メニューがないお店。就業規則が無い会社。

「なぜ就業規則を整備しないといけないの? 就業規則がなくても仕事はできるよ」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。現実に、就業規則なしで労務管理している小規模な会社はあるでしょうし、規定は作っているけれども最初に作ったきりで使っていない会社もあるかもしれない。日常業務で直接に役立つものではないため、どうしてもその効用が理解されにくく、「なくてもいいんじゃないか」という感覚を招きやすい。

就業規則には商品のアイデアやマーケティングの方法について書いていないでしょうし、営業の手順が書かれているわけでもない。ましてや、料理を作るための調理手順が書かれているということもない。それゆえ、「就業規則は必要なの?」という疑問を抱かせるのかもしれない。


メニューが無いお店。

話は変わりますが、飲食店に行くとメニュー(お品書き)があります。名前や写真を付けて、美味しそうな料理がメニューで紹介されています。これはど この飲食店でもほぼ同じはずです。お店の入り口に黒板を置いて、その日のオススメのメニューを紹介しているところもあれば、店内に綺麗なPOPを貼りつけ てイチオシのメニューを紹介しているところもある。


中華料理店ならばラーメンやチャーハン、和食店ならば天ぷらや焼き魚、イタリアンレストランならばパスタやピザがメニューとして設定されているでしょう。

「飲食店にメニューがあるのは当たり前」と思うかもしれないけれども、もし飲食店にメニューがなかったらどうなるか。初めてのお店に入ったものの、 お品書きがないとき、どうやって料理を注文するでしょうか。行きつけの店ならば、何も見ずに注文できるかもしれないが、初めてのお店ならば注文するのは難 しい。

中華屋入ってメニューがなければ、何を注文するか。餃子とかラーメン、酢豚というような代表的な料理ならありそうですが、お品書きが無いと注文でき るのかどうか分からない。お店に入ったら、上着を脱いで、椅子に座り、上着を隣の席に置く。「ふう~っ」と一息つきながらテーブルの上のメニューに手を伸 ばす。もしくは、壁にペタペタと張り付けている料理名を見ながら、「どれにするかなぁ、、」と考える。

 


初めて行く店ならば、どんな料理を食べれるのか分かるところに行きたいはず。何が出てくるかわからないような怪しいお店に行くのはイヤですよね。

もちろん、メニューなしで飲食店を運営することも可能かもしれないけれども、お客さんは店に入りにくいでしょう。お品書きはもちろん、店の出入り口や店舗のレイアウトで、どんな店なのかをわかりやすく示していると、お客さんはその店に入りやすくなるはず。

 

就業規則は飲食店のメニューと似ている。就業規則は「労務管理のメニュー」であって、何を、どのように取り扱うのかを示す手段です。お客さんを社員だと考えると、飲食店の場面と労務管理の場面が重なります。

メニュー(就業規則)があるお店(会社)にはお客さん(社員)が来やすい。メニュー(就業規則)がないお店(会社)にはお客さん(社員)は来にくい。

 

 

分かりやすい寿司屋と分かりにくい寿司屋。

どんなお店なのか。場所はどこなのか。どんな料理を提供する飲食店なのか。どれぐらいの値段なのか。店内のレイアウトはどうなっているのか。お店の雰囲気はどうか。どんなテーブルで食事をするのか。どんなイスに座るのか。

お店に行くお客さんは色々な情報を知りたがります。事前に、お店のウェブサイトを見たり、レビューサイトの評価を読んだり、実際にお店に行ったことがある友人にどんな雰囲気だったかを聞いてみる。さらには、ミシュランガイドにこれから行こうとしているお店が掲載されているので読んでみた。こんな経験ありますよね。

インターネットサイトのレビューを見て、「美味しかったです。また行こうと思います」、「雰囲気が良くて、家族連れも多かったです」などと書かれていれば、訪問した経験がないお店でも、行ってみようかと思える。「味はどうかなぁ、、」と思っている人にとっては、美味しいというレビューは参考になるし、「家族連れでも大丈夫な店かなぁ、、」と思っている人には、家族連れも多かったというレビューが助かる。

得られる情報が多いほど、安心してそのお店に行ける。しかし、調べてもよく分からないお店には行きにくいのではないでしょうか。例えるならば、初めて会った他人と友人のように会話するのは難しいけれども、すでに知っている仲の良い友だちとは気軽に話せる。両者にはそんな違いがあります。

 

情報は相手に予見可能性を与える効果があります。「予見可能性」という表現を使うと難しいのですが、レビューを読んでおくと、その店の料理が美味しいのか、雰囲気はどんな感じか分かります。つまり、まだ店に行ったことがなくても、どんな店かを予想できます。これが予見可能性です。

 

 

分かりやすい寿司屋と分かりにくい寿司屋。寿司屋には2つの種類があります。

寿司屋にも色々なタイプがあって、1皿100円の回転寿司のお店から1貫で1,000円以上のお寿司を提供する高級店があります。このタイプをシンプルに分けると、分かりやすい寿司屋と分かりにくい寿司屋の2つに分かれます。

お店の外から見て、1皿100円と看板に表示されていたら、リーズナブルな寿司屋だと思って、安心してお店に入れます。一方、外の看板や暖簾を見るとそれが寿司屋だと分かるけれども、値段がわからないと気軽にはお店に入りにくい。さらに、勇気を持ってお店に入ったとしても、鮪、烏賊、鮃、鰤などと木の板に墨筆で書かれているだけで値段は書かれていない。

値段が書かれていないということは、おそらく時価で価格を決める寿司屋なのでしょう。もちろん、価格が相応であっても、高級で美味しいお寿司を味わえるお店なのかもしれない。回転寿司店のように賑やかな環境で食事するのではなく、個室で静かに食事ができるのかもしれない。冷凍の魚介類を使うのではなく、当日に市場から仕入れた新鮮な魚介類を寿司ネタとして使っているのかもしれない。

 

では、1皿100円とお店の表看板に書かれている回転寿司店と値段が分からない寿司屋、どっちのお店に入りたいだろうか。

もちろん、すべての人が回転寿司店に入るわけではないし、高級な寿司店には誰も入らないわけでもない。家族でリーズナブルに寿司を食べたいならば回転寿司店に入るし、少人数で静かに会食することを目的にするならば個室の寿司屋の方が望ましいかもしれない。お店の雰囲気がいいとか、店内のレイアウトが落ち着いているとか、お客さんの細かい注文を聞いてくれるとか。高級な寿司屋には相応の価値があります。そのため、回転寿司よりも単価が高く、お客さんもジャンジャン入ってくるようにはなっていないのかもしれません。

人によって目的や希望は異なるけれども、単純に入りやすいお店を選ぶとしたら、おそらく事前に情報がオープンにされている回転寿司店ではないでしょうか。

 

高級な寿司屋であっても、店先に簡単なお品書きでも掲示していれば、店への入りやすさが増すはず。メニュー名だけでなく、料理の写真も一緒に貼っておけば、さらに親切でしょう。他にも、梅御膳、竹御膳、松御膳というように、セットメニューをお品書きに書いて、さらに、一品ごとの料理名を細かく書いて、どんな材料を使っているのかを示しておけばなお良いでしょう。セットメニューの写真も添えることが出来れば、もう言うこと無しなほどの情報になります。

 

他の例を挙げれば、京都にある料亭のようなお店も寿司屋に似ている。京都の狭い路地を歩いていると、飲食店のようなお店があります。京都市内は縦横にキレイ に道が通っていて、グニャグニャと曲がっている道を見慣れていると、新鮮に感じられる。特に、二条城の周辺がキレイに道が通っていて、均等な面積でブロッ クにして切り分けられたかのような地区になっている。この近辺に、暖簾が無く、お品書きも店の外に貼りだしていない店があります。外観を一見すると民家のように思えるけれども、雰囲気から判断するに飲食店にようにも思える。

普通は、出入口に、メニューが書かれた黒板やホワイトボードを置いて、どんなメニューがあるのか説明しているのですが、和食店なのかどうか分からない飲食店らしきところは何も情報を外に示していません。

お店の玄関前を歩いて通ると、何やら料理の際の匂いが漂ってくる。その匂いでそこが飲食店だとは思うけれども、どんな飲食店かは分からない。京都だから、おそらく和食のお店だろうとは推測できるけれども、ハッキリと分かるわけではない。そんな店が何件もあります。

誰か有名な人がお忍びでやって来るのか。それとも、完全予約制のお店なのか。予約するとしても、連絡先もわかりませんから、予約も容易ではないはずです。

入ってみれば、普通の和食店なのかもしれないけれども、店先に暖簾がなく、メニューを書いた看板や黒板もないとなると、何をいくらで食べれるのかが分からない。お店の中に入れば、お品書きを置いているのかもしれないし、お店に着いて案内された座敷に座り込んで一息ついた時に女将さんがお品書きを持ってきてくれるのかもしれない。

しかし、何となく想像できる程度のお店にホイッと入ろうと決断するのは簡単ではないでしょう。

 

情報の多さと人の安心度は比例します。事前に情報を与えられると、人は安心する。さらに、情報の量が多く、さらに具体的であればあるほど、情報の受け手はお店に入りやすくなります。

お品書きが無いお店よりも、それがあるお店の方が人は近づきやすい。看板が無いお店よりも、看板がお店の建物に取り付けられているならば店の中に入りやすい。

 

就業規則もお品書きや看板と似たような効果を持っています。労務管理の場面で、「どういう時にどんな処理をするか」、これを知らせる機能を持つのが就業規則なのです。例えるならば、就業規則は「労務管理のお品書き」と表現するべきかもしれません。

 

 


目的地までの距離を知らないまま移動する。

飲食店の話から変わりますが、もし、目的地を知らされずに、どこかに連れて行かれたら、どう感じますか?

どこに向かっているのか分からない状態で車に乗せられたら。いつ目的地点に到着するのか分からない状態で山登りをさせられたら。

何か怖いですよね。

どこかに行く予定があるならば、事前に地図で調べるかインターネットの地図で道順を調べるでしょう。47号線を西へ真っ直ぐ走り、125号線まで来たら、右へ曲がって北へ進む。地図を眺めながら、頭のなかで考えを巡らせて、事前に道順を調べて目的地に行く。これが普通でしょう。

知らない場所に連れて行かれるというと、拉致とか連行をイメージしてしまいますが、行き先を知らされずに友人の車に乗る場面を想定してもいいでしょう。目隠しして車に乗って、2時間移動する。不安を感じて、時間が過ぎるのが遅いと感じるのではないでしょうか。10分を30分に感じたり、30分を1時間に感じたりする。

山登りでも、どういうルートで登るのか、どれくらい時間がかかるのか、砂利道なのか泥道なのか、どこまで登ったのか。こういう情報を知らされた上で山を登っているかどうかで疲れ方に違いが出る。あと15分で山頂に着くと言われれば、「よし、もうすぐだ」と奮起する。しかし、時間の目安を知らされないと、「あぁ、いつになったら着くのだろうか」と思い、ウンザリして疲れてしまう。

 

人は先が分からない状態に置かれると、安心できず、気持ちがザワザワする。そんな生き物なのですね。

 

 

終わりが見えない話。

これは移動だけに限った話ではなく、人の話を聞いていて、結論がわからない話が長々と続くと、「あぁ、長いなぁ。早く終わればいいのに、、」と思うはず。先に話す内容や順序、結論を言わずに話し始めると、聞いている人は話の内容を理解しづらいので、実際よりも話が長いように感じてしまう。

いつ終わるか分からないプレゼンも嫌なものです。最初の5分は集中して聞けるけれども、それ以降はもうアクビが出て、気持ちもそぞろに話の内容とは違うことを考えている。そんな経験がある人もいるのではないかと思います。

いつ終わるか分からない校長先生の話も同じ。夏の暑い時期、夏休み前の6月や7月頃を思い浮かべてくください。あの暑い時期に行われる朝礼、あれは辛かったですね。汗がタラタラと流れるのに、ありがたくもない話を長々と展開する。暑さで倒れる人も出るくらいなのに、毎週月曜日の朝に朝礼を行なう。何分で終わるとは言わないものだから、聞いている生徒はシンドイ。

長い長い話も、「朝礼は9:00から9:10で終わります」と事前に伝えて、その通りに終われば、朝礼に参加する生徒への負担も減るでしょう。さらに、朝礼で話す内容を予め伝えておくとか。こういう工夫をすると、朝礼も苦痛ではなくなるかもしれない。


人は先が見えない事柄に対してイライラしたり、不安を感じたりする。しかし、先を見えるようにすると、安心感を感じ、快適な気持ちになる。

 

プレゼンの方法を工夫するならば、スライドの枚数を事前に知らせておく方法があります。仮に、40枚のスライドがあるならば、スライドの下部に1/40,2/40,3/40,,,というように進捗状況を表示しておけば、どの時点までプレゼンが進行しているのかがハッキリと分かる。20/40まで到達すれば、「あぁ、半分まで来たな」と話を聞いている人も分かります。さらに、プレゼンの前に、話す内容の全体像や結論、所要時間を伝えておけば、聞き手はこれから話される内容の大枠を把握できるので安心するはず。


就業規則には「先を見せる効果」があります。どういう時に、どういう手続がなされるか。これを事前に知らせる効果があります。いうなれば、就業規則は「労務管理の地図」ですね。

 

 

駅の案内表示と道路の標識。

駅に行くと必ずある案内表示。あの案内表示なしで、駅の中を移動できるでしょうか。

例えば、大阪駅の周辺には地上からは見えないけれども、地面の下には広い地下街が広がっていて、駅周辺の階段から地下に入れば、その広さに気付くでしょう。地下街が広いため、案内表示も数えきれないぐらいたくさんあります。しかし、キチンと案内にしたがって歩いていけば、目的の場所まで到着出来ます。中には、案内があっても迷ってしまう人もいますけれども、多くの人は迷うこと無く移動できるはず。

しかし、あの地下街の案内表示を取り払ってしまったとしたら。どこをどう進めば目的の電車に乗れるのか。JR大阪環状線の駅はどこか。地下鉄御堂筋線の改札はどこか。6番出口はどこか。迷う人が続出するでしょう。

駅の案内表示が行き先を示すと同様に、会社内のルールを案内するもの。それが就業規則です。

 

道路標識も駅の案内表示と同じ。名神高速を大阪から東へ車で走って、走行中に、青い掲示板に白抜き文字で、「名古屋まで140km」と表示されれば、あとどれくらい名古屋に到着するか分かる。案内表示がなくても、カーナビやスマートフォンのナビ機能で、目的地までの距離が分かるでしょう。しかし、あと140kmという情報がなかったとしたら、「あぁ、あとどれくらい走ったら到着するんだろうか」と溜め息混じりに呟くのではないでしょうか。

高速道路の渋滞情報も、渋滞であることを知らないで渋滞に巻き込まれると辛い。空いていると思って高速道路を走っていたのに、あれよあれよと渋滞に入り込んでいく。「あぁ~、渋滞だァ。まさかこんなに混んでるなんて思わなかったよぉ~」と後悔する。

しかし、事前に道路の交通情報を調べていれば、「おっ、渋滞しているなぁ。でも、渋滞4kmだから、そのまま行こうか」と判断することも可能だし、もっと道路が混んでいれば、「渋滞29kmかぁ、、こりゃあ高速道路を走らずに一般道を走っていったほうがいいかもしれない」という判断もできる。

事前に道路の交通情報を知っているかどうかで気持ちや判断は随分と変わる。知らずに渋滞に巻き込まれればイライラするけれども、知った上で渋滞に入れば、それは想定内の出来事なのでイライラの程度は和らぐし、代替的な手段も思いつく。

 

道路をクルマやバイクで走っているときのスピード違反も、単にスピード違反と言われたら、どうダメなのかが分からない。どの道ではどれくらいの速度制限なのか。基準がなければ、違反したのかどうか判断できない。この道は30km/h、あの道は50km/hというように、速度の基準を設けて、その基準に照らしてスピード違反かどうかを判断する。

スピード違反には基準があり、制限速度から何km/h超過しているかでペナルティが決まっている。それゆえ、10km/hの超過で違反点数2点、20km/hの超過で5点というように、実際にスピード違反するクルマやバイクが現れた時に対応できる。

もし、スピード違反を判定するための基準がなければ、どうやって違反を判定するのか。判断する警察官も判断される運転者も迷うはず。

 

 

 

 

労務管理は見えにくい。

 

例えば、休日手当。説明するまでもないことですが、休日手当は休日に仕事をしたときに支給される手当です。法律では35%以上の割増賃金を法定休日割増賃金と表現しますが、これと同等のものです。

ただ、この休日手当、どの休日に働くと手当を支給するのか。つまり、どの休日に出勤しても手当は支給されるのか。それとも、休日手当が支給される日とそうでない日があるのか。休日勤務の割増賃金は法定休日に勤務した場合に支給するものですから、法定外の休日に勤務した場合はどうなるのかが分かれどころです。

法律では、法定休日に勤務した場合に割増賃金が必要です。そのため、法定休日と法定外休日を分けた場合、同じ休日勤務であっても、割増賃金が付く場合とそうでない場合で分かれる可能性があります。もちろん、休日を分けて考えずに、すべて同じ休日と考えて扱い、割増賃金も全ての休日を対象にしても構わない。

休日勤務は全て手当を付けるのか。それとも、休日によって対応を分けるのか。ここは就業規則でどうするかを決めておく必要があります。

 

他にも、休み時間はまとめて取らないといけないのかどうか。それとも、分割してとってもいいのか。例えば、休憩が60分あるとして、まとめて60分ではなく、45分と15分の組み合わせや30分の休憩を2回というように分けてもいいのか、それともシンプルに60分でまとめるのか。これも会社ごとに違いがありますので、就業規則で独自にルールを決める必要があります。

さらには、法律では6時間を超えて働く場合は45分、8時間を超えて働く場合は60分というように、勤務時間と休憩を対応させていますが、4時間勤務で15分とか、5時間勤務で30分というように休憩の選択肢を増やすこともできます。また、残業を含めた勤務時間が10時間になる予定ならば、さらに追加で30分の休憩を設けるとか。

休憩も会社の労務管理に合わせて就業規則で調整できるのですね。

 

他にも、早退したときはどんな扱いになるのか。遅刻したらどうなるのか。これらも就業規則がないと分からない。早退や遅刻をしたら、賃金を控除するのかどうか。もし、控除するとすれば額はどれくらいか。さらに、早退と遅刻で対応を分けるのかどうか。

他にも、早退や遅刻をするとしても、理由によって対応が変わる可能性もあります。寝坊で遅刻した場合と電車が遅延して遅刻した場合で、両者とも同じ扱いにするのは不都合ですよね。早退でも、体調不良で早退したのか、何か私的な理由で早退したのか。この場合も対応が分かれるかもしれない。

早退と遅刻は勤務時間の長さが変わるだけのように思えますが、このように労務管理で対処すべき点はあります。



休み、働く時間、報酬。この3点は特に気になりやすいポイントです。これらの点が分かりやすいように伝われば、社員の就業満足度を高める効果も期待できるのではないでしょうか。


労務管理は、不明朗でブラックボックスのような状態になりやすい。働く側の立場だと、待遇についてはあまり聞いてはいけない雰囲気があったりして、自ずと情報が滞りがちになります。休みのことや残業代のこと、給与や賞与のこと。これらは聞きにくいし、調べにくいですよね。会社側でも、判断のための基準を設けていなかったために、ルーズな労務管理になってしまい、問い合わされてもチャンと答えられずに、働く人が不満を感じてしまうかもしれない。

 

採用時点で働く条件については説明されるけれども、簡単にしか説明されない場合もある。働き始めた後になってしまっては、本業に関係ない事柄を聞くのはためらわれる。説明する方も億劫に感じるかもしれない。仕事に直接関係することならば積極的に教えるけれども、直接には関係しないことだと積極的に教える気持ちにはなりにくいのではないでしょうか。

だから、就業規則で内容を文書にして「先を見せる」ことで、聞きにくさや調べにくさを解消し、説明する億劫さを解消するのです。

 

 

 

就業規則は労務管理のマニュアル。

就業規則には"先を見せる"機能だけでなく、マニュアルとしての機能もあります。マニュアルとは、一般的な意味のマニュアルで、手順をまとめた説明書のことです。

仕事ではマニュアルというものがあるはずです。マニュアルという名称でなくても、作業手順書とか、調理手順や装置の操作手順書、衛生手順や安全手順などの名称で、おそらくどこの会社でも程度の差はあれ、何らかのマニュアルがあるかと思います。

同じことを繰り返すときに、マニュアルは便利です。その都度考えて判断するのではなく、「こういう場合には、こうする」とあらかじめ決めて、その後は決めたとおりに判断する。考える時間や手間、判断するセンスを省略できるため、仕事が楽になります。さらに、手順が決まっているため、熟練した人でなくても作業に取り組めるようになる。

仕事でも、同じ作業を繰り返す場合は、最も効率的に作業できる手順を決めるはずです。何パターンも作業を試し、その中から所要時間が短く、正確で、誰でもできるような方法を作り出す。そして、作り出した方法をマニュアルとして固定する。こうすれば、後は誰もが正確かつ効率的に仕事ができる。

 

就業規則にもマニュアルとしての機能があります。労務管理の手順を固めて、場面ごとにその都度判断しなくても済むようにできる。

就業規則に書かれていることは読めばわかるので、もし労務を担当する人が退職しても、業務の引き継ぎは簡単です。担当者が変わるたびに労務管理の処理が変わると困りますから、就業規則で処理が担当者によってブレないように固定するのですね。

気分で判断するのではなく、基準で判断する。そのために、就業規則は「労務管理のマニュアル」にもなるのですね。

 

 

 

商売ではキチンと契約書を作る。しかし、労務管理では書面が疎かに。

材料を仕入れて加工し、製品を作って販売する。もしくは、商品をメーカーから仕入れて、それをお店に並べて販売する。こういう商売の場合、材料や商品を仕入れる必要がありますよね。

仕入れるとき、何を、いつまでに、何個、いくらで仕入れるのか。さらには、仕入れたものに瑕疵があったときに返品する特約など。これらの内容を契約 書や注文書で固めるはずです。口約束で仕入れの条件を決めたりはしませんよね。後から、約束とは違うことを言われてしまうかもしれませんから、書面に条件 を表示しておく。これで相互に違うことを言わないようにする。

 

口約束で商売の契約はしない。これは当たり前です。しかし、本業の商売ではキチンと書面を準備するのに、人を雇うときや労務管理の現場では違う対応をする会社もあるのではないでしょうか。

 

雇用契約書は作らないけれども、取引先との契約書や注文書はキチンと作る。就業規則は作っていないけれども、材料を仕入れる条件を記載した契約書はキチンと作る。

こんな会社もあるのではないでしょうか。

 

何をいくらで作ってもらう。何をいくら、どんな条件を付けて仕入れる。これらの内容を書面で固めて、商取引を進める。これが普通ですよね。もちろ ん、何が何でも契約書が必要なわけではないので、書面を介さずに電話連絡やメールだけで取引したりすることもあります。ただ、約束した内容と違う内容で契 約が実行されると困る場合は、チャンと契約書を作成して取引を実行するはず。

商売では当たり前のことでも、労務管理の場面になるとなぜか当たり前ではなくなる。不思議ですよね。

 

 

「キチンと労務管理すると会社に不利だ」と思えてしまう。そんな気持ちもわからないでもありません。

社員に付け込まれないように社員をけん制する会社。会社からフリな扱いを受けて損をしないように行動する社員。こんな関係、イヤですよね。もちろん、家族のようにベタベタした関係を構築する必要はない。ただ、お互いに疑心暗鬼を生じるような関係になるのも無益なことです。

 

法律やルールだけでなく、人の印象でも労務管理は変わります。社員さんが会社の労務管理に対して良い印象を持っていれば、仕事でもギスギスしないものです。人の気持ちを取り扱うのが労務管理ですから、働く人の気持ちを斟酌することは大事なポイントです。

 

 

 

フリーサイズの服は体に合いにくい。

喫煙する人にとっては、ちょっとリフレッシュする目的で一服するのは日常よくあることでしょう。気分転換したいとき、仕事が一段落したとき、食事の後などに喫煙したくなる人が多いようです。

この喫煙ですが、必ずしも職場の人全てが喫煙するわけではない。喫煙する人もいれば、そうでない人もいます。となると、喫煙は休憩時間のみに限定するか。それとも、休憩時間以外のいわゆる「一服」をOKにするか。この点が問題になります。

もし、後者だと、休憩時間ではないのに休憩している状態になるので、非喫煙者からクレームが出る可能性があります。休憩ではない時間に休憩している状態になるのですから、実質的に休憩が増加する。それゆえ、喫煙しない人との休憩時間の差が発生する。もちろん、喫煙といっても、ものの数分ですから、気にするほどではないと言えばそうですが、非喫煙者にとってはやっぱり気になるのではないでしょうか。

喫煙所を設けて自由に喫煙させている会社もあるかと思いますが、喫煙の取り扱いも労務管理では問題になるのです。「それぐらい自由にしていいんじゃないか?」と思う人は注意ですよ。

喫煙休憩を設けるか。それとも、自由に喫煙できるようにするか。これも基準がないとグダグダになる点です。

 


何らかの理由で欠勤するときには、職場に連絡するかと思いますが、この連絡手続きでも労務管理が絡んできます。

2013年の時点では、スマートフォンやタブレット通信端末も普及して、連絡手段も多様になりました。10年前だと、連絡手段は電話かメール、あとはメーリングリストが主なものでした。今では、左記の手段だけでなく、スマートフォンのアプリや各種のウェブサービスで使えるメッセージ機能を使って連絡が可能です。

それゆえ、メールで欠勤連絡とか、SNSのメッセージ機能で欠勤の連絡など。従来では考えられなかった方法で欠勤の連絡をしてくる人がいるかもしれません。スマートフォンのアプリを経由して、欠勤の連絡をしたり、遅刻の連絡をしたり。現実に起こり得るのではないでしょうか。

連絡相手も、直属の上長ではなく、同僚に遅刻の連絡をしたり、欠勤の連絡をして、間接的に内容を伝える人もいますよね。これだと、途中で連絡が寸断されると、伝えるべき相手に伝わらず、遅刻が欠勤になったり、通常の欠勤のはずが無断欠勤になってしまったりする。これは困りますよね。

もちろん、連絡できれば手段は問わないという対応もありです。個人間での連絡だと連絡の引き継ぎがなされるかどうか定かではないし、メールで連絡したとしても相手が見てくれるか分からない。

こういう場合も、欠勤する時の連絡手段をキチンと指定しておくことで、混乱を回避できるでしょう。

「あえて決めなくても、常識的に判断できるだろう」と思えるかもしれない。確かに、事前に連絡するのは当たり前ですし、メールで連絡するのではなく電話で直接連絡するべきと思える。しかし、自分の常識が他人の常識と同じとは限らない。

労務管理は、常識で取り組むものではなく、基準を決めて取り組むもの。それゆえ、当たり前だろうと思えることでも、キチンと基準として決めておくのです。

 

 

携帯電話の取り扱いも労務管理に含まれます。

1人に1台の携帯電話が当たり前のような環境になって、日常だけでなく仕事でも頻繁に利用する人も多いのではないでしょうか。

ただ、携帯電話が身近なものになると、仕事で携帯電話を使っているのか。それとも、私的な理由で携帯電話を使っているのか。見た目では判断できない ものですよね。仕事中にメールをしているとか、ブログを更新しているとか、Twitterに投稿しているとか、私的に使う誘惑がイッパイです。

会社によっては、業務中は携帯電話を持ってはいけないところもあります。例えば、飲食店のように場所的に狭い範囲で仕事をしているならば、携帯電話 が無くても仕事の連絡はできますよね。直接、相手のところに行って用件を伝えればいいので、携帯電話は使わなくても差し支えない。

しかし、移動範囲が広い仕事ならば状況が変わる。例えば、営業の仕事や売り場面積が広いショッピングセンター、アミューズメントパーク、病院などの ように広い場所で移動する仕事だと、何らかの通信手段が必要ですよね。会社が用意したPHSとか、トランシーバー無線機、法人契約の携帯電話を使って連絡 するのが一般的かもしれない。

今では、自分の携帯電話も持っている人の方がそうでない人よりも多い。だから、業務用の携帯電話か自分の携帯電話か、他の人からは分かりにくい。さらに、個人所有の携帯電話を業務でも兼用しているとなれば、どういう使い方をしているかどうかはさらに分かりにくくなる。

「携帯電話の使い方ぐらい常識で判断すればいいだろう」と思うかもしれない。しかし、自分の常識と他の人の常識は同じとは限らない。仕事中は携帯を イジらない。個人的なメールはしない。携帯を操作しない。もし、そのようにして欲しいならば、そのように就業規則で決めておく必要があります。

携帯電話の使い方については自主判断に任せるというのもアリです。一方、チャンと取り扱いを決めておくのもアリです。ただ、曖昧なままに放置しておくと、困ったことが起こるかもしれません。

 

 

振替休日のルールも労務管理でのポイントです。

休日に出勤した代わりに、他の日を休日に切り替える。これが振替休日なのですが、ここはルーズになりがちなポイントです。

まず、休日を振り替えるとしても、何週間以内の他の日に振り替えるのか。つまり、休日に出勤して、その日から2週間以内に代わりの休日を設定するというように、どの日が振替休日になるのかをチャンと決めないといけない。振り替えるべき休日がいつまでも振り替えられず、休日が事実上消滅してしまうことのないようにするのがコツです。

他にも、何日前までに振り替える休日を指定して通知するのか。例えば、14日の日曜日に出勤することになったとして、それを何日前までに本人に通知するのか。休日出勤の1週間前までに通知するのか、休日出勤の3日前までに通知するのか。あまり直前になって休日出勤を決めてしまうと、社員さん本人が休日に予定していたスケジュールを狂わせることになるので、なるべく早い段階で休日出勤と休日の振り替えを伝えないといけない。

振替休日の仕組みをどうやって運用するか。これは会社ごとに異なりますので、就業規則で自社にあった運用方法を決める必要があります。

 


祝日と通常の休日が重なったとき。これは、いわゆる「重複休日」といわれるものですが、この休日をどう取り扱うか。これも労務管理の課題です。

例えば、土曜日と日曜日が休みであるとして、日曜日に祝日が設定されていたとすると、日曜日と祝日が重なります。これが重複休日です。

日曜日と祝日が重なると、カレンダーでは月曜日に振替休日がありますよね。では、会社ではどのように対応するのでしょうか。カレンダー通りに休みにするのか、それとも通常の出勤日として扱うのか。

祝日だからといって会社が休みとは限らないし、日曜日だからといて休みになる会社ばかりでもありません。祝日は通常の日と同じものとして扱うか。それとも、休みの日として扱うか。これは会社によって違います。これも就業規則で取り扱いを決める部分なのです。

 

有給休暇には時季を変更できる仕組みがあります。ここも会社ごとに自主ルールが必要な部分です。

休暇の時季変更権は、ルールがないと、いつでも自由に使える権利になります。これだと、単純に忙しいという理由で休暇の日程が変えられたり、休暇の取得を妨害する目的で時季変更権が使われる可能性もあります。

そのため、どういう場合に時季を変更するのか。時季を変更したならば、変更後の休暇日を具体的に指定する。さらに、休暇の時季を変更するならば、休暇直前に日程を変えられるとスケジュールが狂うので、休暇予定日の何日前までに変更するのか。この3点がポイントです。

休暇の時季を変更するときは、変更しっぱなしで休暇の取得予定が雲散霧消しないようにしたいところです。

 

自社に合わせて基準を調整する。そのために就業規則が存在します。

調整せずに労務管理するのは、フリーサイズの服を着るようなもの。大きすぎてブカブカかもしれないし、小さすぎてキツキツかもしれない。就業規則は仕立屋のようなもので、キチンと作成して利用すれば、自社に合った服ができあがる。

 

 

 

常識ではなく基準で人は動く。

経営者や担当者の主観でブレる労務管理から、誰が判断しても結論が安定する労務管理へ変わる。そのために就業規則を作るのです。

労務管理は、常識で取り組むものではなく、基準を使って取り組むもの。「そんなの常識だろう」というのは基準ではなく主観です。自分の常識が他人の常識と一致するとは限らない。しかし、基準として文書にしていれば、人によって考えがズレることもない。

主観で労務管理しないようにするために就業規則があります。飾りではないし、作ってそれで終わりというものでもない。

これが「就業規則は必要なの?」という疑問への答えではないでしょうか。

 

 



shuugyoutoha.jpg

就業規則とは、会社において決める「社内のルール」です。経営側と社員側双方を規律して、お互いに満足する就業環境を作るのが就業規則の目的です。

内容としては、「就業や休憩の時間」、「有給休暇」、「賃金の計算方法・支払い」などのルールを文書にして作成したものです。
就業規則には、「必ず記載すべき内容」と「ルールとして定めるなら記載すべき内容」との2つの事項があります。

必ず記載すべき内容 始業及び終業の時間に関する事項
休日・休暇に関する事項
有給休暇に関する事項
賃金の決定方法、支払い方法、締め日、支払日
昇給に関する事項
退職・解雇に関する事項
ルールとして定めるなら記載すべき内容
(会社ごとに独自のルールを 加えるならば、記載します)
退職金に関する事項
食費、貸与物品に関する事項
懲戒に関する事項

※上記枠内の内容は、一例です。就業規則は、企業ごとに独自のルールを盛り込むのが通常であり、その内容は、企業毎に異なります。

労働基準法により、常時10人以上の従業員を雇用する事業所は、就業規則の作成が義務付けられています。作成しない場合、罰金30万円が科されます。他方、10人未満の会社では、就業規則を作成する義務はありません(しかし、恣意的な労務管理により社員の不満を招くこともありますので、作成されることをお勧めします)。

なお、就業規則は会社ごとに違って構いません。なので、何も型どおりの規定にしてしまうことはありません。

 

まだ就業規則を作っていない。すでに就業規則はあるが、ひな形を参考にして作り間に合わせた。就業規則の内容を会社の実情に合わせたい。そのようなご希望がある場合は、当事務所にお問い合わせください。

 

 




shuugyounaze.jpg

それは、「組織を秩序立てるには、基準が必要」だからです。
「人が生活する上で、ルールは欠かせない」と我々は考えます。


質問 : ルール無しでスポーツをして楽しいですか?

皆さんは、どのように答えますか?


例えば、サッカーでは、ボールを扱う時、使えるのは足だけです(スローイン等を除きます)。にもかかわらず、手を使って試合をしたらどうなるでしょうか。ドリブルなどせずに直接ゴールに向かってボールを投げ込むのみです。こうなると、サッカーというよりラグビーになってしまいます。サッカー観戦に来たサポーターは、興醒めです。それゆえ、スポーツを楽しむには、ルールが欠かせないのです。


会社における労務管理も同様です。ルールは、必要です。
例えば、昇給に関する基準について考えて見ましょう。会社の発展・成長に寄与し、利益水準の向上にも寄与した社員がいたとします。当然、会社は何らかの待遇でこの社員の結果に応えるでしょう。その応え方が昇給という手段だった場合、何を基準に、どれだけの水準まで引き上げるのかが問題となります。


社員ごとにバラツキがあるからそのつど考えれば良いのでしょうか?
確かに、社員ごとの貢献度を厳密に数値化するのは難しいです。ましてや、会社には、営業、総務、人事、経理、などと業務の性質が異なり、包括的に評価するには困難があります。
だからといって、基準無く評価を行うとどうなるか。
同じ貢献度であったとしても、ある人は大きく評価され、ある人は小さくしか評価されないとなると、社員間の不満が募ります。基準があり、それに基づいているからこそ人は納得します。そうでなければ、ただの「えこひいき」です。


有給休暇のルールについても同じです。
現在、年次有給休暇の取得率は、労働者一人当たり47.1%(厚生労働省 平成18年 就労条件総合調査)となっています。この取得率に低さの主因は、「職場の雰囲気により取得しにくい」という点にあります。確かに、職場で有給休暇を取る人もおらず、そんな環境で自ら有給休暇の取得を申し出るのは、気が引けてしまうかもしれません。なかには、「年次有給休暇など無い」と言われてしまう場合もあるようです。


有給休暇が取りにくい職場は、ややもすると、就業規則を作成していない、作成していても社長の机の中で眠っている、という場合があります。また、就業規則を作成した場合、社員に対し、文書で就業規則を配布し、その内容を知ってもらわなければいけません。ルールも教えずに「ルールがあるぞ!」、とは言えないでしょう。


さらに、ルールがあるからこそ有給休暇を安心して取得できるといえます。文書で明示されているので、事業主側でも無下に取得を拒めません(なお、年次有給休暇を付与しない場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金を科せられます)。


どうしても、有給休暇を取得されると業務に支障が出る場合、取得の時期をずらしてもらうように交渉ができます(年次有給休暇の時期変更権)。


懲戒処分もルールが無ければできません。
例えば、「3日以上無断で欠勤した場合解雇とする」というルールを置きたい場合。就業規則を事前に作成し懲戒についての取り決めをしておいた場合、該当社員をルール通り解雇することは可能です(解雇予告・解雇予告手当は必要)。


しかし、就業規則を作成せず懲戒処分を行うことはできません。なぜならば、懲戒処分にはルールが必要だからです。どのような基準で、どのような懲戒がなされるのか。この点につき、事前に明示されていなければ、働く側は対応できません。にもかかわらず、懲戒処分を行った場合、働く側には不信感しか残りません。また、不信感ほど働く意欲を下げるものはありません。


公平な基準で労務管理してますよ。主観的判断で労務管理してませんよ」、と従業員にアナウンスするには、就業規則が必要なのです。



就業規則を作成する際には、必ずしも型どおりに作る必要はありません。
自社なりのルールを盛り込んで作るのが就業規則です。

労働基準法や(労働組合がある場合には)労働協約に反しない限りで、オリジナルの規定を作ることができます。

休憩時間を法定以上に与えるようにしても良いですし、有給休暇の付与日数を法定より増やしても構いません。


ぜひ、自社独自の就業規則を作って下さい。

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所