あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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年次有給休暇の取得義務への対応方法

有給休暇義務化への対応

 

年度内の「駆け込み有給休暇」が増加する? “義務化ノルマ”で会社がこんなことをしたら要注意!

年次有給休暇を年5日取らせる義務に対応するには

2019年の4月から年次有給休暇の取得が義務化されて、付与された時点から1年以内に、5日以上の有給休暇を取らなければいけない、というルールになりました。

付与された時点から、1年間で5日以上ですから、2ヶ月に1日のペースで年次有給休暇をとっていたとすれば、年間で6日になりますから、義務とされる日数をクリアできます。

職場によっては、年次有給休暇を全く取らせてないところもあるでしょうから、そういうところは、義務とされる日数をクリアできないまま、2020年の3月末を迎えてしまう可能性があります。

ただし、2019年の6月や9月など、年度の途中で付与された方は、2020年3月ではなく、5月や8月に期限が到来します。

駆け込みで、有給休暇を取らせるような事業所が出てくるのではないか、とニュースでは指摘されていますが、駆け込みでも取れたらいい、という判断もあります。


やってはいけない。年次有給休暇を強引に消化させる方法

本来は、通常の休みになる日を、強引に年次有給休暇に切り替えて、有給休暇の消化日数を増やしていく、なんていう方法をとるような事業所があるのかではないかと。

例えば、週休2日の職場だったら、1週間に2日休みがあって、そのうちの1日は法定休日なので、それはそのまま休日にするとして、残りのもう1日は法定外の休日だから、それを年次有給休暇に変えてしまう、という方法を考え出す人もいるかもしれません。

法定休日を年次有給休暇に変えてしまうと、労働基準法35条1項の休日が消滅してしまいますから、法律に違反します。

しかし、法定外休日だったら、どういじっても問題は無いだろう、と考えてしまう方がいても不思議ではありません。

普通の休日であれ、年次有給休暇であれ、休みという点は同じなのだから、法定外の休日を年次有給休暇に変えてもいいじゃないか、という理屈なのでしょう。

しかし、この方法だと、休日が1日潰れてしまいますし、週休2日で雇用契約を締結しているとすれば、契約違反にもなります。

本人が希望して、法定外の休日を年次有給休暇に変えたいと申し出て、使用者が希望に応じた場合は、責められる所はありませんし、当事者が納得してそうしているのですから、取りたてて問題にする必要はありません。

しかし、本人の希望や同意を伴わずに、強制的に事業所側で、休日を年次有給休暇に変えてしまう、というのは駄目です。

他のやり方として考えられるのは、仮に週3日契約で働いてる方がいるとして、その方は1週間に4日は休みになっています。

その4日の休みに対して、年次有給休暇を充当して、消化日数を稼ぐ、という方法を考え出す人もいるのではないでしょうか。

この方法も、契約違反です。働くのは1週間に3日ですから、年次有給休暇を使う場合は、働く日である、その3日分に対して、年次有給休暇を充当していかなければいけません。

休日となっている4日分は、労働義務がなく、本来は年次有給休暇を使うことはできません。

ただ、この場合も、従業員本人が普通の休みになっている日だけれども、年次有給休暇に変えても構わない、という形で希望なり同意があったとすれば、それは止める理由がありません。従業員と事業所との間で、合意の上で、そういう処理をしてるならば、止めるものはないです。

ただ、1週間に4日休みあるから、その休日を年次有給休暇に変える、と事業所側から半ば強制的に勤務シフトを設定するのはダメです。

 

年次有給休暇を毎月1日ずつ取っていくと年5日以上の義務をクリアできる

毎月1日、もしくは2日を目安に、年次有給休暇を取っていれば、何も対処することはありません。

義務とされる日数を自ずと消化できますから、年次有給休暇の義務化に対して特に対応をする必要はなくなります。

普段から、コツコツと有給休暇を取り続けるようにすればいいだけです。

1ヶ月に休みが1日増えるだけです。これで職場に何か重大な問題が起こるのか、と言うと何も起こらないはずです。

全員が一斉に、年次有給休暇取れば、仕事はできなくなりますけども、従業員同士でスケジュールを調整して、年次有給休暇のスケジュールを決めていけば、業務に支障は出ないでしょう。

会社の上司の人が、一方的に年次有給休暇のスケジュールを管理するから、うまく有給休暇を取れず、部下の人たちの不満も溜まりやすくなります。

上司が管理するのではなく、同僚同士で、年次有給休暇を取るかを自主的に調整させれば、お互いに譲り合って取っていくのですから、上司の手間を省けます。

例えば、私は12日に年次有給休暇を取るから、あなたはその日に代わりに出勤してちょうだい。その代わり、あなたは15日に年次有給休暇を取ればいい。

このように、お互い交代するような形で、年次有給休暇をとっていけば、スムーズに消化日数も増えていきます。

上司が勤務シフトを管理するのではなく、従業員同士で調整しあって勤務シフトができあがっていく。勤務シフトを作成するには、随分と時間がかかるものですから、自主的に出来上がってくるとなれば、上司としては御の字です。

上司がスケジュールを管理する必要がありませんし、年次有給休暇を取る人達も、自分の希望通りに休暇を取得できるわけですから、全員が満足できる結果になります。

 

1人あたり30万円の罰金が課される可能性はあるのか

年次有給休暇の義務化には罰則があり、年5日以上の日数を消化していないと、1人あたり30万円の金銭的ペナルティーが課されます。

キチンと課されるならば、プレッシャーになるでしょうが、本当にそうなるでしょうか。

「30万円以下の罰金」というルールが設定されて、30万円満額の罰金が課される可能性は、ほぼ無いのではないかと思います。

『年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説』に書かれている内容によると、

罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われますが、労働基準監督署の監督指導においては、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています。

と書かれており、単純に人数をかけ合わせて罰金を課すわけではなさそうです。さらに、金額も30万円とは限らないようにも取れます。

もっと言うと、罰金を課さずに、指導だけで終わらせるとも読み取れます。

30万円以下の罰金、というルールで、30万円ぴったりの罰金が取られるなんていうケースは、そう多くないんじゃないかと。

他の法律でも罰金刑ありますけども、50万円以下の罰金とか、300万円以下の罰金とか、ルールが定まってますが、じゃあ50万円ぴったり罰金が課されるのか、300万円ぴったり罰金が課されるのか、と言うとそう単純ではありません。

50万円以下の罰金というルールだが、実際は2万円の罰金で済んでいる。そんなケースもあるのでは。

年5日の年次有給休暇を取得していない人が10人いたとして、単純に300万円の罰金だ、と言う人もいるのですが、現実はそうならないのではないかと思います。

違反する事業所は、かなりの数が発生しそうですし、それを少数の労働基準監督官で取り締まっていくのは難しいでしょう。

もしかしたら、罰金そのものを課すのではなくて、事業主を指導する(「今後はこうならないようにしてください」)だけで終わってしまう可能性もあります。

指導だけで済ませれば、指導書を交付して改善させていくわけですから、罰金を科すよりも手続きは簡単です。

罰金は裁判所を通して手続きする必要があり、手間と時間がかかります。しかし、指導だったら、労働基準監督官が単独で実施できます。

 

年次有給休暇を満足に取れない職場から人が去る

年次有給休暇関連のトラブルで人が辞めるのは不思議なことではありません。

「たかが有給休暇が取れないだけで」と思う方もいるでしょうが、年次有給休暇には給与が出ますから、働く人の関心が高い部分です。

人が辞めてしまうと、また採用して、仕事を教えていく必要があります。こうなると、有給休暇を取得させた場合よりも費用がかかるのでは。

有給休暇を使わせないのは、給与不払いと似ています。

年次有給休暇はただの休日ではなく、給与が出て、お金がからむものですから、年次有給休暇は使わせないということは、給料を払わない、という意味にも近いのです。

希望通りに年次有給休暇を取れない職場だとすれば、そういう職場からは人が去っていく可能性が高くなります。

払うものを払ってくれないのだから、こんなところで仕事なんてやってられないよ、と。

無限に取れるわけではなく、付与される年次有給休暇の日数は決まっていますから、全部使ってしまえば、それで終わりです。だから、事業所の負担が無制限に増えるわけではありません。

仮に、年次有給休暇を取ったとして、1日分の給料が1万円発生するとすれば、年間で10日の年次有給休暇を取れば、金銭的には10万円の費用が必要です。

しかし、10日分の有給休暇を取らせずに、その従業員が辞めてしまったらどうなるか。

また新しい人を募集して、採用する手続きが必要になり、採用したら、また仕事のやり方を教えなければいけない。その後、ようやく仕事を覚えたと思ったら、辞めてしまうかもしれない。

その費用や手間を考えれば、10万円では足りないはずです。

年次有給休暇を取らせずに小銭を節約して、人が辞めたので、新しい人を採用して、教育する費用、おそらく10万円を超える費用になるでしょうが、そんな大きな費用は想定しない。

これはおかしいんじゃないかと。

有給休暇をとってもらう方が得なのか。次から次に、新しい人を採用して、教育する方が得なのか。

経営者だったら、どちらを選ぶかは明らかではないでしょうか。

1万円を捨てて千円札を拾うような労務管理をしているようでは先は暗い。マイナス9000円。

千円札を捨てて1万円札を拾うような労務管理ならば、会社も従業員も満足できる結果になるのではないでしょうか。プラスで9000円です。

商売はいかに小銭をうまく捨てるかがポイントです。小銭をケチるようなやり方をしていると、伸びないものです。

小銭を捨てて、それ以上の売り上げや収益を得ていくのが事業であって、商売なわけですから、有給休暇を取られることによる、小さな費用を気にして、人手不足で会社をつぶしてしまう、お店を閉じてしまう、なんてのは経営者の判断として正しくないのではないかと。

 

年次有給休暇の義務化にも対応できる給与計算ソフトとは?
年次有給休暇に関する労務管理で最も大変なのは、有給休暇の残日数どうやって管理していくかという点ですよね。そこで、有給休暇の残日数を管理しやすくしてくれる給与計算ソフトがあれば助かります。
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