能です。

ところが、この死亡一時金はとても小額であり、払い込んだ掛け金の1割もしくは1割未満しかキャッシュバックされません。例えば、1月10,000円の掛け金で240ヶ月(20年)加入したとして、その時点で死亡一時金を受け取っても、払い済み掛け金は240万円(20年分の掛け金)なのですが、一時金は24万円未満になるのですね(詳しくは国民年金法52条を参考に)。

では、なぜこれほど小額しかキャッシュバックされないのかというと、3号被保険者は掛け金を払わずに国民年金に加入しているから、どうしても死亡一時金を少なくせざるをえないという事情があるのではないかと私は考えています。または、死亡一時金を受け取るのは夫が多いだろうから、支給額を多くしなくても大丈夫だろうと考えているのかもしれません。

つまり、会社員(夫でも妻でも可)に扶養されている人(夫でも妻でも可)は、国民年金に加入するものの、掛け金を負担する必要がないですので、その人(掛け金の負担をしていない人のこと。今回の内容では「妻」と設定すべき)が亡くなっても、死亡一時金を多く支払えないのですね。キャッシュバックする原資が払われていないのですから、一時金では出せないということです。

ただ、掛け金の負担をして国民年金に加入していた妻(夫が自営業者である妻でしょうか)にとっては不都合ですよね。「3号被保険者は掛け金を払っていないけれども、私達は1号被保険者として掛け金を払っているのだから、死亡一時金の金額も多くなるべきだ」と言うでしょうね。

では、実際に掛け金を支払ったことを死亡一時金に反映させるとなると、3号被保険者の死亡一時金が減るように仕組まなければいけないでしょう。

ところが、3号被保険者の人は、「私達はやむを得ず3号被保険者になったのであって、就業機会を放棄して扶養されているのだから、1号被保険者と違う対応をされるのは納得しない」と言うかもしれません。

おそらく、3号被保険者が掛け金の負担なく1号被保険者と同じだから不都合なのでしょうから、3号被保険者の加入期間を割り引くのは妥当だと私は思うのです。3号被保険者の1ヶ月分は1号被保険者の0.7ヶ月分というように割り引く(3号被保険者の加入期間の価値を下げるということ)と調整は可能なのではないでしょうか。

「夫は会社員、妻は専業主婦、子どもは1人もしくは2人」という家庭を想定して年金制度は作られている

考えると、年金というのは、標準モデルの家庭に拘って組み立てられているような気がするのですね。

「家で家事をするのは妻」とか、「夫よりも妻は長生きする」とか、「妻よりも夫は経済力が高い」という価値観を前提にして組み立てられているのではないでしょうか。もちろん、寿命や経済力の違いは統計的に判明していることなのでしょうが、トレンドから外れて生活している人にどうも厳しいのではないでしょうか。

本来、年金は、払った分は返すという仕組みのはずですから、経済力が高いから受け取りを減らすとか、夫だから遺族基礎年金を受け取れないというのはヘンなのですね。

もちろん、妻も夫もお互いに長生きすれば、有利に年金を使えるのは確かなことです。

しかし、夫婦の片方が早期に亡くなった場面(特に妻が先に亡くなる場面)に対しては、制度設計者は意図的なデフォルトを見込んでいるのではないでしょうか。つまり、払った掛け金の大部分は返さないように仕組みを作っている(国民年金の死亡一時金がその典型)のではないかと私は考えるのですね。

貯金や積み立ての感覚で年金に入っている人が多いはずでしょうから、せめて払った分だけでも返さないと納得しにくいのではないかと。

あと、支給額をリバランスするという発想も不思議な感じがしますね。

例えば、在職老齢年金では、働くと年金が減る仕組みになっているのですが、この仕組みがあると「働くと年金が減るのだったら、働かないよ」と思われてしまうわけです。その結果、元気な高齢者が「あぁ~、、、暇で暇でしょうがない」とぼやいたりするのですね。

遺族年金でも男女差がある

遺族厚生年金(厚生年金版の遺族年金のこと)でも同様です。夫は55歳以上でないと受け取れないが、妻にはこのような制約がありません。ここでは、夫の経済力を織り込んで、収入と年金をリバランスさせているのですね。国民年金の死亡一時金も、夫の経済力を想定して、受取額をリバランスしているはずです。

遺族基礎年金(こちらは国民年金版の遺族年金)は、受給対象者が「子のある妻または子」でした。子供だけか、子どもがいる妻、このどちらかが遺族基礎年金を受給できました。そのため、男性である夫は対象外になっていたのですね。

遺族基礎年金の受給対象者が「子のある妻または子」から「子のある配偶者または子」に変更されたのは、平成26年(2014年)4月1日の法改正によるものです。この改正により、父子家庭も遺族基礎年金の支給対象に含まれるようになりました。

参考:遺族基礎年金の父子家庭への拡大(厚生労働省)

ちなみに、遺族基礎年金は、子どもが18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了すると、支給が終わります。例えば、夫が亡くなって、遺族基礎年金が支給されるとすると、子どもが14歳で、妻が36歳の場合。子どもが18歳になるまで4年ありますから、遺族基礎年金は4年支給されるというわけですね。

「財源が、、、」という理由もあるのでしょうけれども、「払った分だけは確実に返す」という仕組みがないと、どうしても年金が嫌われてしまうのではないかと思うのです。

「年金が増えて帰ってくる」とはほとんどの人が期待していないでしょうから、「せめて元本だけでも」と思うわけです。

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労務管理の問題を解決するコラム

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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