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休日労働に時間外割増賃金は付かないの?
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休日割増賃金が付いたら時間外割増賃金は付かない?
前回のメルマガの編集後記でお伝えした通り、今回は「休日勤務の日の時間外勤務」について書きます。
詳しくは下記のリンク先の内容をお読みください。この内容を前提に今回のメルマガを書きますので、事前に読んでいただくと理解しやすくなります。
休日勤務の早出残業には時間外手当は要らない
ご存知のように、休日(この休日は法定休日とします)勤務すると、35%以上の割増手当が追加で必要になりますね。いわゆる「休日割増」という手当です。
また、この休日勤務割増手当は、休日の全日にわたって支給されるものであり、例えば休日に7時間仕事をしたとすると、その7時間の全ての時間に対して休日勤務35%を付加します。
ここまでの内容は確認です。
今回の本題は、「休日勤務の日に時間外勤務をしたとしても、時間外勤務に対する手当は不要」という点です。
例えば、法定休日に、8:00から19:00まで勤務(休憩が1時間含まれていると仮定)したとすると、勤務時間は10時間ですね。となると、8時間を超えた2時間分がいわゆる時間外の勤務となるわけです。そこで、2時間が時間外の勤務なのですから、この2時間に対して時間外労働の割増手当が必要になる、、、"はず"です。
ところが、労働基準法では、上記の2時間に対して手当は必要ありません。
マトモに考えれば、「こりゃ2時間の時間外労働だろう」と判断する場面ですが、休日勤務が重なると、トリッキーな結果を招くのです。
不思議な仕組みですけれども、本当です
休日割増賃金には時間外割増賃金が含まれていると扱われている
なぜ休日勤務の日に時間外労働が発生しても割増手当が必要ないのかというと、ある通達が根拠です。
36協定によって休日の所定労働時間を8時間と定め、始業午前7時より終業午後4時とした場合(休憩1時間)で、午後4時を超えて労働させたときの割増賃金については、8時間を超えても深夜業に該当しない限り3割5分増で差し支えない。
(若干表現を手直ししています)
上記は、厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長への通達ですが、この通達が「休日勤務の日に時間外労働が発生しても割増手当が必要ない」という点の根拠です。
この通達を基準にすれば、確かに」休日勤務の日に時間外労働が発生しても割増手当が必要ない」ということは分かります。
休日勤務の日に時間外労働割増を支給するとなると、「休日割増35%+時間外勤務割増25%+深夜割増25%=85%割増」というように休日と時間外と深夜が重なると、常軌を逸した割増賃金が必要になるので、このような状態を回避しようという意図なのかもしれません。
休日割増35%+深夜割増25%=50%割増という組み合わせは現にありますが、上記の85%増しという組み合わせはありません(労働基準法的には)。
なぜ「3割5分増で差し支えない」という結論に至ったのかというと、休日割増賃金が休日労働は、それ自体が時間外労働になっており、休日割増賃金には時間外割増賃金が含まれて35%以上の割増賃金が必要です、というのが理由です。
「8時間を超えても時間外にならない」という点に納得できない人もいる
「休日勤務の日に時間外勤務をしたとしても、時間外勤務に対する手当は不要」という判断は正しいのですが、この判断を現場で利用すると混乱が起きるはずです。
普通に考えれば、「1日8時間を超えると時間外労働だ」と判断しますから、混乱するのはもっともです。
もし、休日に時間外勤務をした社員さんが自社にいるとして、その社員さんに時間外勤務の割増手当を支給しなければ、誤解を招くこともあるのでは。「この会社は残業代をキチンと払っていない」と社員さんが早合点して、会社の総務担当者と言い合いになるかもしれません。
もし、休日勤務が発生して、どうも8時間を超えて仕事をするかもしれない状況になったとしたら、8時間以内で仕事を終わらせ、別の日に仕事を回すというのもアリです。休日労働で労働時間が8時間を超えると誤解を招くならば。
追記:
『法定休日に出勤することそのものが時間外労働であり、それに対して休日割増賃金を支払っているのだから、さらに時間外労働に対する割増賃金を上乗せする必要はない』というのが実務上の解釈です。つまり、休日割増賃金の中に時間外労働の割増賃金も含まれているという扱いになるわけです。
週に1日は休日を取れている職場ならば、今回のような問題は起こりませんから心配不要です。一方、1週間に1日も休みが取れない時があるならば、休日割増賃金と時間外労働の割増賃金の関係を知っておく必要があります。
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