book766(午前と午後、2回勤務して残業になる。)

お昼の時間が異様に長い医院。


歯医者でも眼医者でも皮膚科の医院でも良いのですが、入り口に掲載されている診察日と時間を見て、不思議に思った人も少なくないはず。

午前の診察が9時から12時まで。時間を空けて、午後は16時から20時まで。診察時間に違いはありますが、お昼から夕方まで、3時間、4時間と時間が空いているのが特徴です。「なぜ、こんなに時間を空けるのだろうか?」と思った人は私だけではないでしょう。

まさか昼食で3時間も使うわけではないでしょうし、昼寝をしているというのも何だか納得しにくい。実際は、午後の診察にむけて準備するための時間とされているようですが、一般の人で知っている人はどれだけいるのでしょうか。

仮に、昼から夕方までの3時間なり4時間を休憩時間として扱っていると考えると、午前と午後で勤務時間が分離していることになる。これだけ時間が空くと、一度自宅に帰って、改めて午後から出勤してくる人もいるでしょう。


ここで問題になるのが、午前の部の仕事が終わった後、一度自宅に帰り、夕方からまた出勤してきた場合、午前の勤務時間と午後の勤務時間をどのように扱うかです。

例えば、午前は、8時から出勤で、12時30分まで仕事をした。その後、12時30分から15時30分までが休診。15時30分から21時まで午後の勤務となった場合。

この場合、午前の勤務時間は4時間30分。午後からの勤務時間は5時間30分です。両方を合わせると、合計で10時間となります。

では、上記の場合に、割増賃金が必要かどうか。





通算するか。それとも分離するか。


まず、午前の勤務と午後の勤務、この2つを分離したものと扱った場合はどうなるか。

午前の勤務時間は4時間30分なので、8時間を超えておらず割増賃金は不要。また、午後からの勤務時間は5時間30分なので、こちらも8時間を超えていない。

2つの勤務時間を分離したものとして扱い、1日に2回の勤務があったと考えると、残業が発生していないという結果になる。

次に、2つの勤務時間を通算して扱った場合はどうなるか。

午前の勤務時間は4時間30分、午後からの勤務時間は5時間30分、この2つを合計すると、10時間なので、8時間を超えており、割増賃金を伴う残業の時間は2時間となる。


もし、午前と午後の勤務を別々のものとして扱ってしまうと、割増賃金の支払いを回避できてしまう。一旦、業務を終了させて、その後、改めて始業すれば、勤務時間をリセットできるので、労働基準法37条が存在する意味が無くなる。

私は学生の頃、飲食店で働いていたときがありましたが、日曜日が学校の授業が無いので、朝から出勤し、昼過ぎに一旦仕事を終え、自宅に帰り、その後また夕方から出勤していました。

朝の10時から始めて、14時に終わる。職場の店から自宅までは自転車で3分ぐらいの近さでしたから、行き来は容易でした。お昼すぎになるとお客さんが少なくなるので、店を閉めて、17時からまた店を開ける。そういう営業方針でした。私の場合は17時からではなかったですが、18時になるとまた仕事が始まり、22時30分頃に終わる。

朝の仕事が4時間。夕方からの仕事が4時間30分なので、この場合も通算すれば残業が発生しています。ちなみに、割増賃金が支払われたことはありませんでした。その頃は大学生で、今のように労務管理に関する知識もありませんでしたから、何もヘンなところは無いと思っていたのですが、実際は不備があったのですね。

1日の中で、勤務時間が上記のように分離する職場の場合、勤務時間を分離するのではなく合算して取り扱ってください。



山口正博 社会保険労務士事務所
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