book944(36協定を締結すれば無制限に残業できる、わけではない。)


http://www.sankei.com/affairs/news/170626/afr1706260027-n1.html
日経新聞に是正勧告、残業時間を超過 中央労働基準監督署

 

 日本経済新聞東京本社(東京都千代田区)が社員に長時間労働をさせていたとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが26日、分かった。勧告は5月30日付。

 日本経済新聞社によると、是正勧告を受けたのは同本社の総務・経理部門などで、社員に労使協定で定めた残業時間を超過する長時間勤務をさせていたという。

 

 

法定労働時間を超えて残業するには36協定を締結する必要があります。この点はご存じの方も多いはず。

残業代をキチンと払うだけでは十分ではなく、36協定を締結することも必要です。この点ですでにアウトな会社もありますが、ここは手続きの段階なので、キチンと労使協定を締結して、書面を労働基準監督署に届け出れば解決できます。

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/36_kyoutei.html
時間外・休日労働に関する協定届(36協定) | 東京労働局



書類のサンプルは東京労働局のウェブサイトにありますので、まだ36協定を締結して届け出ていないならば参考にして下さい。


日経新聞での出来事ですが、「労使協定で定めた残業時間を超過する長時間勤務をさせていた」という部分が問題の中心部分です。

36協定はキチンと締結しているようですが、そこで決めた時間外労働の時間数をオーバーして是正勧告を受けたということです。

36協定には確かに法定労働時間を超えて残業を可能にする効果はありますが、無制限に残業できる効果はありません。「割増賃金(残業代)を正しく支払っていれば問題ないだろう」と思う方もいらっしゃるでしょうが、残業の時間数には上限があります。

協定の中で、例えば、1日あたり3時間。1週間あたりでは17時間。1ヶ月あたりでは40時間。というように、会社ごとに36協定で時間外労働の上限時間を決めます。ここで決めた時間の範囲内で残業が可能になるのであって、これを超えてしまうと今回の日経新聞のように是正勧告の対象となります。



協定で設定した上限時間を知らずに労務管理をしていると、1日3時間までなのに5時間の残業をしたり、1ヶ月40時間までなのに残業時間が57時間になったりします。

残業が可能な上限時間数が何時間に設定されているのかを知らずに働いている方も多々いらっしゃるかと思いますが、1日あたりでは何時間まで。1週間、1ヶ月あたりでは何時間まで。この具体的な時間数をすぐに確認できるところに表示しておくと良いでしょう。

例えば、タイムカードを置いている場所に、残業が可能な時間数を掲示しておくとか。他には、給与明細の備考欄に表示して上限時間をアナウンスしておくとか。普段から何時間まで残業は可能なのかを知る機会を作っておけば、その時間数の範囲内で勤務時間を調整できますから、今回のような是正勧告を回避できます。


今回は、労使協定で定めた時間外労働の上限時間数を知らないまま、是正勧告に至ってしまったというのが実際のところだと私は推測します。おそらく故意ではなく、過失なのではないかと思います。

日経新聞だけで起こることではなく、36協定で決めた時間数をオーバーする事例は他社でも多いですので、残業が発生する職場ではどこでも同じことが起こり得ます。


36協定で設定されている時間数を知っている方は、どこの会社でも多くはないと思われますので、1日あたり、1週間あたり、1ヶ月あたり、これらの期間での残業が可能な時間数を分かりやすく示しておくのが対策となります。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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