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産休中(産前産後期間)に年次有給休暇を使える? 出産手当金があるから年休は不要

産休と年休

 

出産前と出産後には休業期間というものが設定されていて、出産前42日、出産後56日がいわゆる「産休(産前産後休業期間)」です。

この期間中は仕事を休むので、給与が出ませんから、何らかの方法で収入を補填する方法はないかと考えると、「有給休暇を入れちゃえばいいのでは?」と思いつきます。

ちなみに、会社員(会社経由で社会保険に加入して被保険者になっている方)ならば、産休中は雇用保険料はゼロですし、社会保険料も免除されます。

産前産後休業保険料免除制度|日本年金機構

本人が支払う社会保険料だけでなく、会社が支払う部分も免除されますので、産前産後休業中に社会保険料を本人から回収する必要がありません。

さらに、国民年金のみ加入している方(1号被保険者)でも産前産後休暇中の社会保険料は免除されています。ただし、免除されるのは国民年金の保険料です。国民健康保険は対象になっていません。

参考:国民年金の産前産後期間の保険料免除制度(厚生労働省)

免除される期間は4ヶ月ですから、1ヶ月の国民年金保険料が16,000円とすると、4ヶ月で64,000円。免除された4ヶ月分は保険料を納付したものと扱われますから、将来の年金額に反映されます。

 

収入がなくても、保険料による支出もありませんから、特に困るというほどでもないのですが、産休期間は98日あります(出産予定日より遅れて出産したときはその期間が日数に加算されます)ので、3ヶ月間の収入をどうするかが悩みどころです。

そこで有給休暇を使えるかどうかが疑問となります。


産休で休んでいるということは、仕事をする必要が無くなっているのですから、年次有給休暇を使うこともできません。

有給休暇は、出勤する日を休暇に切り替えるものですから、休みの日を休暇に変えることはできないわけです。休みを休みにするなんて訳が分からないですからね。

ゆえに、産休を取る労働者の側から「産休中に有給休暇を入れてください」と要求することはできません。

労働基準法65条に産前産後休業に関する規定があります。そこでは産前産後の期間中は「その者を就業させてはならない」と書いていますから、65条の内容から考えても年次有給休暇を取る余地はないと言えます。


別の解釈をすれば、有給休暇の使い方は法律で制限されているものではなく、どのように利用するかは当事者(使用者と労働者)に任せられているので、休みになっている日に有給休暇を充当しても、それが法律に違反するとまでは言えず、いわゆるグレーゾーンです。

使用者と労働者がお互いに納得の上で、産休中に有給休暇を使ったとしても、それはそれで一つの使い方です。ただ、産休期間である93日間の中で有給休暇を使うと、あっという間に休暇が全部なくなるでしょうから、それで良いのかどうかも考えどころです。

繰り越した年次有給休暇があったとして、最大でも40日分です。

付け加えると、産休中に有給休暇を利用し、収入を得たとしても、社会保険料は免除されます。

健康保険から出産育児一時金が用意されていますし、出産手当金もあります。さらに、妊娠を理由に体調が良くなくて就労できないとなれば、傷病手当金も利用できるわけですから、あえて産前産後期間に年次有給休暇を充当する必要もないのでは。 

年次有給休暇を使って報酬を得てしまうと、出産手当金の額が調整されてしまいますから、年次有給休暇を使わずに収入がない状況にしておけば、満額で出産手当金を受け取れます。

ですから産前産後期間に年次有給休暇を取らなくてもいい、という結論になります。

出産手当金の支給額は、傷病手当金と同じ方法で給付額が決まります。傷病手当金の支給額は、「支給開始日以前の継続した 12ヶ月間の標準報酬月額を平均した額÷30×2/3」です。標準報酬月額を1日あたりに換算した額の3分の2ですから、1日あたりの給与の2/3ぐらいかな、と考えておいていただければいいでしょう。

出産手当金は、健康保険の被保険者が対象の制度です。そのため、家族で被扶養者になっている方、会社では健康保険に入っておらず国民健康保険に入っている方は出産手当金の対象外です。

 

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。
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