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8時間労働の謎。

 

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ふと、「編集後記」って一体何なのかと思った。

何か文章などを書いて、その最後にオマケのようにチョコンと編集後記というのがあって、ちょっとした雑談を書いたりする。

おそらく、本体文章を書く人と編集する人が別々だから編集後記という場所を設けているのだと思う。ならば、もし本体文章を書く人と編集する人が同一人物ならば、あえて編集後記など作らなくてもいいんじゃないかと。私の場合も同様だ。

もし書きたいことがあるならば、本体文章の前に書くか本文の中に組み込めば足りるわけだ。惰性的に編集後記という項目を設けていたが、「こういうものがいいのかな、、」と思いつつ続けていたが、ヤメることにした。






■8時間労働の謎◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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8時間じゃなきゃいけないの?
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「8時間を超えてはいけない」のであって、「8時間でなければいけない」わけではない。


労働基準法32条の2項には、「、、、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」と書かれている。

1日8時間までという制約はほとんどの人が知っているのだけれども、だからといって1日8時間働く必要があるのかがちょっと謎だ。

上記の条文では、「1日について8時間を超えてはダメ」と書かれているだけであって、なにもあえて1日8時間ミッチリと労働時間を設定する必要もないのではないか。つまり、1日8時間を超えないようにするだけでいいのだから、1日5時間とか1日4時間で終わらせてもいいはずだ。

どうして、1日の所定労働時間は8時間に設定されるのか。もちろん、7時間45分や7時間30分でも良いのですが、なぜ8時間もしくは8時間近くまで労働時間を設定するのかが謎だ。

「1日4時間労働の正社員」がいたっていいじゃないかというのが私の考えだ。

過去には、8時間を超えて働くことが常態化していたので、1日8時間を上限にするように運動が起こったらしいが、その名残なのだろうか。


「なんで1日8時間と固定して働くの?」というのが私の素朴な感覚で、忙しいときならば、1日13時間でも15時間でも働けばいいし、暇ならば1日3時間ぐらいで終わっちゃってもいいはず。毎日8時間は拘束していなければいけないという方が異常で、仕事の進捗状況によって働く時間が変わる方が正常だ。

しかし実際には、休業手当制度による制約や雇用契約書に書いた内容を履行することが大事で、暇でも会社にいるべきなどというヘンなことになっている。8時間働くべきところを、暇だからといって早く終わると、早く終わった分だけ休業になるのが休業手当制度なのだが、このような使われ方を想定して労働基準法26条の休業手当は設計されたのだろうか。「暇でも会社にいるべき」という気持ちで作った制度ではないはず。確かに、日ごとにコロコロと働く時間が変わり、月ごとの給与が変動すると労働者の生活が不安定になるという理由が26条の趣旨なのかもしれないが、だからといって無理に1日8時間の時間拘束を要求するのはやはりヘンだ。

暇なときは早く仕事を終えて、私生活に利用する時間を増やすことができるし、収入を増やしたければ他の場所で仕事を掛け持ちでやればいい。兼業を就業規則で禁止する会社もあるが、もし兼業を禁止するならは暇でも1日8時間の時間拘束を受け入れなければいけないだろう。忙しいときは1日8時間、仕事が無くても1日8時間で運営しなければいけなくなる。しかし、兼業が自由になれば、仕事が暇で早退することになっても、他の場所でちょっとだけ仕事に参加したりできるわけだ。兼業や副業を許す方が企業にとっては都合が良いようにも思えるが、現実には許さない企業の方が多い。

「兼業を禁止するならば休業手当を用意するべき、兼業が事由ならば休業手当は用意しなくてもいい」というのがバランスがとれている。つまり、会社が労働者を時間的にロックインする代償として休業手当制度が設けられているとも考えられる。

「本当に1日8時間も仕事をしているの?」と私は思うし、「正味の労働時間は半分ぐらいになるんじゃないの?」とも思う。





仕事に応じて時間は変わるもの。


人は本当に8時間も仕事をしているのか、8時間もなくても仕事は完了できるのではないかと思う一方で、時間帯ごとに仕事が発生するので、やむを得ず8時間になっているところもあるでしょう。満遍なく1日分の仕事が時間的に分散していると、勤務時間の短縮はしにくいかもしれない。

例えば、10時の集配、14時の集配、17時の集配の時間だけは忙しいが、それ以外の時間はそうでもないという仕事。全ての仕事をまとめて片付けたいと思うが、時間が分散しているので勤務時間を短縮しにくい。他には、飲食店だと、お昼の時間帯は混み合うけど、14時以降はいわゆるアイドルタイムで暇だという場合。もちろん、アイドルタイムには仕込みをする時間に充当していたり、掃除をしているので仕事自体はできているのかもしれない。

人は全ての時間を同じ密度で仕事をしているわけではない。密度が低くても仕事は仕事なのかもしれないけれども、時間1単位当たりの生産量はバラツキがある。

飲食店の中には、14時や15時で店を一旦閉店して、17時や18時ごろに再度開店するところもある。昼を過ぎたら夜までお客さんが少ないので、営業するよりも閉店して休憩している方が良いだろうという判断なのかもしれない。他に、歯科や眼科の診療所でも昼過ぎから夕方まで休診するところが多い。もちろん、店や診療所を閉めているからといって休憩しているとは限らず、仕込みや差し歯の作成をしていることもあるでしょう。

ただ、上記の例外を除き、多くの会社では忙しくても暇でも同じように営業している。

「1日の労働時間は8時間なので、、、」というように私も当然のように考えてしまうことがしばしばあって、なぜ8時間なのかをじっくりと考えることはあまりなかった。

法定労働時間が8時間だから、会社での勤務時間も8時間になっているのかとも思えるが、法定労働時間は「8時間を超えてはいけない」だけなのであって、「8時間働かなければいけない」とまで意味するものではない。

もしかして、8時間という枠が最初に設定されていて、その枠にはめ込むように仕事を作り出しているのではないかと思ったりもする。つまり、法定労働時間ありきで仕事の時間を決めているのではないかと。

1日8時間の労働時間を当たり前と思ってしまっている人も多いが、当たり前と思う理由は特に無いのだ。なぜか分からないが、みんな8時間なので自分も8時間になっているというのが実情だろう。


「なぜ法定労働時間は1日8時間なのか」という点はあまり話題にならないし、もしかしたらこの話題はダブーになっているのかもしれない。


「8時間という枠を前提にするのではなく、やる仕事を先に決めてから行動したらどうだろう」と考えてみたり、「法定労働時間を4時間にしたらどうだろう」と考えたりもする。

1日の仕事を4時間で終わらせると言うと、ほとんどの人は「無理だ」「有り得ない」と思うかもしれない。「現状の8時間でも時間内に終えるのが難しいのに、それよりも短くするなんで無理!無理!」と思う人もいるかもしれない。

私たちは無意識に、「仕事を完成させよう」と考えるのではなく、「8時間をどんな仕事で埋めようか」と考えてしまっているのではないだろうか。つまり、仕事ではなく時間に気持ちが向いているということ。


もし「1日4時間勤務の正社員」という存在があれば、とても興味が湧く対象だ。どうやって4時間で仕事をしているのかと私なら興味を持つだろう。




便利になるほど忙しくなる。



8時間労働になっている理由の1つとしては、固定の月給制だから長く働いてもらった方がトクという判断があるのかもしれない。つまり、「使える枠は全部使っちゃった方がいいじゃないか」というわけだ。この状況だと、あえて労働時間を短くするなどと試みる企業も無いだろう。もし、8時間勤務でも4時間勤務でも日給18,000円なのだったら、8時間勤務を選択するでしょう。


所定労働時間を8時間というように固定するのではなく、例えば「9時から20時の間で、4時間から8時間の勤務」というように、勤務時間に幅を持たせれば良いのではないかとも考えている。固定で6時間というように契約してしまうと、どうしても1日6時間は確実に勤務時間にしなければいけなくなるので、勤務時間に幅を持たせて契約すると柔軟性を高めることができるのだ。忙しくなければ4時間で終われるし、忙しければ最大で8時間まで勤務可能なので、休業手当が必要かどうかと悩むこともない。

ただ、上記の方法はパートタイム社員ならば可能でも、固定月給で働く社員さんだと時間を弾力化させても賃金が同じなので、企業は無理に勤務時間を短くしたりしないだろう。先ほど書いたように、同じ賃金ならば長く働いてもらう方がトクだという判断をするからだ。

月給を固定せずに、日給を設定し、勤務時間が短くなれば日給を時間割(働いた時間÷8時間)できるようにすれば、上記のように幅を持たせた所定労働時間を設定できるのではないだろうか。


今では、通信機器も便利になりましたし、通信費用も以前に比べれば驚くほど安くなっている。また、交通機関も発達して、東京から鹿児島まで一気に新幹線で移動できる予定だ。さらには、中央リニア新幹線も建設され、東京-大阪を1時間で移動できるようになる。

しかし、道具が便利になっているにも拘らず、人が働く時間はなぜか短くならない。

便利になればなるほど、働く時間は短くなると思ってきましたし、今でも思っています。しかし、現実にはそうなっていない。

便利になったから、その利便性を活用してさらに仕事をしようと考えるのが人間のようで、利便性で余暇を獲得するという方向には向きにくいのかもしれない。


また、便利なインフラができると、その利便性を生活に織り込んでしまうために、作れるはずだった余裕を作れない(「作らない」という表現の方が正しいかも)まま、さらに便利な道具を作ろうとするわけだ。

働く時間を減らすために便利な道具を活かせれば、1日4時間労働も実現できそうな気がするんですが、無理な願望なのでしょうか。

 





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