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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/6/19号 no.99)━
■■ 休業すると失業手当は減るかどうか。
■■ 休業すると雇用保険の賃金日額が変わるのか、変わらないのか。
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休業すると給与額が減るから、失業手当も減る?
今の経済状況を考えて、会社によっては、今現在休業を実施している、もしくは今後実施しようと考えているところもあるかもしれませんね。
ご存知のように、休業手当というのは、60~100%の範囲で会社が支給率を設定し、支給するものです。
雇用安定助成金を使う時にも、休業手当を使いますよね。
ただ、休業したものの、結果として後に人員削減することになったときに、60%や70%の休業手当を支給されていたとすると、雇用保険の失業手当(正式には「基本手当」)が減ってしまうかもしれません。
つまり、雇用保険の失業手当は、退職前6ヶ月間の賃金を基準にして支給額が決まりますから、通常の給与よりも少ない休業手当を支給されていると、失業手当も休業手当に連動して少なくなるわけです。
しかし、休業によって失業手当の支給額が下がるのは、社員さんとしては困ります。
自分自身の原因によって支給額が変わるのは納得できるのですが、休業という外部要因によって失業手当の額が変わってしまうのは何とも腑に落ちません。
ならば、休業前の賃金水準を基準にして失業手当の支給水準を決めることができないものでしょうか。
退職前6ヶ月間だけが休業で、それ以前は休業ではなく通常通りの勤務だった人は、減額された失業手当を受け取ることになりますから、休業前の賃金水準を基準にして欲しいですよね。
なお、以下の文章では、「失業手当」と「基本手当」という表現は同じものとして扱います(呼び方が違うだけですから)。
特例が使えるかもしれないし、使えないかもしれない。
「休業時」の賃金ではなく、「休業前」の賃金で基本手当を支給するために、雇用保険には「賃金日額の算定の特例(雇用保険法17条3項)」という制度があります。
雇用保険法17条3項
【、、、賃金日額を算定することが困難であるとき、又はこれらの規定により算定した額を賃金日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働大臣が定めるところにより算定した額を賃金日額とする】(最初の部分はカットしています)
ちなみに、17条の1項、2項では、賃金日額の原則的な算定方法が決められています(既に知っている方も多いでしょうから、ここでは説明しません。)。
話を戻すと、原則的な方法で賃金日額を計算することが難しい場合は、雇用保険法17条3項を使い、例外的な計算をすることが可能というわけですね。
今回の場合だと、休業を開始する前の賃金を基準にして、雇用保険の基本手当が支給される可能性があるわけです。
そこで、17条3項の判断基準について労働局の方に聞いてみましたところ、生産量の減少により、休業手当を支給している場合でも、上記の特例の対象になるようです。
また、厚生労働省の告示(平成15.4.30 厚生労働省 告示178号)でも同様のことが示されています。
ただし、会社側で手続きをして特例の適用をしてもらうというものではなく、行政裁量で特例の適用をするかどうかを判断するようです。
「厚生労働大臣が定める」と書かれていますからね(詳しい内容はゴニョゴニョということ)。
つまり、休業手当を支払われていたからといって、直ちに特例によって賃金日額を算定することを保証するものではないということ。
実際に賃金日額を算定する状況になってみないと、特例を適用するかどうかは分からないんですね。
それゆえ、特例の適用を織り込んで休業の計画を立てるのは、なるべく避けた方が良さそうです。
雇用安定助成金を使うときには、失業手当への影響も考えるが、、、。
筆者としては、雇用保険の基本手当について対応策を考えるよりも、退職前に標準報酬月額の随時改訂を行って、退職後の任意継続健康保険に対応(保険料を低く抑える)した方が効果は大きいのではないかと考えています。
確かに、休業手当として70%や80%程度の給与になると、退職前6ヶ月間の賃金も低下しますので、基本手当も少なくはなります。
しかし、休業手当の支給による雇用保険の基本手当への影響は、1日単位ではおそらく数百円程度の差にしかならず、また、差が大きくなっても千円ぐらいです(1ヶ月になると、相応の額にはなります)。
ならば、基本手当の減少について考えるよりも、退職後に加入する健康保険の任意継続状態での保険料を下げることを考えた方が数値的には有利ではないかと考えるのです。
もちろん、両方の対策を立てることができれば理想ですが、それが難しい場合は、より影響の大きい方に時間を割くということですね。
ゆえに、雇用安定助成金を使う時には、人員削減する可能性も踏まえて、失業手当について考えなければいけないのでしょうが、それよりも健康保険の任意継続について考えを及ばせた方が利点も大きいということです。
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【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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