book893(タイムカードがウソをつく。)


https://www.buzzfeed.com/kazukiwatanabe/20170417-1
スーパー「いなげや」で過労死認定 弁護士が指摘した「タイムカードの矛盾」



勤務時間の記録方法にはいくつかありますが、その中の1つとしてタイムカードを利用する方法があります。

タイムカードを使うには、専用の打刻装置を購入し、その中に社員別のカードを挿入して、始業時間と終業時間を記録します。


これがタイムレコーダー



勤務時間を記録する方法としては、タイムカードは最もメジャーなもので、使ったことが無いという人はいないんじゃないかと思えるほど知られています。


広く普及しているタイムカードですが、これを使うと、正確に勤務時間が記録されているものと思い込む傾向があるのが悩みどころです。

実際に使ったことがあると分かるのですが、「悪いこと」をしようと思えばできてしまうんです。



始業時に時間を記録し、終業時にも時間を記録する。会社によっては休憩時間もタイムカードに記録しているところもありますが、大半は始業と終業の時間だけです。

タイムカードを見て分かるのは、その時間に記録したということだけです。実際にその時間から仕事を開始したのか。実際にその時間に仕事を終えたのか。そういうことまでは分かりません。

始業前に業務をしていないかどうか。終業後に業務をしていないかどうか。タイムカードにはそういう情報は記録されていません。仕事を始めた(と思われる)時間。仕事を終えた(と思われる)時間。この2つだけです。



正しく使えば、キチンと労働時間を記録できる道具になりますが、正しくない使い方をすれば、タイムカードは本来の効果を発揮しません。

タイムカードを使っていると、記録された時間はさも正しいものだと考えてしまうため、始業前に仕事を始めておいて、始業時間になったらタイムカードに時間を記録する。こうすればタイムカードでは分からない無賃労働が発生します。

仕事を終えるときも同じです。先に終業時間をタイムカードに記録しておき、その後も仕事を続ける。こうすると、タイムカードには記録されてないサービス労働が発生するわけです。

悪いことをしようと思えばできてしまう。それがタイムカードなのです。

このように書くと、さもタイムカードに欠陥があるかのように思えますが、そうではありません。

ハイテクなICカードや生体認証を使えば不正を防げるのかというと、残念ながらそうならないのです。会社側でデータを改ざんするとか、始業と終業の時間だけ正確に記録して、それ以外の時間は仕事をするとか、入退館ゲートを抜けてもらって、他の出入り口から会社の中に戻るとか。色々と抜け道を考え出せるんですね。

どの道具を使うかはあまり関係がないのです。大事なのは、道具そのものよりも道具の使い方です。

私が学生の頃、市販のノートで勤務時間を記録しているお店がありました。文房具売り場で売っている1冊100円ぐらいのノートです。

どうやって使っていたかというと、始業時間と終業時間をボールペンで手書きして記録していただけです。従業員別、日別に、縦に時間を書いていく。そういう単純なものでした。

じゃあ、不正なことをしていた職場なのかというと、そうでもなく、手書きで記録していた時間は正確でした。「もっと時間を短く書け」だとか、「書き込んだ終業時間を過ぎても仕事を続けて」などという要求はされませんでした。



アナログな道具を使っていても、チャンと使えばキチンと効果を発揮します。逆に、高価でハイテクな道具を使っていても、間違った使い方をすれば効果を発揮しません。

 


 

山口正博 社会保険労務士事務所
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