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book844(労務管理でスマホを活用しよう)

 


スマホはただのケータイじゃない。


電話とメールだけ。昔のケータイ電話は、画面が小さかったですし、通信速度も遅く、ボタンも豆粒のようなものをカチカチと押すタイプでしたので、限定的にしか使わないものでした。

パカパカと開閉するケータイが主流だったころは、私も電話とメールがメインで、ネット接続は、接続しただけ料金がかかる従量制でした(パケット定額メニューはあったが)ので、ネット接続はほとんど使いませんでした。

しかし、2016年の現在ならば、スマートフォンがあり、SNSやゲーム、地図、天気予報、ビデオ撮影、各種の情報収集など、使い道が広がりました。

活用の範囲が広いため、例えるならば万能ナイフみたいなものです。

まだスマホを使っていない人は、「スマホと言ってもただのケータイ電話だろう?」と思うでしょうが、昔のケータイと今のスマホでは、汎用性という点で比べ物にならないほど違いがあります。


 


タイムカードも、勤務シフト表もスマホで撮影。


スマホにはカメラやマイクが付いており、これを労務管理でも活用できます。

未だに雇入れ時に契約書を作らず、履歴書を見ながら面接するだけで済ませてしまう会社なりお店がありますが、何を決めたのかを何らかの手段で記録しないと後からゴタゴタします。

例えば、契約に関する話をするときに、スマホのボイスメモアプリを使って、話した内容を保存しておく。スマホのイヤホンジャックに装着して使うマイクも販売されていますから、これを使ってハッキリとした音声で録音しておくと、後から決めた内容を調べられます。


スマートフォンをICレコーダーに変身させるマイク


雇入れ時に契約書を作る会社はチャンとしたところですが、控えを本人に渡していないところもあるでしょう。本来、契約書というのは、契約の当事者がお互いに同じ文書を持っておくものですが、雇用契約の場では、契約書を作ったのは良いとしても、その原本を会社が保管し、本人には作成後の契約書を渡していないとなると、後から確認が難しくなります。

片方だけが契約書を持っていると、もし内容を改ざんされたときに、相手方が持っている契約書(写し)と突き合わせて内容を確認できません。しかし、本人が写しを持っていれば、契約書の内容の一部を変更したり、削除すれば分かります。

カメラは記録手段として優れたもので、最近だと領収書を電子保存できるようになる予定ですから、カメラで撮影した文書がフォーマルなものとして認められつつあります。



keiriplus.jp



https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2016/20151224taikou.pdf
平成28年度税制改正の大綱 - 財務省(スマホ、デジカメ保存に関する部分は85ページにあり)



昔はデジカメすら無く、スマホなど影すらない時代でした。そのため、何かを約束したり、決めたときも、書面を作っていないと、相手を信用するしかなかったですし、知らないと言われたらそれで終わりでした。

今でも、労務管理の実務では、口約束のようなものが通用していて、後々になって、言った言わない、決めた決めてない、聞いた聞いてないでスッタモンダします。

そのような不毛なやり取りを防ぐために、スマホが活躍します。




例えば、カメラを使うと、タイムカードの写しを保存できます。

1ヶ月分の勤務時間が記録され、締め日になるとタイムカードは回収されてしまい見れなくなります。そのため、後からタイムカードの内容を確認するにはコピーなり写真が必要です。

昔、私が高校生の頃、同級生が「タイムカードの写しが欲しい。給与明細と一緒に」と言っていたのを覚えています。タイムカードは自分の勤務記録ですから、給与明細の内容を突き合わせてチェックするには必要なものです。だから、給与明細とセットでタイムカードのコピーを要求するのは当然な気持ちではあります。

しかし、タイムカードのコピーを給与明細と一緒に渡している会社は、ほぼ皆無でしょう。タイムカードは会社の所有物だから渡せないという類の理屈でしょうが、今ならばカードのコピーを取るにはスマホのカメラで十分です。わざわざコピー機でガーガーと印刷しなくても、カメラでピコンと撮影すれば足ります。

タイムカードそのものは会社のものですが、勤務記録は本人のものですので、記録保存のための撮影ならばOK。




他には、勤務シフト表をスマホで撮影して保存する人もいますね。

張り出された1ヶ月分の勤務シフト表をスマホのカメラで撮影して、いつでも確認できるようにする。これも賢い使い方です。ケータイの中に写真データが入っているので,確認したいときにいつでも確認できますし、紙を印刷して配る手間も省けます。


書類を保存する方法としては、スマホのカメラは優秀です。10年ぐらい前は、コンパクトデジカメで書類を撮影して保存していた経験がありますが、デジカメで撮影すると、保存する手間がスマホよりも多く、便利ではあるものの物足りなさがありました。


社労士には業務関連の書類を2年間保存する義務がありますが、もしかして2年を経過した後も参照する可能性があるかもしれない、と考えると、カメラで書類を撮影して保存し、書類をシュレッダーで処分することもあります。

また、書類よりもデジタルデータの方が保管しやすいですし、紛失する可能性も下げられるので、書類の取り扱い方法としては都合が良いです。

 

 


音声録音も使える。


後は、契約に関わる話をするときに、その会話を録音しておくためにスマホを使うのもいいですね。勤務時間を変更するとか、勤務する日数を変える、給与の話など、労務管理では重要な話が書面無しで決められてしまうことがありますので、書面に代わるものとして音声は重要です。

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iPhoneにはボイスメモアプリが標準で搭載されています。

よくあるパターンとしては、契約書では10時から19時までの勤務時間で契約を締結しているものの、会社と本人との間で、契約を更新せずに、11時から15時に勤務時間を変更し、後からモメるケースです。本人は11時から15時だと考えているのに、会社は契約書通りの10時から19時が勤務時間だと言ってくる。こうなると、契約書を更新していないため、本人側の主張が現実に正しくとも、会社側の主張が正しいと第三者は判断せざるを得なくなります。

勤務日数の設定でも似たようなケースはあります。週5日契約だが、実際は週3日で勤務しており、契約書は更新されずに週5日勤務のままで放置されている。契約と実態はピッタリと合っていないと契約の意味が無くなりますが、労務管理の現場では、口頭でのやり取りの結果、契約とは違った内容で勤務していることがあります。

こういうときも、勤務内容を変更する際の話し合いを録音しておき、後から蒸し返されないようにしておくのが良いでしょう。

 

他には、退職、解雇に関する話し合いを記録しておくのも大事です。

本人は会社都合で解雇されたと言い、会社は自己都合で退職したと主張する。書面が残っているわけではなく、話し合いの音声も残っていないとなると、どちらが正しいのか分かりません。

自己都合での退職を強引に会社都合での解雇にすり替えて、雇用保険の支給日数を増やそうと考える悪い人も現実にはいますので、退職と解雇に関する話し合いをするときには音声録音は必須ですね。


契約と実態がズレると、書面に残らない密約になってしまいがちです。契約書でもタイムカードでも、契約内容の変更、退職に関する話し合い、いずれもスマホのカメラ、ボイスメモ機能を使えば防げるトラブルは多いのです。

普段から、契約書はキチンと作る。勤務内容を変更したら契約を更新する。文書や話し合いを記録する。難しいことではありませんが、労務管理において記録は大事なのです。

 


スマートフォンを労務管理で活躍させるマイク


 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
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© 社会保険労務士 山口正博事務所