やってはいけない労務管理。法令違反事例から。

 

厚生労働省のウェブサイトで掲載されている、労働基準関連の法令に違反した事例からピックアップして、何をすると法令違反になるのか、公表事例から調べてみましょう。

【はいの崩壊を防止する措置を講じることなく労働者に作業を行わせたもの】

まず読んで抱くのは、「はい」って何? という疑問。「はい」というのは、重たい物を積み上げた状態を表現し、金属部品だとか木材だとか、ガラスなど、工事現場などでドッサリと積み上げた状態を見かけますが、あれが「はい」というものです。そういうことです、はい。

重たい物が煮崩れしないように安全策を講じておかないといけないところ、それをしていなかったので労働安全衛生法に違反となった事例です。

荷崩れというと、色々な職場で起こりそうなことです。例えば、ダンボールに入った荷物を高く積み上げたりすれば、同じようなことが起こり得ます。



【高さ6.8mの屋根の端に手すり等を設けることなく請負人の労働者に作業を行わせたもの】

高い場所で作業する場合は、安全具を装着したり、手すりを付けたりして墜落しないようにします。それを怠ると、労働安全衛生法違反となります。



【高さ8mの屋根上で安全帯を使用させることなく労働者に雪下ろし作業を行わせたもの】

雪下ろしなので、降雪地域である北海道の事例です。高さ8mで雪下ろししていれば、足を滑らせて落下する可能性がありますから、こういう場合にも安全策が必要なのですね。

 

【食品加工用圧縮機に覆い、囲い等を設けることなく労働者に作業を行わせたもの】

食品を圧縮して加工するとなると、プレスする部分があって、そこに手が入ってしまうような状態だったということでしょう。手を挟んで怪我をする可能性があるならば、そこに手が入らないようにカバーを付けるとか、手が入らないように何かで囲う必要があります。

危なそうな場所があれば、何らかの安全策を講じる。これだけのことですが、メンドクサイとか、手間がかかる、時間がかかるなどの理由で怠るのでしょうね。

 

【労働者6名に、2か月間の定期賃金合計約280万円を支払わなかったもの】

これは給与の未払いです。未払賃金立替払制度という仕組みがありますが、これを利用できるのは、会社が倒産しているのが条件です。会社は存続しており、数ヶ月間、給与が支払われていない場合だと立て替え払い制度は使えませんので、最低賃金法違反で対処します。

 


【トラクター・ショベルの運転を無資格の労働者に行わせたもの】

OJTでチョチョイと教えて、「もう動かせるからいいだろう」と資格や免許なしに機械を動かすと、これも労働安全衛生法に違反するのですね。

高校生の頃、運送会社で夏休みに働いていた経験がありますが、庫内作業で活躍するフォークリフトの操作も一定の教習みたいなものが必要とのことでした。勝手に乗って操作した高校生(私ではない)がいましたが、パレットに乗ったワインを落として割っていたのを覚えています。




【架空電線に近接する場所で感電防止措置を講じることなく労働者に作業を行わせたもの】

感電する可能性がある場所には、カバーを付けたり、ゴム製の材料で被覆したりします。他にも、被覆部分が破れて電線がむき出しになっているものを放置すると、これも労働安全衛生法違反となります。

物が倒れないように。液体が溢れないように。積荷が崩落しないように。感電しないように。熱中症にならないように。挟まらないように。引火して爆発しないように。などなど、安全に関する部分で対策を講じていないと労働安全衛生法に違反すると考えておくべきです。

 

【労働災害の発生状況を偽った労働者死傷病報告を提出したもの】

労災が発生すれば、労働者死傷病報告という書類を作成しますが、ウソを書いちゃダメ。



【ボイラーの取扱いの作業を無資格の労働者に行わせたもの】

ボイラーというのは湯沸かし器の類で、これを取り扱うにはボイラー技士という国家資格が必要です。

作業そのものは免許無しでできた(OJTなどで作業方法を習得)としても、免許などが必要な部分で無免許だと、これも労働安全衛生法違反になります。


 

【換気装置を設けることなく練炭を燃焼させた構造物内に労働者を立ち入らせて作業を行わせたもの】

物が燃えると二酸化炭素が発生しますけれども、燃焼に使う酸素が不足してくると、一酸化炭素が発生します。一酸化炭素中毒で死亡する人もいますから、何かを燃やしたりする職場では換気が必須です。

火を使う時は換気する。家庭の台所でもこれは当たり前のことですから、職場でも同じです。

 


【ロープウェイの滑車の清掃作業を行わせるに当たり、作業者以外の者がロープウェイを運転しないよう起動装置を施錠する等の措置を講じなかったもの】

メンテナンス中にいきなり動き出したら大惨事ですからね。スキー場のリフト、マンションのエレベーター、ショッピングセンターや駅のエスカレーターなど、似たような場面は他にもあります。

メンテナンス中は装置が動作しないように確実に安全策を講じる。エレベーターを点検しているときに、カゴが上から降りてきたら恐怖です。

 


【労働者23名に、36協定の締結・届出なく違法な時間外・休日労働を行わせたもの】

1日8時間、1週40時間を超えて仕事をするには、36協定を締結して、労働基準監督署へ届け出る必要がありますが、これを怠ると労働基準法32条違反になります。


【労働者11名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの】

36協定では、法定労働時間を超えて残業できる時間の上限を設定していますが、これを超えて残業すると、労働基準法違反になります。協定で決めた内容を知らず、もしくは忘れて残業しているケースも考えられます。そのため、1日あたり何時間まで残業できるのか。1ヶ月あたりでは何時間まで残業が可能なのか。その時間数を分りやすく掲示しておくと良いでしょう。

これと同様の違反は多いですので、36協定で決めた延長時間が何時間なのか確認してみましょう。この延長時間が、残業ができる時間の限度ですので、従業員の方にも周知するようにしたいところです。

 

【入院約50日を要する労働災害が発生したにもかかわらず、遅滞なく労働者死傷病報告書を提出しなかったもの】

労災が発生したら、労働者死傷病報告を出す。これは基本のキホンです。

労災病院に行って、そこで労災関連の手続きをしたら終わりというわけではなく、それらの手続きとは別に、労働基準監督署へ労働者死傷病報告を出す必要があります。労災の給付は労働基準監督署から出ますので報告がいるんですね。



【木材伐採現場において、路肩で車両系木材伐出機械を用いて作業を行う際に、誘導者を配置しなかったもの】

誘導者というと、工事現場で交通整理をする人を思い浮かべます。現場にトラックが出入りするときには、大きな声で「オーライ、オーライ」と周りの人に聞こえるように誘導しています。

あのような安全対策をしなければ、これまた労働安全衛生法に違反するんですね。



【関連法人3事業場と共謀のうえ、外国人留学生の労働者6名の意思に反して、労働を強制させたもの】

これは強制労働というもので、労働基準法5条に違反し、罰則は最も重いものになります。奴隷のようなものですから、厳しい対応をしています。



 

  1. 安全関連で対策を講じていない。
  2. 免許や資格なしに重機などを動かしている。
  3. 36協定の手続き、延長時間オーバー。
  4. 労働者死傷病報告が未提出。
  5. 給与未払い。

この5パターンが多いですね。


労働基準関係法令違反に係る公表事案

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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