やってはいけない労務管理。タイムカードの集計作業にウンザリ。




やってはいけない労務管理

 

残業代未払い、長時間労働、過労死など、働く環境に対する世間の目は厳しいものになりました。

 

労務管理で何らかのトラブルを起こすと、その会社はブラック企業だと評価される。 

何だか世知辛い世の中になったような気になりますが、チャンと普通に労務管理をしていれば残業代は未払いになりませんし、労働時間を減らすように取り組めば長時間労働も減るものです。

 

2001年頃はまだ労務管理はユルユルな環境で、36協定で決めた残業の時間数は守らない、割増賃金を支払わない、休憩を取れない、というのが珍しくない状況でした。労務管理に対する意識がいい加減で、こんなもんでいいだろう、これぐらいいいだろう、という価値観が大勢を占める状況。

 

大手の広告代理店で過労死自殺した社員が出たことで、世の中の潮目が変わったように思います。人が亡くならないと流れが変わらないのが残念ですが、2015年の年末から労務管理に対する意識が変わり始めたのは感じ取れます。

 

2017年現在では、労務管理で不備があれば公表されるようになり、どういうことをすればダメなのかがある程度分かるようになりました。

 

安全や衛生に関連するところだと、危ない箇所を放置していると労働安全衛生法違反になります。油汚れでヌルヌルしている床を放置している(滑って転ける)。電線がむき出しになっている箇所がある(感電する危険)。高い場所で作業するのに、手すりなどの安全対策がない(落下して怪我)。

「これは危ないな」と感じたら、それは労働安全衛生法に関連してくると考えて、何らかの対処をしておけば、法律違反にはなりません。危ないかどうかを判断するために専門知識は要らず、人間としての普通の感覚で判断するだけで足ります。つまり、この手の違反を発生させたということは、普通の感覚が欠如した職場ということになります。

  

パレット(在庫を載せておくための板で、木材やプラスティック製のものが主流)を38段ほど積み上げて、倉庫内の照明を交換する作業をさせているときにパレットが崩れ、作業をしていた人が落下して死亡したとのニュースが2017年の夏に流れたのを覚えています。

パレットは人が乗るために作られていませんし、パレットだけを高く積み上げてその上に乗るなんてことも想定していません。これも「人間としての普通の感覚」を持っている人ならばやらないことです。

 

36協定に関連する違反もよくあるケースです。労使協定である36協定は、1日あたりで何時間まで残業ができるか。1ヶ月あたりで何時間まで残業ができるか。これらの上限を決めるものです。そこで決めた上限を超えてしまうと法令違反の事例になります。

 


やってはいけない労務管理。法令違反事例から。



タイムカードの集計作業にウンザリ

 

勤務時間を記録して管理する方法はいくつかあり、その中でもタイムカードは代表的なものです。 

固い紙でできたカードを機械に入れて始業時間や終業時間を記録する。実際に使った経験がある方も多いはず。

 

カード(市販されています)には日付が印字されていて、それを打刻機に入れると、カードを挿入した時間で始業や終業の時間を記録するんですね。始業と終業を選ぶボタンが付いていて、始業なのに間違って終業のボタンを押して時間を印字してしまったり、こんなこともままあります。

 

2017年現在でもタイムカードを使っている会社なりお店は多いでしょうけれども、給与を計算するとなると悩みがあります。

 

締め日まではタイムカードに時間を記録し、締め日の勤務が終わればタイムカードを回収して集計作業をするんです。締め日から給与支給日の前日まで、この間に給与の計算を終わらせないといけないので、締め日から給与支給日までの日数が少ないとバタバタします。

タイムカードに印字された時間を見て、電卓で計算したり、エクセルに入力したり、色々とやり方はあるでしょうが、「もう、この作業、イヤだ」と感じている方もいらっしゃるでしょう。

 

集まってきたカードを見ながら、延々と電卓を叩く。もしくは、PCの画面を見ながらエクセルのあのマス目に数字を1つ1つ入力していく。

もちろん、これも仕事ですし、その作業に給与も出るわけですから、やらないといけないものであることは確かです。とはいえ、「もっと良い方法があるんじゃないか?」と思うのは人間として自然な反応です。

 

服を洗うときに洗濯機を使わない人はどれぐらいいるでしょうか。自宅に洗濯機が無い人でも、近くのコインランドリーで服を洗うのではないかと思います。

 

大学生の頃、私が住んでいたアパートには風呂は無く、洗濯機もありませんでした(置く場所がない)。さらに、トイレも共同で、他人が想像すると「おいおい、トンデモナイところに住んでいたな」と思ってしまうほどです。

東京の世田谷区にあるアパートで、家賃は29,000円という格安な物件でしたが、なんだかんだで4年間住みましたからね。上手く工夫すれば快適なんです。家賃29,000円のアパートであっても。

 

ちなみに、東京でアパートを探せば、安くても6万円ぐらいですし、8万円ぐらいのマンションやアパートなんて標準価格だと思われているぐらいの相場です。地方居住者からすれば、「え〜! そんなに高いの?」と思うでしょうが、東京ではそれぐらいで普通なんですよ。

 

 

さて、洗濯の話ですが、洗濯機があるにもかかわらず、あえて服を手洗いするのかどうか。もし、「あなたは洗濯物を手洗いするんですか?」と聞かれれば、「んなもん、するわけない」と私ならば答えます。

洗濯機という文明の利器があることを知ってしまっているので、もう使わないわけにはいかないんですね。

 

タイムカードを集計するという非人間的な仕事も、手洗い洗濯のように無くなっていくのが良いように私は思います。

 

 

まだタイムカードを使っているの?




ICカードリーダーでマイナンバーカードを利用してみる。

 

もうマイナンバーカードは手に入れましたか?

マイナンバーカードといっても、あの緑色のカードじゃないですよ。2015年の11月頃に届いたカードはマイナンバーを通知するカードで、「通知カード」と呼ばれているものです。ペラペラした紙で、大きさはキャッシュカードぐらい。個人番号が印字されたカードで、今も持っている方も多くいらっしゃるはず。

 

未だに通知カードを持っているということは、その人はマイナンバーカードを持っていないということ。なぜならば、マイナンバーカードを受け取るには通知カードを市町村の窓口で渡さないといけない(手放す必要があります)からです。

 

通知カードと一緒に、マイナンバーカードを申請するための書類も同封されていて、すぐに手続きした方もいらっしゃるはず。「写真を撮らないといけないからな、、」と思う方もいらっしゃるでしょうが、スマートフォンのカメラで写真を撮って、そのデータを使ってマイナンバーカードを申請することも可能です。この場合はスマートフォンだけで申請手続きを完結できますのでオススメです(私もこの方法で申請しました)。

証明写真機にはマイナンバーカード申請に対応したものもありますから、それを使うのも良いでしょう。

 

「でも、マイナンバーカードを手に入れても使う場面が無いでしょ?」という指摘もありますが、それは確かにそうです。主な用途としては、e-Taxで身分証明するぐらいです。もちろん、身分証明書としても使えますけれども、運転免許証の方が他人に見せやすいので、こちらを多用してしまいます。

 

個人番号を他人に見られてはいけません。そういう管理が求められるのですが、マイナンバーカードの裏にはハッキリと個人番号が見えるように印字されていますので、見られてはいけないと言われても見られてしまう可能性はあります。 

裏返せば見えてしまうものを見られてはいけないとなると、おちおち外に持ち出せません。外に持ち出せないとなると使用頻度が下がりますので、マイナンバーカードが活用されないという状況になります。

 

マイナポータルというウェブサイトが2017年7月にオープンし、個人用のページにログインできるようになりました。

ウェブサイトを見ていると色々と便利そうな雰囲気はありますが、まだ始まったばかりで、できることは限られています。実際にログインした人もまだ多くないはず。

 

マイナポータルにログインするにはICカードリーダーが必要です。ウェブサービスを利用するには、メールアドレスやID、パスワードを使ってサインインなりログインするのが一般的です。このようなデジタルな認証情報でサービスを使えるのが普通ですが、マイナポータルの場合はマイナンバーカードという物理的な鍵を使います。

 

マイナンバーカードを家の鍵だとすれば、ICカードリーダーは鍵穴のようなものです。事前の利用設定を済ませた後、カードリーダーにマイナンバーカードを入れて、暗証番号を入力すると個人用のページを閲覧できます。ちなみに、マイナンバーカードには4つの暗証番号があり、そのうちの1つである利用者証明用の暗証番号4桁をここで使います。

暗証番号を使いますから、家に入るというよりは、銀行のATMを操作しているような感じです。

 

何らかの申請、申込みなどがマイナポータル経由でできるようになると便利でしょうね。

例えば、粗大ごみの回収申し込み、保育園の入園申し込み。市町村ごとのイベント告知や定期健康診断のお知らせや予約。

他にも、社会保険や労働保険への加入状況をチェックできるのもいいですね。いつ雇用保険に加入したか、雇用保険の被保険者番号も調べられるとか。さらに、今現在はどこの会社経由で社会保険に加入していて、いつから加入しているのか。

雇用保険を利用する機会は多くないですから、いつ加入したのかを忘れてしまいがちです。また、雇用保険の被保険者証は小さい紙で、紛失してしまう人もいますから、これをマイナンバーカードで代用できると失くしにくくなります。

健康保険証もマイナンバーカードに切り替えれば、発行や回収、さらには保険証が失効した後の利用も防げますから利点が多いです。

 

 保険証の発行・回収が不要。健康保険証を廃止してマイナンバーカードに移行。

 

 

社会保険に入っているハズなのに入っていなかった。こういうウソのような話もありますから、加入者側からも加入状況チェックできるようになれば安心です。

 

さらに、入院して手術を受ける時には、「限度額適用認定証」というものを申請するのですが、これは病院の窓口で高額療養費の手続きを進めるために必要な書類で、入院前に準備しておくものです。この認定証があれば、先に医療費を立て替えて後から高額療養費を請求する必要がないため、入院して手術を受けるときは事前に申請して準備しておきます。

この限度額適用認定証の申請ですが、今は郵送での手続きが主ですが、手元に認定証が届くまで4日ほどかかります。この申請をマイナポータルからできるようになれば便利ですし、認定証を発行せずにマイナンバーカードを限度額適用認定証として使えるようにすれば発行作業も省略できます(データを書き換えるだけで済む)。

 

その人に合わせた公的な情報を一括で見れるのも良いところです。どこどこの会社で健康保険の被保険者資格を取得しました。この会社で雇用保険の被保険者資格を取得しました。また、自動車や二輪車の税金を納税する時期や額などを通知する手段としても使えます。先程書いた、粗大ごみ関連の受付状況を表示するのもいいですね。

本人に関連する通知をこまめにマイナポータルに表示すると親切で、公的情報の備忘録のような位置付けにもなります。

 

色々と書きましたが、まだ実現していないことがほとんどです。マイナンバーカードやマイナポータルは使い方次第で、こういう便利な道具にもなるだろうという私の想像です。

 

ICカードリーダーでマイナンバーカードを利用してみる。




山口正博 社会保険労務士事務所
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