休業手当と標準報酬月額の随時改定
社会保険料の計算で使われる標準報酬月額は、毎年1回ずつ、7月の算定基礎届で変更されるのが通例です(給与に変動がなければ、変更しない場合もある)が、状況により1年を待たずに変更することもあります。
例えば、固定的賃金が下がった場合は、2等級以上に下がったときに、標準報酬月額の随時改定が行われます。
一方で、固定給賃金が上がった場合は、2等級以上に上がったときに、標準報酬月額の随時改定が行われます。
つまり、給与額の変動幅が大きければ、毎年7月の算定基礎届(定時決定)を出す時期を待たずに標準報酬月額を変更するんですね。
ちなみに、随時改定とは、3ヶ月平均で、報酬月額が2等級以上にわたって下がって(もしくは、上がって)いれば、標準報酬月額の改定をする制度です。被保険者の報酬が、昇給や降給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、7月の定時決定を待たずに標準報酬月額を改定するために月額変更届を出します。
では、会社が休業することになり、休業手当を支給されている場合、標準報酬月額は変更されるのでしょうか。
もちろん、休業手当の支給率が100%ならば標準報酬月額は変更されません。しかし、80%ならばどうでしょうか。また、60%の支給率ならばどうでしょうか。
それとも、休業手当はそもそも固定的な賃金ではないから、随時改定を実施する状況ではないのでしょうか。
休業手当は固定的賃金になり社会保険料に影響する
結論を先に言えば、休業手当は、通常の給与に振替えて支給されるのですから、固定的賃金に該当します。
基本給と同じものと考えれば分かりやすいでしょうか。
例えば、通常の賃金が300,000円として、休業手当が80%支給されている場合。
休業手当は240,000円ですよね(今回は、細かな項目を除外して考えます)。
となると、300,000円の時の標準報酬月額は300,000円(健康保険で22級)であり、一方、240,000円の時の標準報酬月額は240,000円(健康保険で19級)になります。
この場合、2等級以上の変動がありますので、随時改定の対象になります(3ヶ月平均で19級になっていると仮定します)。
仮に、休業手当の支給率が90%だとすると、報酬月額が270,000円で、標準報酬月額は280,000円の21級になりますので、月額変更届は出しません。
休業をすると、休業手当の額によっては、月額変更届(随時改定)の対象になる場合があるのですね。