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1日2時間しか働かないパートタイマーでも有給休暇はある?

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1日2時間勤務でも年次有給休暇はある

有給休暇は週5日で働くフルタイム社員に限定されるものではなく、週4日や週2日、さらには週1日だけ出勤するパートタイマーであっても有給休暇はあります。

出勤日数に連動して休暇の日数は変わりますが、では勤務時間は休暇に影響するのかどうか。

例えば、週5日勤務で、1日あたりの勤務時間が2時間という人がいた場合、この人の有給休暇はどうなるか。

「1日2時間しか働いていないんだから、有給休暇は無いだろう」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、休暇はあります。しかも、フルタイム社員と同じ日数です。

1日あたりの勤務時間は2時間ですが、1週あたりの出勤日数は5日でフルタイム社員と同じです。この場合は、6ヶ月の勤務で10日の休暇、1年6ヶ月で11日の休暇となり、週5日で働くフルタイム社員と同じ有給休暇の日数が付与されます。

片や8時間勤務、片や2時間勤務ですから、勤務時間には4倍の差がありますけれども、有給休暇の日数は勤務時間ではなく勤務日数で決まります。

それゆえ、1日2時間勤務であっても、週5日で出勤していれば、フルタイム社員と同じ有給休暇となるわけです。

 

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http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています(厚生労働省)

 

 

 

勤務日数や勤務時間がバラバラなパートタイマーの有給休暇の日数をどうやって決めるか

毎日8時間勤務、1週間に休日が1日もしくは2日。このような形で勤務シフトが固定された状態で働いている人だと、年次有給休暇を何日付与するかという点で悩むことは少ないでしょう。

一方、パートタイマーの方だと、各人で勤務日数や勤務時間が違います。1週間に5日出勤する人がいれば、1週間に3日出勤する人もいます。1日6時間勤務の人もいれば1日4時間勤務の人もいて、勤務日数や勤務時間数が個々人ごとにバラバラになっているのがパートタイマーの特徴です。学生のアルバイトも勤務日数、勤務時間が一人一人違っているのではないでしょうか。

週所定労働日数や勤務時間数が違うとなると、年次有給休暇の日数をどうやって決めていくかが悩みどころになります。

繁忙期には週5日で出勤するものの、閑散期になると週2日や週3日で出勤することになる。そんな職場もあるでしょう。

忙しい日には1日7時間ぐらい働いて、忙しくない日は1日2時間なり3時間で終わってしまう。そんな時もあるんじゃないでしょうか。

勤務時間数は雇用契約で決めていますから、1日6時間働くと契約で決めたなら、使用者は1日6時間働けるようにしなきゃいけないし、暇だからといって1日2時間や3時間で早退させてしまうと、足りない時間数に相当する休業手当を支払わなければならなくなります。

ですから、台風や大雨でお客さんが少ないからといって、店を閉めたり、従業員を早退させたりすると、休業手当が必要になるわけです。チェーン店の小売店や飲食店だと、台風が来てても、通常通りに営業してるのを見るかと思います。お店を閉めたり、早く切り上げたりすると、休業が問題になりますから、たとえ雨が降っていたとしても、通常通り営業しているというわけです。

台風や大雨は1日もあれば収まりますから、当日に出勤する予定の人は、他の日に出勤日を振り替えれば休業にならずに対応できます。天候が悪化して、お客さんが少なくなる時は、出勤日を他の日にあらかじめ振り替えておけばいいでしょう。天気予報を見ればできますよね。


商売で材料を仕入れるときも、例えば、材料を1000個購入すると契約したら、きちんと1000個購入しなければいけません。1000個も売れる見込みが無くなって、700個で足りる。だから300個減らしてくれ。こんなことを売主に対して伝えたら、売り手は300個販売する機会を逸失するわけですから、その分の補填を買主に求めてきます。仮に、1個あたり1万円だとすれば、300個で300万円。その全額を補填しろとまでは言わないかもしれませんが、違約金としてキャンセルした金額の80%を買主は売主に支払わなければならない、というような違約条項を契約に入れていることもあります。

一度買うと決めたものは買わなければいけない、というのが買主の責任であって、自己の都合で一部をキャンセルしたいと言った場合は、相応の補償をしなければいけなくなります。

雇用契約でも、1週間に5日働いてもらうと決めたならば、使用者は労働者が1週間に5日出勤できるようにしなければいけないのです。暇だからといって今週は週3日でいいよな、という形で購入数量を減らしてしまうと、減らした部分の補填をしなければならないのです。それは使用者の都合による休業で、それに伴う休業手当が必要である、として法律で決められているわけです。

労働力を買うと契約で決めた以上は、ちゃんと決めた通りに買わなければいけないのが使用者の責任。多いからと言って、一方的に購入数量を減らすとなると、その減らしたものに対する補償、つまりは休業手当を払わなければいけなくなるのです。雇用契約も一般的な商取引も、この点では同じです。

繁忙期には週5日出勤して、閑散期には週2日、3日しか出勤していないとなると、年次有給休暇を何日付与すればいいかどうかが悩むところです。

年次有給休暇制度には、比例付与という仕組みがあって、週所定労働に対応する付与日数を決めることができます。また、1週間当たりの所定労働日数が時期によってバラツキがあるときは、1年間の所定労働日数でもって日数を決めることもできます。基準日から遡って過去1年間の日数を見ればいいわけですね。

週ごとの所定労働日数がバラバラであっても、1年間での所定労働日数を合計すれば、比例付与のの表に当てはめることができますから、付与する年次有給休暇の日数を決めることができます。

この労働日数に計上されるのは実際に出勤した日ですから、1日あたり何時間働いたかどうかは問われていません。1日7時間働いても1日ですし、1日2時間働いたとしても1日として計上されます。

年次有給休暇の付与日数を決める時は、1日あたりの労働時間は原則として考慮せず、1週間あたり何日働いているか、1年間あたり何日働いてるか、という基準で付与日数を決めていきます。


年次有給休暇をとった日の給与をいくらにするかは、何通りかの方法があります。平均賃金を使ったり、標準報酬月額を1日あたりに換算した標準報酬日額というものを使って計算することもあります。また、年次有給休暇をとった日の勤務シフトの時間数に応じた給与にするという方法もあります。

 

有給休暇の日の給与計算

 

 

出勤日や勤務時間がコロコロ変わるパートタイマーの年次有給休暇をどう決めるか。

お店の忙しさ、繁忙具合によって、1週間ごとの所定労働日数や1日あたりの働く時間がコロコロ変わるような職場だと、年次有給休暇の付与日数は何日にするのか。さらに、年次有給休暇を取った日の給与を計算する際に、何時間分の給与を支払うのかが決めにくいのです。

1日8時間勤務で、1週間あたり5日勤務。休みは1週間に2日。こういう典型的な働き方をしている人たちだと、年次有給休暇の付与でも、そう難しいことは出にくいのですけれども。

パートタイマーの方で、お店の忙しさに合わせて、出勤日数や勤務時間をコロコロと変えられていると、年次有給休暇の取扱いがちょっと難しくなります。

例えば、先週は週5日で働いていたんだけれども、今週は出勤日が週2日しかなかったとか。昨日は7時間勤務だったんだけれども、今日は2時間で終わったとか。働く日数や働く時間がコロコロと変わってしまう職場があるわけです。

そういうパートタイマーの方に対して、どうやって年次有給休暇の付与日数や年休を取得した日の給与を決めていくのかが悩みどころになります。

 

 

パートタイマーの年次有給休暇の付与日数を決める方法

1週間あたりの出勤日数がコロコロと変わったとしても、年次有給休暇を付与する時点から過去1年間の所定労働日数を数えれば、年次有給休暇の付与日数は分かります。契約通りに働いていれば付与日数を決めるのは簡単なのですけれども、所定労働日数が毎週変わってしまう職場の場合は、過去1年間の所定労働日数を数えて、それに対応する年次有給休暇付与日数を求めていく必要があります。

比例付与の表を見ると、「1年間の所定労働日数」という部分がありますから、そこに当てはめて判断します。

 

 

パートタイマーの年次有給休暇の給与を決める方法

付与日数はそれで決められるとしても、年次有給休暇をとった日の給与をいくらにするのか。ここはなかなか難しいところです。

日によって勤務時間が変わるとなれば、年次有給休暇を取った日は何時間働くことになっていたのかがはっきりとしません。事業所側の判断で、年次有給休暇をとった日の所定労働時間は1時間や2時間のように短く判定されてしまう可能性もあります。そうなると年休をとった日の給与が少なくなります。この時間のことを「有給時間」と表現する方もいますね。

日によって勤務時間がコロコロと変わる職場では、実際に支払われる賃金を特定できません。例えば、来週の木曜日を年次有給休暇にするとしたら、じゃあその木曜日は何時間働くのか。7時間働くのか、5時間働くのか、それとも2時間ぐらいで仕事が終わっちゃうのか。事前に確定できないとなると、年次有給休暇を取得した日に通常の賃金を支払うという形にはしにくいわけです。

事前に、この日に何時間働くかを決めることができない、もしくは決めていない職場だと、年次有給休暇を取った日の給与どのように算出するかで悩んでしまいます。

当日にならないと何時間働くか分からない。5時間働くかもしれないけれども、3時間で終わるかもしれないし、7時間になるかもしれないし。そうなると、年次有給休暇をとった日の給与がいくらになるのかを決められません。 パートタイマーの方が多い職場だと、この問題は生じやすいはずです。

雇用契約で、1週間に何日働くか、1日あたり何時間働くのかをきちんと決めた上で、その契約通りに働いているなら、年次有給休暇をとった日の給与は、実際に働く予定だった日の勤務時間を基準にして決めていけばいいでしょう。

しかし、流動的に勤務時間を変えていく職場だと、年次有給休暇をとった日の給与計算するのが困難になります。

 

 

年次有給休暇をとった日の賃金を平均賃金にすると、給与が少なくなる?

となると、労働基準法12条の平均賃金を算出して、それを年次有給休暇をとった日の給与とする形が現実的です。

平均賃金とは、過去3ヶ月間の賃金総額を、過去3ヶ月間の総日数で割って、算出する賃金です。

「過去3ヶ月間の賃金総額 / 過去3ヶ月間の総日数」という形ですね。

過去3ヶ月間の賃金総額という部分は問題ないでしょうけれども、過去3か月間の総日数という部分は、実際に出勤した日数ではなくて、カレンダー上の日数になってしまうので、イメージしているよりも平均賃金というのは低い額になりがちです。

賃金総額を所定労働日数で割れば、イメージに近い平均賃金となるでしょうけれども、労働基準法で定められた平均賃金の算出方法を用いてしまうと、思ったよりも1日あたりの平均賃金が低くなってしまう傾向があります。そのため、「年休をとった日の給与がなんだか少ない」という感想を持ってしまうことも。

ですから、年次有給休暇を取得した日の賃金を計算する場合に限って、過去3ヶ月間の賃金総額を、過去3か月間の所定労働日数で割るという計算式に変更しておけば、より実態に近い給与額になるのではないかと思います。

1ヶ月を30日とすると、過去3か月の期間となると、90日になります。これが過去3ヶ月間の総日数になるわけです。一方で、所定労働日数の場合は、1か月あたりで個人差はあろうかと思いますけれども、例えば、週3日で働いている人だったら、1か月あたりの所定労働日数はおそらく13日ぐらいになるのではないでしょうか。となると、その方の過去3か月間の所定労働日数は39日となります。

総日数を用いた場合は90日になりますが、所定労働日数を用いると39日です。平均賃金を計算する際の分母が小さいほど、算出される平均賃金の額は大きくなりますから、所定労働日数を用いた方が実態に近い平均賃金を算出できるでしょう。

就業規則なり賃金規定で、年次有給休暇を取得した日の賃金については、このような特別な計算方法を用いる、というルールにしておくことも労務管理での工夫です。「年次有給休暇の賃金を計算する場合に限って」という点がミソですね。

 

毎日の勤務時間がコロコロ変わると、年次有給休暇を取った時の給料どうするかでこのように面倒なことが起こります。

使用者の都合で、1週間あたりの所定労働日数を増やしたり減らしたり、1日あたりの勤務時間を増やしたり減らしたりすると、従業員を休業させているという形になりかねないので、休業手当を支払わなければならないような状況も考えられます。

雇用契約で約束した通りに働けるようにしなければいけないのが、使用者の義務で、契約ですからその通りに履行しなければいけないのです。

1週間に3日出勤してもらうと雇用契約で決めたなら、1週間に3日は働けるようにしなければいけないし、1日あたり5時間働くと契約で決めたなら、出勤した日は5時間働けるようにしなければいけない。

商売で仕入れをする時でも、例えば、じゃがいもを100箱購入する、とじゃがいもの販売業者さんと約束したならば、きちんと100箱買わなければいけないのが買主の義務です。

100箱買うと約束したけれども、実際はそんなにたくさん売れそうにないから、70箱で十分だなと考え、残りの30箱はキャンセルする、と売主側の業者に伝えてたら、売主の業者さんは困ってしまいます。

100箱購入すると約束なり契約したわけだから、その通りに準備をしてきたにも関わらず、土壇場になって購入数量を減らされてしまったら、30箱は行き場を失ってしまいます。そういう場合に備えて、売買契約の際には、違約条項なり解約条項のようなものが含まれていて、何日前までにキャンセルすれば費用はかからないけれども、その日以降はキャンセル料がかかると決めているものです。

もしくは、注文した後のキャンセルに関しては、キャンセルした購入額相当の50%を支払うとか、そういう形で途中キャンセルについて買主に対し制限を加えているような契約もあります。責任を持った取引をしてもらうために、こういう条件を付けているんですね。

人を雇って商売をしている場合も、1週間に何日働いてもらう、1日あたり何時間働いてもらう、という形で約束なり契約をするわけだから、そこで決めた通りに労働力を購入しなければならないのです。暇だからといって、一方的に購入量を減らしてキャンセルしてしまうと、休業手当という名目で、解約料なりキャンセル料が課せられるわけです。

労働基準法26条の休業手当は、雇用契約の内容を履行できなかった際の、違約金なりキャンセル料だと思っていただければいいでしょう。

毎年秋になると、台風が来て大雨が降るわけですけれども、そういう状況でもチェーン店の小売店や飲食店は通常通りに営業していますよね。台風が来て大雨が降って、風も吹いてるのに、お客さんなんてほとんど来ないにも関わらず、お店を開けている。あれは、もしお店を閉めてしまったとしても、その日出勤する人たちの人件費は払わなければいけないので、お店を閉めずに通常通りに営業していると考えられます。

小さな会社やお店だと、台風が来たら臨時休業にしちゃうところですけれども、大きな会社だと臨時休業せずに通常通りに営業するわけです。

数日程度の臨時休業だったら、後日に振替出勤日を設ければ休業を回避できますけれども、 出勤日数が毎週変わり、勤務する時間も毎日コロコロと変わる場合は、雇用契約で約束した通りの内容を履行できているかどうかをチェックしておかなければいけないでしょう。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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