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□□┃ 山口社会保険労務士事務所
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年金にも一時金を。「老齢基礎一時金」と「老齢厚生一時金」を作って欲しい。
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企業年金と公的年金の支給方法の違い
企業年金制度を採用している会社だと、年金を受け取るときには、年金と一時金の2つのメニューが用意されていることがあります。もちろん、メニューは年金だけという企業年金もあるかもしれませんが、一時金と年金のどちらかを選択できる企業年金もあるのですね。
通常、年金で企業年金を受け取る場合は、毎月もしくは隔月ごとに資金を少しずつ取り崩し、残りは運用を続けますから、総受取額は一時金に比べて多くなります。
一方、一時金で企業年金を受け取る場合は、1回でまとめて受け取りますので、受け取り後の運用益はなく、年金に比べて総受取額は少なくなります。
これが、年金と一時金の簡単な違いです。
他方、国民年金と厚生年金はというと、支給メニューは年金のみです。60歳以降に、月ごとにコツコツと受け取り続けるのが国民年金と厚生年金ですね。
では、なぜ国民年金と厚生年金は一時金のメニューを用意していないのでしょう。
年金で受け取ることができるのならば、一方で、老齢基礎一時金とか老齢厚生一時金というメニューがあってもよさそうなものです。
一時金で受け取れば、総受取額は若干減るでしょうが、払い損になる可能性を下げることができますから、加入者の人にも有り難いメニューになるはずです。
しかしながら、一時金のメニューはないのですね(死亡一時金などを除く)。
一時金で受給すれば在職老齢年金を回避できる
では、なぜ受け取りメニューが年金しかないかというと、「資金を長期にわたってロックできる」からではないかと私は考えています。
老齢年金は長生きするほど受取額が多くなり、早く亡くなるほど受取額が少なくなる仕組みですよね。
その仕組みを前提にして、資金を長期にわたってロックすれば、死亡して年金が受け取れなくなるリスクを加入者に回すことができるのです。
この点はギャンブルに似ていて、ギャンブルで長い時間にわたってゲームに資金を投入していると、期待リターンがマイナスですので、いつか資金はなくなるわけです。
ギャンブルでは、欲を出さずに良い頃合いで資金を引き上げるのが上策です。
もちろん、年金とギャンブルを単純に同視するわけにはいかないのですけれども、「早く資金を回収した方が良い」という点は年金とギャンブルでは共通しています。
余談ですが、年金は早く受け取る方が有利です。年金は、繰り上げ支給と通常支給、繰り下げ支給の3つから選ぶことが可能ですが、「繰り上げ支給」がオススメです。なぜかと言うと、上記の「早く資金を回収した方が良い」という理由もありますが、先に受け取り始めた人を後から受け取り始めた人が追い抜くには意外と時間がかかるからです。
例えば、「60歳から国民年金を受け取った人」と「65歳から国民年金を受け取った人」を競争させると、後者が前者を追い抜くのは76歳ぐらいだったと記憶しています(以前、計算して比べてみました。正確な数字は忘れたのですけれども、意外と時間がかかるという点は覚えています)。
10年程度の時間を使わないと、後発組は先発組を追い越せないのですね。
もちろん、"長生きすることが確実に分かる人"ならば、なるべく後から年金を受け取るのが良いでしょう。
ただ、"長生きすることが確実に分かる人"などいませんので、あまり受取時期を遅らせると、年金を受け取らずに終わることも有り得ます。
「私は90歳まで確実に生きることができる!」と言える人は、よほどの自信家か、何らかの宗教を信奉する人ではないかと思います。
話をもどすと、「年金で受け取る仕組み」と「在職老齢年金」は連動しているという点も指摘できます。
在職老齢年金とは、年金を受け取っている60歳以降の人が働くと、年金の受取額と報酬を調整するという仕組みです。つまり、仕事で受け取った報酬が増えると、一方で年金を減らしてリバランスさせるわけです。
ここで気づくのは、「在職老齢年金の仕組みは年金に対して機能する」という点です。つまり、年金として毎月受け取っているからこそ、毎月の報酬と調整できるわけです。
となると、一時金で年金を受け取れば、受け取った時点で年金は精算されますから、在職老齢年金で調整する余地がなくなるのです。
そうなれば、60歳以降も元気に働くことができるようになるのではないでしょうか。一時金のメニューがあれば、「働くと年金が減るからねぇ、、、」というネガティブな感情を抱かずに高齢者も仕事ができると私は思うのです。
ゆえに、一時金で老齢年金を受け取るメニューがあれば良いのではないか、と私は考えるのですね。
「払った分だけ受け取る」なら、保険機能である障害年金は消える
年金では、「払った分は確実に返ってくる」のが望ましいのでしょうけれども、「払った分は確実に返ってくる」ということは、言い換えると「払った分までしか返らない」とも表現できるのですね。
となると、障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)は「収入(掛け金や保険料)<支出(年金の給付)」になる可能性が高いものですから、「払った分までしか返らない」では成り立たないかもしれませんね。
国民年金や厚生年金は、「年金」という名前がついているものの、実態は「総合年金保険」ですよね。
歳を取ったときに備える「年金」というよりも、障害や死亡も補償する「保険」なのです。
「障害特約と死亡特約が付いた年金商品」と言っても良いかもしれませんね。
それゆえ、老齢年金本体だけでなく、障害年金や遺族年金までフォローするために資金配分をしなければいけなくなるのですね。
それゆえ、せめて障害年金は、年金から分離して、健康保険に合流させて一本化するのも一案ではないかと思うのです。
もちろん、「老齢基礎一時金」と「老齢厚生一時金」も創設を希望します。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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