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都合が悪ければ「不利益変更」といちゃもんをつける

言ったもの勝ち



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■「不利益変更」という言葉の定義◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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利益と不利益が混ざると不利益でなくなる。
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「賞与の減額=不利益変更」になる?

「賞与は、会社の業績に応じて、夏季および冬季に支給する」という賞与のルールは少なくないですよね。特に、小規模な会社とか、ひな形の就業規則をそのまま使っている会社によくあるのではないでしょうか。

確かに、業績に応じて賞与を支給するのは納得できる仕組みでもありますね。固定の報酬は給与で、臨時の報酬は賞与で、というように住み分けているわけです。


ただ、「会社の業績に応じて支給する」というのは、つまり無条件ということであり、例えるならば、「白紙委任状」と同じです。

通常の委任状だと委任できる権利の範囲を限定して内容を決めるのですが、白紙委任状だと委任できる権利の範囲を限定せずに書面を作成するのです。例えるなら、不動産の抵当権抹消手続きの委任を行うために、抵当権を抹消するだけの委任をするのではなく、委任状の委任内容の欄を空欄にしておくのですね。そうすると、委任内容を代理人が自由に書けますので、土地の抵当権抹消だけでなく、土地の売却もできたりします。

これが白紙委任状です。


そこで、まさに白紙委任状が賞与に似ているのではないかというのが私の考えです。

会社が自由に内容を決めることができるのですから、言うなれば「白紙賞与」でしょうか。


ゆえに、白紙なのだから、賞与を減額をしたとしても、不利益変更にならないのではないかというのが今回のポイントです。






利益になる要素が混ざると不利益でなくなる

結論から言えば、支給額が確定していないものを金額変更したとしても、いわゆる不利益変更にはならないです。

なぜならば、元の数字が分からないのですから、不利益になるかどうかも判断できないからです。基準が無いのに判断できないのと同じですね。


例えば、人間の体重が重いかどうかを判断するには、体重の数字だけでは判断できません。

身長、体脂肪率、性別、筋肉量、骨量などなどを踏まえて、相対的に体重が重いかどうかを判断するわけです。つまり、基準を設定して判断をしているのですね。



労務管理における不利益変更の判断基準は、「ある労務管理の仕組みを変更すれば、必ず不利益になるかどうか」という点を使います。

例えば、交通費を不支給にするとか、休日を1日減らす、というのが不利益変更です。ここでは、一律で不利益が発生するというのがポイントです。


一方、場合によっては不利益にならないならば、不利益変更ではないのです。

例えば、基本給ベースの報酬体系から年俸制の報酬体系に変更するというのは、不利益変更には該当しないのですね。年俸制に変わると、報酬が増える人もいれば減る人もいるわけですので、「不利益変更」と断定できないからです。

おそらく裁判でも、「必ずしも不利な変更ではない」と判断するはずです。

通常は、100%もしくはほぼ100%ぐらいで不利益が発生しないと、不利益変更と判定しないのですね。


例えば、日本航空の企業年金を減額するというのは、一律に不利益が発生しますから、不利益変更なわけです。

他方、リーマン・ブラザーズとくっついた野村証券で年俸制を採用しても、これは不利益変更にならないのですね。成果をたくさん生み出す人は年俸制で利益を得ますから、一律に不利とは言えないわけです。






賞与の中身は会社の裁量で決められている

賞与も退職金と同様に、もし支給するならば「支給条件」と「計算方法」を決めることは必須です。

支給条件が分からない、どうやって計算されているのかも分からないとなると、これはもう有名無実の仕組みと言わざるを得ないですよね。


時間外手当とか有給休暇とか管理職の取り扱いについては話題になりやすいので、会社も仕組みを修正する動機を持ちやすいでしょう。

しかし、退職金と賞与については、昔も今も不明朗な会計のままなのですね。

もちろん、退職金規程や賞与規定を作って明朗にしている会社はそれで良いのですが、小規模な会社だと退職金規程や賞与規定どころか就業規則ですら作っていないところもあるのですから、どうしても不明朗になってしまうわけです。


支給するなら、キチンと基準を作る。一方、支給しないなら、最初から「退職金を支給する」とか「賞与を支給する」と言わないことです。

その気もないのに、「何も支給しないと言うと人が集まらないから、形だけでも退職金や賞与を支給すると言っておけば人が集まるだろう」と考えるのは、詐欺です。

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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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