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年次有給休暇を取った日は通勤手当が減らされる?

交通費減額

 

 

1日ごとに通勤手当が出るのか、通勤定期券を使っているのか

電車やバス、自家用車で通勤していると、交通費なり燃料費の名目で手当が支給される会社があります。

電車やバスだと、通勤で使う経路の運賃。自家用車を通勤で使うとなると、距離や排気量で燃料費が決まるかと思います。


有給休暇を取って休んだ日は通勤しませんから、交通費は必要ありませんよね。ただ、中には休暇を取った日に応じて通勤手当が減るところもあるようです。

年次有給休暇を取得した日の手当をカットしても良いのかどうか。ここが問題になります。

 

まず、「有給休暇を取って休んでいる日で、通勤もしないのだから、通勤手当をカットしてもいいだろう」という考え方があります。まぁ、実にまともな判断と感じます。

一方で、「年次有給休暇を取ったからといって、手当がカットされるのは不利益な扱いなのではないか」という判断もあります。年次有給休暇を取ったことに対する不利益な扱いはしてはいけませんから、こちらの考えも正しいものでしょう。


電車で通勤しているとして、交通費を支給する方法としては、2通りあります。

  1. 1日毎に申請する。
  2. 通勤定期券を使う。

 

1の場合は、出勤するたびに交通費を申請する書類を書きます。

私が大学生だった頃、とある会社では、出勤するたびに交通費申請書を書いており、同じものを毎回毎回、面倒でしたがそういう決まりだったので渋々ながら書いていたのを思い出します。

日付を書き、乗車駅と降車駅の名称を書いて、片道の運賃、往復の合計額、これらを毎回、書類に書くんです。日付が変わるぐらいで、その他の記載内容は同じです。仕事が終わった後に毎回毎回、同じようなことを書かないといけない。1回申請したら、後は固定してくれた方が会社も私も都合がいいはずですが、そうはなっていなかったのです。

片道210円で、往復ならば420円。この420円を出勤するたびに申請で請求するわけです。月に15日出勤すれば6,300円。切符の料金を毎回申請するのは割高だと思っていましたけれども、それでOKだったんですね。


一方、2の方法だと、1ヶ月なり3ヶ月といった期間単位で購入するため、1日あたりいくらという単価はありません。より長期間にわたって使える定期券の方が運賃は割安になります。

 

通勤手当の金額がハッキリしていれば減額できる

交通費の支給方法が2つあり、有給休暇を取った日への対応が違います。

まず、1日毎に支給する方式(上記の1)だと、休暇で休みになれば、交通費を申請する書類も書けませんから、減額というよりも交通費そのものが出ません。

実費を手当として補填している場合は、年次有給休暇を取った日に、その手当が出ないとしても構わないわけです。


一方、定期券を使っている場合、有給休暇を取った日に応じて交通費を減額するのはちょっと面倒です。

おそらく1ヶ月あたりの定期料金を1日あたりに換算して減額しようと考えるところでしょうが、この換算が厄介なところなんです。

まず、1日あたりの交通費単価を出すにあたって、通常の運賃を単価にする(1)のか、定期券の購入費を出勤日で日割りした単価にする(2)のか、定期券の購入費を暦の日数(30日や31日など)で日割りした単価にする(3)のか。この点でまず判断が分かれます。

仮に、年次有給休暇を2日取得したとして、2日分の通勤手当はいくらなのか、この金額を決める基準が1つではないのです。計算方法によって増減してしまいますから。

 

また、出勤する日数が一定ではない人も職場にはいますから、1日あたりの交通費単価が変わってしまいます。月に20日出勤する人、月に10日出勤する人がいるとすると、後者の方が日割り単価が高くなってしまいます。

仮に1ヶ月の定期券料金が5,000円だとすると、月20日出勤の人は1日あたり単価が250円になります。一方、月10日出勤の人は1日あたり単価が500円になります。ということは、後者の人が有給休暇で休むと、有給休暇1日あたりで交通費が500円減額されるわけです。

さらに、定期券の1ヶ月あたりの単価も変わります。1ヶ月定期、3ヶ月定期、6ヶ月定期を比べると、より長期間使える定期の方が1ヶ月あたりの料金が割安です。

1ヶ月定期だと5,000円だが、6ヶ月定期だと27,000円になる。この場合、6ヶ月定期の購入費を1ヶ月あたりに換算すると4,500円。ここから1日あたりの単価を出して(先程書いたように方法は3つある)、さらに個々に出勤日数の違いもある。


どうです? 面倒くさいでしょ? 1日毎に交通費を支給する方式だと、有給休暇を取ったら交通費を出さないだけで済むのですけれども、通勤定期券を使っていると交通費を減額するのは厄介な作業です。

こういう細かいことを考えないといけないので、定期券で通勤している場合は、有給休暇を取った日でも交通費を減額しないのが賢明です。

ちなみに、実費ではなく定額で支給している手当は、年次有給休暇を取得したとしても控除できないのが実務での判断です。通勤定期券を購入している場合も同様です。

控除しようとしても単価の計算が曖昧ですから、実費で支払っている手当以外のものは控除せずに支給するのが賢明です。

 

年次有給休暇を取得した日の手当を控除するとなれば、不利益な取扱いに該当するのかどうかを判断しなければいけませんし、揉めるぐらいならば、通常通りに支払っておく方が手間も費用も少なくて済みます。

年次有給休暇を取った本人に対する嫌がらせとも感じられるし、働く人の満足感も損ないますから、小銭をケチって大損することのないように判断したいところです。

 

出勤していないならば通勤手当も要らない

会社で働いていると、通勤で必要となる交通費は、会社から支給されることが多いですね。

ただ、出勤した日に交通費は支給されるのですから、もし出勤していない日があるとすれば、その日には交通費は支給されないはずですよね。通勤で移動していないなら、運賃はかかっていないので、通勤手当なり交通費は無くてもいいだろうと。

例えば、有給休暇を取得した日というのは、出勤しませんから交通費も支給されないと考えるわけです。

これはよく言われる「不利益扱い」というものではなくて、実際に交通費を使っていないのだから会社からも交通費が出ない、というだけのことです。もし今回のような状況で通勤手当を出してしまうと、使っていないお金に対して手当を出していることになり、「架空請求」のような状況になります。


「通勤するごとに支給(きっぷ購入)」と「通勤定期券」では対応が変わる。

交通費というのは、出勤ごとに支給されるものと、月極の定期券を購入することを想定して支給されるもの、大きく分けて2つありますね。

もし、出勤ごとに支給される方式だと、有給休暇を取得した日には、交通費を支給しないことも容易です。その日だけを計算から除外すれば良いのですからね。


しかし、1ヶ月の定期券(3ヶ月でも6ヶ月のものでも構いませんが)を購入しているときは、1日あたりの交通費を算出するのは困難です。

なぜならば、定期券を使っていると、1ヶ月単位での費用は分かるのですが、1日あたりの費用はわかりません。もちろん、1ヶ月定期の費用を日数で割れば計算できますが、そこまでして交通費を管理するのは手間がかかるのではないでしょうか。

より長期間にわたって有効な定期券だと、1日あたりの運賃単価が下がりますから、さらに計算は複雑になります。


ゆえに、交通費を毎回支給しているならば年次有給休暇を取得した日への対応も容易ですが、定期券でまとめて交通費を扱っている場合は困ることがあるわけです。

定期券を買ってもらっているならば、年次有給休暇を取得したとしても、通勤手当を控除しないのが妥当な対処法でしょう。

 

 

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