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┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/11/20号 no.143)━
そろそろ紅葉を観に行きたい時期です。
今年は嵐山に行く予定です。2007年に初めて嵐山の紅葉を見に行きましたが、良い感じでしたので再訪しようと決めました。
意外なことに、嵐山はさほど混んでいませんでした(以前は休みの日に行ったのですが、思いのほか空いていました)ので、紅葉巡りには良い場所ではないでしょうか。
■「不利益変更」という言葉の定義◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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利益と不利益が混ざると不利益でなくなる。
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■「賞与の減額=不利益変更」???
「賞与は、会社の業績に応じて、夏季および冬季に支給する」という賞与のルールは少なくないですよね。特に、小規模な会社とか、ひな形の就業規則をそのまま使っている会社によくあるのではないでしょうか。
確かに、業績に応じて賞与を支給するのは納得できる仕組みでもありますね。固定の報酬は給与で、臨時の報酬は賞与で、というように住み分けているわけです。
ただ、「会社の業績に応じて支給する」というのは、つまり無条件ということであり、例えるならば、「白紙委任状」と同じです。
通常の委任状だと委任できる権利の範囲を限定して内容を決めるのですが、白紙委任状だと委任できる権利の範囲を限定せずに書面を作成するのです。例えるなら、不動産の抵当権抹消手続きの委任を行うために、抵当権を抹消するだけの委任をするのではなく、委任状の委任内容の欄を空欄にしておくのですね。そうすると、委任内容を代理人が自由に書けますので、土地の抵当権抹消だけでなく、土地の売却もできたりします。
これが白紙委任状です。
そこで、まさに白紙委任状が賞与に似ているのではないかというのが私の考えです。
会社が自由に内容を決めることができるのですから、言うなれば「白紙賞与」でしょうか。
ゆえに、白紙なのだから、賞与を減額をしたとしても、不利益変更にならないのではないかというのが今回のポイントです。
■利益になる要素が混ざると不利益でなくなる。
結論から言えば、支給額が確定していないものを金額変更したとしても、いわゆる不利益変更にはならないです。
なぜならば、元の数字が分からないのですから、不利益になるかどうかも判断できないからです。基準が無いのに判断できないのと同じですね。
例えば、人間の体重が重いかどうかを判断するには、体重の数字だけでは判断できません。
身長、体脂肪率、性別、筋肉量、骨量などなどを踏まえて、相対的に体重が重いかどうかを判断するわけです。つまり、基準を設定して判断をしているのですね。
労務管理における不利益変更の判断基準は、「ある労務管理の仕組みを変更すれば、必ず不利益になるかどうか」という点を使います。
例えば、交通費を不支給にするとか、休日を1日減らす、というのが不利益変更です。ここでは、一律で不利益が発生するというのがポイントです。
一方、場合によっては不利益にならないならば、不利益変更ではないのです。
例えば、基本給ベースの報酬体系から年俸制の報酬体系に変更するというのは、不利益変更には該当しないのですね。年俸制に変わると、報酬が増える人もいれば減る人もいるわけですので、「不利益変更」と断定できないからです。
おそらく裁判でも、「必ずしも不利な変更ではない」と判断するはずです。
通常は、100%もしくはほぼ100%ぐらいで不利益が発生しないと、不利益変更と判定しないのですね。
例えば、日本航空の企業年金を減額するというのは、一律に不利益が発生しますから、不利益変更なわけです。
他方、リーマン・ブラザーズとくっついた野村証券で年俸制を採用しても、これは不利益変更にならないのですね。成果をたくさん生み出す人は年俸制で利益を得ますから、一律に不利とは言えないわけです。
■賞与に基準が無いので判断もしにくい。
賞与も退職金と同様に、もし支給するならば「支給条件」と「計算方法」を決めることは必須です。
支給条件が分からない、どうやって計算されているのかも分からないとなると、これはもう有名無実の仕組みと言わざるを得ないですよね。
時間外手当とか有給休暇とか管理職の取り扱いについては話題になりやすいので、会社も仕組みを修正する動機を持ちやすいでしょう。
しかし、退職金と賞与については、昔も今も不明朗な会計のままなのですね。
もちろん、退職金規程や賞与規定を作って明朗にしている会社はそれで良いのですが、小規模な会社だと退職金規程や賞与規定どころか就業規則ですら作っていないところもあるのですから、どうしても不明朗になってしまうわけです。
支給するなら、キチンと基準を作る。一方、支給しないなら、最初から「退職金を支給する」とか「賞与を支給する」と言わないことです。
その気もないのに、「何も支給しないと言うと人が集まらないから、形だけでも退職金や賞与を支給すると言っておけば人が集まるだろう」と考えるのは、詐欺です。
┏━━━━━━━━━━☆★ 編集後記 ★☆━━━━━━━━━┓
プレゼントを贈る時は「何が欲しい?」と聞かない方が良いのではないかと最近思います。
(リサーチ段階で)
「何が欲しい?」
「○○の財布」
(実際に贈る場面になって)
「はい、○○の財布」
「わぁ~、ありがとう!!」
という一連の流れ。
確かに、このようなプレゼントでもキチンとしたプレゼントになっています。
ただ、何となく作業的な雰囲気が感じられるのですね。
プレゼントというのは、「物品の贈受という作業」ではなく、「気持ちが乗っているからプレゼント」なのではないかと思うのです。
「モノ+気持ち=プレゼント」であって、「モノ=プレゼント」というわけではないような気がするのです。何らかの気持ち(何の理由も無く贈り物はしないはず)が乗っているからプレゼントなのであって、モノのやり取りだけではないのでは?
モノだけで構成されているのがプレゼントなのかどうか、、、。
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