副業禁止という蜃気楼。


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もうすぐ正社員の副業が容認に!? 81%が「副業したい」…その背景は

 


他の会社で働いてはいけないという類のルールが就業規則に書かれている会社もあるかと思いますが、現実はルール通りになっていない場合もあります。

就業規則に書かれているからといって、その内容に抵触して処分されるとは限らないのが現実の労務管理です。副業しちゃダメと書かれているけれども、休みの日に他の会社で働いているとか、自営業で商売をやっているなど、そういう働き方をする人を放置している会社もあります。

知っているけれども、放任している。そういう対応をする会社もあるのです。



懲戒処分をするかどうかは会社の裁量次第です。就業規則に違反したからといって、必ずしも処分されるとは限らないのが実務のモヤモヤした部分です。例えば、遅刻した場合でも、会社によって対応は色々です。口頭で注意するだけの会社もあれば、減給制裁される会社もありますし、始末書のような書類を出させる会社もあるでしょう。緩い会社があれば、厳しい会社もある。それが現実です。

副業の場合も、就業規則で禁止されているものの、黙認されている職場(ルール上はダメなんだけど、何だかグズグズになっている)もあれば、絶対にダメだぞという職場もある。さらに、懲戒処分を受ける場合もあれば、受けない場合もある。

法律で禁止されていることではなく、会社が自主的に作っている就業規則というルールで副業を制約しているだけですので、さじ加減が会社ごとにバラバラなのです。

 

さらに、副業にもそれぞれ違いがあり、単に収入を増やすために取り組んでいるものもあれば、実家の家業を手伝う形での副業もあります。また、今の仕事を始める前から続けている仕事を継続する形で副業になっているようなケースも想定できます。

例えば、実家が農家なので仕事が休みの日には収穫を手伝っているとか。実家が商店なので休みの日は、お店に出て仕事をしているとか。会社が休みの日に牛の乳搾り作業を手伝うなんてのもありそうですよね。父親が時計屋を営業しているので、その店番をするとか。両親がコンビニのフランチャイズ店を運営しているので、休みの日に手伝っているとか。

収入を増やすだけの副業も、もちろんあります。しかし、休みの日に実家の手伝いをしている人もいるでしょうし、自分の趣味が高じて仕事化してしまい結果的に副業になってしまったなんて人もいるでしょう。



副業といっても、形態は様々です。上記のようなケースを全て就業規則で禁止していいのかというと、なかなか難しいと感じるところです。かといって、こういう副業ならOKだけど、こういうのはNGというように線を引くのはさらに難しい問題になります。



就業規則を作る過程にも問題があり、テンプレートに入っていた文言をそのまま使っているために、あえて禁止するつもりもないのに、副業を禁じるルールが入り込んでいるなんてことも考えられます。

1つ1つ、内容を考えて就業規則を作らず、テンプレートを丸ごと持ってきて、少しカスタマイズして自社の就業規則にしてしまっていると、内容を理解できないままに労務管理をしてしまうわけです。

テンプレートを使うことそのものは悪くないのですが、内容を理解しないまま就業規則として通用させてしまうのがいけないところです。

だから、会社によっては、就業規則の内容が形骸化し、その内容に違反して副業しても何のペナルティもないのですね。



「もうすぐ正社員の副業が容認に」と書かれていますが、もともと禁止らしい禁止もしていなかったのですから、容認もなにも、前から規制など無かったのです。例えるならば、副業禁止のルールは蜃気楼のようなものです。



ずっと鎖で繋がれた象は、繋がれることに慣れてしまって、鎖を外しても逃げ出さないと言われています。

禁止されていると思い込んでいたものの、実際は禁止などされておらず、副業しても何のお咎めもない。副業に対するルールはそういうものだったのではないか。私はそう思います。


休みの日に何をしようと自由ですし、そこで副業をしたからといって懲戒解雇されるほどではありませんし、さほど怖がる程のものでも無いでしょう。

労務管理に対する社会の評価が、ここ数年でガラッと変わり、明らかに良い方向へ向かっています。適当な労務管理が跋扈していた10年ほど前とは比べ物にならないほどです。

今後も、この潮の流れが変わらず、良い方向へ向かっていくことを願っています。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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