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2010/8/23【会社は存続しているのに社会保険から脱退?】




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■会社は存続しているのに社会保険から脱退?◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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法人を形式的に廃止して、社会保険から偽装脱退する会社
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■任意で社会保険から脱退、、、できるの?



保険会社の保険だと、任意で加入するかどうかを決めることができますし、任意で保険を解約することもできますよね。自分で保険商品を選ぶことができるし、補償内容を調整することもできます。

しかし、公的な保険では加入者自身がコントロールできる部分は限られています。制度に加入する年齢が決まっていたり、会社に入ったら強制で制度に加入したり、支給される年齢が制限されていたり、メニューが一本しかなかったりと、制約が多いですよね。年金の保険料でも、1つのメニューしかなくて、3,000円、5,000円、8,000円のように掛け金ごとにメニューが分かれていると良いのかもしれないが、そうはなっていない。そのため、自分自身の状況に応じて制度へのコミットの度合いを調整しにくいようになっています。国民年金のような免除制度や猶予制度もありますが、これは例外でしょうね。


そこで、社会保険がコントロールしにくい仕組みになっているため、「保険料を支払うのが負担なので、しばらくの間は社会保険から脱退して、また状況が変わったら加入しよう」と考える会社もあるのですね。私の経験でも、確か中小企業緊急雇用安定助成金に興味がある会社から問い合わせがあって、その会社の方と話をしたのですが、そこで「もう、社会保険も来月からヤメようと思っているんです」と聞いて、「ん? そんなことできるんだろうか」と思いましたが、助成金の話が主体だったのであえて触れずにその場では過ごしましたが、そのあとどうなったのかは私は分からないのです。結局、助成金の仕事を引き受けることはなかったので、その会社のその後が分からないのですね。

会社が存続している状態で、社会保険から一時的にであれ脱退するというのは可能なのでしょうか。

保険料の負担という事情はあるものの、会社が法人であるならば制度への加入は確実ですし、任意で加入した事業所であっても、自社の都合で制度から出たりすることはできるのかどうか。

「保険料を払うのが負担だから脱退したい」という希望と「制度のルールでは、任意で脱退できるとの決まりはない」という基準の間のせめぎ合いですね。







■一時的に法人を廃止してでも社会保険から脱退しようと試みる会社。



先日(8月8日ぐらいだったか)、会社が社会保険から偽装脱退していたために、その会社に勤めていた人の年金記録に未納期間ができてしまっていたという内容のテレビドラマ(昼間か夕方だったかも。夜ではないのは確かだ)が放送されていた。

内容はフィクションだが、会社の資金繰りがキツいので、法人を清算したということにして、会社を社会保険から脱退させ、従業員の給与からは今まで通りに厚生年金の保険料を控除し続けたというシナリオだったと思う。その後、その会社の従業員が実際に年金を受け取る年齢になって、年金の記録を確認してみたところ、自分の年金記録に未納期間があることが分かった。「おかしいわねぇ、、、保険料はチャンと払っていたのよ。なのに、何で未納なのかしら、、」と疑問に思っていて、そこにどこかの専門家的なお姉さんがやってきて、「もしかして、、、これは社会保険の偽装脱退かもしれない!」とその元従業員さんにアドバイスし、その従業員さんは怒って、以前の会社の経営者を探し出してクレームを言ったという流れだったと記憶しています。このドラマは年金の話だけではなかったと思うが、ちょっとしか見なかったので、後の展開は分からない。

ここでのポイントは、法人を形式的に清算して、さも実際に清算されたかのように装い、会社を社会保険から脱退させるという点です。会社そのものは何も変わっていないものの、法務局に行って"法的には"法人が消滅したかのように処理するのでしょうね。

脱退するだけでもイケナイことなのかもしれないが、社員さんには脱退したことを知らせずに、保険料だけを徴収し続けたという点はかなりイケナイところ。集める必要が無い金を集めていたのですからね。すでに社会保険には入っていないのに、給与明細には今まで通り保険料を控除するわけです。


法務局が持つ情報と年金事務所が持つ情報は必ずしも同期されているわけではなく、双方が持っている情報にギャップが発生することは十分に有り得ることです。高齢者の行方不明問題がニュースでも報道されていますが、行政機関の情報が厳密に整理整頓されているとは限らないのですね。高齢者の存在を知らないことにすれば、年金を受け取り続けることができるのですからね。147歳の男性など、生きているはずがありませんよね。


ただ、今では自分自身の年金記録を請求するのが普通になりつつあるようですから、会社経由で自分が加入していないとすぐに分かるでしょう。2007年に年金記録が消えるという話題が起こったので、自分の年金記録を調べてみようと思う人が増えました。さらには、年金機構からも定期的に記録を送付するようになったり、インターネットからも個人アカウント(申し込めば発行される)にアクセスすれば、PC経由でも年金記録を閲覧できます。

そのため、先ほどのドラマのように、年金を受け取るまで分からないということはなく、いつでも照会すれば自分自身の年金記録が分かるので、後から未加入ということが分かることはないはず。







■入ったら出れないのが社会保険。



今回の内容で知っておくべきポイントは、「社会保険からは任意で脱退することはできない」という点です。

先ほどのように、「来月には社会保険をやめるんです」と言っている会社もあるでしょうが、無理な要望です。

社会保険から抜ける条件は、「会社を廃業する(形式的に廃業するのはダメ)」、「社員さんが退職」、「社員さんが死亡」の3パターンです。

会社によっては、一旦会社を清算して、新会社を作るところもあるかもしれませんが、社会保険から抜けるためにここまでやるとなると、随分と狡猾ですよね。新会社を作り、再度社員さんと雇用契約を締結し、今度は社会保険なしで雇用契約を締結したりするわけです。もはや、まさに「肉を切らせて骨を切る」ような処理です。脱退したことにして保険料だけを集める会社よりはまだマシな方ですが、やはり乱暴ですよね。


小規模な建設会社では、法人であるにもかかわらず、国民健康保険と国民年金でゴマカシゴマカシやっているところもありましたね。そこの社長さんの話では、「ウチはみんな一人親方で仕事しているから、会社経由で保険とかには入っていないのよ」と言っていました。

もし、一人親方の人たちならば、会社が仕事を受注しても、その人たちが集まってくれるとは限らないことになりますが、はたしてそうでしょうか。仕事が入ったら、その人たち(表面上は一人親方だが、実質的には法人に雇われている社員)は仕事に取り組まなければいけないのではないでしょうか。

「ウチはみんな一人親方で仕事しているから、会社経由で保険とかには入っていないのよ」という理屈には、どうも無理がありますよね。


会社を社会保険の適用事業所にするには覚悟がいります。

初めて社会保険に加入する事業所には、「入ったら出れませんからね」と私も言うようにしています。

他人を雇用するには大変な覚悟がいるんですね。









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判例はわざと読みにくくされている。


裁判で結論が出た内容は判例として公表されるのだが、判例を普通に読むと何とも読みにくい表現がいっぱいだ。

判例を読む材料としては判例百選という本が有名だが、読んだことがある人ならば分かると思うが、これがまあ日本語として実に読みにくい。もっと読みやすく書けばいいのに、なぜか読む人に嫌がらせをするかのように書かれている。

弁護士の人から聞いたのだが、裁判修習では、文章をドンドン繋いで書くように指導されるみたい。普通だと、一文を短くして読みやすいように書かなければいけないのだが、裁判修習では一文を長く長くするように指導されるとのこと。

なんでこんなヘンなことをするのかは分からないが、判例を一般人が読むのは不都合なのだろうか。あえて読みにくくして、素人が読む気を起こさないようにすることで、判例へのツッコミを避けようと言いう意図なのかもしれない。

判例を読んだことがない人は、本屋(規模の大きいところでないと置いていないかも)で判例百選に目を通してみるといいでしょう。おそらく見たらイライラすると思う(笑)。




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