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book845(労務管理に登場する「4つの壁」とは?)

 


壁が1つ増えた。


会社で働いている人には4つの壁があります。

  • 1つ目は、「103万円の壁」。
  • 2つ目は、「130万円の壁」。
  • 3つ目は、「141万円の壁」。
  • 4つ目は、ぬりかべ。

 

「は? ぬりかべ?」と反応したアナタ、そんなアナタはマトモな人間です。「おっ! ぬりかべだ!」と反応したら、アナタはアニオタです。

ぬりかべ

さて冗談はこれぐらいにして、4つ目の項目は、「106万円の壁」です。

そんなに壁ばっかりいらないよと思うところですが、なぜか「壁」という言葉を使いたがるんですね。



103万円の壁については、パートタイマーの人はよくご存知のはず。毎年、2月頃になると、年収が103万円を超えないように、勤務時間を減らして調整し始めて、それが3月末まで続く。

103万円というのは、所得税に関連する基準で、基礎控除で38万円、給与所得控除で65万円、この2つの控除を合わせると103万円になります。この103万円の枠内で収入を調整すれば、所得税は無しになるわけです。

38 + 65 = 103。これが103万円の壁というものです。


次に130万円の壁ですが、これは健康保険に関連する基準です。先程の103万円は所得税に関連するもので、こちらの130万円は健康保険の被扶養者になれるかどうかの基準です。

年間収入が130万円だと、家庭内で健康保険に加入している人(会社経由で協会けんぽに加入)の被扶養者として扱われ、毎月の健康保険料が0円になります(ただし、自己負担3割は必要)。

103万円を超えなければ、130万円の基準も超えませんので、所得税がゼロで、健康保険料もゼロになるわけです。



3つ目は、141万円の壁ですが、これは1つ目のものと重複します。1つ目では、基礎控除で38万円、給与所得控除で65万円、控除はこの2つでしたが、パートタイムで働く人が配偶者だと、さらに配偶者特別控除という控除(定額の控除ではなく、収入に応じて控除枠が少なくなる)が用意されており、年間収入141万円までこの控除枠を使えます。

基礎控除38万円、給与所得控除65万円、配偶者特別控除38万円(最大額での控除の場合)、この3つを合わせて141万円になるわけです。

 


4つ目の壁。


さて、今回は上記の3つに加えて、4つ目の壁が登場します。それは、106万円の壁です。

平成28年10月から社会保険に加入するパートタイマーの人が増えますが、この加入基準から106万円の壁が生まれました。

www.gov-online.go.jp



月額賃金88,000円の人(さらに週20時間以上勤務)が社会保険に加入する対象に含まれますが、この88,000円を12ヶ月分で計算すると、105.6万円になります。これを四捨五入すれば、106万円です。

106万円に達すると、自分で社会保険に加入し、被保険者になりますから、それまで健康保険の被扶養者だった人は被保険者に切り替わり、毎月の保険料を支払うようになります。また、厚生年金にも同時に加入しますので、厚生年金保険料も支払います。


「おや? 健康保険の被扶養者になるかどうかは130万円が基準だったんじゃないの?」と思ったあなたは鋭いですね。

確かに、年間収入130万円を境目にして、被扶養者になるかどうかを判定していますから、106万円を基準にしてしまうと、基準が2つあるかのように思えてしまいますね。


この2つの基準は似ているようですが、違いがあります。

130万円の基準だと、年間収入が130万円を超えると確かに被扶養者ではなくなります。では、被保険者になるのかというとそうでもなく、人によっては健康保険の部分が無保険状態になります。もちろん、市町村レベルで運営している国民健康保険がありますが、保険料を支払わないと実質的に無保険です。

パートタイマーならば、年間収入が130万円を超えるとなると、週30時間以上で働いているケースが多いでしょうから、会社経由で社会保険に加入し、被扶養者から被保険者に切り替わるかと思います。



一方、106万円の基準を超えると、さきほど書いたように、自分自身で社会保険に加入し、被保険者になります。逆に、基準を超えなければ、今まで通り被扶養者のままで生活を続けるか、国民健康保険に個人で加入するか、どちらかになります。






山口正博 社会保険労務士事務所
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