まだタイムカードを使っているの?

タイムカードは使いやすい。けれども、、、。


過去にチェーンの飲食店で働いていた経験があり、そこではタイムカードで勤務時間を記録していました。

仕事を始めるときには、カードを打刻機に挿し込むと、ギュイーン、ガシャと音を立ててカードに時間を印字し、その後にカードが出てくる。例えるならば、食パンを焼くトースターみたいなものです(今時こういうタイプのトースターを使っている人は少ないでしょうけれども)。


焼けた食パンが上に出てくるトースター


仕事が終わった後は、またカードを機械に挿し込んで、今度は終業の時間をカードに印字するわけです。

カードはストッカーに入れて置いておくようになっていて、打刻機の近くに置いています。

打刻機とカードを購入すれば、すぐに使い始められますから、勤務時間を記録する方法としてはタイムカードは最も手頃な方法です。それゆえ、2017年現在でもタイムカードを使っている会社なりお店はたくさんあります。

ただ、カードは毎月新しいものを用意する必要がありますし、締め日のあとの集計作業もあります。電卓でカチャカチャ、エクセルに延々と入力する、など単純作業を要求されます。

今までずっと使ってきたんだから、だからこれからも変えなくてもいいじゃないか。そう思う方もいらっしゃるはず。人は今まで続けてきたことをやめるのが苦手です。例えば、毎朝、ラジオ体操を10年間続けていると、朝になったらラジオ体操をせずにはいられない。ラジオ体操をしないと1日が始まらないし、何だか元気が出ない。そういうものです。

しかし、タイムカードで勤務時間を記録して管理するのが本当に望ましいのでしょうか。もっと良い方法があるんじゃないか。もっと短時間で給与の計算を終わらせられるのではないか。そう思っている方もいらっしゃるはずです。

 


タイムカードを送り忘れられて、給与が支給されなかった。


未だにタイムカードを使っている事業所は多くあり、「う〜ん、、」と思わされます。どうして他の方法を用いないのか。これは不思議です。

ちなみに、私が実際に経験したことですが、とある飲食店(チェーン展開するそれなりの規模のお店)で、自分のタイムカードを本部に送ってもらうのを忘れられて、給与が支払われなかったことがあります。もう10年以上も前のことで、その頃は学生でした。

締め日になったら、店長がタイムカードを集めて、新しいカードを印字済みのカードと入れ替え、それを本部に送って給与を計算してもらい、給与が支払われる。そのため、送るのを忘れられると、当然ながら給与は支給されないんですね。

在籍中の社員のタイムカードが送られてこなければ、何かおかしいと判断し「送るのを忘れていませんか?」という電話をお店にかけてきそうですけれども、そういうのはなかったようです。これもこれで「いかがなものか」と思えますけどね。

その時は、店長が謝ってきて、「ごめんな。必要だったらオレが立て替えておくけど」と言われました。

「あぁ、こういうことってあるんだな」と。まさかタイムカードを送るのを忘れられるとは思いませんからね(しかもチェーン店でそれなりにチャンとしてそうな会社でしたし)。給与未払い状態(遅配と表現すべきでしょうか)ですから、これは困ります。

ちなみに、遅れた給与は翌月分と合算され、2ヶ月分が一括で支給されました。


そもそも、カードを集めて送るという作業が必要なのかどうか。ここが疑問で、「もっと良い方法はないのか」と、当時は学生でしたが、そう思ったものです。当時はすでにインターネットは普及期に入っていて、ADSLによるネット接続サービスが広がり始めた頃です。

「ん? ADSLって何?」と10代ぐらいの若い人だと知らない方もいらっしゃるでしょうが、今のように光ファイバー接続が当たり前になる前は、電話回線を経由した定額インターネットサービスがあったんです。通信速度は遅かったのですが、3,000円から4,000円ぐらいで使い放題でしたから、当時は画期的なサービスでした。

ネット回線はあったのですから、タイムカードではなくデジタルデータで勤務時間を記録して管理できたのでしょうが、そういうサービスはまだ登場していなかったんです。


働く時間をキチンと記録できればタイムカードでなくてもいいのですから、カードを使わずに勤務時間を管理すれば、本部に送り忘れることは無いでしょう。

カードを回収して本部に送るなんて、無駄でしかない作業ですし、送るのを忘れられたら給与が支給されないこともあります(学生の頃の私のように)。

 

 

 

集めない。送らない。保管しない。


勤務時間をデジタルデータで管理すれば、締め日にカードを集めて、それを本部に送らなくていいですし、さらにカードを保管する必要もないんです。

タイムカードは1ヶ月で使い切りですから、毎月新しいカードが必要です。1枚づつ手書きで名前を書いてカードストッカーに入れる。1箱100枚入で1,500円ぐらいですから、1枚あたり15円。従業員が100人いれば1ヶ月で1箱全て使ってしまいます。予備のカードを買っておくのも面倒なものです。

お店の棚にドッサリと新品のタイムカードが保管されていたのが懐かしいです。


しかも、締め日ごとにカードの種類が違っていて、20日締め、25日締め、月末締めとフォーマットが違うので使いまわしができません。もちろん、給与の締め日はコロコロ変わるものではないですから、フォーマットが固定されていても困りませんけれども。

タイムカードを使わなければ、締め日にカードを集める必要はないですし、集め忘れることもありません。もちろん、自分のタイムカードが忘れられて給与が支給されなかったなんてこともない。


さらに、カードを本部に送るという作業も要りません。事業所が1ヵ所だけの会社だと、そこが本部ですからカードを送る手間は不要です。

しかし、店舗が複数ある会社、チェーンの飲食店やスーパーなどは本部で給与計算を一括で処理しています。そのため、締め日になったら店舗からタイムカードが送られてくるんですね。ちなみに、チェーン店だと、店舗間の書類をやり取りするために、社内メール便というものがあって、それに入れて送れば送料がかからないようになっています。

 

カードを作らない、送らない。この2点だけでもデジタルで管理する大きなメリットですが、段ボール箱に古いカードを入れて保管しなくてもいいという点も忘れてはいけないところです。

「給与計算が終わったらタイムカードを捨てちゃってもいいの?」と思うところですが、給与計算が終わっても3年間は保存しないといけない決まり(労働基準法109条)があります。そのため、段ボール箱に入れて棚の上とか倉庫に入れておくんですね。

給与の計算が終わればタイムカードは使わないし(1ヶ月で使い切り)、おそらく見ることもない。期限が到来したら捨てるだけ。そういうものを3年も置いておかないといけないんですね。場所代もタダじゃないですから、できることならば保管はしたくないのが本音です。

デジタルデータで勤務時間を記録しておけば、3年分の記録など簡単に保存できます(データ量など僅かです)。段ボール箱を置くスペースは必要無いですし、もし過去の勤怠データを見る必要があるならば、年月日を指定すれば画面に表示できます。ホコリがドッサリと乗った段ボール箱を開けて、中をゴソゴソすることもないんですね。

タイムカードを作らない、送らない、保管しない。いわゆる『三ない運動』みたいですが、タイムカードを使わない勤怠管理から得られるものは大きいでしょう。

 

 

 

 

タイムカードのコピーが欲しい。


高校生の頃、パートタイム(学生アルバイトはパートタイマーと同じ)で色々と仕事を経験しましたが、給与明細と一緒にタイムカードのコピーも同封してくれればと思ったものです。

一緒に働いていた同じ学校の同級生も、「タイムカードのコピーもくれたらええのに」と言っていたのを覚えています。

確かに、自分の勤務記録なのですから、それは自分のものです。ならば、給与の支給内容と照合するために、タイムカードのコピーを給与明細と一緒に渡してくれてもいいはずなんです。けれどもコピーはくれない。

ちなみに、タイムカードを使う職場にはいくつも勤めましたが、一度としてタイムカードのコピーを渡してくれたところはありません。とはいえ、渡す義務はありませんから、渡さなくても問題はないんですけどね。

そうはいっても、やはりタイムカードのコピーは欲しいところです。今だったら、自分のスマホを使って、カメラでタイムカードを撮影して保存しておくのもアリですが、何だか会社を疑っているんじゃないかと思われかねない行為なので気が引けます。

しかし、デジタルデータとして勤務時間を記録していれば、本人も閲覧できますし、従業員別にアカウントを発行していれば、自分のスマホで先月分の勤務時間を閲覧するなんてことも簡単です。

 

 

 

 

集計作業にかかる時間は限りなくゼロに。


タイムカードを集めたあとは、給与を計算するために集計する作業があります。電卓を使うところがあれば、エクセルなどの表計算ソフトで計算しているところもあるでしょう。

従業員1人あたりにかかる集計時間はどれぐらいか。仮に1人分で10分かかるとすれば、10人いれば1時間40分。50人いれば、約83時間もの時間がかかります。給与の集計作業で83時間ですからね、これは何とかしたいところです。

そこで、日々の勤務時間を記録していけば、給与の締め日には給与の計算が自動で終わっている、そんな方法があるとすればどうでしょう。

従来だと、締め日から計算を始めますけれども、締め日の段階ですでに計算が終わっているんです。こんな方法があれば助かりますよね。

締め日から給与の支給日まではバタバタするものですが、そのバタバタ感を減らせるとなれば、これは興味が湧きます。

給与の計算に時間をかけたからといって給与が増えるわけではありませんから、早く作業を終わらせるにこしたことはないでしょう。

83時間もかかっていた作業が、限りなく0時間で済ませられる。そういう方法はすでに存在します。

 

 

 

 

他人のタイムカードをガチャン。


ストッカーにカードが入っているので、自分以外の人のカードに始業時間や終業時間を記録するなんて不正もやろうと思えばできてしまいます。もちろん、実際にやったとしても、後から不正はバレますけれども。

「ついでにオレのも押しといて」と他の人に自分のタイムカードを押させる人もいるのでは。これもやってはダメなことですが、やろうと思えばできてしまう環境になっているのも考えどころです。

さらに、誰でもタイムカードを触れるようになってるなら、あれを破いて捨てちゃうとどうなるんでしょうね。イタズラで他の人のカードを捨てちゃうと、勤務時間が分からなくなります。

勤務シフトを見て、この日は何時間働いたと後から調べられますが、タイムカードそのものがなくなれば正確な時間はもう分かりません。勤務シフトで決めた時間はあくまで予定ですからね、10時から16時とか、18時から22時とか、キリの良い時間しか表示されていませんから、もし実際は16時7分まで働いていたとか、22時9分まで働いていたとしても、そのはみ出した時間は切り捨てられてしまいます。


タイムカードを使わずに、磁気ストライプカードをタイムカード代わりに使っている会社もあります。銀行のキャッシュカードと同じようなもので、装置にカードをスキャンすると始業時間や終業時間を記録できるというものです。

タイムカードとは違って、こちらはデジタルで管理されているため、利便性は向上しています。個人別に磁気ストライプカードを発行すれば、財布やパスケースに入れて持ち運べるため、他人が自分のカードで時間を記録する不正は防ぎやすいでしょう。

ただ、この手のシステムや装置を導入するとなると、それなりの設備投資が必要で、今すぐに導入、というわけにはいきません。社員数が7人とか、18人とか、そういう小規模な事業所で大掛かりなシステムを導入するのはモッタイナイ。

しかし、今では勤怠管理をデジタル化するためにはさほど費用はかかりません。最初から何十万円もの費用を投じなくても、数千円程度から始められますし、「やっぱヤメとくか」と思ったらいつでもやめられます。

お金をかけてシステムを導入してしまうと、後からやめたいと思っても、購入した設備はそのまま残ってしまいますし、投じたお金は返ってきません。

 

 

 

手洗いで洗濯しますか?


服を洗いたいとき何を使って洗うか。100人いれば、99人が洗濯機だと答えるでしょう。

洗濯機が身近にあるのに、あえて手洗いで服を洗う人がいるでしょうか。洗濯機で洗うと傷んでしまう衣類ならば手で洗うでしょうけれども、大半の衣類やタオル、シーツなどは洗濯機に放り込んで洗ってしまいますよね。

洗濯物を入れて、洗剤を投入、後はボタンをピッと押したら最後まで洗ってくれる。今や洗って脱水するだけでなく、乾燥までしてくれる洗濯機もあります。洗う、絞る、干す。この作業をすべて自動でやってくれます。本当に助かります。

仮に、洗濯を済ませるために40分の時間が必要だとして、40分間ずっとかかりっきりで手洗いするのと、ボタンを押すだけで最後までやってくれる洗濯機を使う、このどちらかを選んでと言われたらあなたはどちらを選ぶでしょうか。

私ならば考えるまでもなく洗濯機を使います。ボタンを押したら後は洗濯機を離れられますから、その時間を使って食事を作るのもいいですし、お風呂を洗うのもいい。掃除をしてもいいでしょう。つまり、40分の自由時間を得られるのですから、これはありがたい。

手洗い洗濯だと、40分間は洗濯しかできませんから、他のことに時間を使えません。これは困ります。


未だにタイムカードで勤怠管理をしているとすれば、それは洗濯機を使わず服を手洗いしているようなものです。より良い道具を使えば、もっとラクに、もっと早く、もっと正確に勤務時間を記録して管理できるのですから、そういう道具を使わない手はありません。

 





山口正博 社会保険労務士事務所
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