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■健康保険にあって年金にない性質◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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健康保険料は遡及徴収されるが、国民年金の追納は任意
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健康保険の遡及加入は義務だが、年金保険料の遡及支払いは任意
社会保険は時効が2年に設定されており、この2年を経過するまでは事務の取り扱いを遡って行うことができますよね。
健康保険に遡って加入するとか、年金の掛け金(もしくは保険料)を遡って納付するということができるようになっています。
ただ、健康保険と年金では、遡及の取り扱いに少し違いがあります。
その違いとは、健康保険に遡及加入する場面に遭遇すると、過去の期間を含めて保険料を支払い、加入してきたものとしなければいけません。一方、年金の保険料を遡及的に支払う場面(未納になった部分や納付を猶予された部分を有している場面のこと)に遭遇すると、必ずしも過去の保険料を先に払うことなく、今現在の保険料だけを支払っていくことも可能なのですね。
つまり、健康保険の場合は、過去の部分も含めて対応しないと制度に参加できないのに対し、年金の場合は、過去の部分(未納になった部分や納付を猶予された部分)を保留して制度に参加することも可能になっているわけです。
健康保険と年金はお互いに同じ社会保険という範疇に属していながら、強制力の点で違いがあるのですね。
年金には遡及加入はなく、あるのは保険料の追納
例えば、健康保険で、本来ならば被保険者になるところを被扶養者になっていた人がいるとします。つまり、自ら制度に参加して費用を負担する条件を満たしているものの、何らかの理由によって被扶養者の状態で健康保険に参加している人のことですね。
具体的に場面を想定すると、以前は専業主婦(専業主夫)だったものの、ある時点から働き始め、被扶養者の条件を満たさなくなった。ここで本来ならば、被扶養者から被保険者切り替わるのですが、あえて手続きなどをしなかったとか、会社と申し合わせてあえて社会保険に加入しなかったなどの理由で、被扶養者のままで健康保険に参加しているような場面でしょうか。
その後、本来なら被保険者になるところを被扶養者のままで制度に参加していたために、過去にさかのぼって保険料を課される人もいるのですね。本当にこのような人はいます。会社に勤め始めれば、半ば自動的に2号被保険者になりますから、被扶養者のままでいることはできないだろうと思うのが普通ですが、現実は違うようです。
もし、上記のように遡って保険料を課されるとなると、過去の保険料を支払わない限り制度には参加できないかのような状況になります。被扶養者用の保険証は返還するのでしょうから、保険証を持たない状態になることもあるでしょうね。ちなみに、保険証がない状態でも、事後的に制度に加入すれば、後から療養費を請求することができますから、さほど心配することもありません。
要約すると、健康保険に遡及加入するときは、過去の部分を今の時点で清算しない限り、制度に加入できないこともあるというわけです。
一方、年金に視点を変えると、年金には「遡及加入」という概念はなく、遡及的に制度に参加する場合は「追納」という処理を行います。ただ、国民年金と違い、厚生年金は健康保険とセットになっているため、遡って被保険者の資格を取得することがあるので、「遡及加入」があると言うことも可能です。
遡及加入は半ば強制ですが、追納はさほど強制されないという点が健康保険と年金の違いですね。
国民年金だと、未納になった部分や納付を猶予された部分がある人もいるでしょうが、この未納部分や猶予部分を納付するかどうかは加入者の裁量で判断することができます。なぜならば、年金の保険料を払わないと自分自身の年金が少なくなるにとどまるのですから、あえて強制的に追納させるほどでもないと判断できるからなのでしょうね。
一方、健康保険だと、被保険者になるべきところを被扶養者になっていたのですから、その人は既に便益を享受しているわけです。そのため、過去にさかのぼって保険料を徴収しなければならないと判断するのでしょうね。
健康保険の方が保険料を支払う優先度は高い
もし、国民健康保険と国民年金の保険料のどちらを優先して払うべきかと問われれば、国民健康保険を優先するべきと答えるでしょう。もちろん、どちらの保険料も払うのがマトモなのですが、あえて優先する方を選ぶとすると、国民健康保険です。
国民年金の保険料は、未納分から納付せよとは言われないものですから、国民健康保険よりは融通が利きやすいのですね。いわば、「先のものを先に払う」とは限らず、「後のものを先に払う」ことも可能ではあります。ただ、「後のものを先に払う」と先の期間が時効になるので、先の期間から保険料を支払うことを勧められるはずです。
国民健康保険や国民年金は自営業の人に関係があるのですが、一方で、会社員の場合は、協会健康保険と厚生年金がセットになっているために、優先順位を付けることはできないはずです。
「国民健康保険と厚生年金」という組み合わせとか、「協会健康保険と国民年金」という組み合わせはありませんから、健康保険と年金で優先順位を付けることができないのですね。
健康保険の保険料はキチンと徴収する一方で、年金の保険料については緩い対応になっているのは、健康保険は他人を巻き込むものであり、他方、年金は本人だけで完結するものだからという点が理由なのかもしれませんね。
ただ、年金は、世代間扶養という仕組みを採用してるので、必ずしも「本人だけで完結するもの」とは言い切れないもの確かです。
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【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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