book802(通勤手当を定額にして通勤ラッシュを回避する。)




通勤手当が充実すると、通勤ラッシュは酷くなる。



交通費は全額会社負担。会社員だとこれが当たり前のように思えてしまうのですが、交通費を自己負担しないとなると、「遠くから通勤しても大丈夫だ」と思わせてしまい、片道1時間、人によっては2時間と、通勤だけで1日の10分の1ないしそれ以上の時間を失います。

通勤ラッシュについては、何年も何年も、それを解消しようと議論が続いていますが、交通費を全額支給しているうちは解消しないでしょう。

お金を使わないならばタダ。表面的にはそうですが、一方で時間をポンポンと捨ててしまっているので損失はあります。お金は稼げますが、過ぎた時間はどのようにしても取り返せませんから、お金よりも時間のほうが希少価値は高い。

職場から遠い場所に家を買い、長い時間を通勤に費やす。住宅ローンでお金を失い、通勤で時間も失う。このような生活のどこに魅力があるのか、私には分かりません。


税制度を変更して、さらに通勤手当に対する優遇を拡充するようですから、このままでは通勤ラッシュを解消するどころか、さらにラッシュが過密化するでしょう。


book793(政府は通勤ラッシュを酷くしたいらしい。)


では、いかにして通勤の負担を減らすか。通勤のミソは、「通勤させない」のがポイントです。




管理しない労務管理。



方法としては、通勤手当を定額支給に変えます。

現状では、実費を全額、会社が負担していますが、これを例えば月額5,000円というように一定額までで止めます。


また、通勤手当の支給条件は色々と細かいのが特徴です。

まず、申請した交通機関しか使ってはいけないという制約があります。電車で通勤していると申請し、交通費を支給されているのに、徒歩で通勤していると、懲戒対象になり、受け取った交通費を返還せよと要求されることもありますね。

他には、電車やバスを利用しているなら、定期券のコピーを提出する。自動車を使って通勤しているならば、任意保険に加入していると証明する書類のコピーを提出する。

自転車での通勤に対しても、何らかの補助がされている会社もありますので、ここでも何かと条件が付いてきます。

通勤する本人の気持ちとしては、雨が降った時だけ電車やバスに乗りたい。晴れている時は自転車で行きたい。などと思うこともあるでしょう。

また、何らかの理由で電車を使えない場合は、バス、タクシー、徒歩という代替的な手段で移動したいと考えるはずですが、他の交通手段を使うと交通費が出ないとなると困りますよね。


そこで、通勤手当を毎月一律5,000円支給し、どのような手段で通勤してもOKとする。電車に乗ってもバスに乗ってもOK。自転車で来てもいいし、徒歩でもいい。タクシーに乗るのも可能。

通勤に要する費用を全部まとめて定額5,000円で対応してもらう。

徒歩でも交通費が出るのが納得出来ない人もいるでしょうが、徒歩でも相応の労力を要しているので、その対価として交通費が支給されるのもアリでしょう。

個別に分けずに、通勤補助を一律定額で支給する。この方法ならば、定期券のコピーは要らないですし、保険証書のコピーも要らない。電車通勤のはずが徒歩で通勤している人の不正チェックも必要なくなります。まさに管理しない労務管理です。


book755(交通費全額補助をヤメるべきか否か。)



さて、月に5,000円だけだと、遠方から通勤している人には金額が足りないはずです。

そこで使うのが、住宅手当です。職場に近いところに住むと、住宅費用が補助されるようにして、月に5,000円の定額通勤手当でも足りるようにします。

職場に近い場所に住むとなると、住居コストがかかるでしょうが、そこを住宅手当でフォローし、自宅が職場に近いので交通費がかからなくなる。

定額通勤手当と住宅手当をコラボさせて、通勤環境を変える。これが狙いです。



book581(通勤手当と住宅手当を反比例させる。)


通勤手当は移動するための費用でしかありませんが、住宅手当は住むことによる便益を得られますし、通勤時間が短くなり、混み合った電車やバスに乗る機会も減ります。


交通費を全額支給していては通勤ラッシュを解消するのは無理です。




山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所